彼女と入れ替わって、
彼女の身体でダイエットをすることになってしまった彼氏…
戸惑いのダイエット生活の行方はー…?
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「ーーお邪魔しま~す」
ぽっちゃり系な彼女・茉莉と入れ替わって、
茉莉の身体で茉莉の家にやってきた和人は、
つい、そんな言葉を口にしながら、茉莉の家の中に
歩を進めていくー。
「ーーは…?お邪魔しますってなによー?」
ちょうど、玄関の近くにいた茉莉の母親・澄子(すみこ)が、
呆れたような表情でそう言葉を口にするー。
母親の澄子も、茉莉と同じような体格で、
結構ぽっちゃりとした体格だー。
「ーーえ…あ、…え?あ、あのー…
いやー、違うー。
え、えっとー ただいまー あははー」
茉莉(和人)は、明らかに挙動不審な受け答えをすると、
「あ!そうだ!手を洗わないと!!」と、
母親・澄子の目を誤魔化すかのように、そう言いながら
洗面台の方に向かったー。
「ーーーーー?」
母・澄子は娘の態度がいつもと違うような気がして首を傾げるー。
「ーーーふ~~…危なかった」
洗面台に移動した茉莉(和人)は、
「ーーー…この調子だと、茉莉も俺の身体で色々失敗しそうだなぁ…」と
ため息をつくー。
茉莉の身体でダイエットをしてあげることよりも、
正直、それの方が心配だったー。
が、お人好しな性格でもある和人は、
”まぁ、茉莉がなんかミスしたら、俺がカバーするからいいけど”
などと、心の中で考えると、
鏡をふと見つめるー。
「ーー鏡の前に立つと、茉莉の顔があるってのもー
なんか変な感じだなー」
鏡の前に立てば、必ず”自分の姿”が見えるー。
あまりにも当たり前のことだー。
しかし、彼女と入れ替わった今では、
その”あまりにも当たり前のこと”が変わったー。
鏡の前に立っても、”自分”がそこにはいないー。
なんだか、妙な不安を感じるようなー、
そんな、不思議な気持ちになってくるー。
「ーーー…ま、別に俺、自分の顔好きじゃないからいいけど」
特にイケメンではないし、どちらかと言うと地味な風貌の和人は、
そんな言葉を口にしながら、
「ーでも、茉莉って痩せたらすごくーなんかこうー…
人気者になりそうな可愛い感じの顔になりそうだよなー」と、
一人でブツブツ呟くー。
”俺は今のままでもいいんだけどー”
と、そう思いつつ、ようやく手を洗うのを終えると、
茉莉(和人)は洗面所を出て、そのままキッチンのある方向を見つめたー。
キッチンの一角にはポテトチップスやポップコーン、チョコレートなどなど
大量のお菓子が入ったカゴが見えるー。
「ーーあ~~~~……あれ、全部茉莉が食うやつだったのかなー?」
そんな風に思いつつ、茉莉(和人)は、息を吐き出すと、
「ーよし。さっさと痩せて、早く元に戻れるように頑張ろう」と、
そう言葉を口にしたー。
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一方、和人(茉莉)は、帰宅すると同時に、
和人の部屋の中を物色していたー。
「あ~!わたしの写真、こんなところにも飾ってくれてる~!」
「ーーあっ!こんなものも持ってるんだ~!」
「え~ここ、整理整頓した方がいいのに~!」
「ーわ!中学の時の集合写真にイケメンが!
誰このイケメン!?」
イケメンが好きなのか、和人(茉莉)が、
和人の中学時代の卒業式にされた写真を
見つめながら嬉しそうにそう騒ぐー。
「ーーえへへーかっこいいなぁ~…
今後、和人に名前、聞いてみよ」
和人(茉莉)は満足そうにそんな言葉を口にすると、
「ーそれにしても、男の人の身体ってー
やっぱ、動きやすいようなー?」と、
そう言いながら部屋の中で身体を動かしていくー
手を振ったり、
足を振ったりー、
走る真似をしてみたりー、
「ーーあははは!なんだか、すごい!」
和人(茉莉)は、楽しくなってきたのか、
身体の色々な部分を動かしてはご機嫌そうに笑っているー。
「ーーあ~~~…でもでも、
女だからとか、男だからとかじゃなくて
もしかして、わたしが太ってるから、
そう感じるだけなのかなー?」
和人(茉莉)は、ふとそんなことを考え始めるー。
和人の身体の方が”動きがイイ”
そんなことを感じていた和人(茉莉)
しかしー、
それが女⇒男になったからなのか、
太っている身体から、どちらかと言うとやせ型の身体になったからなのかー
それは、初めての入れ替わりだったし、分からなかったー。
「ー今度、別の子の身体とも入れ替わって見れば
もっと色々分かるかもー」
和人(茉莉)は楽しそうに笑うと、
「ーあ!そうだ!」と、手をポンと叩きながら
一人忙しそうに言葉を口にしたー。
「ー男の子になったんだからー
さっそく、アレしてみなくちゃ!」
和人(茉莉)は、興味津々という様子で
突然ズボンを脱ぎ始めると、
「ーうわぁ…」と、和人のそれを見て戸惑いの表情を浮かべたー。
「ーこれ、おっきくなったり小さくなったりするんだよねー?」
和人(茉莉)は不思議そうに首を傾げると、
「今しかこんな体験できないしレッツゴー!」と、
一人で嬉しそうに、それを弄り始めたー。
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そんなことをされているとは全く知らずに、
茉莉(和人)は
「ちょっと出かけて来るね!」と、
茉莉の母・澄子に伝えると、
そのまま外に出て、家の周りをランニングし始めたー。
”バランスの良い食事と、食事制限”
”規則正しい生活”
”それと、運動ー”
茉莉(和人)は走りながら、
茉莉のダイエットを成功させる方法を一生懸命、
頭の中で考えてそれを実行に移していたー。
「ーーーっっ…」
ランニングしながら、茉莉(和人)は
「ーー胸と髪が気になるー…」と、苦笑いするー。
走った時の胸の感覚や、長めの髪が自分にあたる感覚ー
男の身体では、”ない”感覚に、少し戸惑いながら
「こりゃ、慣れるのには少し時間がかかりそうだなー…特に胸」と、
一人呟くー。
けれど、全ては茉莉のためー。
急に変なことを言い出したり、ワガママだったりすることは
あるけれど、
やっぱり、一緒にいて楽しいと思うし、
茉莉も信頼してくれているー。
だからこそ、入れ替わりも不安要素はあったけれど
受け入れたのだし、茉莉のためにしっかりとダイエットを
してあげようと、という気持ちは本物だー。
「ーーー…よし、意識するなー意識するなー」
胸や髪を意識しないように、自分に言い聞かせると
茉莉(和人)はそのまま再び走り出したー。
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翌日ー。
「ー昨日はどうだった~?」
学校で茉莉(和人)は、和人(茉莉)と始業前に合流して
昨日の話をしていたー。
「ーはは…まぁ、順調だよー。
食事・生活リズム・運動ー
この3つでダイエットしていこうと思ってさー」
茉莉(和人)がそう言うと、
和人(茉莉)は「さっすが和人!頼りになる!」と、
嬉しそうに笑ったー。
和人は一度決めたことをしっかりとやり通す性格ー。
そんな和人だからこそ、ダイエットもしっかりやってくれるー
そう思って、和人にダイエットを任せたー。
「ーーでも、確かに茉莉の身体、
俺の身体よりかなり腹減るんだよなぁ…
食べたくなっちゃう気持ちも分かるよ」
茉莉(和人)が笑いながら言うと、
和人(茉莉)は「でしょでしょ!!」と、
分かってくれたことに嬉しそうに反応を示すー。
~~~~~~~…
「ーーん?何の音?」
ふと、変な音が聞こえて茉莉(和人)が首を傾げると、
和人(茉莉)は苦笑いしながら
「え~、え~っとね…和人の身体のお腹の音ー」と、
そう言葉を口にしたー。
「え?」
茉莉(和人)が、不思議そうに反応すると、
和人(茉莉)は「和人の身体で昨日、食べすぎちゃってー」と、
苦笑いするー
「ーーー…え…え?俺の身体でー?
一体何を食べたんだよー…?」
苦笑いする茉莉(和人)ー
「え~?え~っとね…
和人の家にあったポテトチップスと、あとコンビニで買ったアイスと
晩御飯も食べたし~!それから、かき氷、
あ、あと!チョコも食べたよ!
夜食にーー」
昨日食べたものをとんでもない勢いで言い始める和人(茉莉)
「ーーえぇぇっ!?いや、さすがに食べすぎだろー!?
俺の身体、そんなにお腹空くか?」
「ーう~ん…どんどん食べたくなっちゃってー」
テヘッと、笑う和人(茉莉)ー。
「ーーーーそ、それでお腹の調子が悪いってことかー…
まぁ…普段、そんなにたくさん食べないから
俺の身体じゃ耐えられないのかもなー…」
茉莉(和人)がそう言うと、
ふと、二人が話している廊下の一角に人が近付いて来る気配がしたー。
「ーーーーも~~~!和人ってば~~食べ過ぎ~!
わたしだって普段、そんなに食べないよ~!」
咄嗟に適当に”茉莉”っぽい言葉遣いで声を発すると、
和人(茉莉)は、人が近付いて来る気配に気付かなかったのか
「えっ!?急にどうしたの!?」と、
いきなり、女っぽい振る舞いを始めた茉莉(和人)に対して
驚いた様子を見せるー。
「ーーーべ、別に~どうもしないよ~!」
そう言いながら、気配を感じ取った通り、1年の生徒が
曲がり角から姿を現して、そのまま二人の前を通っていくー。
「ーーー」
茉莉(和人)は、その生徒が立ち去ったことを確認すると、
「ふ~~~…茉莉の身体で、”俺”とか言ってるの聞かれると
面倒なことになるかもしれないからー」と、
急に女っぽい振る舞いをした理由を説明したー。
「あ~まぁ、それもそうだね~」
のんきな口調で笑う和人(茉莉)ー
「ーそ、それよりそろそろトイレに行っていいー?お腹がー」
和人(茉莉)の言葉に、
「ーわ、分かったー。俺の身体で漏らされても困るしー」と、
そう言いながら、トイレの方に向かう和人(茉莉)に向かって、
「ー間違って女子トイレ入っちゃだめだからな!?」と、
釘を刺すように、そう叫んだー。
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「ーーーーーー」
昼休みを迎えてー、
茉莉(和人)は、チラッと、和人(茉莉)の方を見つめるー
和人の中学時代からの親友で、イケメンな英輔ー
”俺みたいに彼女なしの方が楽だぜ?”と、先日も言っていた彼と、
和人(茉莉)は楽しそうに話をしているー。
”ーーと、とりあえず大丈夫そうだなー”
そんな安堵の言葉を、心の中で口にする茉莉(和人)ー
茉莉のことだから、和人として友達と話をするタイミングでも、
普通に女子っぽく振る舞ってしまう可能性も0ではなくー、
心の中では少しヒヤヒヤしていたー。
が、英輔と会話をしている和人(茉莉)は、”和人として”
ちゃんと会話をしていて、
その光景を見て、少し安心したー。
「ーーへへへ~それにしても、英輔ってホントにイケメンだよな~」
和人のフリをしながら会話しつつ、そう言葉を口にする和人(茉莉)ー。
「え…えぇ?なんか、今日のお前、変じゃねー?」
苦笑いする英輔ー。
そんな様子を見て、
茉莉(和人)は、やっぱり少し”大丈夫なのかー?”と、
自分の身体を茉莉に預けることに、少し不安を感じるのだったー。
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「よし、今日はこれで食べるのは終わりっとー」
「お菓子は控えた方がいいなー」
「今日もこれから、ランニングをしようー」
「ーあまり夜更かしはしないようにっとー」
茉莉(和人)は、その後も日々、ダイエットを続けたー。
元々、茉莉がぽっちゃりしている原因は、
暴飲暴食と不規則な生活、そして運動を全くしないことが主な原因で
あったために、成果は、短期間のうちに出始めたー。
「ーー…おぉぉ…やっぱ、痩せると男子受けしそうな雰囲気になるなぁ」
茉莉(和人)は、入れ替わった当初よりも痩せた茉莉の姿を
鏡で見つめながら少しドキッとするー。
がーー
「まぁ、俺はどっちの茉莉も好きなんだけどなー…
元の茉莉は元の茉莉で可愛いしー」
そう呟きながら茉莉(和人)は「ーこの調子でダイエットを続ければ、
いい感じになりそうだなー」と、
ダイエットの成果がしっかりと出ていることに
確かな手応えを感じるー。
入れ替わってダイエットをするー。
そのことには、少なからず複雑な感情や心配はあるー。
”茉莉が、今よりもっとワガママになってしまうのではないかー”と思うこともあるし、
”ダイエットに成功しても、元に戻ったらまたすぐに太るのではないか”と思うこともあるー。
けれどー
それでも、今は茉莉本人の願いを叶えるためー、
そして、健康のためにと、
茉莉の身体でダイエットを続けるのだったー。
③へ続く
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コメント
彼女の身体でのダイエットは
果たして成功するのでしょうか~?★
結末は、明日の最終回で確かめて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!☆
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