ぽっちゃり系の彼女から、
”ダイエットしたい”と相談された彼氏…。
しかも、その方法は
”入れ替わってわたしの身体でダイエットして!”という
とんでもない方法だったー。
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「ーーねぇねぇ…和人(かずひと)ー。
わたし、ダイエットしたいんだけど~」
ぽっちゃり系の彼女・野口 茉莉(のぐち まり)が、
そんな言葉を口にするー。
「ん~?ダイエット?
茉莉は今のままでも十分可愛いと思うけどー」
苦笑いする彼氏の福田 和人(ふくだ かずひと)ー。
和人は、特に”イケメン”というわけでもなく、
どちらかと言うと、地味な容姿の持ち主ー。
が、そんな和人にも
高校に入学して、”人生初めての彼女”が出来たー。
それが、ぽっちゃり系の彼女・茉莉だったー。
同じ文化祭実行委員として、今年の文化祭の準備で
色々と接点を持つうちに意気投合、
茉莉の方から告白されて”え!?俺なんかでいいの!?”と
和人は驚きながらも、それを承諾、人生初めての恋人が
出来たのだったー。
そんな茉莉から”ダイエットしたい”と言われた和人。
確かに、茉莉は結構ぽっちゃりとしていて、
太っている方だー。
が、別に和人自身はそれに不満を抱いたことはなかったし、
気にしたこともなかったー。
「ーー和人が気にしてなくても、わたしが気にしてるの」
茉莉がそう言うと、
「そ、そっかー」と、和人は苦笑いしながら
「そ、それなら頑張ってー。俺も応援するから」と、そう言葉を付け加えたー。
「ーーーーーー」
茉莉が、”それだけ?”と言わんばかりの表情を浮かべながら
和人の方を見つめているー。
「ーーーー?」
和人も、そんな茉莉の反応に気付き
”え?”というような表情を浮かべると、
茉莉は「ーー手伝ってほしいんだけど」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーえぇっ!?」
和人は戸惑うー。
彼女のダイエットを手伝う、とはいったいどういうことなのだろうか。
付き合い始めてから思ったことではあったものの、
茉莉は結構急に、変なことを言い始めたり、
ワガママに感じるようなこともあって、
色々振り回されることも多いー。
突拍子もないことを提案してくることも多く、
そういう一面にも和人も少し、悩まされていたー。
「ーーーて、手伝うって何をー…?
ーーいや、なるべく一緒に何かを食べに行くのをやめるとか、
茉莉の前で美味しそうなものを食べないとか、
そういうことはしてもいいけど」
和人が戸惑いながらそう呟くー。
「ーあ、あとは、一緒に運動したりとかなら、
全然いいけど」
和人がさらにそう言葉を付け加えると、
茉莉は「そういうのはいいの」と、突然そう言葉を口にしたー。
「ーーーえ…?」
和人は戸惑いながら、首を傾げるー。
「ーわたしの代わりに、和人がダイエットしてくれればそれでいいからー」
茉莉は、笑いながらそんな言葉を口にするー。
さらに、意味が分からないー。
「ーえ?俺がダイエットするのー?
でも、それじゃ、茉莉ー痩せなくないか?
俺がダイエットしたら、俺が痩せるだけだしー」
困惑しながらそう呟く和人ー。
そもそも、ぽっちゃり系な茉莉とは違って
和人は元々細身で、ダイエットをする必要など
微塵もないような体格だー。
むしろ、ダイエットなどしてしまえば、
それこそガリガリになってしまうー
「は?和人がダイエットする必要なんてないでしょ」
茉莉は少し、ため息をつきながらそう言うと、
「え…い、いや、でも、今、茉莉が自分でー…」と、
”わたしの代わりにダイエットして”と言ったことを指摘するー。
すると、茉莉は笑ったー。
「ーー”わたしの身体で”、和人がわたしの代わりにダイエットするのー!」
とー。
「ーーー…ーーーーーーーー…????」
和人は思わず、リアクションを取るのも忘れて
戸惑った表情を浮かべるー。
もはや、何を言われているのか全く分からないー。
理解の範疇を超えているー。
「ーーーー…えっと…な、なに言ってるんだ?」
和人が、困惑しきった表情でそう言い放つと、
茉莉は「じゃーん!」と、そう言いながら
何かを取り出したー。
「この赤い糸ねー、”相手と入れ替わることができる”力を持つ
すっごい道具なんだけどー、
これを使って、和人がわたしに、わたしが和人になって、
和人がわたしの身体でダイエットするの!」
得意気な表情でそう説明する茉莉ー。
「え…いやいやいや、何だよそれー…
どこでそんなもの手に入れたんだー?」
和人が呆れ顔で聞くー。
すると、茉莉は「ネットで売ってたから、いいな~!って思って買っちゃった!」と
笑いながら入手ルートを説明したー
「ーーー…ぜ、絶対それ、ただの糸だろー
いくらで買ったのか知らないけどー
茉莉、騙されてるよーそれ…」
和人が残念そうな表情を浮かべながら言うー。
元々、警戒心が薄いー、というか
何か危なっかしい子だとは思ってたものの、
”他人と入れ替わることができる糸”なんてものを
鵜呑みにして購入してしまうなんてー
”この先が少し心配だなぁ”と、
そう思いつつ、和人は困惑の表情を浮かべるー。
しかしーーー
「ーー試して見なくちゃ分からないでしょ!」
そう言いながら、茉莉が赤い糸を自分の指に巻きつけて、
続けて、和人の指にも巻き付けるー。
「ー…説明書に書いてあったもん!
こうして、お互いに頭をぶつければ入れ替わるって!」
茉莉が子供のようにムキになって言うー。
和人も、”あ~はいはい”と言わんばかりに
一度実際に試させてあげて、
納得させるしかないな、と半ばあきらめ気味に
茉莉の方を見つめるー。
「ーーー…じゃあ、とりあえずやってみよう」
和人がそう言うと、茉莉は「絶対、入れ替わるんだからね!」と、
疑われたことを不満そうにしながら、意気揚々と頭をぶつけてきたー。
ゴツン!
思ったよりも勢いよく頭をぶつけてきた茉莉ー。
疑われて、拗ねたのかもしれないー。
こういう子供っぽいところは少し可愛いかもしれないー。
と、思いながら
「ーーほら、入れ替わりなんて起きないだーーー
ーーーって…うぇええええええええええええ!?!?!?!?」と、
目の前に”自分”がいることに気付いて、驚いて奇声を上げるー。
入れ替わりなど起きないー
そう思っていた和人は、目の前に”自分自身”がいることー
そして、自分の口から出た声が、”自分”の声ではなく、
茉莉の声になっていることに、驚かずにはいられなかったー。
「な、な、な、なんだこれ!?
ほ、ほ、本当に入れ替わってる!?」
茉莉(和人)がそう叫ぶと、
和人(茉莉)は「わたしの勝ち~!」と、ご機嫌そうに
そう言い放ったー
「ほら、本物だったでしょ!?
ね?ね?ね?」
和人(茉莉)の言葉に、茉莉(和人)は「ご、ごめんなさいー」と、
素直に負けを認めると、
和人(茉莉)は「分かればよし!」と、嬉しそうにそう言葉を口にしたー。
そしてー、
”茉莉の身体になった和人”に、ダイエットをしてほしい、と、
改めて和人(茉莉)は、茉莉(和人)にお願いしたー。
「ーーいや…いいけどさー
でも、茉莉が自分で食べる量を減らしたりすればいいんじゃー?」
茉莉(和人)がそう言うと、
和人(茉莉)は「わたし、心が弱いからダイエットしようとしても
すぐ食べちゃってダメなの!」と、そう言葉を口にするー。
「ーーはははー…」
思わず苦笑いする茉莉(和人)ー。
「ーだからって俺に押し付けなくてもー」
茉莉(和人)が、困惑しながらそう言うと、
「だって和人、集中力凄いし、やる!って決めたことは絶対にやるじゃん?」
と、和人(茉莉)が、目をキラキラさせながら言うー。
確かに、和人は良くも悪くも頑固なところがあり、
”一度やると決めたことは絶対にやり通す”
そんな性格だー。
だからこそ茉莉も、彼氏の和人と入れ替わって、
ダイエットをお願いしよう、と、そう思ったのだろうー。
「ーーーーー…いやぁ~…ま…いいけどさー…」
茉莉(和人)は戸惑いながら言うと、
「ーーー…でもさ、いくら彼氏とは言え、自分の身体を預けるなんて
不安じゃないのか?」と、心配そうに呟くー。
「え?」
和人(茉莉)は不思議そうに首を傾げるー
相変らず、警戒心0で心配になるー。
”入れ替わりの糸”とやらも、
たまたま本物だったからよかっただけで、
もしも何の効果もないただの糸だった場合、
茉莉はどんな反応をしたのだろうかー。
そんな不安を感じていると、
和人(茉莉)は「和人が、わたしの身体で変なことするわけないって
信じてるから!」と、そう微笑んだー。
「ーーは…はははー
そう言われると悪い気はしないなー」
少し照れ臭そうに呟く茉莉(和人)ー。
それだけ信頼して貰っているということだろうかー。
他人の身体になってみて、まずぽっちゃりとした身体に
違和感を覚えるー。
性別云々よりも先に、和人的にはまずそこが気になったー。
”ーこんな感じなんだなー”
そんなことを思いつつ、
続いて胸や、髪ー、男と違う部分に目線を移すー
”ーーーーーー”
和人は特別、下心まみれ…というような人間では
ないものの、やはり、自分が実際にこうして入れ替わって見ると
ドキドキしてしまうー。
「ーーーで…え、えっとー、ダイエットはいつからすれば?」
気を紛らわせるために、茉莉(和人)がそう言うと、
和人(茉莉)は「う~ん、じゃあ、来週の月曜日から!」と、
そう言葉を口にしたー。
「わ、わかったー。じゃあ、それまでに色々準備しておくよー」
茉莉の身体でダイエットをするとなれば、
しばらく、自分の身体は茉莉に預けることになるー。
それまでに色々、準備はしておきたいー。
そう思いつつ、茉莉(和人)がそう言うと、
和人(茉莉)は「わたしの身体でダイエット、頑張ってね!」と、
そんな言葉を口にしたー。
”なんで俺が頑張らなくちゃいけないんだー???”と、
少し疑問に思いながらも、
”まぁ、茉莉のためだし、いいか”と、
心の中でそう思い直して、茉莉(和人)は「分かったー頑張るよ」と、
そう言葉を返したー。
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翌日ー。
「ーー今度さ~茉莉から大変なお願いされちゃってさ~」
クラスメイトで中学時代からの親友・英輔(えいすけ)に対して
そんな言葉を口にする和人ー
ダイエットは来週からと約束したため、今日は一旦、
元に戻っているー。
「ーははは、いつも本当に振り回されてるなぁ」
イケメンな英輔は、そう言いながら笑うとー、
「ー俺みたいに、彼女なしの方が楽だぜ?」と、
そう言葉を続けたー
「ははは、それもそうかもなぁ…」
和人はそうは言いつつも、茉莉と別れるつもりは
なかったために、適当に相槌を打っておきながら
話を終わらせるー。
そうこうしているうちに、あっという間に
翌週の月曜日が訪れー、
ついに、和人は茉莉と入れ替わって
茉莉の身体でダイエットすることになった。
持っていたペットボトルのコーラを飲み終えると、
茉莉は「じゃあ、よろしくねー」と、笑顔を浮かべるー。
これからダイエットすると言うのに、
堂々と目の前でコーラを飲み干している姿に
”自由だなぁ”と、和人は内心で苦笑いしながら
”入れ替わりの糸”を指に巻きつけるー。
「ーーそうだー、茉莉、この前、頭をぶつける時、
勢い強すぎだったから、
今度は俺から頭をぶつけるよー」
和人がそう言うと、それを聞いていなかったのか、
茉莉がまた、勢いよく頭をぶつけてきたー。
「いってぇえええええ…!」
茉莉の身体になった和人が、思わず痛みに耐えながら
そう言葉を口にしていると、
和人になった茉莉は笑いながら
「あ、ごめ~ん!」と、悪びれる様子もなく
そう言葉を口にしたー。
やがて、少し落ち着いたタイミングで、
お互いの生活について再確認するー。
「そうだー、茉莉も俺の身体で変なことはしないでくれよ?」
茉莉(和人)がそう言うと、
和人(麻梨)は「もちろん!任せておいて!」と、
ドヤ顔で宣言するー。
”なんか不安だなぁ”
そう思いつつも、和人(茉莉)と別れた茉莉(和人)は
その身体で”茉莉”の家へと向かうのだったー。
彼女の身体で、彼女の代わりにダイエットをするためにー…。
②へ続く
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コメント
入れ替わった状態で
代わりにダイエットをすることになってしまったお話デス~!
どのようになっていくのかは、
また明日以降のお楽しみデス!
今日もありがとうございました~!
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