<皮>カワノクラス③~発覚~(完)

突然”この中に凶悪犯がいる”と言われて
どよめく教室ー。

そんな生徒たちをお構いなしに捜査官二人は、
凶悪犯に乗っ取られている生徒を
あぶり出そうとするー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー優衣ー」
優衣の彼氏・達樹は、金髪の捜査官・橋爪に呼び出されて
教室を出て行った彼女の優衣の身を案じていたー。

先に橋爪捜査官に呼び出されて教室に戻って来ていた
生徒会長・千穂は
少しだけ身体を震わしながら教室の外を見つめるー。

「は~~~…早く帰らせてほしいんだけどー。
 いつまでやんの?これ?」
気の強い女子生徒・明日香は不満そうにため息をつくー。

「ーーーーー」
大人しい女子生徒・静香は相変らずスマホをいじりながら無言のままー。

「ーーでも、男に乗っ取られてる女子とか、
 ホントにいたら興奮するよなー!」
先程、橋爪捜査官からゴリラ呼ばわりされた健一が、
そう声を発するー。

「ーーーー」
担任の先生・梨絵は表情を曇らせながら、
教え子たちの身を案じるー。

”ーーー…でも、本当にこの中にいるとすればー…誰なんだー?”
優衣の彼氏・達樹がそう思いながら、
チャイナドレス姿の女性捜査官・星奈の方を見つめているとー、
達樹の近くの座席にいる優衣の親友・泰恵が少しだけ笑みを浮かべながら
達樹の方を見ていたー。

”もし、優衣が乗っ取られてるならー
 わたしが、達樹くんの彼女になるチャンスかもー”
泰恵はそんなことを考えるー。

優衣の親友・泰恵も、優衣の彼氏である達樹のことが好きだったー。
が、優衣に先を越されて、ずっと我慢してきたー。

けれどー、もしも優衣が乗っ取られているのならー、と、
そんな、邪な感情が出て来てしまっていたー。

「ーーー」
達樹は、彼女である優衣の帰りを待ちながら、
静かにため息を吐き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーわ、わたしじゃないんです!本当です!」

非常階段ー。
優衣がそう叫ぶー。

しかし、橋爪捜査官は、
「ーーあははー。だからさ、もう分かってるんだって」と、
そう言いながら、優衣の方を見つめるー。

「ーそんな華奢な身体なら、郷田ー中身がいくらお前でも、
 簡単に突き落とせるー。

 そうすりゃ、中身のお前もその子と一緒に転落ー。
 ジ・エンドってことさ」

橋爪捜査官はそう言うと、
「よし。3つ数えるぞ。」と、そう言葉を口にしたー。

優衣は震えながら、橋爪捜査官を見つめるー。

この人は、本気でわたしを突き落とすつもりだと、
優衣はそう思ったー。

「ーーー3」
橋爪捜査官がそう言葉を口にするー。

「ーーち、違うんです!やめて!お願いします!」
優衣が涙目で叫ぶー。

”ホントにわたしじゃないー!”
優衣は心の中でそう思いながら、橋爪捜査官に必死に訴えるー。

「ーーー2」
が、それでも橋爪捜査官はカウントを続けるー。

「ーーー違うんですー!わたしじゃないんです!」
優衣がなおも叫ぶー。

「ーーー1」
橋爪捜査官がそう言って、優衣の腕を掴むー。

「ーーお願いしますーわたしじゃーーー
 ーーー!?」
優衣がそう言葉を口にすると同時にー
”身体”が勝手に動いたー。

「ーー!?」
腕を振り払われた橋爪捜査官は少しだけ表情を歪めるー。

「ーーえ…わたし…??? え…??」
身体が勝手に動いたことに戸惑う優衣ー。

そしてー、優衣は
優衣の意思とは関係なく、笑いだしたー。

「ーーーーーそうかそうかー」
橋爪捜査官は笑みを浮かべるー。

「ーーチッー…どうしてこの女の中にいると分かったー?」
優衣が舌打ちしながら言うー。

がー、すぐに優衣の表情が歪むー。

「ーえ……わたし…… なにこれー…?口が勝手にーー?」
そう言い放つと同時に、優衣は
「お前は黙ってろー」と、そう言葉を口にすると、
橋爪捜査官は「そういうことかー」と、笑いながら言ったー。

「ー普段は、その子の意識を残して、
 お前はその子の中に潜みながら、必要な時だけ
 その子を乗っ取ってたんだなー。

 本人は、乗っ取られていることを自覚できない状態で」

橋爪捜査官の言葉に、優衣は「へへー。そうさー。普段はこの女の意識を
表に出しておいて、裏では俺が好き放題してたのさー」と、
ニヤニヤしながら胸を触り始めるー。

「俺がコイツを乗っ取ってる間の記憶も上手く調整してなー
 こいつ本人は俺に乗っ取られてることに気付いていない。

 その方が、周囲にバレにくいからなー」

そう呟くと、優衣の表情から悪意が消えて、
優衣が戸惑うー。

「ーわ…わたしじゃないですー…わたしは、何もー!」
怯えた表情を浮かべる優衣ー。

郷田 茂が、優衣の意識をまた表に戻したようだー。

「ーー残念だが、君は自覚なく乗っ取られてるー」
橋爪捜査官がそう言うと、
「ーーわたしは…乗っ取られてなんかいませんー!」
と、泣きながら優衣が叫ぶー。

「ー”そう思うように”仕向けられているんだー」
橋爪捜査官がなおも言うと、
優衣は「ーーそんな…そんなことー…ふふ…あははははははっ!」と、
途中から再び意識を支配されて笑うー。

「ー可愛いよなぁ~こういう女の狼狽える姿ァ!」
優衣の表情が悪意に満ちるー。

「ーーでも、何故分かったー?
 俺がコイツを皮にして乗っ取ってるとー」
優衣がそう言うと、
橋爪捜査官は少しニヤニヤしながら頷いたー。

「ーー当てずっぽうだよ」
とー。

「ーなに?」
優衣が不快そうな表情を浮かべるー。

「ーさっき、最初に生徒会長の森山千穂を呼び出して
 同じことをしたー。

 ”非常階段から突き落とす直前”まで、やろうとすれば
 お前が中に居れば、必ず本性を現すはずだからなー。

 森山千穂は、泣きながら命乞いするだけで
 何も変化がなかったー。
 だから、本人に謝罪した上で解放してー、
 次にお前ー篠原優衣を呼んだってわけだー。

 お前が乗っ取りそうなJKから順番に呼んで
 一人一人にハッタリをかければ、
 必ず正体を現すと思ったからなー。

 篠原優衣がハズレだったら、
 次はスマホをいじってる静香って子を呼ぶつもりだったー。」

橋爪捜査官は笑うー。

「乱暴な手段はできれば使いたくなかったけど、
 星奈ちゃんのチャイナドレスとか、後頭部の確認じゃ
 正体を突き止められなかったから、仕方ないー」

その言葉に、乗っ取られている優衣は表情を歪めるー。

「ーーチッー
 俺はまんまとお前のハッタリにはめられたってことかー」

そう言い放つ優衣を見ながら、橋爪捜査官は笑うー。

「そうー。残念だったなぁ。
 ずっと、何もしなきゃ、バレなかったのにー
 ホントに突き落とすことはしないからなー」

橋爪捜査官がそう言い放つと、優衣は突然、
非常階段の手すりにつかまって、一旦外に身体を放り出すと、
手すりを使って蹴りを食らわせてきたー。

「ーーーへへへ 女の身体は身軽だからな!」
優衣はそう言うと、非常階段から校内に入っていくー。

そして、教室の方に入っていくと、
「ー優衣?」と、困惑する彼氏・達樹を無視して、
入口の近くの座席にいた生徒会長・千穂を人質にとって叫んだー。

「ー動くんじゃねぇ!」
優衣の恐ろしい形相と言葉に、クラスメイトたちは動揺するー。

「ーーひっ…!?」
生徒会長の千穂も驚くー。

そんな優衣に対して、達樹は「ゆ…優衣…?嘘だろー?」と、
そう言葉を口にすると、
優衣は「へへーお前の彼女は俺のものだー」と、ニヤニヤしながら
そう言葉を口にしたー。

「ーお前ら全員、動くなよー。」
机にあったハサミを手に、それを千穂に突き付ける優衣ー。

教室に戻ってきた橋爪捜査官も、
「おやおやー。人質を取るかー。みっともないー」と、
呆れ顔で笑うー。

「ーちょっと!笑ってる場合じゃないでしょ!
 どうにかしなさいよ!」
気の強い女子生徒・明日香が不満そうに叫ぶー。

「ーーー…ゆ…優衣…う、嘘だろー?
 目を覚ましてくれー」
達樹が、優衣の方に近付いていくと、優衣は
笑みを浮かべながら言うー。

「おいおいー身体はお前の彼女だけど、
 今のこの女は、容赦なく人殺しもするぜー?
 俺が身体も心も支配してるんだからー」
優衣はそう言いながら、生徒会長の千穂にハサミをつきつけるー。

「た…たすけてー」
千穂がそう言うと、優衣は千穂の耳元で、
「ー俺がここから出るまでの人質だー。
 正門まで行けたらお前を突き飛ばしてそのまま俺は姿を消すから
 大人しくしてるんだー」と、そう囁くー。

”優衣の身体”では、千穂が暴れた場合、
抑え込むことができない可能性があるー。
だから、そんな言葉を口にしたー。

「ー優衣!目を覚ましてくれ!頼む!」
達樹がそう叫ぶー。

が、優衣は「うるせぇなー」と、達樹を睨みつけると、
達樹はビクッとして、言葉を失ってしまうー。

あまりにも恐ろしい彼女の冷たい目に、
恐怖を感じてしまったー。

「ーお前ら全員、動くなよー」
優衣は、千穂を人質に取ったまま教室の外へと移動すると、
そのまま廊下をゆっくりと下がっていくー。

橋爪捜査官や、数名の生徒が優衣と千穂の身を案じて
廊下に飛び出してくるー。

「ーーい、今まで、優衣のフリをしてたってことー!?」
優衣の親友・泰恵が言うと、
優衣は「いいやー。普段はコイツの意識を表に出してやってたからなー。
まぁー…俺が表に出てた時もあるけど、
この女は、俺に乗っ取られてる自覚もなかったからー、いつも通り、普通にしてたのさ」と、
笑いながら言うー。

そのまま、階段のある方に向かって行く優衣ー。
千穂は震えながら、優衣に人質にされたままー。

「ーークククー
 残念だったなー橋爪さんよー。
 正体を暴いても、俺を捕まえることはできないー」

優衣が勝ち誇った表情で言うー。

「ーー俺は捕まらないー
 そして、この女は俺のものだー」

とー。

橋爪捜査官と、チャイナドレス姿の捜査官・星奈が
そんな優衣の方を見つめるー。

が、橋爪捜査官は笑いだすー。

「ーーーーははははははー」

「ー何がおかしい?」
優衣が不満そうにそう言葉を口にすると、
橋爪捜査官は言ったー。

「ー捜査官が”俺たち二人だけ”だといつ言った?」
とー。

「ーー!?」
優衣がハッとすると同時に、背後から体格のいいゴツイ男が姿を
現しー、優衣の腕を掴んだー。

「ーなっ!」
驚く優衣ー。
その直後ー、大男は優衣を容赦なく殴り飛ばしたー。

ハサミごと、床に吹き飛ぶ優衣ー。

「ーぐっ…!?お、女を殴るのかー!」
優衣が声を荒げるー。

がー、大男ー…河津(かわづ)捜査官は、笑みを
浮かべながら優衣の元に迫ると、
「ーその子を助けるために必要なら、殴るぜ」と、
言いながら、そのまま注射器のようなものを打ち込んだー

優衣が苦しみだすー。

「ーーゆ、優衣ー?」
彼氏の達樹が不安そうに声を発するも
金髪の橋爪捜査官が「大丈夫だ」と、そう言いながら達樹を止めたー。

苦しんでいた優衣は、”皮”になっていき、
中にいた郷田 茂が出て来たー。

「ー確保」
橋爪捜査官がそう呟くと、
チャイナドレス姿の星奈が、郷田 茂を蹴り飛ばして
そのままノックアウトして、手錠を郷田 茂にかけたー。

「ーー河津ー。その子を元に戻してやれー」
橋爪捜査官はそう呟くと、皮になったままの優衣に
別の注射器を打ち込んで、優衣は元の姿へと戻るのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー本当に、ごめんねー」

数日後ー。
学校に復帰した優衣は、みんなにお詫びの言葉を口にするー。

”無事でよかった”
”マジで怖かったよなぁ、乗っ取られてる時の篠原さん”
”ーもう大丈夫なの?”

色々な声が飛び交う中、
彼氏の達樹は、優衣に言葉を掛けるー。

「ーごめん。気付いてあげられなくてー」
達樹がそう言うと、
優衣は少しだけ笑いながら首を横に振るー。

「ーーううんー
 わたし自身だって気付いてなかったんだしー…」
苦笑いする優衣ー。

「ははー…でも、ホントに災難だったよなー。
 とにかく、無事でよかったよー」

達樹が今一度そう言葉を口にすると、
優衣は「ありがとうー」と、そんな言葉を口にしたー。

”人を皮にする力”
そんな、恐ろしい力を使った凶悪犯によって
引き起こされた騒動は、
こうして幕を閉じたのだったー。

「ーーーーーーふぅ」
職員室でため息をつく担任の梨絵。

「ーどうかしましたか?」
他の先生の言葉に、梨絵は「いえ」と、微笑むー。

そして、梨絵は後頭部のあたりに手を触れるとー、
”まさか、同じ力を使ったやつが学校に紛れ込むなんてー
 せっかく憧れの教師になれたのにー”と、
心の中でそう呟いたー。

”人を皮にして乗っ取っている者”はー
世の中に、いくらでも潜んでいるのかもしれないー。

おわり

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コメント

カワノクラスの最終回でした~!☆

①で、チャイナドレス姿の捜査官を見た
優衣が、ドキッとしている描写が
ほんのわずかなヒントだったり……★笑

お読み下さりありがとうございました~!!

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皮<カワノクラス>

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