<皮>カワノクラス①~潜伏~

このクラスの中で、
誰かが一人”皮”にされて乗っ取られているー。

そんな事態を前に、生徒たちはー…!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ククククククー」
鏡を見つめながら、笑みを浮かべる女子生徒ー。

「ーまさか、本当に身体を乗っ取ることができるとはなー」
可愛らしい顔を見つめながら、
その顔に、邪悪な笑みを浮かべるー。

「ククククーこの女、こんな怖い顔もできるのかー」
可愛い顔を歪める喜びを覚えながら、
乗っ取られた彼女はそう言葉を口にすると、
”後頭部”のあたりに手を触れるー。

”人を皮にする力”ー
彼は、その力を使い、この身体を支配したー。

乗っ取る相手は男でも女でも、
どちらでもよかったー。

がー、女にしたー。

その方が興奮するしー、
髪を長くしてもより違和感のない性別の方が
”皮にして乗っ取ったあと”にやりやすかったからだー。

「ーーククククーーー」
女子生徒は、鏡の前で笑みを浮かべながら
自分の胸を嬉しそうに揉み始めるー。

「ん~~~~~~~…♡」
気持ち良さそうな表情を浮かべると、
「ーお前はこれからも、俺の隠れ家として使ってやるからなー」と、
鏡に映る”自分”の姿を見つめながら、彼女はそう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある高校ー

その高校の2年B組では、今日もいつも通りの
時間が流れていたー

「ーーも~!あっち行ってよ!キモい!」
ワガママでプライドの高い女子生徒・剣崎 明日香(けんざき あすか)が
不満そうに、クラスメイトである大人しい男子生徒・高田 耕平(たかだ こうへい)に
向かって声を上げているー。

「ーちょっとー…そういうこと言っちゃだめだよー?」
生徒会長で、可愛らしい眼鏡が特徴的な優等生、
森山 千穂(もりやま ちほ)が、戸惑いの表情を浮かべながら、
明日香に注意するー。

6時間目も終わり、あとは担任の先生がやってきて
学活が終われば下校ー、
そんな時間ー。

「ーー…」
いつものようなクラスの光景を見つめながら、
男子生徒の瀬村 達樹(せむら たつき)が、
”先生まだかなぁ~”などと思っていると、
達樹の彼女であり、幼馴染の篠原 優衣(しのはら ゆい)が、
声をかけて来たー。

「ーーねぇねぇ、今度の休みだけどー」
優衣が、そう言葉を口にすると、
達樹は「あ、10時でよかったよなー?」と、
2人は遊びに行く約束でもしているのか、そんな反応を示すー。

「ーーーー」
そんな二人の近くでは、優衣の友達である女子生徒・泰恵(やすえ)が、
少しだけ表情を曇らせながら、優衣と達樹の方を見つめているー。

その時だったー。

教室の前の扉が開きー、
達樹が「お、やっと先生来たー」と、
そう言葉を口にするー

がーー…
教室に入って来たのは、先生ではなく
少しチャラそうな雰囲気のスーツ姿の金髪の男とー、
何故かチャイナドレス姿の美女だったー。

「ーーえ」
少しドキッとする優衣ー。

彼氏の達樹も戸惑いの表情を浮かべながら
「え?誰?」
と、そう言葉を口にするー。

「ーーは?やばっー…
 なんかエロいお姉さんと、金髪のおっさんが入って来たんだけどー」
ゴツイ体格の男子生徒・馬島 健一(まじま けんいち)が
そう声を発すると、
チャラそうな雰囲気のスーツ姿の金髪の男が、笑ったー。

「ーおいゴリラ。静かにしろ」
とー。

「ーは!?!?ご、ごりっー!?」
健一が不満そうな表情を浮かべながらそう叫ぶと、
「ーお前、俺のこと”おっさん”って言っただろ?その仕返しだよ」と、
金髪の男は笑みを浮かべながらそう続けた。

戸惑う生徒たちー。
そこに、担任の女性教師・水野 梨絵(みずの りえ)が入って来るー。

水野先生はまだ20代後半で、生徒たちと比較的年齢が近いことから
生徒たちからの人気も高いー。

「ーー…あ、先生」
ゴリラと呼ばれた男子生徒・健一がそう声を上げると、
「このおっさんたち、誰?」と、金髪の男を指差しながら言ったー。

「ーーえっとー、みんな落ち着いて聞いてねー」
水野先生が苦笑いしながら言うと、
金髪スーツ男は、両手をポケットに突っこんだまま、
言葉を口にしたー。

「ーーえ~、俺は秘密事件特別捜査部の捜査官ー、橋爪(はしづめ)だー。」
金髪のスーツ男・橋爪 啓(はしづめ けい)が、そう言葉を口にすると、
気の強い女子生徒・剣崎 明日香が声を上げたー。

「ーーー捜査官?何?コスプレ?」
と、不満そうにー。

が、橋爪捜査官は笑みを浮かべながら、
「表には出てない部署だけどさ、俺、一応警察なんだよねー」と、
警察手帳を雑に見せ付けながらそう言葉を口にするー。

「ー警察ッー…?」
明日香が不満そうに舌打ちをするー。

さらにどよめく教室ー。

その横にいるチャイナドレスの女は、そんな様子を
不敵に微笑みながら見つめているー。

そんな彼女の方を指差すと、橋爪捜査官は
「で、こっちのエロイ美人さんがー、星奈(せいな)ちゃんー。
 俺と同じ捜査官で、俺の部下だよー」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーエロイは余計です」
星奈がそれだけ言うと、
「おっと失礼」と、橋爪捜査官はそう言葉を口にしたー。

「ーー…あ、あのー…
 そ、それで、これは一体どういうことなんですかー?」
生徒会長で真面目な女子生徒・千穂が言うと、
橋爪捜査官は「あぁ、ははー。まぁ、君達からすると
俺たち、ウザいよね?」と、揶揄うようにして言うー。

「6時間目が終わって、あとは学活ー。
 それが終われば下校ー っていう最高の瞬間ー

 そこに、俺みたいなやつがやってきて
 帰る時間が遅くなっちゃう~~ってなったらー

 まぁ、正直ウザいよね。分かるよ」

橋爪捜査官は半分揶揄うような口調でそう言うと、
スマホを見つめていた女子生徒・静香(しずか)が
不満そうに舌打ちをするー。

「ーでもねぇ、君達をこのまま下校させるわけにはいかないんだー。
 ”この中に潜む凶悪犯罪者”を見つけ出すまでは」

橋爪捜査官は演説でもするかのように両手を広げると、
そう言葉を口にしたー。

”ーーーーーーーー!”
女子生徒の一人が、表情を歪めるー。

”ーーーチッーーー…サツめー…”
ギリッと歯軋りをする一人の女子生徒ー。

まさか、もう嗅ぎ付けて来たとはー。
そう思いつつ、スカートをぎゅっと握る
”乗っ取られた”女子生徒ー。

「凶悪犯罪者って…なにー?」
達樹の彼女・優衣が戸惑いの表情を浮かべながら
そう呟きつつ、周囲を見つめるー。

”この中に、悪い人がいるってことー?”
優衣のその不安そうな表情に、
友達の泰恵も、戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーー実はこのクラスに凶悪犯罪者が紛れ込んでるんだー。
 俺たちの”情報班”が手に入れた確かな情報でねー。

 そいつは卑劣なことに
 ”他人の身体を乗っ取る”力を持っていてねー。

 このクラスの中に、そいつに”洋服”みたいに
 着られてるやつがいるんだー

 ーーははー、やばいよなー」

橋爪捜査官は、生徒たちがどよめくのを無視して
さらに続けるー。

「しかも、その男はこのクラスの女の身体を乗っ取ってー、
 そいつのフリをしてー溶け込んでるー。

 警察から逃げるためになー

 女の身体を乗っ取るとかー、
 そいつもなかなかエロイもんだよなー。

 ーーま、でも、俺たちとしては凶悪犯を野放しにできないー。
 そこで今日、”乗っ取られてる女子”を突き止めて、
 そいつを逮捕しにきたってわけー」

橋爪捜査官のその言葉に、
「ーえっ…じ、じゃあ、俺たちのクラスの女子の誰かがー…
 凶悪犯ってこと?」と、男子生徒の一人が言うー。

「そー。ま、厳密に言えば身体を乗っ取られてる被害者ってことだけどな」
橋爪捜査官はそう言うと、
「ーたぶん、そいつのことだから、
 陰では乗っ取った身体のおっぱい揉んだりしてるんじゃねぇかなぁ」
と、冗談めいた口調で言ったー。

ざわめく教室ー。

「わ、わたしじゃないよ!」
「あたしは正気だし!」
「ーーい、いったい誰がー?」

女子生徒たちが戸惑うー。

「ーーあ~~まぁまぁまぁ、騒ぐな騒ぐなー。
 そいつを見つけ出して、身体を乗っ取られてしまった哀れな
 JKを助け出し、ついでに犯人を逮捕するー。
 そのために、俺はここに来たんだー」

捜査官らしからぬ振る舞いの橋爪捜査官がそう言うと、
「ーー橋爪さんーJKって言い方はやめましょう」と、
隣にいたチャイナドレスの捜査官・星奈が呟くー。

「ーへへ。まぁいいじゃねぇかー」
橋爪捜査官がそう言うと、
担任の梨絵は「ーと、いうわけだからみんなー…
放課後に申し訳ないけど、協力してねー」と、
申し訳なさそうにそう言葉を口にしたー。

「ーってか、なんでそっちの人、チャイナドレス着てるのー?
 エロくね?」

男子生徒の一人が言うと、
橋爪捜査官は「はっはっはー確かにー。エロイよな」と、
その男子生徒・幸保(ゆきやす)に向かって
「君とは友達になれそうだ」と、馴れ馴れしく握手を求めるー。

「ーーへへへー話の分かる刑事さんだなぁ」
幸保も笑いながら握手を交わすー。

握手を終えると、橋爪捜査官はチャイナドレス姿の後輩捜査官・星奈の方を
見て、笑みを浮かべたー。

「ー星奈ちゃん、可愛いし、こういう格好してるとエロイだろ?
 ーーだからこそ、チャイナドレスを着て貰ったんだー。」

橋爪捜査官はそこまで言うと、
ニヤニヤしたまま、言葉を続けたー。

「ーこれから、星奈ちゃんがこのクラスの女子のみんなと
 話をするからー…

 なぁに、別に大したことのない話だから心配しなくていいー。

 郷田(ごうだ)ー
 ーーーお前は以外はなーー…」

橋爪捜査官の言葉に、
達樹とその彼女の優衣が顔を見合わせるー。

「郷田ー?」
首を傾げる達樹ー。

”郷田”なんて名字の生徒はこのクラスにはいないー。

がーーー

”チッー”
女子の一人は、舌打ちをすると
一瞬、鬼のような形相を浮かべたー。

”郷田 茂(ごうだ しげる)”ー。
それが、このクラスの女子生徒を乗っ取り、潜伏している
凶悪犯の名前ー。

スカートをぎゅっと握りしながら、
イライラとした様子を見せる女子生徒ー。

「ーーー…大丈夫?」
ふと、先ほどからスマホを見つめてイライラした様子の
いつも寡黙な女子生徒・静香に声をかける別の生徒ー。

静香は「ーー大丈夫ー」と、だけ答えると
再びスマホに視線を戻すー。

「ーーー郷田ってのはー、
 ここにいるJKの誰かを乗っ取った凶悪犯だー。
 今から、そいつをあぶりだすー。

 星奈ちゃんがチャイナドレス姿をしてるのはそのためだー。
 
 ここに逃げ込んだ凶悪犯の郷田はー
 ”身体”は女子高生でも中身は”男”ー
 こんなに可愛くてエロイ星奈ちゃんが近くにいけばー
 必ずドキドキするはずさー。」

橋爪捜査官はそう言うと、星奈に合図をするー。

星奈はチャイナドレス姿のまま、
女子生徒と順番に話を始めるー。

「ーーーーあなたの名前はー?」
星奈が、達樹の彼女の優衣に声をかけるー。

優衣は自己紹介しながら、
「ーあ、あの、本当に悪い人がこの中にいるんですかー?」と、
戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーえぇ。残念だけど、それは間違いないの」
星奈はそれだけ言うと、わざと優衣に太腿を見せ付けるかのような
座り方をしながら、優衣と対面した状態で話を続けるー。

”ーーーーーー”
星奈は、優衣の表情・仕草・反応、そのすべてを
話をしながら観察するー。

ドキッとするような反応がないかどうかー、
男のような視線を感じないかどうかー。

”ーーこの子じゃなさそうねー”
星奈はそう心の中で呟くと、
そのまま、次の女子生徒・優衣の友人である泰恵と会話を始めるー。

「何か怪しい子とかいなかったかしらー?」
星奈がそう質問をすると、泰恵は
「わたしは…特に何もー」と、戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーーー…」
星奈は、泰恵のことも、先ほどの優衣と同じように
注意深く観察するー。

が、泰恵からも”男のような下心”を感じることはなかったー。

”ーーーーーー”
女子生徒の一人が、少しだけ笑みを浮かべるー。

”ーーこんなに早く俺が女を乗っ取ってることに勘づくとは
 驚いたぜー

 けどーー…
 俺は見つからねぇー…そう簡単にはなー”

乗っ取られた彼女は、心の中でそう思いながら
不敵な笑みを浮かべるのだったー

②へ続く

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コメント

教室の中に皮にされて乗っ取られた子が潜んでいる…

そんなお話デス~!

続きはまた明日デス!!

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皮<カワノクラス>

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