<入れ替わり>アイドルなんて迷惑だから②~苛立ち~

アイドル嫌いの男が、
アイドルと入れ替わってしまったー…!

入れ替わったあとも苛立ちを露わにする彼と、
アイドルの運命は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なるほどー…そういうことねー」
マネージャーの男・優吾は頷きながらそう呟くー。

愛里になった将輝が
入れ替わりのことを隠すつもりもなく暴露ー、
”お前らがこの状況をなんとかしろ!”と、
入れ替わっている間に自分がアイドルの身代わりを
するつもりもないことを宣言すると、
優吾は納得したかのように頷き始めたのだー。

「ーそうやって、”入れ替わり”だったっけー?
 そんな、現実ではあり得ないようなことをして
 逃げようって言ったって、そうはいかないー」

優吾はそう言葉を口にするー。

「ーーーあ?」
愛里(将輝)が不満そうに言うと、
「ーーちゃんと、仕事はしてもらわなくちゃ、困るよ?」と、
マネージャーの優吾は笑みを浮かべたー。

「ーー…ま、待ってください柏木さん!
 入れ替わっているというのは本当でー」

そんな様子を見て、将輝(愛里)がそう口を挟んだー。

がーー

「部外者は黙ってなさい!」
マネージャーの優吾は、将輝(愛里)に対して
そう言葉を発すると、
愛里(将輝)の腕を無理やり掴んで
そのまま連れ去ろうとするー。

「お、おいっ!何するんだ!」
愛里(将輝)が声を荒げるー。

しかし、マネージャーの優吾はニヤニヤしながら
「アイドルがそんな乱暴な言葉遣いしちゃダメじゃないか」
と、そう言葉を口にすると、
「さぁ、握手会がこのあともあるんだー来い」と、
そう言いながら、再び愛里(将輝)の腕を引っ張り始めるー

「いってぇな……この野郎ー!」
マネージャーの腕を振り払おうとする愛里(将輝)ー

が、雄吾は「無駄だよー。華奢な君が僕に力で勝てるとでも?」と、
笑みを浮かべるー。

無駄に鍛えられた筋肉を前にー
”愛里の身体”では、振り払うことができないー。

「あぁっ!くそっ!アイドルの女の身体じゃ振り払えねぇ!」
愛里(将輝)は”いつもの俺の身体なら、こんな眼鏡野郎
簡単に振り払えるのにー”と、そんなことを思うー。

「ーーーー君には、これからもた~っぷり仕事をしてもらうからね」
マネージャーの優吾がそう言葉を口にすると、
愛里(将輝)は「ーいい加減離せっての!」と、
愛里の身体で、マネージャーの優吾の頬を掴まれていない方の
腕でビンタしたー。

胡散臭い眼鏡が吹き飛び、雄吾が表情を歪めるー。

「ーー愛里ちゃんー
 まさか君ー 僕を殴ったのか? この、僕をー!
 パパとママにも殴られたことのない、この僕を!?」

突然、怒りを露わにする優吾ー。

「ーーーーもう許さねぇーこのクソ女ー!」
優吾が突然豹変して、愛里(将輝)の頬を1回、2回とビンタすると、
「ーテメェは俺たちの言う通りに働けばいいんだー」と、
低い声で脅すように言葉を口にするー。

「ーぐっ…だから俺は愛里とかいうアイドルじゃねぇって言ってるだろー…!
 元に戻ったら、お前らの事務所、訴えてやるぞ」
愛里(彰吾)が不満そうに言うー。

「ー柏木さん!もうやめて下さい!入れ替わってるって言うのは
 本当なんです!
 わ、わたしが!わたしが戻りますから!
 その人を放してください!」

将輝(愛里)がそう叫ぶと、
優吾は将輝(愛里)の方を見てから口を開いたー。

「ーーおっさんは黙ってろってー
 それに、もし”入れ替わり”が本当だとしても
 そんな身体になった愛里ちゃんには用はねぇー。

 そんな格好で”わたしは愛里です!”なんて言って
 売れると思うか?
 売れねぇだろ?

 僕にとっちゃ、どっちでもいいんだよ」

優吾が吐き捨てるようにしてそう言い放つー。

「そ…そんなー」
将輝(愛里)は絶望するー。

”やっぱり”
この人たちは”わたし”のことを金づるとしてしか思っていないー。
だからこそー…

”逃げ出した”ー。

「ーーさ、行くぞ」
優吾がそう呟くと、
愛里(将輝)は「さっきから黙って聞いていれば、俺の身体のこと
おっさんおっさん言いやがってー!」
と、雄吾の方を睨みつけるー。

「ーーあ?」
優吾が表情を歪めると、
愛里(将輝)は言ったー。
「俺はまだーー20代だぞ!あんたはいくつなんだよ!」
とー。

「あぁ?僕は38でー」
優吾の言葉に、
愛里(将輝)は言ったー。

「俺がおっさんなら、あんたはジジイだ!」
とー。

「あぁぁぁ~~~~~??????」
優吾がブチギレの表情を浮かべながら
愛里(将輝)を無理やり路地裏から引っ張り出して
イベントの会場に連れ戻そうとするー。

が、その時だったー

「きゃ~~~~~~~~~~~~~~!」
愛里(将輝)が突然叫んだー

「ー!?」
マネージャー・優吾が表情を歪めるー。

「ーーこの人、痴漢です!助けて!」
愛里(将輝)が優吾を指差しながら言うと
「ち、ちがっ!」と、雄吾が声を上げるー。

「おいっ!お前!何してんだ!」
「胡散臭い眼鏡しやがって!どこの詐欺師だ!」
「その子から離れな!」

周囲の人々が、雄吾に近付いていくのを見て、
愛里(将輝)はニヤリと笑うと、
優吾が顔を真っ赤にしながら
「覚えてろよこの野郎!!」と、そう叫んだー。

愛里(将輝)は、裏路地に戻って、将輝(愛里)と合流すると、
そのまま「ーここを離れるぞ!」と、そう言葉を口にしたー。

そして、先ほど入れ替わる前に停車させた将輝の車のところまで
やってくると、そのまま車に乗り込むー。

「ーお前、免許はー?」
愛里(将輝)が確認すると、
将輝(愛里)は「…わ、わたしはー持ってませんー」と、
そう言葉を口にするー。

「チッーやっぱアイドルは使えねぇな
 どうせマネージャーかなんかに運転させてるんだろ」
と、不満そうに呟く愛里(将輝)ー

将輝(愛里)は暗い顔で「ごめんなさいー」と、だけ
呟くと、その今にも消えてしまいそうな弱弱しい表情に
「ー俺の身体でそんな顔をするなって言ってるだろ」と、
少しだけ語気を弱めて、そう言葉を口にしたー。

「仕方ねぇーお前の身体で運転するわけにはいかねぇし、
 かといって、運転出来ねぇお前に俺の身体で
 運転させるわけにもいかねぇしー

 とりあえず、安全な場所に移動するぞ」

と、さっきのマネージャーに見つからないようにするため、
愛里(将輝)は将輝(愛里)と共に移動を始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー何?愛里に逃げられたー?」

事務所の社長・真柴(ましば)が不満そうな表情を浮かべるー。
”真柴グループ”という金持ちの一族の一人で、
事務所を経営している男だー

「ーーは、はいっ!も、申し訳ございませんっ!」
先程、愛里を連れ戻そうとしたマネージャー・優吾が
土下座をすると、
真柴社長は不満そうに表情を歪めながら
「ゴミが」と、雄吾の頭を足で踏みつけるー。

そして、頭に唾を吐き捨てると、
「ーこの胡散臭い眼鏡は没収な」と、眼鏡を没収して、
椅子に座るー。

「ー24時間以内に愛里を連れてこい。
 で、なければお前はクビだー」

真柴社長のその言葉に、雄吾はギリギリと歯軋りをしながら、
「か、か、必ずやー」と、床に頭をこすりつけながら土下座をしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーったく、なんで俺の家なんだよー」
愛里(将輝)がうんざりしながら、そう呟くと、
「ーわたしの家は、あの人達が知っているのでー」と、
将輝(愛里)は申し訳なさそうに言葉を口にしたー。

”あいつらに見つからない場所はあるのか?”と聞いたところ、
”ないですー…あ…あなたの家はどうですかー?”と言われたので
仕方なく、将輝の家に来たのだー。

「あの、助けてくれてありがとうございますー」
将輝(愛里)が言うと、
愛里(将輝)は「ー助けたわけじゃないし、早く身体を戻せよー
アイドルって本当迷惑な奴だなー」と、
苛立った様子で煙草を吸おうとするー。

「あっ!」
将輝(愛里)が声を上げると、
愛里(将輝)は表情を歪めながら「んだよ?」と、反応するー。

「ーわ、わたしの身体で煙草はー」
将輝(愛里)がそう言うと、
愛里(将輝)は「チッ!」と舌打ちしながらも
「悪かったな」と、たばこを吸う前に灰皿に置いて、
そのままため息をついたー。

「ーーーーーーー…」
しばらく沈黙する二人ー。

やがて、将輝(愛里)は、将輝の部屋の中にあった
写真を見つめたー。

今より若い将輝らしき男と、同じぐらいの年齢に見える女が
楽しそうに写っている写真だー。

怒ってばかりに見えるこの人にも、こんな笑顔ができるのだと、
将輝(愛里)は思うー。

「ー彼女さんですか?」
将輝(愛里)が気まずい沈黙を打ち消そうとそう言葉を口にすると、
愛里(将輝)は「あ?」と、少し不満そうにしながらも、
「あぁ…それは”妹”だよ」と、そう答えたー。

「ーーー妹さんー。仲良しなんですね」
将輝(愛里)が言うー。

がー

「ーー死んだよ もういない」
と、愛里(将輝)はそれだけ言葉を口にしたー。

「ーえ…ご、ごめんなさいー。わたしー無神経なことをー」
将輝(愛里)がまさか死んでいるとは思わず、慌てて謝罪すると、
「ーお前にはもう散々な目に遭わされたから、今更何とも思わねぇ」と、
愛里(将輝)は毒を吐いたー。

再び沈黙する二人ー。

すると、今度は愛里(将輝)が口を開いたー。

「ー美優(みゆ)ー、妹は…アイドルだったーお前と同じような」
とー。

「ーーえ…」
将輝(愛里)が言うと、
愛里(将輝)は頷くー。

「俺はやめろって言ったんだけどなー。
 どうしてもって聞かずに、親を必死に説得して、美優はアイドルになったー。
 
 でー、まぁ、ちょっとは人気になったんだー。
 テレビに出たこともあるー。

 で、有名になればなるほど、美優は調子に乗って
 生意気なことを言うようになってー、
 俺にも散々、生意気なことを言いやがってなー」

愛里(将輝)はそこまで言うと、
「ーあんまり調子に乗るな」って忠告したんだー、と続けるー。

「ーーーで…最後は周囲から妬まれたのかアイドル仲間から
 いじめを受けて…そりゃまぁ、もう陰険ないじめだったー。
 事務所も一緒になってなー。

 美優は、俺に泣きついて来たよー。
 散々、生意気なこと言ったのになー。」

愛里(将輝)はそこまで言うと、
大きくため息をついたー。

「まぁ、美優は悪い奴じゃないんだー。
 ちょっと調子に乗りやすくて、馬鹿だけど
 根はいい子だったー。

 けどーーー
 アイツは、俺がどうにかしてやろうと思って
 動き出したあと、すぐ自殺したよー。
 ホント、自分勝手な奴だー。」

愛里(将輝)は、妹のことを語り終えると、
「ーーアイドルなんて自分勝手で陰険で、
 事務所も含めてクソな奴らばかりだー」
と、吐き捨てるように言い放ったー。

「ーーーーー」
将輝(愛里)は、悲しそうにしていると、
愛里(将輝)の目に涙が浮かんでいるのが見えたー。

「ーーー…あ、あのー…これ」
将輝(愛里)がそれに気づいて部屋にあった
ティッシュを差し出すと、
「ーー…これは、お前の身体の涙腺が脆いんだよ!全く」と、
愛里の身体のせいで、涙が出たのだと愛里(将輝)は言葉を口にしながら
ティッシュをつかみ取ったー。

「ーーー…」
しばらくすると、「で、お前は何で逃げてたんだ?」と、
愛里(将輝)は、そう言葉を口にしたー。

「ーー…わ、わたしはー……」
将輝(愛里)は躊躇いがちに口を開くー。

「ー最初はいい事務所だと思ってたんですけどー
 …実際はそうじゃなくてー…
 わたしたちのことを”道具”としか思ってないんですー。

 そんな日常に嫌気が差してー…気付いたら逃げ出してて」

将輝(愛里)が、そう言うと、
愛里(将輝)は「ーーチッー…」と舌打ちをするー。

「ーで、何て事務所なんだ、そこはー?」
愛里(将輝)が言うと、
「ーー真柴グループの芸能プロダクションですー」と、
将輝(愛里)は言ったー。

”真柴ーーーー?”
愛里(将輝)が鬼のような形相を浮かべるー。

がー、
その時だったー。

インターホンが鳴ったー。

「ーーー」
愛里(将輝)は、将輝(愛里)に、待ってろ、とだけ言うと、
”誰が来たのか”を確認したー。

するとー、玄関の前には
胡散臭い眼鏡を社長に没収された
愛里のマネージャー・優吾の姿があったー。

”チッー、あのクソマネージャー…また来やがったかー”
愛里(将輝)は表情を歪めると、
「俺が何とかする」とだけ言葉を口にして、
そのまま玄関の方に向かって行ったー。

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~~~!☆

アイドルとアイドル嫌いの男の入れ替わりが
どんな結末を迎えるのか、
ぜひ見届けて下さいネ~!

今日もありがとうございました~!☆

コメント

  1. TSマニア より:

    将輝の妹アイドルで過去に自殺してたんですネ(;∀;)

    それは将輝もアイドル嫌いになるし芸能界の闇もヤバいですよネ(-_-;)

    アイドルだけじゃないですがアイドル同士のイジメもありますよネ!!

    どんな結末になるか!?

    かれんたんと3日間くらい入れ替わりたいのデスぅ~☆\(^o^)/☆笑

    かれんたんのカラダでオシャレしてインスタも更新したいですがセクシーな衣装着てグラビアの撮影もしてみたいのデス(*´艸`)笑

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~!☆☆
      結末は明日のワクワクデス…☆!☆!

      TSマニア様がアイドルになったら
      アイドルのお仕事丸ごと体験ですネ~!