<憑依>喜びを隠せない②~感動~

念願の”憑依”に成功した男ー。

乗っ取った身体で喜びを隠しきれずに
爆発させてしまい、
周囲から変な目で見られてしまう彼の運命はー?

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」

帰宅した彩夢は、玄関の扉を開けて、
家の中に入ると、
「よっしゃああああああああああああああっ!!!!」と
ガッツポーズしながら大声で叫んだー

「よしっ!よしっ!!よし!!!!!!!!!!」
何度も何度もガッツポーズしながら、
心底興奮した様子で、目も血走るほどに
喜びを露わにするー。

「あぁぁぁぁ…最高だ…最高だ…!」
そのまま鞄を放り投げて、その場で
再び「よっしゃああああああああああ!」と叫ぶ彩夢ー。

彩夢への憑依に成功した研吾は、
その喜びを爆発させずにはいられなかったー。

彩夢の”声”で、喜びを爆発させることにさらに興奮して、
意味不明な雄たけびを上げる彩夢ー。

がー
その時だったー。

「ーーー…ど、どうしたの?」
彩夢の家のはずがー、奥から”別の女”が姿を現して、
彩夢は「う…うわあああああああああああああああ!?!?!?!?」と、
今度は思わず絶叫してしまうー。

「えっ!?!?えっ!?な、なに!?」
部屋の奥から姿を現した女が戸惑いながらそう言葉を口にすると、
「帰ってきて急に叫んだりしてー…ど、どうしたのー?」
と、今一度そう言葉を口にしたー。

”ーーこ、この子ー…だ、誰なんだー?”
彩夢に憑依している研吾は、
彩夢の身体でとりあえずニコニコしながら
心の中でそう呟くー。

彩夢に憑依する前の”下準備”は十分にしたつもりだー。
彩夢の仕事の内容を、こっそりと一生懸命勉強したしー、
彩夢の部署の人間の名前を暗記して、
普段、彩夢がどのようにその人々と接しているのかも
時間をかけて把握したー。

そもそも…憑依薬を手に入れる前から、
彩夢が周囲の人々とどう接しているかは、
いつも彩夢を見ていたせいで、知っていたー。

その結果、今日も彩夢になりすますことができたー。

彩夢が独身で、一人暮らしをしていることも
彩夢の周囲との会話で既に調べてあるー。

しかしーーー…

”だ、誰だこの子ー…?い、いったい俺はどうすればー?”
心の中でなおも葛藤する研吾ー。

相手の女も
”にこにこしているだけで言葉を発しない彩夢”に
戸惑った表情を見せながら、
ようやく、言葉を口にしたー。

「ーお姉ちゃんーー……だいじょうぶ?」
とー。

その言葉に、彩夢に憑依している研吾は
ようやく、その相手が”妹”だと悟るー。

「ーあ、い、い、妹と同居してるのかー
 てっきり一人暮らしだと思ってたけどー。

 いや、でもこの子も可愛いー
 自分自身が可愛い子になれるだけじゃなくてー
 可愛い子と一緒に暮らせるなんて
 むしろご褒美かもーー」

一人、ニヤニヤしながらブツブツと小声で呟く彩夢ー。

「ー…お、お姉ちゃんーー…?」
先程からの異様な様子に困惑しているのか妹が
そう言葉を口にすると、
彩夢はハッとした様子で、
「あー、こっちの話、気にしないでー」と、
慌てて”彩夢のフリ”をしてそう言葉を口にしたー。

「ーそっか~~…妹と一緒に暮らしてるのか~
 そっか~~~…
 えへへーえへへへ… よっしゃ!」

小声でまた喜びを露わにしてしまう彩夢ー。

「ーーー…いっしょには暮らしてないけど?」
小声で言ったつもりが、聞こえていたのか
彩夢がそんなツッコミを入れて来るー。

「ーはぅ!?き、聞こえてたの!?」
彩夢が慌てた様子で叫ぶと、妹は
「普通にさっきから聞えてるしー」と、そう言葉を口にしたー。

「ーーさ、さっきからー?」
彩夢がさらに青ざめるー。

「うん。わたしと暮らせるのはご褒美だとかなんだとかって言うのもー」
妹にそう言われた彩夢はタラタラと汗を流し始めるー。

妹の名前は萌奈(もな)ー
萌奈は実家に住んでいる様子だったが
老朽化した実家のリフォームのために一時的に実家を離れていて、
両親は母側の田舎に、萌奈は大学があるため、
こちらの地方に残りたい、ということで姉である彩夢の家に
しばらく世話になっている様子だったー。

「ーーで、さっき、何ガッツポーズしてたの?」
妹の萌奈が冷めた目でそう言葉を口にしながら
彩夢の方を見つめるー。

「ーえ、えっとー……
 その~~~」
彩夢は、目を逸らしながら誤魔化そうとするー。

が、何を言おうか迷ってるうちに、
萌奈は「仕事がキツすぎておかしくなっちゃったとか?」と、
そう言葉を口にしたー。

「そ、そうそう、それそれ!
 仕事に疲れちゃって~」

言い訳のアイデアをくれた萌奈に心の中で感謝しながら
彩夢がそう言うと、萌奈は「ふ~ん…無理しちゃだめだよ?」と、
そう言葉を口にしながら、
元々いた部屋の方に戻って行ったー。

「ーふ~~~…セーフ…」
彩夢は汗をタラタラ流しながら、
そう言葉を口にすると、
”でも、あんなかわいい子と一緒に暮らせるなんて”と、
改めて感動を覚えるー。

「そ、それにー…
 も、もう俺も女なんだー

 えへへへ…」

自分自身も可愛らしいOLの身体になった感動を
改めて噛みしめるー。

「ーーでも…あの子がいるとなると
 好き放題するわけにはいかないなー」

彩夢は少しだけ残念そうにそう呟くー。

家に帰って来たら存分に”お楽しみ”の限りを尽くそうと
思っていたのに、妹が一時的に居候しているとは知らなかったー。

まさか、妹の萌奈にお構いなしで彩夢の身体を
楽しむわけにもいかないー。
余計な疑いを抱かれてしまっては面倒なことになってしまうし、
それは避けなくてはいけない。

「ーー!」
がー、彩夢はあることを思いつくー。

「そうだーお風呂なら!」
ポン!と手を叩くと、
「ーも、萌奈~!わたし、疲れちゃったから先にお風呂に入っていい~?」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーいいよ~!」
部屋から萌奈がそんな返事を返してくるー。

”よっしゃ!お風呂でたっぷり楽しむぜ”
そう考えた彩夢は、嬉しそうにお風呂の方に向かっていくと、
そのまま服を脱ぎながら、
一つ、身に着けているものを脱ぐたびにニヤニヤして
ガッツポーズをしながら、感動を噛みしめるー。

ようやく、服を脱ぎ終えると
「うぉぉぉぉぉぉぉっ♡ おぉぉぉぉぉぉぉぉっ♡」
と、鏡を見ながら奇声を上げ始めてしまう彩夢ー。

お風呂に入る前に、自分の身体を抱きしめながら
「すっげえええええええええええええ!!」と、
叫んでいるとーー

「ーーーーーー……」
ちょうど、お風呂の近くにあるトイレにやってきた
妹の萌奈が”なんだコイツ”と言いたげな表情を
彩夢の方に向けて来たー。

「ーーぁ… あ… え、えっとーー
 わ、わたしってエロいなってー」

彩夢がもはや言い訳になってない言い訳をすると、
萌奈は「ーーま、まぁ、お、お姉ちゃんは綺麗だけどー」と、
困ったような表情を浮かべながら
そのままトイレに入って行ったー。

”あぁ…やばいやばいー
 落ち着け俺ー。
 このままじゃいつか取り返しのつかないボロを出すー”

そう思いながら、ようやく浴室の中へと入った彩夢ー。

がー、浴室に入ると同時に
喜びを抑えられなくなって
またもや「やったぜ!!!よし!! よっしゃ!」と、
何度も喜びの言葉を連呼してしまったー

「ーーーー…何があったの…?」
お風呂場から声が聞こえてきて、トイレの中にいた
萌奈は引き気味の表情を浮かべながら
「ま…ほっとこー…」と、そう言葉を口にして、
そのまま部屋に法に戻って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「おはよ~~ございます!」

「おはようございます!」

「今日はいい天気ですね!!」

「うふふふふふふふ♡」

朝から、異様なまでのご機嫌な様子で
会社にやってきた彩夢ー。

憑依してから一晩明けてもなお、
彩夢に憑依した研吾はその喜びを隠しきることができず、
妙にハイテンションな、不自然な振る舞いになってしまっていたー。

「ーー…ーーーーー」
そんな様子を2歳年上の先輩社員・麗奈が
じっと見つめているー。

麗奈には昨日、女子トイレで一人で騒いでいるのを
見られてしまっているー。
しかし、無口な彼女は特に何も言って来ておらず、
とりあえず、バレていないー……のかもしれないー。

「ーーあ、北森さんもおはようございます!」
なおもハイテンションな彩夢が、麗奈にも声をかけると、
麗奈はしばらくじっと彩夢の方を見つめていたものの、
「ーーちょっと、お昼に話があるんだけどー」
と、突然言葉を口にしたー。

「ーえっ!?!?話!?わたしに!?」
彩夢は思わず変な声を出してしまうー。

彩夢に憑依している研吾も、
麗奈が喋っているのはほとんど見たことがなく、
その麗奈から突然呼び出されたことに驚いてしまったのだー。

「ーーーそう、話」
麗奈は表情を変えずにそう言葉を口にするー。

”ーーえ…?ま、まさか、俺が憑依したことがバレてー?”
彩夢は、表情を少しだけ曇らせながら
心の中で呟くー。

”いや、それはないだろー…
 トイレで後輩の女がガッツポーズしながら叫んでるのを見たからって
 「あ!後輩ちゃんが憑依されてる!」とはならないよな…?”

彩夢に憑依している研吾はそんなことまで考えると、
「わ、分かりました!お昼ですね!」
と、無理に笑顔を作りながらそう言葉を口にしたー。

「ーーーー…い、いったい何なんだろ…?」
彩夢は自分のデスクの方に戻りながら
ボソッとそんな言葉を口にするー。

なんだか嫌な予感がするー。

「ーーーーー」
がーーー

「ーーーー」
仕事上の作業でパソコンのキーボード入力を始めた彩夢は、
”自分の綺麗な手”でキーボード入力をしていることに
笑みを浮かべるとーー
「ーーあぁ…綺麗だなぁ…」とキーボードを入力する手を止めて、
自分の手をすりすりと撫で始めるー。

「ーーえへへへー…
 これからはずっとこの手で仕事できるんだー
 えへへへへへーー
 
 やった…!やった…!やっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

思わずその場でバンザイしながらそう叫んでしまう彩夢ー。

「ーーーーえ…?」
周囲の社員たちが彩夢の方を一斉に見つめるー。

いきなり叫びながら、バンザイし始める同僚がいたらー、
当然の反応とも言えるー。

「ーーーーあ…い…いや、そのー
 き、気にしないでくださいー」

彩夢は少し気まずそうにそれだけ言葉を口にすると、
そのまま、静かに仕事を始めたー。
仕事内容は、彩夢に憑依する前によく勉強しておいたためー、
問題なくこなすことが出来るー。

問題はーーー

「ーーーー」
仕事中に咳払いをする彩夢ー。

その咳払いも、”自分”に比べたら何倍もーー何十倍もかわいいー
いやー、おっさんの咳払いなんて可愛さ0だから
何百倍にしても0のままかー、などと彩夢に憑依している研吾は
考えながら、
「よっしゃ!」とまた小声で呟いてしまい、
ハッとして周囲を見渡すのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昼休みー。

女子トイレに入って鏡を見つめながら
深呼吸をする彩夢ー。

先輩の女性社員・麗奈の”話”とは一体何なのだろうかー。

まさか、憑依が悟られたとは思えないー。
トイレで後輩がよっしゃあああ!と叫んでいただけで、
”あなた、憑依されてるでしょ?”と、なるはずがないー。

もし、そんなことを言い始めたら
あの麗奈とかいう先輩女性も加害者・被害者どちらかはさておき、
憑依経験者としか思えないー。

普通は”憑依”などということにすぐにたどり着くはずなどないからだー。

「ーーー……」
彩夢は鏡を見つめながら
「先輩、お話ってなんですか?」と、
にこっとしながら、不自然じゃない表情を練習するー。

「え~~~?憑依~~?な、なんのことですかぁ~~~?」
もしも”憑依”について聞かれた場合の
”練習”もしてみるー。

「ーーー……ヤバいなー今のは動揺してるのが顔に出てるー」
彩夢はそう呟くと、
「え?憑依?何のことですか?」と、
今度は真顔で聞き返す練習をするー。

「いや、これはヤバすぎだー
 今にも人を殺しそうな顔だー」
彩夢はそんなことを呟くと、
約束の時間が近付いていることに気付いて
「あぁもう、どうにでもなれ!」と、
そう自虐的に叫びながら、
女子トイレの外へと飛び出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー…」
彩夢を呼び出した先輩の麗奈は
一足先に、その場所に到着していたー。

そこにー、彩夢もやってくるー。

「ー先輩!お話ってなんですか~~?」
彩夢はあえてハイテンションでそう言葉を口にしながら
部屋に入ってくると、
麗奈はじーっと、彩夢の方を見つめてから言葉を口にしたー。

「ーーあなたー……」

麗奈が彩夢を見つめながら口を開くー。

その言葉に、

「え~~~?憑依~~?な、なんのことですかぁ~~~?」
と、彩夢はそう言葉を口にしたー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

次回が最終回デス~~~!☆

喜びを爆発させるのは…
誰も見ていないところでやりましょうネ~笑

今日はすごく暑いので、
皆様も注意して下さいネ~!
私も気を付けます~~!☆

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憑依<喜びを隠せない>

コメント

  1. TSマニア より:

    スゴい展開になってきましたネ!

    喜び爆発し過ぎですネ\(^o^)/笑

    自分も無名さんのカラダになったらもちろん個室で喜びますネ(*´艸`)笑

    もちろん可愛らしく個室で喜びます♪♪笑

    喜び→感動→ボディチェック→ニヤケる みたいな感じですかネ笑

    無名さんのカラダでOLスーツをエチエチに着こなしたくなりました笑

    • 無名 より:

      笑~☆

      よっしゃあああ~!は、私の身体には似合わないので
      素敵な喜び方(?)を見つけて下さいネ~!笑

      OLだった頃も実際にありました~笑

      • TSマニア より:

        よっしゃあああ~は無いですネ~★笑

        でも普段の無名さんがしないのでギャップがいいのかも…笑

        可愛く女性らしく喜びたいですネ(*´艸`)笑

        無名さんのOL時代レアですよネ♪♪

        無名さんのカラダでOLスーツ着てスカート短くしてエチエチなデニールのタイツ合わせて少し派手なメイクしてみたいのデス~\(^o^)/笑

        • 無名 より:

          派手なOLモードの私…!?

          どんなに風になっちゃうのか気になりますネ~~!

          よっしゃああ…は、似合わなかったのデス
          (試した無名さん)