<憑依>気付いたときには牢屋の中①~大きな罪~

彼女が、意識を取り戻した時ー、
そこは、牢屋の中だったー。

そして、彼女は自分が知らない間に
恐ろしい罪の数々を犯していたことを知るー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー…え?」
ふと、目を覚ました彼女は、
状況が飲み込めずにいたー。

「ーーーーー…????」
寝ぼけているのだろうかー。

不思議そうな表情をしながら、
彼女が周囲を見渡しているー。

そこは、牢屋の中ー。
目を覚ましたばかりの彼女は
なおも不思議そうにしながら周囲を見渡すと、
やがて、言葉を口にしたー。

「ーーーえ…ここ、どこー…?」
とー。

昨日は、いつものように大学での1日を終え、
家に帰宅ー。
お風呂に入ってから、部屋で少しのんびりしてー。

それからー……

「ーーー…それから…?」
表情を歪めながら、そう呟く彼女ー。

実家を出て、一人暮らしをしていた女子大生・夜月 瑠奈(やづき るな)は、
困惑の表情を浮かべながら、周囲を見渡すー。

大学…、バイト、そして、帰宅ー。
それからお風呂に入ってー…
そこまでは覚えているー。

けれどー……
ここは一体ー?

自分の部屋で目を覚ましたなら、まだ分かるー。
単純に寝落ちしただけだろうからー。

しかし、ここはどう見ても”牢屋”ー。
一体、どうしてこんな場所にー

「ーーえ… う、嘘…?
 わたし、だ、誰かに捕まってー?」

寝ている間に、誰かが家に入ってきて、
拉致されてしまったのではないか、と、
そんなことを考え始める瑠奈ー。

しかし、それも現実的ではないー。
ちゃんと、”戸締り”はしていたし、
流石に誰かが入って来れば気付くー。

では、この状況は一体ー…?

「ーーーー!そっか!」
瑠奈は笑みを浮かべながら、ポンッと手を叩くー。

「ーこれ、夢だね!」
納得した様子で、そう言葉を口にした瑠奈は、
「そうと分かればー」と、満足そうに、
そのまま牢屋の中の布団に横たわるー。

「ーーーーーーーーーーー」
「ーーーーーーーーーーー」

夢だと分かれば、何も心配することはないー。
元々、ポジティブな性格の瑠奈は、
安堵の表情を浮かべながら、そのまま眠りについたー。

そしてーーー

「ーーー!」
瑠奈が目を覚まして、布団から起き上がると、
そこは自分の部屋ーーー

ーーではなく、

牢屋の中のままだったー。

「ーーあれぇ…?」
瑠奈は困惑した表情を浮かべながら、
そう言葉を口にすると、
”人の気配”を感じてビクッとした表情を浮かべたー

”だ、誰か来たー?”
戸惑う瑠奈ー。

が、すぐに瑠奈は勇気を振り絞って声を発したー

「ーあ、あの~~~!誰かいますか?」
とー。

「ーーー」
その言葉に、返事はないー。

しかし、瑠奈の声が届いたのか、足音が瑠奈のいる
牢屋の方に近付いてくるー。

当然、瑠奈もそのことに気付き緊張感を高めていくー

”も、もし、人間じゃない何かが姿を現したらどうしようー”
そんなことを思いながら、瑠奈が不安そうに
足音が近づいてくるのを待つとー、
姿を現したのはー、ちゃんとした人間だったー。

「ーーどうかしたのか?」
姿を現したのは、刑務官らしき姿をした男ー。

その男の姿に、瑠奈は少し驚きながらも、
「こ、ここ、どこですかー?
 わたし、今起きたばかりで状況が全く分からなくてー」と、
不安そうに言葉を口にする。

すると、刑務官の男は表情を歪めながら
「ー寝ぼけているのか?」と、そう言葉を口にするー。

「い、いえー…ち、ちゃんと目覚めてますけど、
 わたし、家の中で寝ていたのに、急にこんな場所にー」

瑠奈のその言葉に、刑務官は思わず失笑しながら言うー。

「ーー何を言っているー。
 お前は既に何年も”ここ”にいるだろう?」

その言葉に、瑠奈は戸惑うー。

「ーーえ…?ど、どういう意味ですか?」
瑠奈が表情を曇らせながら言うと、
刑務官は「言葉の通りだー」と、それだけ言葉を口にしたー。

「ーい、いったいここはー?」
瑠奈は呆然としながら、そんな言葉を口にすると、
刑務官はうんざりした様子で、「刑務所だー。あんまりふざけるなよ?」と、
不快感を露わにしたー。

「け、け、刑務所!?な、なんで!?」
瑠奈は思わず裏返った声を出してしまうー。

自分が刑務所に閉じ込められる理由なんて、ないはずだー。

それなのに一体どうしてー?

がー、刑務官はさらに呆れたような表情を浮かべながら
「お前…本気で言ってるのか?」と、そう言葉を口にしたー。

「ーーほ、本気でー…って…
 だ、だってわたし、昨日まで普通に大学にー」
瑠奈が戸惑いながらそう言葉を吐き出すー。

「ーーー…はははははっ… はは、ははははははは!
 何を言ってるんだお前はー」
男性刑務官は、瑠奈の言葉を聞くと心底呆れたように
笑い出しー、言葉を続けたー。

「何年前の話をしてるんだー
 お前は指名手配された後、大学に姿を現さなくなって
 そのまま退学になってるー。

 忘れたのか?」

男性刑務官の言葉に、瑠奈は驚いた表情を浮かべながら
「し…指名手配って、わたしが?」と、質問するー。

「あぁ、そうだー。
 強盗に殺人、痴漢ー、窃盗、詐欺ー…
 数えきれないほどの罪をお前は犯したー」

刑務官にそう指摘されると、
瑠奈は思わず笑いながら、
「わたしが?あははーそんなことできるわけないですし、
 するわけないじゃないですか?」と、
そう言い放ったー。

がーー、刑務官は「そんな猿芝居をしても、
”死刑”判決は覆らないぞ」と、呆れ顔で呟いたー

「ーーーーし、し、死刑!?!? えっ!?
 ち、ちょっと!?」

瑠奈は”死刑”という単語を聞いて戸惑うー。

「ーわ、わたしが何をしたっていうんですか!?
 絶対に人違いです!
 わたし、殺人も強盗も、詐欺も何もしてませんから!」

瑠奈は感情的になって言い放つー。

刑務官は、”憐みの目”で、瑠奈の方を見つめるー。

”こんなくだらない嘘で逃げ切れると思っているのか?”と
言わんばかりの目だー。

その目を見て、瑠奈は少しムッとしながら、
「ーわたし、昨日は普通に家に帰りましたから!
 死刑になるようなことなんて、何もしてませんし!」と、
反論すると、
男性刑務官は少し笑みを浮かべながら
「だったら、それを証明できる人間はいるのか?」と
言葉を口にしたー。

「ーし、証明ってー…
 だったら、俊一(しゅんいち)を読んでください!
 俊一とは、バイトが終わった後に話もしましたからー」

”俊一”とは同じ大学に通う瑠奈の彼氏だー。
がー、その言葉を聞いた男性刑務官は「それは無理だな」と、
首を横に振ったー。

「ー無理…?どうして?」
瑠奈が言い放つと、男性刑務官は、言葉を口にしたー。

「ーあの世から連れて来るわけにもいかないだろう?」
とー。

「ーー!?!?!?!?!?」
瑠奈が真っ青になるー。

「ど、どういうことですか?
 し、俊一に何があったんですか?」

瑠奈がそう言い放つと、男性刑務官は「おい、お前ー」と、
呆れ顔で呟いたー。

「ーふざけた芝居をしてるのなら、”無駄”だぞー。
 お前の”元カレ”はー、お前自身が殺したんだからな!」

男性刑務官の言葉に、
瑠奈は驚き、目に涙を浮かべるー。

「ーし、俊一、誰かに殺されたんですか!?」

彼氏の”死”に驚く瑠奈ー。

「ーだからお前がやったんだろう!」
男性刑務官のその言葉に、瑠奈は「やってません!」と叫び返すと、
親を呼ぶように要求したー。

がーーー

「おいーお前は俺に”死ね”と言ってるのか?」
男性刑務官は言うー。

その言葉に、瑠奈は「え…ま、まさかー」と、震えるー。

”瑠奈の最悪の予感”は
当たってしまったー。

「ーーお前が殺したー。
 
 …お前はさっきから何を言ってる?
 死んだ人間のことばかり口にしてー
 俺に死んで来いとでも言いたいのか?」

男性刑務官のうんざりとした言葉に、
瑠奈は呆然としながら声を上げるー。

「ちょ、ちょっと待ってください!今は何月何日ですか!?」
とー。

瑠奈のその言葉に、刑務官は
心底呆れた様子でため息をつきながら、
「今は、2029年4月14日だー」と、そう言葉を口にしたー

「ーに、に、2029ー!?」
呆然とする瑠奈ー。

「に、2024年のはずですー!」
瑠奈がそう言い返すと、
「いい加減にしろ」と、男性刑務官は吐き捨てるように
言葉を口にして、そのまま立ち去って行ったー。

「ーい、いったい、どうなってるのー?」
へなへなと座り込む瑠奈ー。

気付いたら、自分が牢屋の中にいてー、
しかも、死刑判決を受けていてー、
その上、彼氏の俊一は死亡、両親も死亡していると
告げられたー。
さらには、今は2029年なのだというー。

「ーーー……ち、ちょっと!待ってください!
 わたしは何もしてません!」
牢屋の中から必死に叫ぶ瑠奈ー。

しかし、その言葉は、刑務官には届かなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー。

瑠奈が、あまりにも異様な振る舞いを
繰り返すために、刑務所側も困惑していたー

もちろん、”そんなことしていません”と、どんなに叫んでも
刑罰が軽くなることはないし、
死刑判決は既に下されていて、それが覆ることはないー。

がー、瑠奈の”あまりにも異様な”様子に、
刑務所側も困り果てていたー。

呼び出された瑠奈は、
すっかり暗い表情で、部屋の中に座らされるー。

「ーー見ろ」
男性刑務官がそう言うと、
置かれていたノートパソコンで、動画が再生され始めたー。

”あはははールナで~す!”
笑いながら、カメラに向かって手を振る瑠奈ー。

”ルナ”を名乗り、動画の配信を行っているようだが、
瑠奈は動画投稿などしたことがないし、
当然、こんなことをした記憶もないー

「なんですかー…これは?」
瑠奈が戸惑いながら言うと、男性刑務官は
「見ての通り、お前だよ」と、そう言葉を口にしながら、
動画の続きをしっかりと見るように促すー。

そしてーー

”今から、わたしの彼氏をぶっ殺しまァ~す!えへへへへ”
瑠奈は狂ったような笑みを浮かべながら
そう宣言すると、やがて、インターホンが鳴ったー

”あ、来た来たー…馬鹿なやつ”
邪悪な笑みを浮かべる瑠奈ー。

家にやってきたのは、彼氏の俊一だったー。

「し、俊一…!?」
動画を見ながら戸惑う瑠奈ー

”ー瑠奈、大事な話って?”
映像の中の俊一が、そう言葉を口にすると、
信じられないことに、瑠奈は笑いながら
俊一の首を突然斬りつけたー。

”えっー!?ぐ… な、何をー!?”
苦しそうにする俊一。

”何をって~?
 えへへへへー
 彼氏を殺しちゃう生配信だよ? うふふふ♡”

映像の中の瑠奈が笑うー。

「な、なにこれー…何なのこれー!?」
その映像を見ながら呆然とする瑠奈ー。

映像の中の瑠奈は、彼氏の俊一が逃げ惑う様子を
笑いながら撮影しーー、
ナイフで俊一にさらに攻撃を加えるー。

やがて、動かなくなった俊一を見て笑いながら
瑠奈は自分を撮影しながら、血のついたナイフをペロリと舐めると、
”ご視聴ありがとうございましたぁ♡”と、
不気味な声で囁いたー。

「ーこれで、満足したか?
 これでも、お前はやってない、と、そう言うつもりか?」

男性刑務官の言葉に、
言葉を失ってしまう瑠奈ー。

”人違いでわたしそっくりな人がいるだけ”
そう言いたい気持ちもあったー。

けれど、容姿も声も、確かに瑠奈ー。

「他に、お前は両親の家に火をつけて殺害ー、
 さらには、友人を騙して詐欺を働いたり、
 あとはー、電車内での痴漢ー、結婚詐欺ー、
 …数えきれないほどの罪を犯しているー」

男性刑務官の言葉に、
「そ、そんなー…」と唖然とする瑠奈ー。

そしてー
男性刑務官は言ったー。

「そして、捕まる直前、
 お前は”例の事件”を起こしたー。

そう言いながら、新聞紙を広げる男性刑務官ー。

当時の記事だろうか。
数年前の新聞の一面には
”白昼の凶行”と、そう書かれていたー。

「ーーー…!!!」
瑠奈は、真っ青になるー。

その新聞には、
”夜月 瑠奈 容疑者”が、
白昼堂々と十数名の命を奪った”数年前の大事件”のことが
大きく掲載されていたー。

「当時のニュースの映像だー」
男性刑務官がそう言いながら、パソコンの画面を切り替えると、
そこには”パトカーに連行されていく瑠奈”の姿が映っていたー。

”ーあははははははっ!あはははははっ!”
ゲラゲラと笑いながら、
集まった報道陣に中指を突き立てる瑠奈ー。

そんな映像を見て、
”何の記憶もない”瑠奈は、ただ茫然とすることしかできなかったー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

もしも憑依されている間に、
大量の罪を犯していたら…?

それを、描いたお話デス~!

どうあがいても、今のところは
大変な結末になる予感しかしないですネ~!

続きはまた明日デス~!

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