入れ替わり実習が学校で当たり前のように行われる世界ー。
今日は”D組”の入れ替わり実習。
しかし、そこでは”問題”が起きようとしていたー。
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「ーーーうるせ~!この身体は俺のものだ!」
そう声を上げる女子生徒ー。
どよめく廊下ー。
生徒会室に立て籠ったのは、
生徒会長の女子と、A組に所属する素行不良の男子生徒ー。
「ーーえ?何が起きてるのー?」
B組の女子生徒・晴美が困惑した表情でそう呟くと、
先に生徒会室の前にやってきていた晴美の幼馴染・信康が言葉を口にしたー
「D組の朝倉(あさくら)さんが、A組の藤山(ふじやま)と一緒に
ここに立て籠っててー」
信康の言葉に、晴美は「えぇ?朝倉さんって生徒会長のー?」と、
そう言葉を口にするー。
”ー誰も中に入って来るんじゃねぇぞ!
中に入ってきたら、コイツのエロイ動画、ネットに流すからな!”
中から、生徒会長である朝倉 穂香(あさくら ほのか)の声が
聞こえて来るー。
「ーーD組、今日は入れ替わり実習だったからー」
近くにいたC組の女子のリーダー格・萌美がそう言葉を口にするー。
「ーー入れ替わり実習ー…ってことはもしかしてー?」
晴美が反応すると、
萌美は頷くー。
「ーあたしはとりあえず、先生呼んでくるー。
みんな、いこー」
梨沙たち友達を引き連れて、先生を呼びに行くC組の萌美ー。
B組の晴美は、そんな姿を見つめながら
「の、信康!あんたどうにかしなさいよ!」と、そう言葉を口にすると、
信康は「い、いや、何で俺!?む、無理だろ!?」と、
いつものように”幼馴染の言い合い”を始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1時間前ー。
D組の入れ替わり実習が保健体育の授業で行われたー。
生徒会長の朝倉 穂香の入れ替わり相手は、
入れ替わり相手が、何度も停学処分を受けている
不良男子・今泉 勝義(いまいずみ かつよし)ー。
「ーーだ、大丈夫ー?」
穂香の友達・直子(なおこ)が少し不安そうに言うー。
誰にでも優しいしっかり者の穂香は、少し不安そうにしながらも、
「うん、大丈夫ー」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーーーーククー」
が、不良男子の勝義は、今日の入れ替わり実習である問題を起こそうとしていたー。
勝義は”退学間近”な状態で、
恐らく、あと数か月も持たない状態だったー。
それは、彼自身も理解しているー。
数か月に1度の入れ替わり実習に参加できるのは、これが最後ー。
そんな勝義は、今日の入れ替わり実習で相手と入れ替わった後に、
A組にいる不良仲間の藤山 幸助(ふじやま こうすけ)と
Hなことをする手筈を整えていたー。
”どうせ、退学になるんだったら、最後に好き放題してやるぜ”
それが、勝義の考えー。
幸助には事前に、”生徒会室の近くで待つように”言ってあるー。
そこで、奪った女子の身体で合流ー、
二人で欲望を楽しむつもりだったー。
そんなことも知らず、生徒会長の穂香は
優しく「よろしくね」と、微笑むー。
「ーーあぁ」
勝義はニヤリと笑みを浮かべながら
”入れ替わり実習”が始まるのを待ったー。
保健体育の先生がやってきて、いつものように入れ替わりの糸が配布されるー。
穂香の友人である直子は、穂香のことを
心配そうに見つめながら、
自身の入れ替わり相手である眼鏡の男子生徒と入れ替わるー。
がー、
その時だったー
「ーーへへへ…よ~し」
穂香と入れ替わった勝義は、立ち上がると、
「”最後の入れ替わり実習”がよりによって会長なんてなー
可愛くてエロイ身体が手に入るなんて、最高だぜー」と、
穂香の身体でそう言葉を口にしたー。
「ーー今泉くん?」
入れ替わり実習の部屋の外に向かおうとする
穂香(勝義)ー。
すぐに保健体育の先生が
「おいっ!どこへ行く!?」と、そう言葉を口にするー。
「ーーへへへへー…”外”だよー
この身体でエロイことをするんだ」
穂香(勝義)のそんな言葉に、
保健体育の先生は「バカなことを言うんじゃない」と、言葉を口にするー。
そもそも”入れ替わり実習中”は、持ち逃げを防ぐために
実習室の扉は施錠ー、
鍵は先生が持っていて、
トイレなどに行く際には、
”一度入れ替わりを解除して行く”必要があり、
安全対策は徹底されているー。
さらにはー、入れ替わりは1時間で自動的に解除される上に、
緊急時のために、先生は”強制解除”のための装備もしているー。
がーーー
「ーーーうるせぇ!鍵を開けろ!」
穂香(勝義)は、入れ替わる前に事前に
入れ替わり実習室に持ち込んでいたナイフを手に、
それを自分自身ー、穂香の首筋に突き付けたー。
実習室中に悲鳴が響き渡るー。
「ー…ち、ちょっと…!お、落ち着いて!」
勝義(穂香)がそう言葉を口にするー。
「ーー強制解除するぞ!今泉!」
先生がそう声を荒げながら端末を手にするー。
”入れ替わり強制解除”が必要な事態を起こしたものは
”即・退学処分”ー。
全国の学校でそういう対応が取られているー。
当然、入れ替わり実習にはリスクもつきものー。
ごく稀にそういう事態が起き、
今年も全国の学校で数名が退学になっているー。
「ーーやってみろよ!入れ替わる直前の”感触”がしたら
コイツの首を切ってやるからよ」
穂香(勝義)はそう言いながら笑うー
「ーーーー!」
保健体育の先生は戸惑うー。
”入れ替わる”前に、身体には独特な感覚があるー。
入れ替わる直前の1,2秒だが、それは”実感”できるー。
先生が、強制解除をしても
”元に戻る1,2秒前”には、勝義はそれに気づいてしまい、
身体が戻る前に、穂香の身体を傷つけることはできてしまうかもしれないー。
保健体育の先生は強制解除のスイッチを押すことができずに困惑するー。
「ー鍵を開けろ!こいつを死なせたいのか!?あぁ!?」
穂香の身体で恐ろしい声を出す勝義ー。
先生は穂香の身体の安全確保が最優先だと考えて
鍵を開けると、穂香(勝義)は「へへー1時間経てば元に戻るんだから
大人しくしてな」と、そう言葉を口にすると、
悪党のような笑い方をして、入れ替わり実習室から飛び出したー。
「ーーーー緊急です。今泉が朝倉の身体で逃走しました」
入れ替わり実習室に備えられている緊急通報装置で、
職員室の先生に異常を伝えるー。
それがー、1時間前の出来事だったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
生徒会室でA組の不良仲間・幸助と合流した穂香(勝義)は
ニヤニヤしながら服を脱ぎ捨てると、
「早速、楽しもうぜ」と、言葉を口にしたー。
片手にはナイフー。
”強制解除”が押された感触がしたら、穂香の身体を傷つけるつもりだー。
「ーー先生、こっち!」
C組の萌美が、先生を呼んで来たのか、先生と共に戻って来るー。
「ーおい!今泉!こんなことしてただで済むと思うな!」
先生の一人がそう声を荒げるー。
”うるせぇ!入ってきたら首を切るからな!”
穂香がそう叫ぶと、
先生たちがどよめくー。
B組の信康と晴美も、困惑した様子でその状況を見守るー。
がー、その時だったー。
「ーーあ、あ、あの…」
C組のいつも教室の端っこにいる男子・聡がそう言葉を口にするー。
「ーーーどうしたの?」
入れ替わり実習の時に入れ替わった相手でもある萌美が、
そう言葉を口にすると、
聡が、”あること”を口にしたー。
「ーあはは、意外とすごいこと考えるねー。
でも、いけるかも」
萌美はそう言うと、「先生」と、先生に”そのアイデア”を伝えたー。
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「ーー俺が、身体を貸す?」
保健体育の先生に、”入れ替わり”を提案された
3年生の男子生徒・東(あずま)がそう言葉を口にしたー。
かなり派手で威圧感のある生徒で、
素行も悪い”問題児”だー。
がー、彼は今、生徒会長・穂香の身体を奪い
問題を起こしている勝義の先輩で、勝義が”東先輩”と呼び、
慕っている男子生徒だったー。
彼の身体であれば、穂香(勝義)の油断を誘い、
ナイフを取り上げることができるかもしれないー。
「ーーはは、バカ言え。お前に身体を貸して何の得があるんだよ?」
先生に対して反抗的な態度を取る東。
「ー頼む。今泉が入れ替わり実習で問題を起こしているんだ!
お前の身体が必要なんだ!」
保健体育の先生の言葉に、東は表情を歪めるー。
彼は素行不良の生徒であるものの、今、問題を起こしている勝義とは違い、
”退学や停学にならないギリギリのライン”をよく理解しているー。
彼は”賢い”ワルだー。
入れ替わり実習で後輩が問題を起こしていると聞いて、
少し表情を歪めているー。
がー。
「ー俺に力を貸すメリットはあるのかよ?」
東がニヤニヤと笑うー。
しかしー、
そんな言葉を遮るかのように、
「ありますよ」と、背後から女子生徒の声が聞こえたー
「あ?」
東が、戸惑いながらその声がした方向を向くと、
2年C組のリーダー格の女子生徒・萌美の姿があったー。
「ーあたしが先輩の身体を借りますー。
先輩はあたしが戻って来るまでの間、
この教室内で、あたしの身体を好きにしていいー。
それで、どうですか?
それなら先輩にもメリットがあるはずですー。」
萌美が言うと、保健体育の先生も驚いた様子で表情を歪めるー。
そんな様子を察知した萌美は言うー。
「ーー朝倉さんを救うためですから」
とー。
萌美の言葉に、保健体育の先生は驚きながらも、
「すまんー」と、頷くと、入れ替わりの糸を萌美に手渡すー。
「ーーーふ… へへー。マジかー…
それならーいいぜー」
東先輩は、ニヤニヤしながら頷くー。
東から見れば、後輩にあたる萌美ー。
しかし、彼女のことは知っているー。
いつもキラキラした感じのスクールカースト上位的な女子だー。
そんな彼女の身体を一時的に借りられるとはー。
「ーーじゃあ、先輩の身体、お借りしますね」
萌美の言葉に、東先輩は静かに頷いたー。
入れ替わりの糸を使い、入れ替わる二人ー。
「ふへへへ…ーーすっげぇ…」
萌美になった東は、ニヤニヤしながら自分の身体を見つめるー。
「ーー先生ー。あたしの身体の見張り、お願いしますね」
東になった萌美は、そう呟くと、
保健体育の先生は頷いたー。
萌美の身体で”人生を壊すようなこと”をされないかどうかだけ、
その場で見張る保健体育の先生ー。
東(萌美)は、その場を離れると、
穂香(勝義)が立てこもっている生徒会室に向かったー。
そしてーー
息をすっと吸うと、
「ーー今泉!面白れぇことしてるじゃねぇか!俺だ!仲間に入れろ」
と、そう声を発したー。
B組の晴美と信康ー、幼馴染ペアが見つめる中、
教室の中からは”東先輩ー!へへ、どうぞどうぞ”と、そう声を上げたー。
中に入っていく東(萌美)ー
穂香(勝義)が、乱れた格好でニヤニヤしながら、
「ーー先輩のことも、この身体で満足させてあげますよ」と、
そう言葉を口にしたー。
がーーー
「ーー!」
東(萌美)が、穂香(勝義)の腕を突然掴むとー、
その手に持っていたナイフを力づくで取り上げて、教室の端に放り投げたー
「ーーなっ!?!?!?!?!?」
”穂香の身体”では、”東先輩の身体”の腕力には敵わず、
すぐに制圧されるー。
「ーー朝倉さんからナイフを取り上げました!!」
外に向かって叫ぶ東(萌美)ー。
既に事情は、保健体育の先生から連絡を受けていて、
外に待機していた先生たちが駆け付けると、穂香(勝義)は取り押さえられて、
すぐに入れ替わりを強制解除ー、
勝義と、A組の不良・幸助はそのまま生徒会室に連行されて、
”入れ替わり実習で問題を起こした生徒”として、即刻退学処分になったー。
「ーーーーあはははーあたしの身体でそんなに喜んでもらえたなら
何よりです」
東先輩の身体で、萌美(東先輩)と保健体育の先生がいる教室に戻った
東先輩(萌美)は、楽しそうに胸を揉んでいた萌美(東先輩)を見ると
そう笑いながら、言葉を口にするー。
「なんだ、もう終わっちまったのかー。
ま、仕方ねぇ」
萌美(東先輩)は、名残惜しそうにしながらも、
そのまま身体を萌美に返却したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーしかし、入れ替わり実習であんな問題が起きるとはなぁ」
B組の教室では、
信康が幼馴染の晴美に向かってそう言葉を口にするー。
「ーあんた、結局、何も役に立たなかったねー」
揶揄うようにして言う晴美ー。
「し、仕方ないだろ!あんな状況じゃー。」
苦笑いしながら信康がそう言うと、
晴美は「あははー」と、笑いながら、
「でも、朝倉さんも無事でよかった」と、そう言葉を口にしたー。
この後ー、
この学校では入れ替わり実習開始前に、刃物などの持ち込みがないかどうか、
持ち物の確認が安全のために行われるようになったー。
”入れ替わり実習”は既に、欠かせない授業として
この世界に定着していて、問題が起きた程度では、
その授業はなくならないー。
体育の授業で事故が起きても、
体育の授業が無くならないのと同じことだー。
数か月後ー。
今日もまたー、
この学校では入れ替わり実習が行われていたー。
今日は、C組の入れ替わり実習ー。
「ーーー」
気弱な男子生徒・聡は、入れ替わり相手を確認しながら
表情を曇らせるー。
今日の入れ替わり相手は、クラスの大人しい女子生徒だー。
「ーー薄川くんー
今日はあたしとじゃないけど、ちゃんと入れ替わり実習頑張ってね」
萌美がそんな声をかけて来るー。
「ーーーは、はいー」
相変わらず、クラスメイトなのに敬語でそう返事をしてしまう聡ー。
そんな聡を見つめながら、萌美は苦笑いすると、
そのまま入れ替わり相手の男子のところに向かって歩いていくー。
また、今日も入れ替わり実習がはじまったー…。
おわり
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コメント
”もしも学校に入れ替わり実習が存在したら?”というところから
生まれた作品でした~!
第1話では”普通”の状態を、
第2話では”入れ替わり実習が苦手な子”の場合を、
第3話では”トラブル”をそれぞれ描いて見ました~!
またいつか、この実習をテーマにしたお話が書けたりすることも…
あるかもしれませんネ~!
お読み下さりありがとうございました~!
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