<入れ替わり>彼と結ばれるため②~告白、再び~

お互いに好きな男子と結ばれるため、
入れ替わった女子二人ー。

一度は失敗した告白ー。
けれど、今度はお互いに別の身体での告白ー…。

果たして、その結果はー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大人しい女子生徒・美鈴と入れ替わった明美は
美鈴の身体で意中の男子・健太を呼び出していたー。

「ーーーふ、ふ、深野さんー
 そ、その…話ってー…?」

美鈴のことが好きだと言っていた健太ー。
その美鈴から呼び出されたとあって、
既に顔を赤らめてドキドキしている様子だー。

そんな様子を見て美鈴(明美)は
少し不満そうに表情を歪めるー

”何よー…わたしといる時とは全然態度が違うじゃないー”
とー。

告白するつもりが、不機嫌になってしまった美鈴(明美)は
「ー何よー。深野さんの前ではそういう感じなんだねー」と、
思わず嫌味を言ってしまうー。

「ーーーへ…?」
健太が困惑した表情を浮かべるー。

「ーーあ… ーーえっと、なんでも、ーーないー」
美鈴(明美)は、すぐに”ヤバッ”と思いつつ、
”わたしは明美じゃなくて美鈴ー”
”わたしは明美じゃなくて美鈴!”と、
自分の心に言い聞かせるー。

そして、深呼吸をすると、
美鈴(明美)は言い放ったー。

「ーわ、わたし、け、健太くんのことが、好きなの!」
とー。

「ーーえっ!?えぇっ!?」
健太が顔を真っ赤にするー。

”美鈴”の性格上ー、
美鈴本人が自分から告白してくるなんて
健太は夢にも思っていなかったのだー

「え…?え…?ほ、ホントに言ってるー?
 そ、それに健太くんってー え???」
健太は顔を真っ赤にしながら挙動不審な動きを見せるー

「ーーけ、け、健太くんかぁ~」
健太は、美鈴に”下の名前”で呼ばれたことに
とても嬉しそうな表情を浮かべながら
へらへらとしているー。

美鈴が他人の名前をー、
特に男子の名前を下の名前で呼ぶことなど、絶対にないー。

そんな美鈴から、”健太くん”と呼ばれて、
健太は挙動不審な動きをしながら、へらへらと笑っていたー。

「ーーお、お、俺のことが好きなんてー
 えへへへーう、嬉しいなぁ~!えへへへー
 いや、マジで嬉しいなぁ~! へへへっ!」

健太は喜びが溢れて止まらない、というような
振る舞いを見せながら、
「じ、実は俺も深野さんのことが前から好きだったんだー!
 こんな俺で良ければぜひ!」
と、嬉しそうに叫んだー

がーーー

”な~んかムカつくー”
美鈴(明美)は、カチンとしながらそんな健太を見つめるー。

”わたしがいつも健太くんって呼んでても、
 何の反応もしないくせにー
 あ~~…なんかイライラしてきたー”

美鈴(明美)は、美鈴が普段浮かべているような笑みを、
無理に浮かべていたものの、やがて、我慢できなくなって
言葉を発したー

「無理無理無理!無理! あ~~~!もう無理!」
髪をぐしゃぐしゃ掻きむしりながらそう叫ぶ
美鈴(明美)ー。

「ーーえっ…!?」
浮かれていた健太が、”美鈴”の突然の豹変に驚くー

「な~~~にが、”け、健太くんかぁ~~えへへ”よー!
 あ~~もう我慢できない!!」

美鈴(明美)がそう言うと、
「ー健太くん、わたしがいつもいつも健太くんって呼んでても、
 そんな感じ、全くなかったよね!?
 何それ!?何でそんなに反応に差があるの!?
 わたしは女じゃないってわけ!?!?」
と、美鈴のイメージを全く無視して、言葉をまくしたててしまうー。

「ーーーーえ!?え!?え!? なに!?何のことー!?」
健太が狼狽えるー。

美鈴(明美)は
「あ~もう、大人しい振る舞いのまま付き合うとか、無理!」と、
ため息をつくと、
「ーわたし、深野さんの身体だけど、深野さんじゃないの」と、
そんな言葉を口にしてしまうー

「ーーは…はいっ???」
健太は、口を半開きにしながら呆然としているー

「ーー見た目は深野さんだけど、中身は篠宮 明美なの!」
美鈴(明美)が、不満そうにそう言い放つと、
健太は「ーーー…え?な、なにー?し、篠宮なのー?」と、
戸惑いの声を上げるー。

「ーーや、やばっー…え??へ、変装?
 そ、そっくりすぎだろー?」
健太が戸惑いながら、そう言葉を口にすると、
美鈴(明美)は「変装じゃないから!」とー、
”入れ替わり”のことを説明し始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一方ー、
別の教室では、
明美の身体と入れ替わった美鈴が、
好きな男子・村木 茂雄を呼び出していたー。

茂雄は”明美が好き”だと言っていたー。

つまり、明美の身体で告白すればー、
”両想い”となって、付き合うことができるはずだー。

「ーーーー…ぼ…僕に… な、何かー?」
大人しい性格の茂雄は、
”明美”から呼び出されたことに緊張した様子だったー

「ーーえ…え、えっとー、わ、わたしと、そのー」
明美(美鈴)は、明美のフリをするため、
元気に声を発しようとしたー

がー、脳内のイメージとは違って、
出たのは、いつものような自分とあまり変わらない雰囲気の声ー。

しかも、”この前一度振られている”ことから、
明美の身体になっても、美鈴は自信を持てずにいたー。

「ーーえ……?」
大人しい性格の茂雄は、そんな明美(美鈴)を前に
困惑した表情を浮かべるー。

「ーーーえ……そ、そのーわたしとつきぁっぇ…」
明美(美鈴)が、語尾が小さくなって言葉にならない言葉を発するー

「ーーーーーつ、つき…?」
茂雄は、なおも困惑した表情を浮かべるー。

がー、
明美(美鈴)は”こ、このままじゃ篠宮さんと入れ替わっても何にも変わらないよ!”と、
そう心の中で叫ぶと、
生まれてから今までの人生の中で”一番”かもしれない勇気を
振り絞って、叫んだー。

「ーーむ、村木くん!わたしと付き合ってーー!!!!!!」
とー。

今度は、ちゃんと声が出たー。
”明美”としてー。

がーー

みるみるうちに茂雄の顔が真っ赤になっていくと、
「ご、ご、ご、ごめんなさい!」と、茂雄はそのまま
逃げるようにして、突然走り去って行ってしまったー。

「ーーーーーえ…!?えぇっ!?」
一人残された明美(美鈴)は呆然とするー

「ーーわ、わ、わたし…ま、また振られちゃったー…?」
明美(美鈴)は困惑するー。

茂雄は確かにあの時、

”僕…篠宮さんがどうしても好きでー…
 も、もちろん、僕なんかが相手にされないことは分かってるけどー”

と、そう言っていたー。

それなのに、どうしてー…?

「ーーや…やっぱりわたしなんかが中身じゃ、だめだよねー」
一人残された明美(美鈴)は、そう呟くー。

「ーー篠宮さんの身体になっても、
 わたしみたいな感じじゃー…
 全然、ダメだよねー」

ネガティブな思考に陥った明美(美鈴)は、
明美が普段見せないような暗い表情を浮かべながら、
そのまま、壁際によりかかって体育座りをして
落ち込み始めたー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あ~あ…せっかく入れ替わって、健太くんに告白して
 上手く行くと思ってたのにー」

美鈴(明美)が不満そうにそう呟きながら、
健太と共に廊下を歩くー
入れ替わった状態での告白が失敗した美鈴(明美)は、
別の教室で村木 茂雄に告白しているはずの明美(美鈴)と
合流して、今後について相談しようとしていたー。

明美になった美鈴も、上手く行くとは思えないし、
恐らく告白に失敗している気がするー。

「ーははは…篠宮に”深野さんのフリ”なんて無理だろー?
 絶対、すぐに投げ出すに決まってるー」

健太が笑いながら言うと、
美鈴(明美)は「そ、そ、そんなことないし!」と、
不満そうに頬を膨らませるー。

「ーーいやいや、そんなことあるじゃんか!
 1日持たずに俺に正体明かしてるしー」
健太がそう言うと、美鈴(明美)は、
「ーーむ、むぅ~…」と、不満そうに表情を歪めるー。

「ーーしかし、入れ替わりってのは凄いな~…
 深野さんの姿なのに、いつもの深野さんとは
 全然様子が違うしー」

健太が笑いながらそう言うと、
美鈴(明美)は「中身が深野さんじゃなくて、申し訳ありませんでした~」と、
拗ねた様子で言葉を口にするー。

「ーいやいやいや…
 ーーーーっていうかーーー…
 そんなことしなくても、直接言ってくれればよかったのにー」
そんな言葉を口にする健太ー。

「ーーーえ…」
美鈴(明美)が戸惑うと、
「ー深野さんと入れ替わったりせずに、普通に言ってくれればよかったのに」
と、健太がそう言葉を口にするー。

「ーーーえ…だって……健太くん、
 深野さんがダメなら、別に彼女とかいらないかなってー」
美鈴(明美)が悲しそうにそう呟くー。

健太は、確かに言っていたー。

”深野さんがダメなら彼女はいらない”
とー。

「ーーあ~~確かに言ったなぁ~
 あれは、深野さんがダメなら、他の子に俺から告白してまで
 彼女とかはいらないなぁ~って意味だよ!

 それにホラ、俺、自分が告白されるなんて
 夢にも思ってないしー」

健太が笑うー。

深野さんがダメならいいや、というのは、
健太自身が自分から他の子に告白しない、という意味で、
別に、明美から告白した場合、脈無という意味ではなかったのだー。

「ーーーじ、じゃあ、わたしから健太くんに告白すれば
 オッケーしてくれたってことー?」

美鈴(明美)がそう呟くと、
健太は少し考えてから
「ん~それは……その時にならないと分かんないなー…」と、
苦笑いしながら答えたー。

健太の性格上、駆け引きをしているわけではなく
本当に、その時になってみないと分からないのだろうー。

「ーーってか、告白されるとか、マジで全く予想したことないから
 本当に分かんないや」

健太は笑いながら言うー。

「ーーじ、じゃあー
 そこまで言うんだったら、元に戻ったら告ーー…」

美鈴(明美)がそこまで言いかけると、
廊下の反対側から、茂雄が顔を真っ赤にした状態で
走って来たー。

ちょうど、すぐ先には、
明美の身体になった美鈴が、茂雄を呼び出した教室があるー。

「ーあれ?村木じゃん」
健太がそう呟くー。

茂雄は、明美になった美鈴から告白された部屋に
戻っていくと、
まだ、中で落ち込んでいた明美(美鈴)に対して叫んだー

「ーぼ、ぼ、ぼ、僕なんかで良ければ!」
とー。

「ーーーえ……ほ、本当にいいのー?」
明美(美鈴)が、落ち込んだ表情のまま、
今度は驚きの表情を浮かべるー

「ーう、うんー
 ぼ、僕も実はー、篠宮さんのこと前から好きでー
 で、でも、いきなり告白されたから、僕、びっくりして
 逃げちゃったけどー…

 ぼ、僕なんかで良ければ!」

そう叫ぶ茂雄ー。

「ーーーえ…ほ、ホントにー!?
 あ、ありがとう!ありがとう!」

明美(美鈴)が叫ぶー。

そんな光景を目の当たりにした
美鈴(明美)と健太は、戸惑いの表情を浮かべながら、
その場に立ち尽くすー。

「ーーすごい…成功しちゃったー」
美鈴(明美)がそう呟くー。

美鈴と合流して”元に戻る相談”をしようとしていたのに、
まさか告白に成功するとは思わなかったー

「ーーははー良かったじゃん」
健太はそう言いながらも、少し寂しそうだー。

それもそのはずー。
明美の身体を使っているとは言え
自分が好きな相手…”深野 美鈴”が、”村木 茂雄”に告白して
成功したのだからー、
”好きな子が他の男子と付き合い始めたようなもの”だー。

「ーーーあ…」
明美(美鈴)が美鈴(明美)たちに気付くー。

「ーーそ、そっちはどうだったのー?」
明美(美鈴)が美鈴(明美)に駆け寄って来るー。

美鈴(明美)は
告白に失敗しちゃったことと、健太には入れ替わりのことを
打ち明けたことを告げたー。

すると、明美(美鈴)は「そっかー…」と、残念そうにしながらも微笑むー。

「ーーわたしは、村木くんにオッケー貰えたから…
 村木くんと付き合えるみたい…!

 篠宮さんー、身体をくれて、本当にありがとうー!」

明美(美鈴)は嬉しそうに笑顔で言うー。

「ーーーー…!」
がー、その言葉に、美鈴(明美)は表情を歪めたー。

明美(美鈴)の嬉しそうな顔に
”元に戻ろう”とは言い出せなくなってしまったー

当然、美鈴(明美)は、”当たり前”かのように
入れ替わったまま過ごすつもりのようだー。

「ーーふ、深野さんーそのー」
美鈴(明美)が小声で言葉を口にするー。

がー、明美(美鈴)の嬉しそうな顔を見て、
”元に戻ろう”とは言い出せなくなってしまったー…。

③へ続く

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片方は告白に成功ー
もう片方は告白に失敗ー…

なんだか、すれ違いが生まれて来ていますネ~!

明日が最終回デス~!!

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