<入れ替わり>痴L★O女~トラブル編~(後編)

痴女と堅物…

入れ替わってしまった、全く異なる性格の二人。

そんな二人が、進む未来は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーあの…わたしー、あの会社、辞めようと考えてますー」
萌(聡美)が、そんな言葉を口にするー。

「か、会社をー…?」
聡美(萌)が戸惑いの表情を浮かべながらそう言葉を口にするー。

「ーーーー」
萌(聡美)は気まずそうにしながら
聡美(萌)の方を見つめるー。

「萌さんがー…あの職場での仕事が好きだったことは
 分かっていますー。
 会社の皆さんからも信頼されていたこともー」

萌(聡美)がそこまで言うと、
「だからこそ、これ以上、あの職場を混乱させたくないですしー、
 わたしも…ちょっと居心地が悪くてー」と、
そう言葉を口にしたー。

聞けば、”堅物”だった萌が”痴女”になったことで
色々とトラブルが起きているのだというー。

萌のことを気にかけてくれていたおばさん社員・芳江の件もそうだし、
最近は、元々、セクハラなどとは無縁だった上司の一人が、
”痴女”な萌の噂を聞いてセクハラを始めた挙句、
上層部にバレて降格処分の上、他所に飛ばされる事態も起きたー。

もちろん、元々その上司も”隠れた変態”だったのかもしれないー。
しかし、少なくとも”萌”が痴女にならなければ、
あの上司はその”隠れた変態”の部分を表に出さず、
飛ばされることもなかったのだろうー。

彼の部署では、かなり慕われている人格者だったらしく、
”あの変態女のせいで”と、陰口を叩かれているらしいー。

「ーーー…そんなことがー…
 でもー…峰倉(みねくら)部長も、元々そういう人だったってことですしー、
 聡美ちゃんのおかげで、”この先被害に遭う人が助かった”って考えればー」

聡美(萌)が励まそうとしてそんな言葉を口にするー。

がー、萌(聡美)は首を横に振ったー。

「ーでも、わたしのせいで色々壊れ始めてるのは事実ですー。
 わたしも、正直、得意な仕事じゃないですしー、
 萌さんのいた会社にこれ以上迷惑をかけるのはー…

 だからー…あの会社を辞めて、また別の道に進もうと思うんですー」

萌(聡美)のそんな言葉に、
聡美(萌)は、困惑の表情を浮かべるー。

”もしも、元に戻れたらー”
そんな希望が”0パーセント”だったわけではないー。
しかし、これを承諾すれば、もう、元に戻ったとしても、
元の職場に戻ることは難しいしー、
元に戻る選択肢を完全に排除するようなー、そんな決断な気がしたー。

「ーーーーーー」

けれどー
このまま”もしかしたら戻れるかも”なんて、
無駄な希望を抱き続けるよりはいいのかもしれないー

改めて、”元のわたし”との決別ー。
そんなことを頭の中で考えながら、
聡美(萌)は答えを出すー。

「ーーー聡美ちゃんが決めたなら、わたしはそれでいいと思いますー 
 もう、聡美ちゃんはわたしとして、わたしは聡美ちゃんとして
 生きていくしかないと思いますしー、

 聡美ちゃんも、いつまでもわたしに縛られ続ける必要はないと思いますから」

聡美(萌)がそう言うと、
萌(聡美)は、少し申し訳なさそうにしながら、
「ーー萌さんー…ありがとうございます」と、そう言葉を口にしたー。

”萌の選んだ仕事”をずっと続けるー。
それは、聡美にとってはつらい道ー。

そして、周囲にも迷惑をかけ、
色々なトラブルを引き起こしてしまうー。

「ーーごめんなさいー。
 入れ替わった相手が、こんな変態で」

萌(聡美)は、少し困惑した表情を浮かべながら
そんな言葉を口にすると、
聡美(萌)は少しだけ笑いながら首を横に振ったー。

「ーー”変態は変態”でも、聡美ちゃんは
 いい変態だからー」

その言葉に、
「ーーーあ、あはははー
 そんなことないですよぉ~
 だって、わたし、触られて喜んでるんだし、
 正真正銘、ヤバい人ですよ~?」
と、萌(聡美)は顔を少しだけ赤らめながら言うー。

がー、
聡美(萌)は、真面目な表情のまま、
ハッキリとそれを否定したー。

「”本物のヤバい人”はー、
 聡美ちゃんみたいに、わたしのことを考えてくれたりー、
 周囲に迷惑をかけたりすることを考えたり、
 そういうことはしないと思うー」

とー。

「ーーだから、聡美ちゃんはヤバくない変態ー です」
聡美(萌)がそう言うと、
萌(聡美)は「ヤバくない変態ー… って、結局、変態は変態なんですねー」と、
冗談を口にすると、少し間を置いてから、聡美(萌)は
ある決意を口にしたー。

「ーーそういえば、わたしもー…そろそろまた”就職”を
 考えないといけないのでー
 聡美ちゃんには報告しておこうと思ってー」

控えめにそう言葉を口にする聡美(萌)ー

「ーーあ…あははー。
 ごめんなさいー”2回も”就活させちゃって」

萌(聡美)がそう言うと、
聡美(萌)が口にした進路は”予想外”のものだったー。

「ーー…あはははーー… 
 萌さんらしいと言えば、萌さんらしいですねー」

萌(聡美)が、予想外ながらも、
言われてみればー、と妙に納得したような表情を浮かべると、
「あ、そうだー!わたしからももう一つ、伝えておきたいことがー!」
と、思い出したかのようにそんな言葉を口にしたー。

「ーーーわたし、”痴女”は、卒業しますー」
とー。

「ーーえぇっ!?」
聡美(萌)は驚きの表情を浮かべるー。

確かに、萌からしてみれば、
痴女な聡美の言動は理解できないことばかりだったけれどー、
彼女は、それで喜んでるのだろうし、と思い
そこにはあまり口出しをしないようにしていたー。

それを、自分からやめると言い出すなんてー。

「ーえ?え?でも、いいのー?
 聡美ちゃん、触られると嬉しいんでしょ?
 …痴女、やめちゃっていいの?」

不安そうに呟く聡美(萌)ー。

「ーーあ、あははー
 ”痴女やめちゃっていいの”なんて
 わたし以外、絶対聞かれる言葉じゃないですよねー」

萌(聡美)はそれだけ言うと、
「ーわたしも、入れ替わったことでもう”大人”ですしー
 これからは、誰にでも触られて喜ぶのはやめようと思うんですー。
 さっきみたいに、萌さんに迷惑がかかったりもしちゃいますしー」

と、そんな言葉を口にしたー。

「ーーは…はぁ… そ、それはー…まぁ…
 聡美ちゃんがいいならー」

聡美(萌)は
”やっぱり、聡美ちゃんの言うこと、大分理解できないー”と、
心の中で苦笑いしながら、萌(聡美)のほうを見つめながら、
穏やかに微笑むー。

すると、萌(聡美)は、笑いながら言葉を口にしたー。

「痴女を卒業する代わりにーーーーー」

その言葉に、聡美(萌)は思わず”えぇっ!?”と、
声を上げるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからしばらくしてー、
萌(聡美)は、”萌”が勤務していた会社を退職したー。

「ーー色々、迷惑かけて申し訳ありませんでしたー」
萌(聡美)は、職場のおばさん・芳江にそう言い放つー。

”入れ替わる前”の萌のことを可愛がってくれていた彼女は、
どこか寂しそうに「もう、いいのよ」とだけ呟いて、
それ以上は何も言葉を掛けては来なかったー。

会社のセクハラ上司の一部は、寂しがっていたものの、
もう、萌(聡美)に未練はなかったー。

萌(聡美)は、”ペット”が好きで、
これからはペットに関係する仕事に就くつもりで、
準備をしているー。

”ペットは、人間と違って何の遠慮もなく色々なところを
 触ってくれるからねー”

”聡美”は、そんなことを内心で思いながら笑うー。

聡美(萌)は、大学を無事に卒業ー。
彼氏である哲郎や、親友の美晴との関係は
大学卒業後も変わらぬままー。

元々、交友関係が狭い”萌”にとっては、
入れ替わる前に聡美が作っていた人間関係は、
ある意味で大切な存在となったー。

そしてーー
4月ー。

新社会人となった聡美(萌)は苦笑いしながら
会社へと向かうー。

”ホントはわたし、”新”社会人じゃないんだけどねー”

これで、2度目だー。
既に新社会人は一度経験しているー。

聡美(萌)は、そんなことを思いながら、
今日から勤務する職場へと足を運ぶー。

「ーーーーー」
職場の中に入ると、懐かしそうに笑う聡美(萌)ー

”まさか、またここに来ることになるなんてねー”
聡美(萌)は、そんなことを内心で呟きながら、
「ーーーお久しーーー…」と、言いかけて、
首をぶんぶんと横に振ったー

「ーーはじめましてー」
聡美(萌)は礼儀正しく挨拶をするー

その視線の先にいたのはー
入れ替わる前の”堅物な萌”を、いつも優しく見守ってくれていた
おばさん社員の芳江だったー。

周囲も半分ぐらい、見覚えのある面々ー

そうー、聡美になった萌はー、
自分が”萌”だった頃に働いていた企業に
もう一度就職したのだー。

今度は、聡美としてー。

”ーーえぇ!?萌さん、また同じ会社に!?”

それを萌(聡美)に告げた時には、
萌(聡美)は心底驚いた様子だったー。

けれどー

”ーーは、はいー…どうしてもわたし、あそこが居心地よくてー…
 聡美ちゃんの身体で、もう1回、入社試験受けて見ようと思ってー”

聡美(萌)がそんな言葉を口にすると、
萌(聡美)は驚きながらも、
”あははー萌さんらしいですねー”と、それを受け入れてくれたー。

そして、無事に再び合格ー。
今、こうして、今度は”聡美”として
この職場にやってきているー。

「ーーなんか、すごいなぁ…仕事覚えが早くてー」
「まるで前からここにいたみたいだー」

入社して数日ー
すぐに仕事をマスターしていく聡美(萌)を見て
周囲はそんな風に笑うー。

「そういえば、何だか前にいた萌ちゃんを思い出すなー」
「ーーはは、そうだなー」

同僚だった社員の二人がそんな言葉を口にするー。

”それは、わたしなんですけどねー…”
そんなことを思いながらも、聡美(萌)は
心の中でその言葉を飲み込むと、
「ーー萌さんってどんな方だったんですかー?」と、
興味深そうに”元・自分”の、話題を聞き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”痴女”の卒業を宣言した
萌(聡美)はペットショップに就職して
働く日々を送っていたー

「も~エッチなんだから」
猫に太腿を触られて笑う萌(聡美)ー。

やっぱり、触られるのは気持ちいいー。
相手が人間であっても、猫であってもー。

”聡美”は、
仕事が多忙な両親の元に生まれ、
小さい頃から、一人で留守番していることが多かったー。

いつも、一人ー。
ずっと、一人ー。

そんな環境が、触られたり、見られたりー、
とにかく誰かに構ってもらうことに飢えるような彼女を
作り上げたのかもしれないー。

「ーーーも~可愛いんだから~」
萌(聡美)は、ペットと触れ合う仕事をしながら、
仕事も真面目にこなしつつー、
その”新しい職場”に馴染みー、上手くそこに溶け込むのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

萌(聡美)は、痴女を卒業して
ペットショップで働きー、

聡美(萌)は、大学卒業後に
再び”萌”が働いていた会社に就職ー
萌からすれば”身体”や”住む家”以外、
ほとんど”今まで通り”の生活が始まっていたー。

そんなある日ー、
聡美(萌)は、苦笑いしながら
”ある人物”がやってくるのを待っていたー。

♪~~~

「あ、きたきた…」
聡美(萌)は、少し戸惑いの表情を浮かべながら
玄関から顔を出すとー、
やってきたのは萌(聡美)だったー。

「萌さん!こんにちは!」
萌(聡美)は、そう言うと、とてもワクワクした様子で
家の中に入って来るー。

”出会った頃より、大分吹っ飛んだ感じはなくなってきたけどー…
 でもーーー”

聡美(萌)は、萌(聡美)に対して、
飲み物やお菓子を出しながら、思わず笑うー。

「ーー今日は、萌さんにた~くさん触って見てもらう日ですからね!」
嬉しそうに言い放つ萌(聡美)ー

バニーガール姿に着替えた萌(聡美)は、
「さぁさぁ!触り放題ですよ!触って触って!」と、
ニコニコしながらそう言葉を口にするー。

”やっぱりー…なんだかおかしな子ー…”
そんな風に内心で思いながら、
いつしか、入れ替わった相手ー…”聡美”のことを妹のように思い始めていた
聡美(萌)は
「仕方ないなぁ…それでー…聡美ちゃんが満足するならー」と、
そう言葉を口にしながら、”元自分”の身体を触るのだったー。

あの日、言われたー

「痴女を卒業する代わりにーーーーー

 ーーーこれからは、萌さんがわたしを触って下さい!」

”萌さん専属の痴女になる”ー

とー。

なんだか、とても変わった子ー

でもーー
なんだか放っておけないー。

そんなことを思いつつ、今日も聡美(萌)は、
萌(聡美)の無茶振りに付き合うのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

「痴L★O女」の後日談を見たいというお声を
頂いたので作った作品でした~!★

本編を書いた時に描き切れなかった”トラブル”の部分と
その後をミックスして、こんな感じになりました~!

ここまでお読み下さりありがとうございました~!★!

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入れ替わり<痴L★O女>

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