<憑依>え!?どうしてわたしが卒業してるの?①~卒業式~

”気づいた時には、卒業式だったー”

3年間、憑依され続けていた彼女は、
入学式だったはずが、突然、卒業式を
迎えていてー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー望月 希海(もちづき のぞみ)さんー」

「ーーーーーー……え?」

とある高校の卒業式ー、
卒業生の望月 希海は、突然名前を呼ばれて
困惑の表情を浮かべたー。

目を開くと、そこは体育館の檀上ー
目の前に、何か紙を持った男の人が、
微笑んでいて、それを渡そうとしているー

「ーーえ…?」
希海は、何が起きているのか理解できないまま
背後を振り向くと、
体育館には大勢の生徒たちが集まり、イスに座っていたー。

何が何だか、全く分からないー。

そう思いながら再び、何かを持っている男の方を見ると、
その背後に、”第64回卒業式”と、書かれているのが見えたー

「ーそ、卒業式ー…?」
困惑する希海ー。

”あははー…入学式と間違えちゃったのかな?”
そんな風に思いながらも、
何だか状況が飲み込めない希海は、
必死に頭をフル回転させて、
”今”この状況をなんとか理解しようとするー。

確かー、今日は”入学式”だったはずー。
まず、最初に教室に案内されて、
同じ中学だった友達・紅葉(もみじ)と喋っていたらー、
その最中に急に視界が暗くなってー…

それでー……

気付いたら、体育館ー。

”え…わたし、いつの間に体育館に移動したのー?”
そんな疑問を覚える希海ー。

が、そんな希海の様子に気付いたのか、
目の前にいる男ー…
校長先生が困惑した様子で「望月さんー?」と、
不思議そうに言葉を口にしたー。

「ーあ、はいー?」
希海は困惑しながら、校長先生を見ると、
校長先生が、紙を受け取るように促してきたため、
その紙を受け取ったー。

がーー

「ーーえ…そ、卒業証書ーー!?」
希海が思わず声を上げてしまうと、
校長先生も、生徒たちもどよめくー。

「ーーー!?」
希海は、ふと、”自分”に違和感を覚えるー。

「ーーーえ……」

さっきまでと”髪型”が違うー。
急に髪が伸びているしー、
そもそもーー

”え…何でわたしがツインテール…?”

希海はさらに困惑の表情を浮かべるー。

しかもー

”な、なんかー…胸が大きくなってるようなー…?
 どういうことー?”

希海はそう思いながらも、体育館の脇にいた先生が
「座席に戻って」と促して来たため、
戸惑いながら座席の方に戻っていくー。

「ーー大丈夫?」
座席に着席すると、隣に座る”まだ名前も知らない女子生徒”が
声をかけて来るー。

「ーう、うんー ほら、あそこー」
希海は、そう言いながら校長先生の背後に書かれた
”第64回卒業式”の表示を指差しながら笑うー。

「ーー”卒業式”なんて書いてあるから、笑っちゃったー」
とー。

今日は入学式なのに、間違えて卒業式と掲げるなんて
随分ととんでもないミスだー。
思わず、笑ってしまう希海ー。

しかしー、希海の隣にいた女子生徒は
困惑の表情を浮かべながら「ー何か…間違ってる?」と、
首を傾げたー

「え?」
希海は戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーー”卒業式”で、いいんだよねー…?
 漢字が…違うのかな?」

その子の言葉に、希海は
「え…今日って、入学式だよね?」と、
小声で確認するー。

しかしー
その相手の子は「え…?な、何言ってるのー?」と、
そんな言葉を口にすると、

「今日は”卒業式”だよー?」と、
戸惑いながら言葉を口にしたー。

「ーーーえ…!?!?!??!?」
希海は、困惑の表情を浮かべるー。

「ーそ、そんなはずないよ…!?今日は入学式ー」
狼狽える希海ー。

がー、そんなツインテールの女子高生・希海を見つめながら
笑みを浮かべる男がいたー。

”ー楽しかったぜー
 けどー…俺は”JKライフ”にしか興味がないんでなー”

男は、”魂”だけの存在ー。
遠い昔、憑依薬を飲み、己の肉体を捨てた男ー。

彼はー、”入学式当日の女子高生”に憑依してー、
”卒業式の日”まで、その身体を使い、
”女子高生生活3年間”を堪能している男ー。

希海は、入学式当日にこの男に憑依され、
たった今、解放されたのだー。

「ーーーへへへ…やっぱJKとして過ごす3年間は最高だぜー」

男は、元々学校に出入りしている用務員だったー。

用務員として、学校で作業をするうちに、
キラキラしている女子高生たちに憧れを抱くようになったー。

そしてー、
憑依薬を手に入れた彼は、思ったー

”女子高生になりたい”
とー。

迷わず自分の肉体を捨てて、
しばらく憑依を堪能した後にー、
彼は”高校生活3年間をしっかりと味わいたい”と思うようになったー。

それ以降ー、
彼は繰り返している…。
”入学式を迎えた女子高生の誰かに憑依し”
3年間、その子として女子高生生活を楽しみー、
”卒業式の日にその身体から抜ける”
と、いうことをー。

”ーーーククククー
 貴重な青春を奪っちゃって悪かったなぁ”

男は、戸惑っている希海に対してそう言い放つー。

ただ、希海からは”霊体の男”は見えておらず、
希海は困惑しているー。

希海が”今日を”入学式だと思っているのはこの男のせいー。
入学式当日、教室で待機している最中に
この男に憑依され、3年間の間、身体と精神を乗っ取られ続けー、
ようやく卒業式の今日、解放されたー
そんな状況ー。

そのせいで、希海は今日をまだ入学式だと思っているー。

「ーーほ、ホントに大丈夫?」
希海の隣にいる女子生徒・葉月(はづき)が心配そうに
言葉を口にすると、
希海は混乱しながら「だ…大丈夫…ーーー」と、
それだけ言葉を口にしたー。

やがて、”まだ顔も知らない生徒”たちと共に
教室に戻っていく希海ー。

希海からすれば”入学式当日”のまま、
時計の針が止まっていた状態ー。
まだ、”クラスメイトの顔”も覚えていない状態だー。

「ー何でツインテールなの…?」
鏡を見つめながら、戸惑う希海ー。

そうこうしていると、他の生徒たちから
声を掛けられて、色々思い出話とかをされる希海ー

”???????”
全く、意味が分からないー。

「ーーそういえば、希海って大学どこに行くんだっけ?」
クラスメイトの一人がそう呟くー。

「ーえ…だ、大学ー えっと…? え…?」
希海は戸惑うことしかできず、答えられないー。

「ーーーー…」
未だに、状況をよく理解できていない希海ー。
周囲の人間が全員グルで、”卒業式ドッキリ”を仕掛けているのでは
ないかと思ってしまうような状況ー。

希海は「あ…そうだー」と、思いながら
自分の鞄の中からスマホを探すー。

しかしー、出て来たのは”知らないスマホ”ー。
可愛らしい飾りがいっぱいついていてー、
見たこともないようなスマホだったー

「ーーー…こ、これ、誰のー?」
希海が”自分のスマホ”を手にしながら周囲にそう確認すると、
周囲に集まっていた女子生徒たちは混乱しながら
「誰のって… 希海のでしょ?」
戸惑いの言葉を口にしたー

「わ、わたしのスマホ…!?
 わ、わたしのはもっと地味な感じでー」
希海が混乱しながら言うー。

が、そう言っていても仕方がないー。
仕方がなく、そのままスマホを起動すると、
そこにはー…”2027”と表示されていたー。

「ーーーえ!?!?い、今、2024年じゃー!?」
希海が声を上げると、
周囲の友達もさすがに様子がおかしいと思ったのか
「だ、大丈夫ー?」と、そう言葉を口にするー。

希海も、状況の変化についていけずに
困惑した表情を浮かべながら
「ち、ちょっとー…ーー…なんかー大丈夫じゃないかも」と、
そう言葉を口にすると、
周囲に対して、”今日は入学式だと思っている”ことや、
”体育館で行われる入学式に向かう前、教室で待機している場面”以降の
記憶が一切ないことを、素直に口にしたー。

がー…
心配していた周囲の友達も、
その話を聞いて表情を曇らせたー。

流石に、”現実離れしすぎていて”、
希海がふざけているのではないか、と、そんな風に思っている顔だー。

「ーーーえ……え~っと、それ、どういう意味?
 高校生活の記憶、全部失ったってこと?」

友達の一人の言葉に、希海は「う…うんー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーーーー」
周囲は、困惑したような表情を浮かべながら
互いの顔を見合わせるー

「ーーー…丹波(たんば)くんのことも覚えてないの?」
友達の一人がそう言葉を口にすると、
希海は「丹波?」と、首を傾げるー。

「ーーー…」
周囲は困惑とした表情を浮かべるー。

そもそもの話ー、今、喋っている”クラスの子”らしき人たちの名前も、
希海には分からないー。

少し離れた座席に座っている同じ中学出身の友達・紅葉のことしか
分からず、今の希海にとって他のクラスメイトたちは”知らない子”ー。

”ーーはははは…戸惑ってるなぁ…まぁ、いつものことだがなー”
希海に憑依していた男は、正気を取り戻した希海を
見つめながら笑みを浮かべるー。

男はいつも、三年間使い続けた身体で”卒業”したあとは
こうして、正気に戻った子の”観察”を続けているー。

そして、入学式の日を迎えるまでの3月と4月の前半は
”休憩”の時間だー。
霊体のままふわふわと浮遊して、
のんびり休みがら、次のJKライフをどのように送るかどうか、
考えているー。

”しかし、自分が”わたしってば可愛い!”みたいな3年間を
 送ったとは、夢にも思ってないだろうな”

男は、そう呟きながら
希海の様子を見つめるー。

希海は、クラスメイトの葉月らから、”病院に行ったほうがいいんじゃ?”
などと言われているー。
正気を取り戻した本人も、周囲のクラスメイトたちも、
どうやら”記憶喪失”だと思っているようだー。

「ーそ、それで、丹波…?ってだ、誰なの…?」
希海がそう言葉を口にすると、
クラスメイトの一人、葉月は「か…彼氏だよ。いつもあんなに仲良くしてたのにー」と、
戸惑うような言葉を口にするー

「か…彼氏…?」
希海は呆然としながら、あたふたとしているー。
彼氏など、一度もできたことがなかったー。
それなのに、いきなり彼氏と言われても困るし、
そもそも”丹波くん”とは誰なのかー。

「ーー…ーーー…ご、ごめん…ぜ、全然、思い出せなくてー」
そう呟きながら、希海は自分のスマホを見つめるー。

見覚えのないスマホー
3年間の間に買い替えたというのだろうかー。

ようやく”見たことのない担任の先生”がやってきてー、
卒業式後の最後の話をし始めるー。

周囲は卒業式らしい雰囲気なっていたもののー、
希海からしてみれば全く意味が分からないし、
状況も飲み込めないー。

そんな状況ー。

そのままー、最後の先生の話が終わり、
解散になると、周囲の生徒は別れを惜しむかのように
色々と話を始めたー。

けれどー、
周囲の空気は”卒業式”ムードでも、
希海からすれば”周りが知らない子だらけの入学式”ムードの状態ー。

自分と周囲の空気の違いについていけずに
戸惑いながら、希海は親友の紅葉に声をかけるー。

しかしー

「ーーー…今更、なに?」
紅葉が冷たい口調で希海を見つめるー。

「ーーーーも、紅葉ちゃんー…?」
紅葉の反応に、違和感を覚えながらそう言葉を口にすると、
紅葉は吐き捨てるように言い放ったー。

「わたしたち、”とっくに友達じゃない”でしょー。
 あんたのこと、わたし、許さないからー」

紅葉はそう言い放つと、そのまま立ち去っていくー。

クラスメイトと特に話す様子もなく
去っていく紅葉を呼び止めるも、
そんな希海をクラスメイトの葉月が呆れた様子で
笑みを浮かべながら止めたー。

「ーー”あんなの”放っておきなよー」
とー。

「ーーど、ど、どういう…こと?」
希海がそう言うと、葉月は笑いながら言うー。

「どういうー…って、希海が一番分かってるでしょ?」
とー。

「ーーそ、それはー……」

何も分からないー。
希海は半分パニックになりながら
”知らない生徒だらけ”の教室を飛び出すと、
そのまま紅葉の後を追いかけようとしたー。

がー
そこにーー

「ーーお!希海!」

”知らない男子生徒”が声をかけて来たー。

「ーーーー…?」
希海が困惑の表情を浮かべていると、
その男子生徒は笑みを浮かべながら言ったー。

「ー春休みの”卒業祝い”だけど、この前約束した場所でいいんだよなー?」

とー。

少し神経質そうな顔の男子生徒ー。
しかし、会話の内容から希海は悟ったー。

この男子が、”彼氏”の丹波という生徒であるとー。

何も分からぬまま
いきなり卒業式に放り出された状態の希海は
困惑した表情を浮かべながら「あの…」と、申し訳なさそうに言葉を口にしたー。

②へ続く

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高校生活3年間、ずっと憑依され続けた子が
正気を取り戻したあとの物語デス~!

憑依されている最中の出来事の描写も、
②以降に出て来るので楽しんでくださいネ~!

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