<MC>出演者大暴走①~体験~

とある生放送のバラエティ番組の最中ー…

ゲストとして招かれた催眠術師の術が効きすぎてしまい、
出演者たちが大暴走してしまうー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日は、とあるバラエティ番組の放送日ー。
そのバラエティ番組では、
様々なコーナーや企画が、生放送で行われていたー。

「ーーよろしくお願いしますー」
清楚なイメージで人気な若手女優・愛優(あゆ)が、
頭を下げながらスタジオに入って来るー。

イメージだけではなく、本人も実際に大人しいタイプの性格で、
友達に誘われて嫌々芸能界に入ったら、
自分の方が人気になってしまって、そのまま人気女優の仲間入りを
果たした、という経緯を持つー。
そんな経緯のせいか、今でも自分に自信がなく、
遠慮がちな性格をしているー。

「ーー愛優ちゃん 今日はよろしくねー」
愛優と共演したこともある30代の女優・美乃梨(みのり)が、
優しく微笑むと、
そのまま二人は、座席へと着席したー。

”イケメン俳優”の洋介(ようすけ)や、
モノマネ芸人の裕子(ゆうこ)ー、
様々な出演者が集まり、”次のコーナー”の生放送が始まるー。

「それでは、ここからは新たなゲストの皆さんをお招きしています」
女性アナウンサーの真桜(まお)がそう言葉を口にすると、
真桜と共にMCを担当しているお笑い芸人の一馬(かずま)が、
このコーナーに出演する一人一人のゲストを紹介していくー。

「ーー最後にー、
 先日、最終回を迎えたドラマ”黒のたんぽぽ”に出演していた
 愛優ちゃんをお招きしていますー」

一馬が、そう言いながら、愛優に持ち前のトーク能力で
色々と質問していくー。

「ー愛優ちゃんは、初めての悪女役だったと思いますけどー、
 どんな感じでしたか?」

一馬がそう言うと、若手女優の愛優は
「ーえ~、わたしとは真逆の性格だったので、大変でしたー。
 あと、恥ずかしかったですー」と、恥ずかしそうに笑うー。

「ーー演技中の愛優ちゃん、すっごく怖くて
 俺、正直ビビってたんですよー」

”黒のたんぽぽ”で共演していたイケメン俳優・洋介が
笑いながら言うと、
会場に笑いが巻き起こるー。

そんな話をしつつ、MCのお笑い芸人・一馬は、
時間を見計らって”本題”へと進む

「それでは、続いてのコーナーは 
 ”ドキドキ催眠術体験”です

 今回は、現役の催眠術師であるトパーズさんを
 お招きしていますー」

MCの一馬がそう言うと、
トパーズを名乗る仮面の催眠術師が会場に入って来るー。

”仮面催眠術師”トパーズ。
その正体は謎に包まれているものの、
動画配信者としてスタート、最近、人気上昇中で、
こうして生放送のバラエティ番組にも招かれたー。

一説には”闇の力”の使い手だという、
そんな現実離れした話まで出てきているー。

「ー宜しくお願いしますー」
中性的な声の催眠術師・トパーズ。

仮面と、服装から、男女どちらかなのかもハッキリ分からないー。

ネット上でも”男だろ?”
”いや、女に見えるけどー”などと、色々意見が分かれているー。

「ーーー本日は、このトパーズさんの催眠術を
 ゲストの皆さんには、体験して頂こうと思いますー」

MCの一馬がそう言うと、
30代の女優・美乃梨が口を挟むー。

「わたし、そういう催眠術とか、正直信じてないんですけどー…
 実際、どうなんですか?」

美乃梨の言葉に、催眠術師・トパーズは笑みを浮かべながら
「ーじゃあ、早速、試してみますかー?」と、笑うー。

「わたし、そういうの全く効かないかもしれませんよ?」
美乃梨が笑いながら言うと、
催眠術師・トパーズはMC・一馬の方を確認すると、
一馬は「では早速、まずは催眠術を実演していただきますー」と、
そう言葉を口にするー。

トパーズが、美乃梨の方に近付くと、
手袋をはめた手の上からつけている特殊な指輪を光らせながら、
美乃梨に対して言葉を発したー

「ーあなたは、立てなくなるー…」
そう、呟く催眠術師・トパーズ。

「ーーーー」
笑いを堪えるような表情を浮かべながら、美乃梨はトパーズのほうを見つめるー。

美乃梨本人は、やはり催眠術など実在しないと思っていて、
笑いを堪えるような形になっているのだろうー。

がーー
やがて、美乃梨が表情を歪め始めるー

「あ…あれ…?」
足がガクガクと震え始めて、その場に座り込むような形になった美乃梨は、
「え…?え…?」と、戸惑いの表情を浮かべるー。

彼女を慕う若手女優の愛優も、イケメン俳優の洋介も、
少し驚いた表情だー。

しかし、モノマネ芸人の裕子はそれを見て笑うー。

「またまたぁ~!そういう脚本なんですよね~?」
生放送番組で爆弾発言とも言えるような発言をする裕子ー。

裕子は元々とんでもない発言をするキャラで、
それは、番組スタッフ側も織り込み済みだー。

「え…ま、待って!裕子ちゃん!本当に立てないんだけど」
女優・美乃梨が笑いながらそう言うと、
若手女優の愛優は驚いた表情を浮かべながら
「え…?ほ、本当に立てないんですかー?」と、
驚きの言葉を口にするー

「た…立てない!だって、身体に力が入らないもん!マジで!」
美乃梨が笑いながら言うとー、
すぐにMCの一馬の方を見て、
「え~でも、これ、絶対テレビの前で見てる人、
 わたしがやらせでこういうことしてるとか思ってそうじゃないですか~?」と、
苦笑いしながら言うと、
一馬は「やらせかどうかは、美乃梨さんにしか分かりませんもんねー」と、
冗談を口にするー。

「ーーーでは、解除しますー」
中性的な声の催眠術師・トパーズがそう言うと、指輪を
再び光らせてー、美乃梨はすぐに立ち上がれるようになったー。

「ーーわっ… え… す、すごっ…」
美乃梨は、不思議そうに催眠術師・トパーズのほうを見つめるー。

このおかしな出来事に心底驚きを隠せない、と
そういう様子だー。

「ーーじゃあ、次は俺がやってみましょうかー」
イケメン俳優の洋介が言うと、
催眠術師・トパーズは「では、どうぞー」と、
洋介を案内し始めるー。

洋介は「いや~でも怖いなぁ~」などと笑っていると、
「あなたは自分の名前を思い出せなくなるー」と、
催眠術師・トパーズは笑みを浮かべながら、
そんな催眠術をかけていくー。

「ーーあははー流石にそれはないでしょ?」
女優の美乃梨が笑うー。

アナウンサーの真桜も苦笑いしながらそんな様子を見つめていたもののー、
やがて、洋介は言葉を口にしたー

「ーえ…やばっ…
 すみませんー俺、今、自分の名前、本当に思い出せないです」
洋介が、MCの一馬の方を見つめながら言うと、
一馬は笑いながら「え?え?ほんとに?ほんとに?」と、
洋介に対して名前を再三確認していくー。

しかし、洋介は本当に名前を思い出すことが出来ずにー、
「ー私は誰ー?ここはどこー?みたいな感じですねー」と、
冗談を口にするー

「まぁ、”ここ”はどこだか分かってますけどー
 ホントに名前だけ思い出せない感じで」

洋介がそう言うと、
会場内に笑いが巻き起こるー。

催眠術師・トパーズはそんな様子を見てから
「それでは、元に戻しますー」と言いながら
再び指輪を光らせると、洋介は「あ!洋介だ!ははー、やっべぇこれすごいー」
などと、一人で笑いながらそのまま座席へと戻っていくー。

「ーじゃあ、次はあたしが!」
モノマネ芸人の裕子が手を上げる。

しかしー、催眠術師・トパーズはそれを無視したのか、
聞こえなかったのか、
「次はーそちらのー」と、清楚な若手女優・愛優の方を指差したー

「よ、宜しくお願いしますー」
愛優が丁寧に頭を下げると、
少し不安そうに「ーなんか、わたし、こういうのすごく効いちゃいそうでー」と、
苦笑いするー。

その言葉に、催眠術師トパーズは少しだけ笑うと、
仮面の位置を少し調節してから、言葉を発したー。

「ーーーあなたは自分が誰よりも可愛いと思うようになるー」
愛優に対して、催眠術師・トパーズはそう言い放つと、
指輪を光らせながら言葉を口にしたー。

「ーーそ、そんな~わたしなんてーまだまだ」
愛優が苦笑いしながらそう言葉を口にすると、
催眠術師・トパーズはMCのお笑い芸人・一馬に
鏡を用意するようにお願いして、
鏡を受け取るー。

そして、その鏡を愛優に見せると、
愛優は「えっ…かわいい…」と、自分の顔を
見つめながらそう言い放ったー

「ーーあはは…
 愛優ちゃんにもしっかり効果が出てるみたいねー」
30代の女優・美乃梨がそう言うと、
催眠術師・トパーズは美乃梨の方を指差しながら、
「愛優さんー。自分と、あの人、どっちが可愛いと思いますか?」と、
そう言い放ったー。

愛優は、背後にいる美乃梨の方を振り返ると、
「ーえ…全然、わたしの方がかわいいです」と、笑いながらそう答えたー。

普段の愛優なら、そんなことは思わないだろうしー、
仮に思ったとしても、絶対にそんな言葉は自ら口にすることはないだろうー。
しかし、催眠術によって自分を可愛いと思い込んでしまっている愛優は言うー。

「わたしの方が、全然可愛いですー」
とー。

美乃梨は笑いながらも、ほんの少しだけ不愉快そうな
表情を浮かべるー。

「ーーはははーやっぱすごいなぁ」
イケメン俳優の洋介が笑いながら言うと、
催眠術師・トパーズは、「それではもう一つ、お見せしましょう」と、
そう言葉を口にすると、
「ー人間は、誰しも心に”枷”をかけていますー」と、
そんな説明を始めるー。

「ー誰もが、自分が心の中で思っていることを
 100%、晒すことはありません」

催眠術師・トパーズは仮面の下に素顔を隠したまま、
淡々とそう言葉を口にするー。

「しかし、私の催眠術であれば
 その枷を一時的に外すこともできますー」
催眠術師・トパーズのその言葉に、
MCの一馬は冗談めいた口調で「何か怖いなぁ」と、そう言葉を口にするー

「ーねぇねぇ、っていうか、あたしは!?」
モノマネ芸人の裕子が不満そうにそう叫ぶー。

女優の愛優と美乃梨、
そして俳優の洋介は個別に催眠術をかけてもらったにも
関わらず、裕子の存在は最初からないかのように
スルーされているー。

裕子は不満そうに「ちょっと!あたしは!?」と、
再び声を上げるー。

しかし、催眠術師・トパーズは
「今回は生放送ということで、
 放送禁止用語とか出ちゃうとまずいですから、
 少し”リミッター”を下げた状態で、
 ーーそうですね。美乃梨さんに催眠術をかけてみますー」
と、そう言い放つー。

30代女優の美乃梨は「わたしー? ふふ、今度は負けないからね」と、
少しだけ笑いながら、トパーズの前に立つー。

トパーズは、愛優にかけた”自分が可愛いと思い込む催眠”を解除すると、
愛優は美乃梨の方を見て「な、なんかごめんなさいー」と、
そう言葉を口にしながら自分の座席へと戻っていくー。

美乃梨は笑いながら「催眠術の効果は、わたしもさっき体験したから大丈夫」と、
そう言葉を口にすると、愛優に変わって、
トパーズの前へと立ったー。

「ではー、”心の枷”を一時的に外す催眠術をお見せしますー」
そう言いながら、トパーズが指輪を光らせたその時だったー。

「ちょっとー!あたしを無視するなって!」
モノマネ芸人の裕子が不満そうにそう叫ぶと、トパーズにタックルを仕掛けたー。

「ー!?!?」
会場が驚くー。

そしてーー
トパーズが裕子のタックルでバランスを崩したことによって
ちょうど、術を発するタイミングで、光っていた指輪が
会場中に照射されてしまうー。

倒れ込んだトパーズが、すぐに起き上がるーー。

しかしー
”会場全体”に、心の枷を外す催眠術がかかってしまったー

「ーーちょっとアンタ!さっきのは何なのよ!」
30代女優の美乃梨が、若手女優の愛優に突っかかるー。

「ーー…何ってー?わたしの方が可愛いのは本当じゃないですか!」
愛優が攻撃的な口調で反論を始めるー

「ーおいおい、何喧嘩してるんだよー!」
イケメン俳優の洋介が、そう言いながら喧嘩を仲裁するー。

がー、催眠術により、心の枷が外れている洋介は
「ー美乃梨さんはもうおばさんに近いんだから!」と、
何の遠慮もせず本心を口にしてしまうー。

会場全体にかかってしまった催眠術ー。
生放送中の”地獄絵図”が始まろうとしていたー…。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

大きなトラブルに発展しそうな事態に…!☆
どうなってしまうのかは、
また明日デス~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!!

PR
MC<出演者大暴走>

コメント