明日、刑が執行されるー。
そんな彼の願いを聞き入れて
”1日だけ”入れ替わることにした彼女ー。
彼のことを想う故に”入れ替わり”を受け入れてしまった
彼女の運命はー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー…」
”牢の外”に出ることはできないこの状況ー。
奈美になった啓介が立ち去ってから10分ほどー。
啓介(奈美)は強い不安に襲われていたー。
いつも、囚人たちと接している奈美。
しかし、自分自身がこうして”自由”を奪われている状況というのは、
”恐怖心”すら覚えたー。
「ーーー…」
突然、手汗が止まらなくなるー。
心臓がバクバクし始めるー。
しかもー、
”泉沢 啓介”ー彼が言うには、
彼の刑はー…”死刑”は、明日執行されるー。
もしもー、
もしも、”このまま”
身体を貸した彼が帰って来なかったらー
「死刑になるのは…わたしー」
ボソッと呟く啓介(奈美)ー。
身体が震えだすー。
もちろんー、入れ替わる前にも、奈美は当然
そのことは考えたー。
けれどー”実際にこうして死刑囚として牢屋に閉じ込められている状況”に
なると、想像するのとはまるで違う恐怖心が湧き上がってくるー。
もしー、もしも彼が戻って来なかったらー?
それで、奈美の人生は終わるー。
しかも、彼が、啓介が約束を破って戻ってこないような人間だったら、
彼はまた罪を犯すかもしれないー。
「ーーーー…」
震えている自分の身体を見つめながら、啓介(奈美)は
ため息をつくー。
”彼の最後の願い”は聞き入れてあげたいー。
彼と接してきて、彼のことは好きだからだー。
このまま、彼の願いを拒んで彼が死刑になれば、
一生後悔し、それを引きずると思ったー。
だからこそ、身体の入れ替わりを受け入れた。
でもー…
啓介が、元々身体を奪うつもりだったらー?
いやー
それだけじゃないー。
元々は返す気だったとしても、奈美の身体で自由になった啓介が
”死刑になるためだけに”戻って来るだろうかー?
人間とは、欲深い生き物ー。
”戻れば死ぬ”と分かっているのに、戻って来るだろうかー?
奈美は、啓介が好きだー。
しかし、啓介の側からは、少なくとも恋愛感情を持たれていることはないだろうー。
”ただのお世話になった看守のため”に、戻って来るだろうかー。
「ーー……」
そんなことを考えると、より恐怖心が増してくるー。
その上、戻って来るつもりだったとしても、
何かトラブルが起きたり、奈美になった啓介が寝坊したり、
そんな”ちょっとしたミス”で、奈美が死刑になってしまう可能性もあるー。
「ーーやっぱ……入れ替わるべきじゃなかったかもー」
啓介(奈美)はそう言葉を口にすると、
「なにやってんだろ…わたしー」と、
自分の浅はかな判断を呪うのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
奈美になった啓介は、
街に出ると、早速、自分好みの服を買い、
着替えていたー。
「ーは~…一度こういう絶対領域ってやつー
見せびらかして歩いて見たかったんだよなー」
ドキドキしながら奈美(啓介)は、
街中を自分の好きな格好で歩くー。
”女”としておしゃれをするー。
そんな快感を始めて味わった奈美(啓介)は
「ーーこれは病みつきになりそうだなー」と、笑みを浮かべるー。
「ーー女の人が、どうしておしゃれにそんなにお金をかけるのか
僕には理解できなかったけどー…
たしかにー……これはいいかもしれないー」
女子トイレで鏡を見つめながら、ニヤニヤと
笑みを浮かべる奈美(啓介)ー
「ーーふふー峯山さんー、口紅つけるとドキドキするなぁ…」
奈美(啓介)は慣れない手つきで、口紅を塗ると
そのままトイレの外に出て、ゆっくりと歩き出すー。
懐かしそうにー、
駅ビルの中の書店やお土産屋、パン屋などを見つめるー。
「ーーお…」
その中にあった、人気チェーン店のファミレスを見つけると
満足そうな表情を浮かべながら、
その店内へと足を運んでいく奈美(啓介)ー
嬉しそうにメニューを見つめる奈美(啓介)ー
「ははー学生時代はよく来たよなぁ…
社会人になってから、ブラック過ぎて全然だったけど」
奈美(啓介)はそんな言葉を呟きながら、
「ってか、スカートだと座るのにも落ち着かないなぁ」と、
一人で苦笑いしながら、
何度か座り直してみるー。
女子はこういった仕草も自然とできていて、
それが当たり前になっているけれど、
自分にとっては未知の世界だー。
「これで…見えてない…ハズ」
そう思いながら、メニューを改めて見つめる奈美(啓介)ー。
”母親に会いに行く”と言ったはずの啓介は、
ファミレスでのんびりとメニューを見つめながら
ふと、あることを考えるー。
”あ~…あれかな?カロリーとか気にしないとまずいかなー?
僕はあまり普段、そういう感じのは気にしないからなー”
そう思いながら、わずかな間考え込む奈美(啓介)ー
しかし、やがて、
「まぁ、いいかー」とニヤリと笑みを浮かべると、
学生時代好きだったステーキと、さらにドリンクバーを
注文して、そのまま好きなメロンソーダを注ぐと
嬉しそうに飲み始めたー
「ーーん~~~やっぱ炭酸はいいなぁ」
奈美の身体でメロンソーダを1杯、2杯と、
ステーキが届く前に何度もおかわりして
飲んでいくー
炭酸を飲み過ぎたからか、奈美の身体で
ついゲップをしてしまうと、
「ーー峯山さんみたいな人でも出るんだなぁ」と、
そう呟きながら、
「まぁ、出るかー。同じ人間なんだし」と、
すぐにそんな言葉を口にしてー、
ようやく到着した学生時代好きだったステーキを
嬉しそうに食べ始めたー。
「ーあぁ~女の人の身体でステーキとか
背徳感を感じるなぁ」
ニコニコしながら、奈美(啓介)はステーキを
口に運び始めるー。
がー、すぐに表情を曇らせるー
「ーあれ…こんな味だったっけー?」
奈美(啓介)はそう呟くと、もう一度メニューを見返すー。
学生時代、よく食べていた”啓介が好きだった”ステーキ。
お店も同じだし、メニューも間違えていないー。
だが、味が違うー。
「ーはは…僕が社会人になって、服役してる間に
味が変わったのかなー?」
そう思いながら、サラダの方に手を伸ばすと、
サラダが”信じられないほど”不味く感じたー
「ぅえっ… えっ!?」
奈美(啓介)が驚きながら表情を歪めるー。
そしてー
「ーーあ…!違うー…
もしかしてー…”味覚”かー…?」
奈美(啓介)は呟くー。
今、啓介が使っているのは”奈美”の身体ー。
奈美の味覚と、啓介の味覚は違うー。
メロンソーダは”たまたま”、二人の味覚で
同じように感じただけで、
他の食べ物に関しては”味”の感じ方が大分違ったー。
それにーー
「そういえば、峯山さん、前に”わたし、野菜は苦手だからー”と
言っていたなぁ」
そんなことを思い出すー。
以前、奈美から”野菜は苦手”と聞かされて
”はははー、看守さんにも好き嫌いはあるんですねー”などと
揶揄ったことがあったー。
”ー別に、野菜が嫌いだっていいでしょ?”
などと、不満そうに言われたのを覚えているー。
サラダが滅茶苦茶不味く感じるのは、
恐らく、そんな”奈美”の身体だからー。
「ーーー…まぁ、これからはーー」
サラダを見つめながら”これからは食べないと”と、
そんなことを思いながら、奈美(啓介)は
そのサラダを頑張って完食するー。
さらには、ステーキも本格的に口に運び始めるも、
途中で満腹になり始めて、
思わず苦笑いするー
「女性の身体だってことを忘れてたー…」
奈美(啓介)は、そう呟くー。
大食いの女性もいるけれど、奈美は少なくとも
そうではないようだー。
しかしー、
”頼んじゃったからには、全部食べないとな”と、
そう思いつつ、必死に全てを完食した。
「ーーー」
ようやく、全てを食べ終えて、
奈美(啓介)は苦しそうにしていると、”尿意”を感じて、
「ーーあ…トイレ…どうすればー…?」と、
女としての初めてのトイレに困惑しながらもー、
「も、漏らすわけにはいかないしー」と、
慌ててトイレへと駆け込んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー…」
”まだ…ーーー…まだ、大丈夫ー
戻って来たと決まったわけじゃないー”
啓介(奈美)は落ち着かない様子で、
牢屋の中、ため息をつくー。
動悸が収まらないー。
このまま”死刑”になったらー?を考えると、
震えが止まらないー。
それでも、時間ばかりが経過していくー。
奈美になった啓介が戻らぬまま、
時間ばかりが、過ぎていくー。
しかし、啓介(奈美)は、
この状況に陥って数時間が経過したからだろうかー。
冷静さも取り戻して来たー。
”もしもこのままだとしても、明日死刑になる実感”が
どうしても湧かないのだー。
「ーそもそも、明日刑が執行されるなんて情報も
彼の勘違いかもしれないしー…」
啓介(奈美)はそう呟くー。
さらにー、今までの啓介の言動からすると、
啓介が逃げるとは思えないー。
いや、思いたくないー。
彼は、死刑判決を1審で受けた際に、
上告する意思すら見せず、
”僕がしたことは全て事実です。罪を受け入れます”と、
弁護士をつけることすら拒み、何もかも受け入れたー。
”死刑から逃れたい人間”のすることではないー。
そんな彼が、今更入れ替わって逃亡するとは思えないー。
大丈夫ー。
きっと、彼は戻って来るー。
そう、信じてー…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
光が差し込むー。
「ーーー出なさい」
「ーーー!!!」
啓介(奈美)は表情を歪めるー。
案内された先はー、
普段、受刑者が訪れることのない場所ー。
そこでー、
簡単なお菓子が出されるー。
啓介(奈美)の身体が震えるー
「ーーこ…これはー…?」
震えながら、お菓子を食べるー。
手の震えが止まらず、もはやお菓子の味を感じることはできないー。
必死に手を掴んでも、もはや何の感触もしないー。
自らの遺品がどう処理されるのかを説明されるー。
何も、耳に入ってこないー。
遺言状を書く時間を与えられるー。
手が震えて、何も書けないー。
そもそも、”啓介”として書くことなんて、できないー。
”わたし…騙されたのー?”
そうこうしているうちに、”次の部屋”へと通されるー。
そこは”前室”ー。
この先の部屋が、死刑執行の部屋ー。
”刑の執行”について説明を受ける啓介(奈美)ー
「ーーわ、わたしは…わたしは泉沢 啓介ではありません!」
啓介(奈美)が耐え切れずにそう叫ぶー。
「ー身体を入れ替えられて、それでー!」
悲痛な叫びー。
”死刑囚と入れ替わった”なんて知られればクビかー、
あるいは自分も死刑囚の脱走を助けたようなものになって、
刑務所行きかー…
でも、それでもーーーー……
もう、言うしかなかったー。
しかしーー
「ーー大人しくしなさいー」
「ーー!!!」
啓介(奈美)は絶望の表情を浮かべたー。
”信じて、貰えないー”
もはや、死から逃れられないー
「い…嫌だ!助けて!嫌だ!!」
「助けてえええええええ!」
泣き叫ぶ啓介(奈美)ー
「ーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
その時だったーーーー
ビクッと身体が震えてーーー
「ーーー…ぁ…」
啓介(奈美)は、目を覚ましたー
「はぁ…はぁ…はぁ…」
いたのは、牢屋の中ー…。
どうやら”寝落ち”していたようだー。
啓介(奈美)は震える手を押さえるー。
啓介(奈美)の身体で、色々考え事をしている間に
寝落ちしてしまったようだー。
”まだ”
入れ替わったその日ー…
刑の執行は”明日”ー
考えすぎて、啓介が戻って来ずに死刑になる夢を見てしまったー。
「ーーー……ー入れ替わったのも、夢ならよかったのにー」
啓介(奈美)はため息をつくー。
残念ながら、入れ替わりは現実ー。さっきまで考え事をしていたのも現実ー。
このまま、彼が戻って来なければ
明日には”正夢”になるかもしれないー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーーーーーーー」
ファミレスで食事終えて、
苦戦しながらトイレも済ませた
奈美(啓介)ー
「ーーーーー」
彼は、病室に入ると”母親”と再会を果たしたー
「ーーあなたは…?」
認知症で、既に啓介のことも忘れている母親ー。
そもそも、今は奈美の身体であるため、
母が認知症でなかったとしても、息子だとは分かってもらえないけれどー。
「ーー母さんー…僕だよー」
奈美(啓介)はそう呟いたー。
「ーーー…けい…すけ?」
”今日は”啓介の名前だけは覚えてくれていたようだー。
日によって、母の調子は大きく前後するー。
「ーーあぁ、僕だよ」
奈美(啓介)はそう呟くー。
奈美の身体だが、認知症の母はー
目の前にいるのを啓介だと認識したのか、
穏やかに微笑むー。
「ーーーこんな僕で、本当にごめんー
迷惑かけて、本当にごめんー」
謝罪の言葉と、感謝の言葉ー。
それを述べ、奈美(啓介)は、母親に自分の気持ちを
伝えるとー、
そのまま、母親とのひと時を過ごしてー、
病院を後にしたー。
「ーーーーーーーーーーーーー」
そしてーーーー
奈美(啓介)はーーー
刑務所ではなくー、近くのカラオケ店を見つけると、
ニヤリと笑みを浮かべながら、
そのままその中へと足を運んだー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!!☆
どんな結末を迎えるのか、
ハラハラしながら、楽しみにしていて下さいネ~☆!!
コメント
どんな展開になるか★!?
時間がないですネ(;∀;)
啓介は自分と考えが似てますネ笑
啓介のモデルは自分な気がしてきました( *´艸`)笑
無名さんのカラダ借りて少し遅れる時は姿見や鏡の前で絶対領域楽しんだり美脚を名残惜しそうに触ってるかもデス( *´艸`)笑
無名さんに延長料のこと言われるの予想してました笑
元に戻れるのか、戻れないのかドキドキですネ~!☆
啓介が
TSマニア様と同じ答えを出すのかどうかは、
明日の最終回のお楽しみデス~!☆
延長延長~☆笑
無名さんが延長ネタをノリノリに使ってるの見て笑いました( *´艸`)笑
無名さんのカラダと入れ替わってる時、延長し過ぎないように気を付けないとですネ笑笑
啓介の場合は延長すると奈美が大変なコトになりますネ(;∀;)
明日も楽しみにしてまっすぅ~~~\(^o^)/
実はTSマニア様に憑依されていて、
そう言うように脳をいじられていたり…?
ぶるぶるぶる☆…!
啓介が延長したら…もう元に戻れないのデス~笑
無名さんとの入れ替わりまで待てない時は
こっそり短時間、無名さんに憑依したいと思ってました笑
無名さん本人の部屋で姿見の前でオシャレして絶対領域楽しみながら美脚触りたいです笑
証拠残さないように気を付けます笑
笑~☆
証拠を残さない憑依…!
ドキドキドキドキ…★!