ある日、突然女体化してしまった親友…。
その親友のことを励まそうと褒めまくっていたところ、
だんだんと親友の様子がおかしくなり始めて…?
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”俺、起きたら女になってたんだけど”
ある日の朝ー、
同じクラスの親友・樋口 正彦(ひぐち まさひこ)から
そんなメッセージが届いたー。
それを見た彼、青山 達也(あおやま たつや)は、
思わず失笑しながら返事を返すー。
”ははー、んなわけねーだろ!”
何も考えずに、そんな変身をした達也。
がー、そのすぐ後に正彦から電話が掛かってきてーー
それに出た達也は驚くー
”ーーほ、ホントに俺、女になってー”
可愛らしい声が電話の向こうから聞こえてくるー。
”今にも泣きそうな”そんな声に
達也はドキッとしながらも、
「え…マ、マジで言ってるー??え???」と、
困惑の表情を浮かべるー。
とは言え、何らかの方法で声を変えているのかもしれないし、
確か、正彦には妹の純恋(すみれ)がいたはずー。
その妹に協力して貰って、ドッキリを
仕掛けてきているのかもしれないー。
そう思いながら、達也は「いや…でも、いきなりそんなこと
言われても、普通は信じられないだろ?」と、
そう言葉を口にすると、電話相手の”正彦を名乗る女”は、
”そ…そうだよなー…ごめん”と言葉を口にして、
そのまま”親に何て言おうかなー…”と、困惑した様子で言葉を口にしたー。
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電話を切ったあとにも、何度かメッセージのやり取りをしたものの、
それ以降の正彦は、いつものような雑談ばかりで、
達也も、今朝の出来事を忘れて”いつものような日曜日”を過ごしたー。
がー、その翌日ー。
「なんか転校生っぽい子いたんだけど」
「しかも滅茶苦茶かわいいー」
「マジか?」
「ー別のクラスじゃね?」
達也が登校すると、教室の中では
”廊下で転校生らしき女子を見かけた”と話題になっていたー。
「ーーははー
転校生かー。アイツ、喜びそうだなー」
そんなことを思いながら、親友の正彦に声を掛けようとする達也ー。
いつも基本的に正彦は”達也より早く”学校に着ていることが
ほとんどであるため、
今日も”いつものように”その姿を探してしまったー
がー…
教室に、”いつもは先に着ている”正彦の姿がなかったー
「ーーーー」
そこで、ふと、昨日の朝の会話を思い出す達也ー
”俺、起きたら女になってたんだけど”
そしてーー
廊下に見知らぬ転校生らしき女子を見かけたという話ー。
「ーーー……」
達也は少しだけ表情を曇らせながらも、
すぐに首を横に振ると、
「いやいやいやいや、そんなことあり得るわけないよな!」
と、自分で自分に言い聞かせるかのように、
言葉を口にしたー。
しかしーーー
朝のホームルームが始まり、
見知らぬ女子生徒を連れて、教室に入って来た担任の先生の言葉を聞いて、
教室中が驚きに包まれていたー。
「ーみんな、聞いてくれー。
樋口は昨日の朝、男から女になってしまったー。
世界で数例だけ実例のある”特殊な病気”によるもので、
樋口はもう男に戻ることはできないー」
担任の先生も戸惑いながら、
そんな言葉を口にするー。
恥ずかしそうに顔を赤らめながら、
下を向いている女子高生ー。
そう、彼女は転校生などではなく、
昨日の朝、本当に女体化してしまった正彦だったー。
正彦は、あのあと、両親に相談ー。
両親と共に病院を受診したところ、
病院の先生が偶然”世界に数例のみ”症例が存在する
女体化の病気のことを知っていて、
その確認のための検査を行ったところ、
正彦がその病気であることの確認が取れたー。
そして、夕方には学校側に相談、
病院の先生からの連絡もあり、学校側もその事態を理解ー、
協議した結果ー、正彦は”男子”ではなく”女子”として
これから扱われていくことになり、
今日に至っているー
「ーー女子はイヤかもしれないがー、
樋口のことはこれから女子として扱うことになるからー…
その、色々教えてやってほしい」
担任の先生も戸惑いの表情を浮かべながら
そんな言葉を口にすると、
”元男子が女子として扱われること”に対して
教室の女子たちから色々な言葉が巻き上がるー。
「ーー……」
顔を赤らめながら、女体化した正彦は、
「み、みんな、本当にごめんー
で、でも、俺、なりたくてこんな姿になったわけじゃー」と、
恥ずかしそうに言葉を口にするー。
元々、友達はそれなりに多いタイプだった正彦ー。
不満を口にしていた女子生徒たちも、
不満そうにしながらも、それ以上文句は言わず、
正彦は申し訳なさそうに、言葉を続けるー
「ーせ、性別は変わっても
中身は俺だからー
今まで通り接してくれれば、嬉しいーー…です」
何だか恥ずかしい気持ちになって、
そう言葉を口にすると、
男子の一人が「ははは、樋口は樋口だぜ!」と、
そんな言葉を口にしたー。
心底居心地悪そうに、自分の座席に向かう女体化した正彦ー。
座席の近い達也が欠かさず、
「大丈夫か?」と、小声で確認すると
「大丈夫じゃねぇ…」と、女体化した正彦はそう言葉を口にしたー。
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女子としての生活に慣れず、困惑の日々を送る正彦ー。
男子からは”どうしても”、下心のある目で見られたりー、
かと言って、女子にも簡単に打ち解けることができないー
そんな状況に、正彦はうんざりしていたー
「ーあ~ぁ…女になってもいいことないなぁ…
色々面倒臭いし」
愚痴のように呟く女体化した正彦ー。
そんな正彦を見つめながら、達也は、
”親友として何もしてあげられない自分”に、
少し申し訳なさを感じつつ、何て言葉を掛けようか迷うー
「ー女になっても中身は男だから全然可愛くないしー、
でも今までみたいに男としても過ごせないしー」
自虐的に笑う女体化した正彦ー。
正彦が発症した女体化の病気は
世界で数例しか症例がなく、男に戻れた人間は
今のところいないのだと言うー。
発症する原因は今現在は全く分かっておらず、
回復する見込みはないー。
「ーーー……」
そんな正彦を見て、達也は咄嗟に声を出したー
「いやー、可愛いよ」
とー。
「ーーーは?」
正彦は顔を赤らめながら達也の方を見るー
「ーお、お、お前も、俺をエロい目で見るのかー?」
正彦は戸惑いながら身体を隠すように後ずさると、
達也は「ち、違うし!」と、すぐにそれを否定するー。
「ーー正彦は十分可愛いよー。
そういう変な意味じゃなくて、普通にー、さ。
ちゃんと可愛いから、中身男だとか気にすんなよ、な?」
達也はそんな言葉を口にするー。
純粋に、落ち込んでいる親友の正彦を少しでも
元気づけようと、ポジティブな言葉を掛けようとしての言葉ー。
突然、女になってしまう病気ー…
などという未知の病気を前に、達也にできることは少ないー。
だが、どうしてもネガティブになってしまいがちな、
そんな状況の親友に、
”ポジティブな言葉”をかけ続けてあげることはできるー。
「ーーーそ、そうかなぁ…」
照れくさそうに目を逸らす正彦ー。
「ーせっかく女になったんだし、しかも可愛いんだから、
もうちょっと自信を持てよ。
いつまでも”中身男なんだから~”とか気にせずにさー。」
達也がそう言うと、
「あぁ、まぁ、もちろん”俺は男だぜ~!”って元気な感じで
いくのもいいと思うけどさー。
悩むより、全然その方がお前らしいし、いいと思うぜー」
と、さらに達也は言葉を付け加えたー。
「ーーーそっかー…それもそうだよなー…」
女体化した正彦はそんな言葉を口にするとー
「まぁ…せっかくだし…どうせこれから女なんだしー…
少しは楽しく過ごせるように頑張るよー」と、
少しだけ笑顔を浮かべながら、そう言葉を口にしたー。
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正彦が女体化してから数日が経過したー。
相変わらず、落ち込んだ様子を見せてはいるものの、
達也は、そんな正彦を元気づけてやろうと、
毎日のように、ポジティブな言葉を掛け続けたー
「ーー絶対、女体化した”元男の女子高生”なんて
嫌がられるだけだろ」
女体化した正彦が自分の髪を触りながら
そんな言葉を口にするー。
今日は”女になっちまったから、この先絶対恋人もできないし、
生涯独身だな”などと、愚痴を言い始めて、
その流れで、正彦はそんな言葉を口にしたー。
「いやいやいや、正彦、滅茶苦茶可愛いし、
そもそも男子の中には、そんなこと全然気にしない奴も多いだろ?
現に、正彦が女体化してからー
お前は嫌がるかもだけど、”そういう目”で見てるやつもいるじゃん」
達也がそう言葉を口にすると、
「それはエロイ目で俺を見てるだけだろ」と、正彦が
恥ずかしそうに言葉を口にするー。
「いやいや、まぁ、そういう奴もいるかもだけど、
少なくとも”元男だから嫌だ”とか、そういう風には
思われてないからこそ、そういう目で見る奴もいるんじゃないかー?
それにほら、世の中には男の娘でもOKなやつもいるんだし、
お前は、男の娘どころか、身体は本当に女になってるんだからー」
達也がそう言うと、正彦は「ま…まぁ…」と、少し恥ずかしそうに目を逸らすー。
「それに、進学すれば、正彦が”元男”だと知る人間もほぼいなくなるわけだしー
普通に可愛いから、恋人できるんじゃね?」
達也がそこまで言葉を続けると、正彦は
「ーーま…まぁ、それもそうかー…」と、頷くー。
がー、「俺、女子と恋愛したかったなぁ~!!」と、少し悔しそうに、
けれども明るい口調で言う正彦を見て、
達也は少しだけ笑うー
「な、なんだよー…女の子同士で恋愛しちゃ悪いのかよ」
正彦が恥ずかしそうに顔を赤らめると、
達也は「いや、正彦がだんだん元気になってきてよかったーって思って」と、
そんな言葉を口にしたー
「ーーーーーはは…
達也のおかげだよー…色々ありがとな」
毎日毎日、”可愛い”とか、色々ポジティブな言葉を掛け続けられた正彦は、
最初は落ち込んでいたものの、だんだんと”女体化した自分”の
生活を少しずつ、受け入れられるようになりつつあったー。
確かに、言われてみれば結構可愛いしー、
クラスでもそれなりに上手くやっていけそうなー、
そんな気がするー。
そしてーー
「ーーお兄ちゃんーーーじゃなくて、お姉ちゃん!
これ、着てみて!」
帰宅すると同時に、妹の純恋が面白そうに笑いながら
そんな言葉を口にするー
「ーーぶっ…!?」
妹の純恋は、兄の正彦が女体化したことを
心底楽しんでいて、
正彦に色々な服を着せては、
”かわいい~~!”と、一人で楽しんでいたー。
純恋もそれなりに可愛いのだが、
”純恋から見ると”女体化した兄・正彦は
”超・かわいい”らしく、
「わたしより可愛くてずるい!」などといつも騒いでいるー。
「ーーーって…こ、こんな服どこから!?」
正彦は、顔を赤らめながら叫ぶー。
妹の純恋が手にしているのはメイド服だったー。
「ーーえ…こ、これ…純恋の?」
恥ずかしそうに言葉を口にする正彦ー。
今まで、純恋に”これ着て”と言われる服は
私生活でも着るようなものだけだったが、
今日はついにメイド服を出して来たー。
「ーわたしが着るわけないでしょ!
お姉ちゃんに着せたくてわざわざネットで買ったの!」
純恋の言葉に「いや、買うなよ」とツッコミを
入れると、「とにかく着て見て!お姉ちゃん!」と、
純恋はニヤニヤしながらそう言葉を口にしたー。
「ーーえぇ…い、嫌だなぁ…」
正彦が恥ずかしそうにそう言葉を口にするー。
がー
「ーえ~…じゃあ、女の子としての生き方教えるのやめよっかなぁ」
と、純恋が不満そうに言葉を口にするー
女体化してから”女”としてのトイレから、着替え、
下着のあれこれ、生理のあれこれ、色々なことを教えてくれている
”先生”になっている純恋ー。
正直、知識に乏しい正彦はとても助かっているー。
が、メイド服を着ないとそれをやめると言われた正彦は
「わ、分かったよ!着ればいいんだろ!」と、叫びながら
メイド服に着替え始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わぁ~~~!!かわいい~~~!
あぁ、ダメ、鼻血出そう!」
妹の純恋が、メイド服姿の女体化した正彦を見て
嬉しそうに騒ぐー
妹の部屋の姿見で、”メイド服を着た女体化した自分”を
見つめる正彦は、
少しだけ顔を赤らめながら、ある感情を抱いたー
”ーーー俺、かわいいー……”
ゾクッとしたー…
女体化してから、初めて、自分のことを心の底から強く”可愛い”と思ったー。
周囲から可愛い、可愛いと言われ続けた女体化した正彦ー。
その心境には、次第に変化が現れつつあったー…。
②へ続く
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コメント
女体化したあとに、周囲からたくさん褒められて……
なんだか、ちょっと不穏な感じもしますネ~笑
どうなってしまうのかは、
明日の②のお楽しみデス~!!
今日は風が強い地域が多いみたいなので
皆様も気を付けて下さいネ~!
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