とある”組織”に捕まってしまった捜査官。
捜査官を前に、組織の男は言った…。
”何匹まで耐えられるかなー?”
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーくっ……わたしは絶対に何も喋らないわー」
苦しそうな表情でそう言葉を口にする拘束された女ー。
「ーークククー
流石、”潜入捜査官”になれるだけのことはあるなー。
大した女だー」
笑みを浮かべる男ー。
ここは、犯罪組織・アビスのアジト。
そして、彼女はそのアビスに潜入捜査を行っていた捜査官・晴美(はるみ)ー。
最近不穏な動きを見せているアビスの調査のために、
潜入捜査を行っていた晴美だったが、
どこからか情報が洩れ、
犯罪組織アビスの現首領、魔崎(まざき)に捕まってしまったのだー。
「ーだが、いつまで持つかな?」
魔崎はそう言葉を口にすると、笑みを浮かべながら
晴美に近付いて来たー。
不気味な仮面を身に着け、その素顔は見えないー。
だが、この魔崎という男が”危険人物”であることは理解できるー。
「ーーー…っ… う…」
表情を歪める晴美ー。
魔崎は、焼き鏝のようなものを晴美に押し付け、
晴美は必死に痛みに耐えるー。
「ーー…俺はなー、女、子供、老人ー
誰であろうと容赦はしないー。
この性格で俺は”アビス”の頂点にまで上り詰めたー。
何も語らず、無事に死ねると思うなよ?」
魔崎はそう言葉を口にすると、
晴美は「ーーどんなに苦しんでも、わたしは何も喋らないー」と、
魔崎のほうを睨み返したー。
「ーほぅ。そうかー。
まぁいい。俺も”普通の拷問”でお前が喋るとは思っていないさ」
魔崎はそこまで言うと、
何度か頷きながら、一旦部屋の奥に向かうと、
何か虫かごのようなものを持って戻って来たー。
晴美は、思わずそんな魔崎を見て笑うー。
「ー虫でわたしが怖がるとでもー?」
晴美のその言葉に、魔崎は低く笑うと、
「いいや、そんなことは思っていないさー。」と、言葉を返すー。
例え、どんなに気持ち悪い虫を身体に這わせられたとしてもー、
どんなに凶悪な毒を持つ虫で脅されたとしても、
晴美は何も喋るつもりはなかったー。
例えこのまま殺されても、晴美は職務を全うするー。
そんな心の持ち主だからこそ、秘密裏に結成された
”潜入捜査のチーム”に選ばれたのだー。
だがーーー
「ーーこれは、我々アビスが研究・開発中の
”寄生虫”ー」
そう呟く魔崎ー。
虫かごの中には、不気味な”白いミミズ”のようなものが
蠢いているー。
「ーーまだ研究段階だが、
こいつらは、”人間を乗っ取る”ことも可能でねー。
1匹1匹に、我々アビスへの忠誠心を植え付けてあるー。
こいつらを、お前に寄生させたらー…
お前はーーーどうなるかな?」
笑みを浮かべる魔崎ー。
その言葉に晴美は「そんなもの…」と、強がって見せるも、
心の中では強い不安を感じ始めていたー。
「ーーさぁ、早速一匹ー
お前に寄生させてみるとしよう」
魔崎はそう言うと、白いミミズのような見た目の寄生虫を
その手で掴むと、拘束している晴美の方にそれを近づけて来たー。
晴美の目の前に寄生虫を持ってきて、それを見せるー。
寄生虫は不気味に身体をくねくねさせながら蠢いているー。
「ーーーこいつが、今からお前の身体の中に入るんだー」
魔崎はそれだけ言うと、
笑みを浮かべながら言葉を続けるー。
「ーそれが嫌ならー…
すべてを洗いざらい話してしまえー。
そうすれば楽になるぞ?」
魔崎の言葉に、晴美は冷静に考えるー
”人間を乗っ取る寄生虫なんているはずがないわー
それに、もしそういう寄生虫がいても、わたしは絶対に負けないー”
晴美は心の中でそう考えるー。
寄生虫などいるはずがないー。
これは、自分に情報を吐かせるためのハッタリだと、
晴美はそう心の中で判断したー。
「ーーそうか。あくまでも意地を張るかー。
まぁいいだろう」
魔崎はそう呟くと、白いミミズのような寄生虫を手に、
それを晴美の耳へと近づけたー。
そしてーー、
耳の中に無理矢理それを捻じ込むー
「っっっーー…!」
耳に痛みが走り、同時にピクッと身体が震えるー。
頭の中に、何か”別の考え”のようなものが混じりそうになり、
晴美はすぐに首をぶんぶんと振るー。
犯罪組織アビスに対する好意的な感情が
急に心の中に湧き上がりそうになるー。
だがー、それをすぐに抑え込み、
晴美は「あなたたちの寄生虫も、大したことないわねー」と、
強がって見せたー
”何なの?この虫ー…
でも…大丈夫ー”
晴美は、思った以上に”おかしな感覚”に陥りかけたことに
少し不安を感じながら
”このぐらいなら”大丈夫だと、心の中で今一度冷静さを取り戻し、
魔崎のほうを見つめるー。
「ほぅー…さすがは気の強い女だー。
そういう女は嫌いじゃない」
魔崎はそう呟くと、再び容器から”寄生虫”を一匹取り出して
晴美の方を見つめたー。
「寄生されてもなお自我を保っているとは、なかなかやるなー。
こいつらの”改良”も、まだまだ視野に入れなければならんなー。
まぁーー
”何匹まで”耐えられるかどうか、じっくり見せてもらうとしようー」
魔崎はそう言い放つと、今度は晴美の口を無理やり開きー、
そこに寄生虫を手で捻じ込むー
「がはっ… ごほっ…」
咳き込む晴美ー。
一瞬、目の前にいる魔崎を見て
まるで学生時代”好きな先輩”を見たかのような、
そんな不気味な気持ちが、心の中を駆け巡るー。
「ーーーぅ……こんな寄生虫ー大したことないからー」
晴美がなおも強がるー。
”寄生虫なんかに、支配されないー”
そう強い意識で、晴美は魔崎を見つめるー。
だが、魔崎は笑みを浮かべるー。
「”虫”は何匹でもいるー。何匹でも、なー」
そう言うと、3匹目の寄生虫を、魔崎は晴美の
鼻の穴に捻じ込んでいくー。
「ーーぅ… ぅ… ぁぁっ…」
苦痛を感じ、晴美が思わず声を漏らすー。
だがー、不思議なことに
”だんだんと”この状況に対する不安や恐怖心のようなものが
薄れていくのを晴美は感じたー。
ゆっくり、けれども確実ー、
”今の状況に対する不安”が、無くなっていくー。
「ー何匹寄生させても、無駄ー。
わたしはあんたなんかに屈しないしー、
このまま死ぬだけー」
晴美はそう言葉を口にするー。
彼女の過去は”謎”に包まれているー。
しかし、犯罪組織に対する強い憎しみを抱いていて、
過去に”何かあったのだろう”ということは
同僚たちも良く知っていたー。
晴美は”どんな拷問を受けようとも、絶対に情報を漏らさない”
仲間たちは、そう確信できるほど、晴美のことを信頼していたー。
「ククククー
3匹に寄生されてもまだ抗うかー。なかなか頑固だなー
潔く、身を委ねろー。
その方が、楽だぞ?」
魔崎はそう言うと、先ほどとは反対側の耳に寄生虫を捻じ込むー
「ーーわたしは負けない…」
晴美は必死にそう言葉を吐き出すー。
頭の中がごちゃごちゃしてくるー。
”わたしは負けない”と、自分に言い聞かせていないと、
くじけそうな、そんな気持ちになるー。
「ーーー目が虚ろになってきたぞ?
大丈夫かー?ククー」
魔崎はそう言うと、晴美に「口を開け」と言い放つと、
晴美は「ま、負けないー」と言いながらも、
”指示”に初めて従ったー。
5匹目の寄生虫を晴美の中に寄生させるー。
晴美は、ぼーっとした様子で、ブツブツと
「わたしは、何も喋らないーあんたなんかにー」と、
ロボットのように言い放ったー
”大した女だー…5匹に寄生されてもなお、
まだ抗うとはなー
まぁーー…でも、そろそろ限界かー”
魔崎はそう言葉を口にしながら、
晴美の方を見つめるー。
晴美は、ギリギリのところで、気力だけで
”わたしは何も喋らない”を繰り返しているように見えるー。
「ーーー…そうかそうかー」
魔崎はそう言うと、笑みを浮かべながら
明美を見つめるー。
そしてー、明美の前に6匹目の寄生虫をぶら下げると、
「ー自分の手でこいつを掴み、飲み込めー」と、
笑みを浮かべたー
晴美は、虚ろな目のまま、魔崎を見つめるー。
「ーーーー……わたしは…あんたなんかの言いなりにはならないー」
微かに気力が蘇ったのか、そう言い放つ晴美ー。
魔崎は笑いながら、晴美のスカートの中に無理矢理手を突っ込むと、
そこに寄生虫を放つー
「ーー次は下から寄生させてみよう」
いたぶるように笑う魔崎ー。
「ーーっ… ぐ… ぁ…」
下着を食い破って、アソコから寄生虫が侵入する感触を味わう晴美ー。
晴美は、冷や汗をかきながら「あ…ぁ… ぁ」と、苦しそうに声を上げるー。
「ーさぁ、我々アビスに忠誠を誓うがいいー。
無駄な抵抗はやめて、大人しく身を委ねろー。
苦しい時間が、長引くだけだぞ?」
魔崎はそう言い放つー。
やがてー、しばらく晴美は震えていたものの、
とろんとした目つきになってー
「ーー全部…話しますー」と、そう言葉を口にしたー。
”6匹かー。よく粘ったものだなー。”
魔崎は笑みを浮かべながら、晴美から情報を聞き出すー。
晴美は、自分が所属しているチームや、
同僚の捜査官、指揮官…
全ての情報を全て吐き出したー。
「ーーー」
魔崎は、それを聞き、”嘘”がないかどうかを確認するー。
寄生虫と共に開発した”嘘を探知するスキャナー”を晴美に向けるー。
が、晴美の脳波には”嘘をついている波長”は
見られず、魔崎は笑みを浮かべるー。
「ーーしかし、6匹目まで完全に支配されずにいたとはー
なかなか気に入ったよ」
魔崎はそう言うと、拘束された晴美の胸を揉みながら
「これからは俺を満足させるためだけに生きるんだーいいな?」と、
そう笑みを浮かべたー。
「はいーーー♡」
幸せそうに微笑む晴美ー。
魔崎が拘束を解き、
「ーさぁ、かつての仲間を葬りに行こう」と、そんな言葉を
晴美に口にするー。
がーーー
晴美は、突然笑みを浮かべたーーー
「ーーー!?」
魔崎が驚くー
晴美が近くにあった”焼き鏝”を掴むと、
それを魔崎の顔面に押し付けたー
声を上げて倒れ込む魔崎ー。
「ーーわたしは…ーーあんたなんかにー」
晴美は歯ぎしりしながら言うー。
捜査官の情報を全部口にしたのはー
”油断させるため”の罠ー。
”このままじゃわたし、支配されるまで寄生虫を寄生させられる”と
そう感じた晴美は、完全に支配されたフリをして、
”あえて本当の情報”を喋り、魔崎を油断させたー。
胸を触られたのも、我慢したー。
完全に、自分の意識が消える前に、魔崎を始末するためにー。
「ーーーぐっ…貴様…まだ!?」
魔崎が表情を歪めながら晴美を見つめるー。
晴美は苦しそうにしながら、
”拷問”のために用意されていたナイフを手にするー。
「ーーー…ぐ……ろ、6匹だぞ!?6匹も貴様に寄生した!」
魔崎がそう叫ぶー。
しかし、晴美は「ーーあんたたちの寄生虫よりもー
わたしの意思の方が強かったってだけ!」
と、虚ろな目のまま叫ぶー。
そしてーーー
晴美は、頭の中がごちゃごちゃする中ー、
魔崎のほうを見ないようにして、
魔崎に近付いていくー。
魔崎のほうを見ると”大切な人”を見ているような
そんな錯覚をしてしまうからー。
何かに、自分が飲み込まれそうな気がしてしまうからー。
「ーーう…うああああああああああああ!」
晴美は自分の意識が消えてしまわないように、
必死に声を張り上げると、魔崎の首筋に思いっきりドスを
突き立てたーーー
「ーーーーぁ…」
魔崎は驚きに目を見開いて、そのまま絶命するー。
それを確認した晴美は満足そうに微笑みー、
そのままその場に倒れ込んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーはぁ…はぁ…はぁ…」
座り込んだ彼は、少し息を吐き出しながら、
目の前で、ナイフを手に笑みを浮かべている女を見つめたー。
「ーーー…ーーー魔崎さまー…」
その女ー、晴美が嬉しそうに笑みを浮かべるー。
「ーーク…ククーー…ギリギリだったなー…」
魔崎は、青ざめた表情を浮かべながらも立ち上がるー。
晴美はーーー…
魔崎を追いつめたあとー、
魔崎にトドメを刺す直前ー、
”これで、終わる”という安堵から、わずかに心に隙が生じてしまったー。
そしてーー
晴美は、魔崎にトドメを刺す直前ー、
寄生虫に完全に乗っ取られてしまったー。
晴美が、最後に見た光景は、晴美本人の意識が支配される直前に見た、夢ー。
「ーーークククー
気の強い女は好きだぞー
これからお前は俺の愛人として生きていくんだー。いいな?」
魔崎がそう言うと、晴美はナイフをその場に捨てて
幸せそうに微笑んだー
「ーーーはいーーーーよろしくお願いしますー」
晴美の眼にはもうーー…
”大好きなひと”しか映っていなかったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ギリギリのところで寄生虫に支配されてしまう
結末でした~!☆
最後に、ナイフを掴んだはずなのに、
トドメを刺すときには、ドスを持っていたので
もうその時点では、寄生虫に支配されて幻を見ている状態だったのデス…。
お読み下さりありがとうございました~!☆
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