<憑依>僕の憑依魔法③~父上~(完)

魔法使いの名門家に生まれ、
優秀な姉二人から蔑まれる日々を送って来た彼ー。

しかし、執念の研究の末に”憑依魔法”を会得した彼は、
日々、憑依魔法を成長させながら、二人の姉に対して
その力を見せ付けていくー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーふふふふ♡
 僕の憑依魔法で支配される気分はどうかなー?
 教えてよー リーディア姉さんー」

長女・リーディアに憑依したファビオは、
鏡に映るリーディアに向かって、そう言葉を口にしながら
不敵な笑みを浮かべるー。

「ーー見下してた僕の魔法で、自由に身体を使われてる気分を、
 知りたいなぁ~」

リーディアはそこまで言うと、クスクス笑いながら
自分の胸を揉み始めるー。

ファビオは特別、下心まみれ…というわけではなかったものの、
”いつも僕を見下してくるリーディア姉さん”に
こんな風に胸を揉ませているこの状況にー、
激しい高揚感を覚えていたー

”僕をいじめていたリーディア姉さんの尊厳を踏みにじっている”
そんな気がして、たまらなかったー。

鏡に映る自分に何度も何度もキスをしながら、
やがて、遊び終えると
リーディアの身体から抜けるファビオ。

正気を取り戻したリーディアは怯えた表情を浮かべながら
「ーあ、あんたー…いい加減に!」と、そう叫ぶー。

がー…その日の夕方ー。
今度は次女のクララに憑依したファビオが
リーディアの元を訪れたー

「ー姉さんー ふふ 今、どんな気持ちー?」
憑依されたクララが、強引に姉のリーディアにキスをするー

「ー僕に憑依された妹に、こうやってキスされてる気分は
 どんな気分なのか、教えてよー?」

ニヤニヤしながらそう言い放つクララー

「ーや…やめなさい!妹とキスなんてー」
リーディアが必死にクララを押しのけようとするも、
クララに何度もキスをされて、悲鳴を上げるー。

「ーーそうだー…」
クララは、ふと思いついたかのように笑うー。

「僕の憑依魔法、また進化したんだー」
そう言い放つと、クララの身体から黒い煙が噴き出すー。

がー、クララはまだ邪悪な笑みを浮かべたままー

「ーどう?”分魂”できるようになったんだー。
 クララ姉さんに憑依したままー
 リーディア姉さんにも憑依できるんだよ?」

クララはそう説明すると、逃げようとするリーディアに憑依ー。
”憑依して乗っ取った二人の姉さん”同士で、
この上ないほどの、欲望の時間を存分に堪能したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーお父様ー
 ファビオを止めてー!」

それからも、憑依の日々は続くー。
ファビオの憑依能力がどんどん強化されていくことに
リーディアも、妹のクララも危機感を覚えていたー。

既に”半日以上”憑依状態が持続できる段階にまで
成長していて、このまま成長を続けることに、
リーディアもクララも恐怖さえ感じていたー

「ーーあいつ、”憑依”魔法をー」

長女のリーディアは、そう言葉を口にしながら
病床の父・サンドロの元を訪れていたー。

「ーリーディア…落ち着きなさいー」
サンドロはここ数年、ずっと病床に伏した状態のままー、
実際には病気ではないものの、
次女のクララの手によって”回復魔法の過剰摂取”や、
”回復魔法に混ぜて、適度な毒魔法”を、掛けられていて、
ずっと体調不良の状態が続いているー。

全ては”父を生かしたまま、都合よく利用する”という
腹黒な次女・クララの陰謀ー。

長女のリーディアはそんなことも知らず、
弟のファビオの”暴走”に、恐怖し、サンドロに助けを求めていたー

「ー”憑依”魔法ー?
 それは本当なのか?」
サンドロはベッドに座ったまま、そう言葉を口にすると、
リーディアは「本当よ!」と、さらに事情を詳しく説明するー。

もちろん、プライドが高く、性格の悪いリーディアは、
”ファビオをいじめてきた”ことについては何も触れず、
自分の都合の良いように話を捻じ曲げた上で、事情を説明したー。

その結果ー…
リーディア、クララ、ファビオ…
3人の子供が父・サンドロの元に呼び出されていたー。

「ーーー…父上…お話とは何でしょうか?」
ファビオがそう言うと、
「ー”憑依”魔法のことだー」と、父・サンドロはそう言葉を口にしたー。

「ーーそ、それはー」
ファビオの味方は小さい頃から”父上”だけだったー。

父・サンドロは、ファビオが魔道学校でいじめられていると
よく助けてくれたし、
姉二人と、平等に扱ってくれていた。
そして、ファビオの魔法の訓練にもよく付き合ってくれていたことから、
ファビオにとっては今も変わらぬ、大切な存在ー。

そんなサンドロからの言葉を、ファビオをしっかりと聞いていくー。

姉たちに”憑依”されたことを一方的に指摘されたファビオは
「ー姉さんたちが、僕をー!」と、”いじめ”のことを口にするー
今までは仕返しが怖くて黙っていたし、
”父上に迷惑をかけたくない”という理由で黙っていたー。

リーディアもクララも、”父”の前では表立って嫌がらせは
してこないために、サンドロのそのことは知らなかったのだー。

「本当なのかー?リーディア、それにクララー」
ファビオから”いじめ”のことを言われた父・サンドロは
そう言葉を口にするー

「ーーー…はぁ?いじめ?
 そんなことしてないし!
 あの”無能”が、全然魔法のレベルも上がらないし、
 少し揶揄っただけ。
 それをいじめと言われるなんて、心外だわ」

長女・リーディアは不満そうにそう呟くー。

がーーー

「ーーーーお父様ー…申し訳ありませんでしたー」
次女のクララが、突然その場で土下座をしながら、
謝罪の言葉を口にするー

「ク…クララ!?」
思わず、リーディアはファビオの方を見るー。

が、ファビオは憑依魔法を使っている気配はないー。

「ーーわたしと、”リーディアお姉さま”が、
 ファビオのことを下に見て、いじめていたのは事実ですー。

 ファビオが憑依魔法を使って、わたしたちに憑依したりしているのも
 全部、わたしたちのせいですー。
 本当に、ごめんなさいー」

土下座しながらそう言い放つクララー。

「ーーーくっ…」
リーディアは不満そうに表情を歪めるー。

「ーーーーー」
父・サンドロはその言葉を聞くと、

「ーファビオ…二人には俺からきつく叱っておこうー。
 悪いのはこの二人だー。

 だが、”過ぎた力”は、いずれ全てを壊してしまうー。

 ”憑依魔法”の使いどころは選ばねばならないー。
 分かってくれるな?」

と、そう言葉を口にするー。

「ーーー」
ファビオは戸惑いの表情を浮かべながらも、
”自分がどんどんエスカレートしている”ことには、
薄々気付いていたー。

人間、”力”を持つと、それを使わずにはいられないー。

「俺は、ファビオー。お前に不幸になって欲しくはない。
 力に溺れた先に待っているのは、破滅だー。
 そうなってから気付いたのでは、遅いー。

 ファビオ。これは”父”からの願いだー。
 頼むー。 憑依魔法の使い方は、もう一度よく、
 自分で考えて見てほしい」

父・サンドロの言葉に、
ファビオは「ーーー…父上ー」と、言葉を口にしながら
「分かりましたー」と、頭を下げたー。

その場でサンドロは、
姉・リーディアと、次女のクララに対して
離宮での謹慎を命じるー。

怒りの形相で叫ぶ長女のリーディア。
父・サンドロに助けを求め、ファビオが悪い!という体にしようと
していたのに、クララのせいで台無しだー。

「ーーーー本当に、申し訳ありませんでしたー」
がー、次女のクララは土下座をしつつ、
そんな言葉を口にしながらも、不気味な笑みを浮かべていたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー
2人の姉は離宮で謹慎となり、ファビオとの接点はなくなったー。

「ーすまなかったなー。ファビオ。辛い思いをさせてー」
依然として体調の悪い父・サンドロ

だが、今日は”詫び”も兼ねてと、
父・サンドロは、ファビオと一緒に食事をとることにして、
こうしてファビオを自室に招いていたー。

ファビオは「いえ…」と、戸惑いながらも、
「ー確かに僕は、暴走するところでしたー」と、そう言葉を口にするー。

「ーーー子たちが間違った方向に進もうとしているのを
 止めるのも、父の務めだー。気にするな」

父・サンドロはそう言うと、「さぁ、執事に用意させた料理が冷めるぞ。食べよう」と、
そう言葉を口にしたー。

久しぶりに父と1対1の食事ー。
噛みしめるように、最初の料理を口にするファビオー。

がー…その時だったー

「ーー!?!?!?!?」
突然、異様な苦痛が身体を襲い、もがくようにして
イスごと倒れると、床をのたうちまわったー。

「ーーーー…う… ぅ… うぅぅぅぅ」
苦しむファビオー。

「ーーすまないな。ファビオ…」
父・サンドロが、そんなファビオの姿を見つめながら呟くー。

「ーーお前のことは愛しているー。
 だが、”憑依魔法”は危険すぎるー。
 お前がどんなに”使わないと”約束してくれても、
 その魔法一つで”我が家”は壊れてしまうかもしれないー。

 だからー…すまない」

サンドロの言葉に、ファビオは全てを悟ったー。

父・サンドロは、息子のファビオを抹殺するために、
料理に毒を盛ったのだー。

「ーち…父上…!」
リーディアとクララー、
2人の姉のことは嫌っていても、
父・サンドロのことは慕っていたファビオ。

その、心から慕っていた父の裏切りに
ファビオは失意のどん底に叩き落とされながら、
そのまま力尽きてしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーすまなかったなー
 二人ともー」

”一時的に”隔離していた
リーディアとクララ…娘二人を離宮から戻すと、
父・サンドロは、そう言葉を口にした。

「ーーファビオは”魔法の修行中の事故”で死んだよー」
サンドロはそう言うと、悲しそうな表情を浮かべるー。

「ーーえぇ…!?あの無能がー?!」
驚く長女のリーディア。

「ーーーーー修行中の事故ー…
 それは、残念ですー」
次女のクララはそう呟くー。

「ーー…お前たちは、そのようなことがないようにー」
サンドロはいつものように咳き込みながら、調子悪そうにそう言うと、
そろそろまた休む、と言い放って
そのままリーディアとクララに離宮から出るように促したー。

立ち去りながら、次女のクララは笑みを浮かべるー。

”ふふふーわたしの予想通りー”

クララは、”あえて”いじめも含む全てを打ち明け、
父・サンドロに謝罪し、遠回しに父・サンドロに助けを求めたー。

姉のリーディアのように、”自分たちのいじめは隠したまま”では無理だー。

そこで、クララは自分たちの悪事まで明るみにリスクを背負った上で、
父に土下座をし、反省の意を示したー。

”慎重な父上は”憑依”なんて力のことを知ればー、
 そして、自分たちが反省していることを知れば、
 必ず最終的には味方してくれるー”

クララはそう確信していたー。

「ーーお父様は、ファビオよりもわたしたち”娘”のことを
 溺愛していたんだものー」

クスクスと笑うクララー。

表向きは”3人平等”だった父ー。
しかし、クララは父のわずかな表情の変化や言動から、
”わたしが一番愛されている”と、そう確信していたー。

必ず、最後には自分の味方をしてくれる、とー。

結果ー、父・サンドロは、ファビオを切り捨てる道を選んだー。
当然、父も悩んだ結果だろうけれどー、
最終的にはクララの思い通りになったのだー。

”息子”と”娘”ー、そして”一族の繁栄”
それらを天秤にかけて、”息子”を捨てる決断をしたのだー。

「ーーわたしは、自分のためなら
 土下座だって何だってするからー」

クララは笑みを浮かべると、”お父様を死なない程度に生かしておいて良かったー”と、
静かにそう言葉を口にしたー。

がーーー
そんなクララの背後に、目を赤く光らせー
憎しみに満ちた”亡霊”の姿があったー。

死んだファビオはー、消えなかったー。

既に、かなりのレベルにまでパワーアップしていた憑依魔法は、
肉体が死んでもなお、ファビオを”怨霊”として現世に
留まらせていたー。

「ーーーーまずは、クララ姉さんーお前だー」
ファビオがそう呟くー

その言葉は、クララには聞こえないー。

しかしー、
あまりの強い怨念に、悪寒を感じたクララが振り返ると、
その直後ー、クララはビクッと震えてー、
目を赤く光らせ始めたー

「ーーまずは、お前から壊してやるー
 
 それで、次はリーディオ姉さんー、最後に、父さんだ…」

憑依されたクララは、赤く目を光らせたまま、
憎しみの言葉を口にするとー、
その場で、自分自身に何度も何度も毒魔法をかけー、
嬉しそうに笑い始めるー。

そして、その日の夜ー、
とても気持ちよさそうな笑みを浮かべたままー、
毒死しているクララの姿が見つかり、騒然となるのだったー…

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

恐ろしい結末になってしまいました~!☆

父親が、ファビオに毒を盛ったりせずに、
そのまま上手く姉たちとファビオを引き離したままにしていれば、
彼も憑依魔法を乱用したりすることもなく、
もしかしたら、平和な未来が待っていたかもしれないですネ~…!
(結局、何かの拍子でファビオが憑依魔法を使って暴走する可能性もありますケド…!)

お読み下さりありがとうございました~!☆!

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コメント

  1. 匿名 より:

    息子を信じず、安易に切り捨てたばかりにすべてが最悪な方向に行ってしまいましたね。

    クズすぎる姉達や偽善者な父親が報いを受けることになりそうな結末でよかったです☆

    それにしても、復讐を完了した後どうなるのか気になります。
    もう1人の姉の方は殺さずに身体を奪って第二の人生を始めるという可能性もありそうですよね。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~~!!

      わわっ!
      よく分かりましたネ~!笑
      最後はお姉さん…かは分かりませんケド、誰かの身体を奪って
      第2の人生を始める感じでイメージしていました~笑

  2. 匿名 より:

    Since the son gained the ability to read memories, I think the story can probably change a little?
    Like how he realize that the sister is poisoning their father, and told the father before the said meeting?

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      記憶は、憑依した時にその人の記憶が全部流れ込んでくる感じではなく、
      ファビオが読み取ろうと思った部分を読む感じなので、
      ファビオが「ここを知りたい!」と思わないと、
      細かい部分までは読み取れない感じですネ~!☆
      (物語内で、もっと説明しておけば分かりやすかったかもしれませんネ…★!)
      ファビオは、姉二人への復讐のために役立つことしか、
      記憶を読み取ってなかったので、最後までクララが父親に毒を盛っていることには
      気付きませんでした~!

      コメントで頂いた通り、もしもクララからその記憶を読み取って
      父親に伝えることができていれば、
      運命も変わったかもしれません…★!

      その場合を想像してみるのもちょっぴり面白いですネ~!
      ありがとうございます~~!

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