妹は数年前に”男”と偶然入れ替わってしまっていたー…
彼女の兄も、両親も、そのことに気付かぬまま、
数年間の時が流れたー。
しかし、男と入れ替わって、男の身体で昏睡状態となっていた
妹が目を覚ましてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーお兄ちゃんただいま~!」
高校に通う妹・笹森 真由美(ささもり まゆみ)が、
いつものように帰宅するー。
「あ、真由美ー。おかえりー」
兄で大学生の直樹(なおき)が、真由美の帰宅に気付いて
そう言葉を口にするー。
兄の直樹も大学から帰宅したばかりのようで、
帰りに寄って来たと思われるコンビニの袋から
美味しそうなスイーツを取り出していたー。
じっとそれを見つめる真由美ー。
「な、なんだよー?」
真由美の視線に気付き、苦笑いしながら直樹が
嫌な予感を感じながらそう言葉を口にすると、
真由美は「美味しそう~!」と、目を輝かせながら
「ー食べたいな~♡」と、甘えたような声を出したー
「ーーぐぐっ…」
直樹は表情を歪めながらも、
「お兄ちゃん!おねがいっ」と、可愛らしくお願いして来る
真由美に負けて、「あ~~わかったわかった」と
買って来たばかりのスイーツを差し出すー。
「ーやった~♡ お兄ちゃんありがと~!」
真由美はとても嬉しそうに喜んでみせると、
兄から貰ったスイーツを早速嬉しそうに食べ始めるー。
「ーーはぁ~…真由美には敵わないなぁ
そうやって”かわいい”を武器にされちゃうとさ」
ため息をつきながら笑う直樹ー。
「ーでもお兄ちゃん、喜ぶわたしを見て
かわいいと思ってるでしょ?」
真由美が笑いながら言うと、
直樹は「ーーーま、まぁ」と、照れくさそうに
言葉を口にするー。
妹の真由美は”かわいい”ー
昔から、直樹は真由美のことを可愛がっていたが、
高校受験をする時期に入ったころから、急激に可愛くなり始めて、
その頃から、”自分の強みを理解している”というか、
”かわいい”ことをこうして強みに使うようになり始めたー。
それまでは、どちらかと言えば世間では”地味”な感じに
見られてしまうような子だった気がするし、
性格も控えめだったような気がするのだがー、
ちょうど、そういう感情が芽生える時期だったのだろうかー。
その頃に急激に可愛くなって、今に至るー。
見た目もおしゃれになったし、
今みたいに”自分の可愛さ”を上手く利用するような、
あざとさも身に着けたー。
がー、不真面目になったとかそういうことはなく、
寧ろその頃から成績も急激に上昇して、
高校でも”優等生”で通っている様子だー。
急におしゃれになってー、急に明るくなって、
急に勉強も頑張ってー…
そんな様子から、当時、両親も少し不思議がっていたものの
兄・直樹は”彼氏ができたとか、好きな男子でもできたんじゃないか?”と、
そんな風に考えていたー。
しかしー、当時、真由美に”彼氏でもできたんだろ~?”と
冷やかすようにして言うと、
”う~ん わたし、男の人は恋愛対象として見れないかも~”などと
返事をされてしまい、
それから数年、今も真由美に”彼氏”はいないようだったし、
”好きな男子”もいないようだったー。
とは言え、中学生から高校生あたりの年齢では
急に変わる子も結構いるし、
直樹も、両親もそれ以上は深くは考えなかったー。
特に、真由美の場合”急に悪いことをするようになった”とか、
”急に不真面目になった”とか、そういう感じでもなくー、
成績が上がり、明るくなって、可愛くなったー…
と、良い方向の変化だったため、家族もそれ以上心配することはなく、
それから数年間が経過していたー。
「ーーあ~~!おいしかった~~!」
真由美が、兄の直樹から貰ったスイーツを食べ終えると、
嬉しそうに微笑みながら、立ち上がるー。
「ーー…え?まだ一口残ってるぞ?」
直樹がスイーツのカップの中にまだ一口分、食べ残しが
あることに気付いてそう指摘すると、
真由美は「えへへ…これはお兄ちゃんの分ー」と、
自分が使っていたスプーンにそれをすくうと、
「はい!あ~んして!」と、笑いながら言うー。
恥ずかしそうに顔を赤らめながら
直樹は「お…お前…わ、わざとそういうことしてるだろー?」と、
そう言うと、真由美は「えへへー 嫌ならわたしが自分で食べちゃうけど~?」と、
揶揄うように言葉を口にするー
「わ、わ、分かった!食べる!食べたい!」
直樹は顔を赤らめながら、真由美にそのまま
スイーツを食べさせてもらうと、
「た、確かに美味しい!」と、照れくさそうにそう言葉を口にしたー。
真由美はにこにこしながら、
後片付けを済ませると、
「ごちそうさま~」と、嬉しそうに言いながら
そのまま部屋の方に戻っていくー
「ーあ~、ホント、真由美は小悪魔だな~」
苦笑いしながらも、直樹はそう言葉を口にすると、
「あ、そうだー」と、スイーツ以外に買ったものを
コンビニの袋から取り出しながら、
その片付けをし始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー」
スイーツを食べ終えて自分の部屋に戻って来た真由美は
鏡を見つめると「今日も可愛い!」と、
嬉しそうに自分の姿を見つめるー。
「う~ん…学校おわりのコレ、最高だよねぇ~」
真由美は部屋の中で自分の胸を制服の上から
揉み始めると、
「あ~~~~気持ちイイ…」と、うっとりとした
表情を浮かべるー
「ーさすがに、学校とか家族の前で揉むわけにはいかないからね~」
そう呟くと、真由美はしばらく胸を揉んだり、
さらには「自分のスカートならめくり放題!」と、嬉しそうに
スカートをめくったりを繰り返すー。
やがて、満足すると、
真由美は「ーホント”こんなこと”になってよかったぁ…」と、
嬉しそうに笑うー。
真由美が、高校受験の頃から変わった理由ー
それはー…”真由美自身が変わったから”ではないー。
”中身”が変わっているのだー。
今から約2年前ー。
高校受験を控えていた真由美は、
ある日の朝、いつものようにバスで学校に向かっていたー。
しかし、
その日の雨は強く、バスはいつも以上に混雑ー、
多少スペースはあったものの、座ることはできない状態だったー。
”ーー早く外に出たいなぁ…”
真由美はそんなことを思いながら、
バスに揺られるー。
がー…
その時だったー。
バスの前の車が、突然理由もなく
急ブレーキを踏んだために、バスも急ブレーキを踏むー。
そしてーー
「ーーぁっ!?」
真由美が、驚いて声を漏らすー。
急なブレーキでバランスを崩し、真由美の近くに立っていた男が
倒れてぶつかってきて、真由美もそれに巻き込まれるー。
他にも数名の乗客が倒れたり、バランスを崩したりする中ー、
真由美と、真由美にぶつかったその男はー、
派手に転倒して、そのまま意識を失ってしまったー。
「ーーーー……ぁ…」
しばらくして、真由美が意識を取り戻すー。
他の乗客たちから、安堵の声が漏れー、
「大丈夫ですか?」と言う心配そうな声も聞こえて来るー
「あ、はいー…だ、だいじょーー…」
そこまで声を出した真由美は、表情を歪めたー
”え……なんだ、この声はー…?”
真由美は困惑しながら、”自分の身体”に視線を向けるー。
何故か、自分が学校の制服を着ているー。
スカートを履いているー。
「ーーえ…」
真由美は思わず声を出すと、
バスの窓に反射する”自分”の姿を見つめるー。
そこにはー、可愛らしい雰囲気の大人しそうな顔立ちの少女が、
驚いた表情を浮かべながら、こちらの方を見つめている姿が
映し出されていたー。
”こ、これはー…?”
真由美はそう思いながら、すぐ近くに”自分”が
倒れていることに気付くー
「ーー…!?!?」
真由美が表情を歪めていると、
程なくして、”自分”ー…
真由美にぶつかった男が目を開いたー
「あ…れ…?なんで…わたしが…目の前にーーー…?」
ボソッとそう呟く男ー。
が、すぐにまた意識を失いー、
”男”はそのまま病院に搬送されたー
”なんだこれはー…?
お、俺とこの子が入れ替わってるー?”
そうー
2人は、バスが急停車した際にぶつかった衝撃で
入れ替わってしまっていたー。
「ーーお…俺はどうすればー…?」
真由美になってしまった男ー…
30代後半のサラリーマン・原田 康明(はらだ やすあき)は、
昏睡状態になった”自分”が病院に運ばれていくのを見つめながら、
真由美の身体で困惑の表情を浮かべていたー。
病院に運ばれる直前、”康明”の身体が一瞬だけ意識を取り戻した時に
発した言葉ー。
あの言葉を聞く限り、康明と真由美の身体は入れ替わっているー。
自分が”真由美”になってしまったように、
恐らく”康明”の身体の中にはこの子ー、真由美がいるー。
真由美(康明)は困惑の表情を浮かべながらも、
”恐らく、俺の身体が運ばれたのは、この近くの病院だろうー”と、
思いながら、制服姿でソワソワしながら歩き出すー。
”ぐ…想像以上になんか恥ずかしいぞ…”
そう思いながら病院に向かい、”自分の身体”が運び込まれたことを
確認することはできたものの、
どうやら”命に別状はない”状態ながら、”自分”の身体は、
意識不明の状態が続いている様子だったー
「ーーぐ…ど、どうする?」
真由美(康明)は頭を抱えるー。
こんな少女の身体になってしまってー…
「ーー」
時計を見つめる真由美(康明)ー。
そろそろ”家”に帰らないとこの子の家族も心配するだろうし、
事件沙汰になってしまうー。
しかし、”入れ替わったんです!”なんて叫んでも誰も信じないだろうしー、
少なくとも”自分の身体”が目を覚ましてから二人で事情を説明した方がいい気がするー
「ーーー…と、とりあえず今日はこの子の家に帰って…
明日、俺の身体が目を覚ましたら話をしてみるかー…」
”ってか、この子の家はどこだ?”と、
そう思いながら立ち上がったその時だったー
「ーーえ…こ、この子の家が分かるー?」
真由美(康明)は、少し驚いたような表情を浮かべるー。
”分かるはずのない”
この子の家が頭の中に浮かんでくるのだー。
兄や、両親の姿までー…
「ーーー…」
自分の頭を触る真由美(康明)ー。
長い髪が触れて、少しドキッとしながらー、
「そ、そうかー…記憶もここにあるからー…読めるのか?」と、
不思議そうに呟くと、
「ーーー…な、なんか俺の記憶もあるけど、他の子の記憶も
流れ込んでくるって、すごく変な感じだなー」と、
戸惑いの表情を浮かべるー。
しかし、”これなら”
”俺の身体になったこの子が意識を取り戻すまで”
何も疑われることなく、この子が変な風に思われることもなく、
この子として過ごすことができるー
そう思いつつ、真由美(康明)は意を決して、
”真由美の家”に向かって歩き出すのだったー
しかしー…
康明になった真由美は、翌日も意識を取り戻すことなく、
やがて、病院内で”このまま寝たきりの可能性もある”と、告げられたことを
真由美(康明)は知ったー。
それを知った康明は、
”やむを得ず”真由美として生きていくことを決めー、
それから2年ちょっとー”今”に至るのだったー
「ーーーえへへー
申し訳ない気持ちはあるけどー…
”俺の人生”より、楽しんだよねぇ…」
そして、現在ー
真由美(康明)は笑みを浮かべながら自分の胸を揉むー。
”自分”が目を覚まさないという現実を受け入れてからは、
”あたらしいわたし”として、開き直って生きているー。
ずっと”完全に元の真由美をなぞった振る舞い”をしているのはきついし、
かと言って、ずっと”俺が目を覚ましたら…”と考えながら
生きていくのも辛いー。
だから、”自分なりの真由美”として生きていくことに決めて
今に至るー。
しかし、別に真由美の家族を傷つけるつもりはないし、
真由美の人生を壊すようなことをするつもりはないー。
こうして部屋で胸を揉んだりスカートをめくっている分には
誰にも迷惑は、掛からないー。
自分の身体が昏睡状態な今となっては、
”真由美の人生”=”自分の人生”でもあるのだからー。
「ーーさてー宿題を済ませちゃおっと」
今ではすっかり”成績優秀”の真由美ー。
それもそのはず、”30代後半の男”が入れ替わり当時、中学に通っていた子と
入れ替わったのだから、そもそもの知識量が違っていてー、
一気に”まあまあ”だった成績が跳ね上がったのだー。
今も、その状況は続いているー。
宿題を始める真由美(康明)ー。
2年以上も過ごしていると、心も”女”になっていくー。
今となってはもう、”元に戻る”ということは、
康明には考えられないことだったー
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー!!!」
「ーーえ…???」
何年も”昏睡状態”だった患者が突然目を覚ましたのを見て
看護師が驚きの表情を浮かべるー
「ーーーぁ…」
2年以上ぶりに目を覚ました男ー…
この日ー、
ずっと昏睡状態だと思われていた
康明(真由美)が目を覚ましたーーー
「ーーーーー」
窓に反射した自分の姿を見つめながら
康明(真由美)は、戸惑いの表情を浮かべることしかできなかったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
それなりに上手く(?)行っていた入れ替わり後の生活…!
昏睡状態だった”元自分”が目を覚ましたことで、
色々な運命が変わっていきそうですネ~☆!
続きはまた明日デス~!!
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