<憑依>芸能界は憑依まみれ①~裏の顔~

その世界の芸能界は”憑依”に溢れていたー…

芸能事務所にとって必要なのは”身体”のみー。
アイドルのほとんどが”憑依”され、
”外見”だけを商売道具として利用されるー。

それがー…その世界の”芸能界”の現実ー…

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「ーみんな、今日も来てくれてありがと~!」

今人気の現役女子大生アイドル・ユキが、
今日も歓声を浴びながらステージに立っているー。

「ーあ~やっぱ、ユキちゃん可愛いー」
そんなユキのライブを友達と見に来ていた女子高生・克枝(かつえ)が
そう呟くと、隣にいた友達の円花(まどか)も、
「ーあははー、そうだね」と、興奮した様子の克枝を見ながら苦笑いするー。

円花の親友・克枝はユキの大ファンー。
元々、円花はそれほどでもなかったのだが、克枝の影響で、
最近はこうしてユキのイベントに足を運んだりもしているー。

ユキが新曲を含む複数の曲を披露するー。

かつては”大人しい性格”だったようで、
バラエティ番組などに出演する際には”これが昔のわたしです”などと、
よくネタにしたり、ネタにされたりしているー。

「でも、よくあんな格好で、あんな風に人前で歌えるよね~」
克枝が感心した様子で呟くー。

「だって、ユキちゃんって本当に昔は大人しい子だったみたいだしー…
 何なら、円花が大学生になったら急にああいう風にアイドルになるみたいな
 感じじゃんー?」

克枝の言葉に、円花は苦笑いしながら
「わたしには絶対無理だね…」と、呟くー。

円花は大人しい性格の女子高生ー。
が、今、ステージで歌っているユキも”高校時代まではわたし、陰キャラだったんで!”
などとよくバラエティ番組で言っているし、
以前は円花と似たようなタイプだったのかもしれないー

「ーまぁ、陰キャラにも色々いるしー
 わたしは心の底から陰だからー」
笑う円花ー

「心の底から陰ってなによー」
苦笑いする克枝ー。

「ーそんなこと言いながら、円花も大学生になるころには
 現役女子大生アイドル~!なんて言ってるんじゃないの~?」
冗談を口にしながら克枝は円花の頬をつんつんとつつくー

「え~~無理だよ~!わたし、可愛くないし!」
円花がそう言うと、
克枝は「またまた謙遜しちゃって~!その守ってあげたくなるような感じ、
滅茶苦茶可愛いじゃん!」と、そんな言葉を口にしたー。

やがてー、”ユキ”のライブは終わりー、
ユキが観客たちに挨拶をして、そのまま立ち去ろうとするー。

だがー、その時だったー。

「ーーゆ、ユキちゃん!」
ステージの前方にいた若い女がそう叫んだー

「ーー?」
ユキが立ち止まって、その女の方を見つめるー。

「ね、ねぇユキちゃん!
 どうしちゃったのー!?
 ユキちゃんが、アイドルになるなんて、やっぱり変だよー!」

そんな言葉を掛ける女ー。

「ーなにあれ?」
少し離れた場所で、克枝がそう呟くと、
円花は「さぁ…熱狂的なファンとか?」と、首を傾げるー。

「ーーすみませんー。 
 お客様ー」
係員がすかさず止めに入ると、
「ーユキちゃんに何をしたの!?」と、その女はそう騒いでいるー。

「ーーごめんなさい。何のことですか?」
ステージ上にいたユキも戸惑いの笑みを浮かべながら
そんな言葉を口にすると、
やがてその女は駆け付けた警備員に取り押さえられて
外につまみだされていくー。

「ーユキちゃんを返して!ねぇ!!」
叫びながら連れ出される女ー

「なぁにあれー」
失笑する克枝ー。

円花も戸惑いの表情を浮かべていると、
克枝は「まぁ、厄介なオタクはどこにでもいるからねー」と、
つぶやきながら「あ、帰り何食べてく?」と、
円花に対してそう言葉を口にしたー。

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「ーーー連れてきましたー」

警備員がそう言葉を口にすると、
先程騒いでいたファンの女らしき人物が、
困惑した表情で部屋を見回すー。

その部屋の奥には、
足を組んで煙草を吸っているユキの姿があったー

「ゆ…ユキー…」
戸惑う女ー。

「ーーふふふー
 ”お前”、”こいつ”の知り合いー?」
ユキが、自分を指差しながら笑うと、
呆然とした表情で女はユキを見つめるー

「ーー…や、やっぱり”噂”は、本当だったのー?」
とー。

女は、ユキの幼馴染・明日香(あすか)ー。
大学は別々だったものの、定期的に会っている間柄で、
”ユキ”がデビューする数週間前にもユキと会っていたー。

がー、その時のユキは、高校時代と同じように
大人しく、穏やかな雰囲気でー、
ユキがアイドルデビューしたと聞いた時には
心底驚いたー。

しかし、すぐにユキは連絡が取れなくなり、
バラエティ番組などに出演するユキの姿を見て
”あまりにも様子がおかしい”と違和感を抱いた彼女は、
ユキのことをいろいろ調べていたー。

そしてー、ユキは両親とも、月に1回程度連絡を取るぐらいで
ほとんど会うこともできない状況であることを知ったー。

ユキには、病気の祖母がいて、
高校時代”あれだけ”心配していたのに、祖母のお見舞いにも
来なくなり、ついには昨年の夏、祖母が亡くなった際にも、
何の連絡もなかったのだというー。

これを知った明日香は”さすがにおかしい”と、思い
さらに調べた結果ー、
”アイドルになってから人が変わったようになった”という事例が
数多く存在することを知ったー。

そんな明日香がたどり着いた噂がー
”芸能事務所に所属しているアイドルたちはみんな”改造”されている”という噂ー。

意味は分からなかったが、
芸能事務所に”何か”されているのだと、
明日香はそう感じ、少し前から、ユキと何とか話をしようと、
接触の機会をうかがっていたのだー。

「噂?」
ユキがクスッと笑うと、
「ーー…”改造”されてるってー」と、明日香がそう言葉を口にしたー。

がー、そんな明日香の言葉をユキは馬鹿にするかのように
大笑いし始めたー。

「ーーあはははははっ! 改造? あはっあははははははっ!」
ユキの狂ったような笑い方に、呆然とする明日香ー。

少なくともユキは、こんな風に笑う子ではなかったー。

「ーーあははははははははっ あ~~~面白い」
ユキはそれだけ言うと、心底楽しそうに明日香を見つめるー。

「ーー…”改造”なんてされてないよー
 アニメとかの見過ぎじゃない?

 ”この身体”は、正真正銘ユキのものー
 何もいじられてないよ?」

ユキのそんな言葉に、明日香はなおも違和感を覚えるー。

さっきから明らかに言動がおかしいー。
まるで”自分”を自分じゃないかのような、
そんな言い方を繰り返しているー。

「ーーー…”憑依”」
ユキがボソッと呟くー。

「ひ、ひょうい…?」
明日香が困惑しながら聞き返すと、
ユキは笑みを浮かべるー。

「そうー。わたしは”憑依”されてるのー

 ククー 身も心も完全に乗っ取られてる状態ー

 まぁ、つまりー…」

ユキは笑いを堪えながらそう言葉を口にすると、
ニヤッと笑みを浮かべながら言葉を続けたー。

「ー今、お前が話しているのは
 ”お友達のユキちゃん”であって、ユキちゃんじゃないんだよォ!
 
 くっふははははははは!」

ユキは表情を歪めながら笑うー。

明日香は逆に青ざめているー

「ーー…え… え…??」
未だ、現実を受け入れられない明日香ー

「身体はユキちゃんだけど、俺がユキちゃんの身体を乗っ取ってるからー、
 ユキちゃんであって、ユキちゃんじゃないってことだよ

 ーーっていうか、お前は知らないから教えてやるけど、
 今の世の中、”アイドル”なんてほぼ全員”こう”だぜ?
 
 キャラクターはデビューしてから作ればいいー
 必要なのは、アイドルとして売れそうな”身体”だけー

 ”中身”はいらないんだよなー
 変に自我が強かったり、プライドの塊も多いからさぁ」

ユキのその言葉に、明日香は”友達”の身に何が起きているのか、
ようやく、ハッキリと理解したー。

「ーう…嘘…?ゆ、ユキちゃんを返して!!」
友人がどうして豹変してしまったのかー
それを理解した明日香は、ユキに向かって必死に叫ぶー。

が、ユキは吸っていた煙草を灰皿で押しつぶそうと
にやりと笑みを浮かべたー。

「ーところで、今の芸能界ってさー、
 ”アイドル志望じゃない子”も結構いるんだよねー。
 ”こいつ”も、そうさー」

ユキは自分を指差しながら笑うー。

「ーーえ…」
明日香は戸惑うー。

ユキが憑依されて、身体を乗っ取られていることまでは
理解したー。
しかし、まだ”それ”しか理解できていないー。

そうー、ユキはアイドルなんか目指していなかったし、
どう考えても、明日香の知るユキは、アイドルになれるような
タイプではなかったー。
本人がまず嫌がるだろうー。

それなのに、なぜー?

「ーーー”使えそうな身体”を見つけたら憑依しちまえば、
 アイドルになる気なんて全くない子だって、
 ほら、この通りー」

ユキは、自分のポスターを見つめながら満足そうに笑うー。

「ーーユキちゃんの身体で勝手なことばかりしてー…
 許さないー…!」
明日香は目に涙を浮かべながらそう言い放つー。

が、ユキはクスクスと笑うと、
明日香のほうを見つめたー。

「ところでさー、何でこんな”秘密”をペラペラしゃべったと思うー?」
ユキがそう言うと、明日香は「え…」と、声を発しながら青ざめるー。

「ーーー」
そして、後ずさる明日香ー。

「ーーー…っ!」
明日香はハッとして、持っていたスマホを手にするー

「ーわ、わ、わたしを…こ、殺すつもりですかー?」
明日香が怯えた表情で言うと、
ユキは「あはははははははっそんなことしないない」と、笑いながら
明日香を見つめるー。

「人殺しは犯罪じゃん?
 だから、そんなことはしないよー。
 それにー、これから”商品”として活躍することになる
 ”アイドル”を傷つけるなんて、馬鹿でしょ?」

ユキの言葉に、明日香は表情を歪めるー

「ど、どういうことー…?」
そう言葉を発した直後ー、
明日香の背後から猫背の中年男が姿を現したーー。

「ーひっ!?」
その男に腕を掴まれた明日香は驚くー。

「ーーー…へへへ ようやくお前もデビューできるぞ?
 よかったなぁ」

ユキがそう言うと、
猫背の男はニヤニヤしながら、
明日香を見つめるー

明日香は「な…何をするつもり!?」と、そう叫ぶと、
ユキは笑みを浮かべながら言ったー。

「ーお前も今日からアイドルになるんだよ」
とー。

明日香はようやく”わたしも憑依される”と、いうことに気付き、
もがこうとしたものの、猫背の男にキスをされて、
そのまま”憑依”されてしまったー

「ーーー…へ…へへへへー あぁ…いい声ー」
憑依された明日香は、目に涙を浮かべながら笑うー。

「ーへへ…なに泣いてるんだよ?」
ユキが笑いながら言うと、
明日香は「ー憑依される直前にこの女が泣いてたんだよ」と、笑い返すー。

「ーー”憑依”は、法律で罪にならねぇからなー。
 なんせー、被害者本人が被害届を出すことはないんだからー」

ユキはそう言いながら笑うと、
「よし、”社長”に、明日香をどんなアイドルとして売り出すか
 相談しよう」と、笑みを浮かべたー。

その数日後ー
新人アイドルとして、明日香かデビューし、
芸能界で活躍を始めるのだったー。

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それからしばらく時が流れー、
ユキのライブを訪れていた円花と克枝は
高校を卒業、
やがて大学生になっていたー。

「いってきます」

「いってらっしゃい」

いつものように大学に向かう大人しい性格の円花ー。

大学生になっても”陰キャラを自称する”円花は、
変わらない生活を送っていたー。

高校時代の友人との接点も卒業後はほとんどなく、
唯一、以前一緒にライブに行ったりもした克枝とは
時々会ったり、連絡を取り合う間柄が続いているぐらいだったー。

そんな克枝とは来週、久しぶりに会う予定になっているー。

だがーーー

「ーー”新人候補”見つけましたー」
円花の背後の路地で、男がそう呟くー

”そうかー。では、タイミングを見計らい憑依しろ”

通話相手のそんな返事を聞いて、
男は「了解ですー」と、笑みを浮かべると、
前を歩く円花の方を見つめたー…

②へ続く

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コメント

この世界の芸能界は憑依まみれ…★
大変な状態ですネ~!

このあとどうなっていくのかは、
明日以降のお楽しみデス~!

今日もありがとうございました~!!

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