女体化してしまったいじめっ子…。
このままでは、”復讐”するにしても、何となく気乗りしない…。
そう考えた彼は、元に戻れるまで、女体化したいじめっ子が
元に戻れるように手伝うことに…。
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「ーーで、心当たりはー?」
放課後ー。
恭平が女体化した克明に確認すると、
克明は、「いや…何も」と、言葉を口にするー。
「ー…何か変なもん食ったとか、
何か変なことしたとか、
何かないのか?」
恭平がそう言うと、
女体化した克明は「お、俺を何だと思ってるんだ?」と、
少し不愉快そうに言葉を口にするー。
「ーヤな奴だと思ってるし、
変なもん食ったり、変なことしたりする奴だと思ってるよ」
散々、嫌がらせをされた恭平がそう言うと、
克明は「ご、ごめんってば」と、気まずそうに言葉を口にしたー。
その上で「でも、本当に心当たりと言えるような心当たりはないんだ」と、
改めて言葉を口にするー。
「ーーーーーそうか」
恭平はそれだけ言うと、”男が突然女になる”というこの状況について
今一度、頭の中で整理をするー。
だがー、”何故女体化したのか” ”どうすれば元に戻れるのか”
そんなことが分かるはずもなかったー。
「ーーー…ってか、スカート履いてるなら、そういう座り方、すんなよな」
恭平が、ふとそんな言葉を口にするー。
女子の制服を着てるのに、平気で足を広げて座っている女体化した克明。
恭平からすれば、目のやり場に困るー。
「ーーあ、悪いー」
克明はそれだけ言うと、少し間を置いてからニヤッと笑うー。
「ーえへへ…もしかして、気になるのか?スカート」と、
揶揄うように言葉を口にしながら、自分のスカートを触るー。
「ーーー……」
恭平は呆れ顔で、「クラスの奴らから触られて嫌がってただろ」と、
ため息をつくと、女体化した克明は「ーお前を揶揄うのはやっぱ面白いと思ってー」と、
笑みを浮かべるー。
そんな態度に、恭平は気分を害したのか、
大きくため息をつくと、「何だよ。女のままでいたいなら、そうしろよ」と、
そのまま立ち去ろうとするー。
「ーーい、いや、そういうわけじゃ…ま、待ってくれ!」
女体化した克明は、心底申し訳なさそうに謝罪の言葉を口にすると、
恭平は振り返ってその姿を見つめるー。
”あぁ、くそっ…可愛い”
そう思いながら、「ーーあんまふざけたことしてると、見捨てるからな」と、
釘を刺しつつ、元に戻るための方法を二人で話し合い始めたー。
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”とりあえず、病院に行ってみろよ”
恭平から、そうアドバイスされた女体化した克明は、
戸惑いながらも、地域の病院へと足を運んだー。
しかしー、あまり”ふざけている”と思われたのか
あまり真面目に話を聞いてもらえなかったし、
原因が分かるはずもなかったー。
学校では相変わらず男子たちから”触らせろよ~!”と言われたり、
スカートを急にめくられたりを繰り返しているー。
ちょっと女子っぽい反応をすると、
”根津は男だろ!急にそういう振る舞いするなよ”と、
逆ギレされるような日々ー。
”日頃の行いが悪いから、自業自得だ”
と、恭平もそんな風には思いつつも、
”美少女の姿”で落ち込んだ表情をされると、ついつい手を貸してしまうー。
それに、こんな姿だと、何だか仕返しするにも
罪悪感が沸き出てきてしまうー。
やはりここは”男”に戻ってもらうしかないー。
その上で、”半殺し”ー…そう、今までの嫌がらせの分、
懲らしめてやるのだー。
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「ーーーどうして、そんなに俺のためにーー…?」
女体化してから2週間が経過したー。
女体化した克明は、不思議そうに言葉を口にするー。
「ーーん?いや、だって、その姿だと何かさー…
俺としては、早く憎たらしいお前に戻って貰いたいんだよなー
そうじゃないと、今まで散々俺をイジメてきたお前に
しっかり仕返しできないからな」
恭平が、隠さずそんな言葉を口にすると、女体化した克明は
青ざめながら
「な、な、なんか俺…このままでもいいような気がしてきたかも…」と、
そんな言葉を口にするー。
「ーーそうはさせねぇよ」
恭平は、そう言葉を口にしながら克明のほうを見つめるー。
「~~~~」
気まずそうに苦笑いする女体化した克明ー。
「あぁ、くそ…!卑怯だなその笑い方も!
絶対、お前を男に戻してやるから覚悟しとけよ」
恭平は、また”かわいい”と思ってしまった自分に
半分苛立ちを感じながら、
”ある可能性”にたどり着いていたー。
それはー
女体化は”外部的な要因”であることー。
この2週間、恭平は恭平なりに色々と調べて見たし、
克明本人からも色々な話を確認したー。
しかも、やはり克明は”女体化する前の日は何も特別なことはしていない”のだと言うー。
何度も何度も確認したし、
克明に嘘をつくメリットもないから、本当なのだろうー。
そんな可能性も考えつつ、その日は
放課後に二人で図書室に赴き、調べ事をしていたー。
図書室にも難しい本が色々置いてあり、
何か参考になりそうなものがあるかもしれない、と
そんなわずかな可能性にかけてのことだー。
「ーーー……」
読んでいた本を、本棚に戻そうとする女体化した克明ー。
がー…女体化して背が縮んだことで、
前は届いたはずの本棚の上の方の段に手が届かないー。
「ーーーー」
恭平は、そんな女体化した克明が、本を手に
必死にぴょんぴょん飛び跳ねるのを見て、
思わず笑ってしまうー。
そして、意地悪な気持ちになるー。
散々、嫌がらせをされてきたのだー
このぐらい、仕返ししてもいい、と思いつつ、
ニヤニヤその様子を見つめるー。
「く、くそっ!」
さらにぴょんぴょん飛び跳ねるも、やはり本が置かれていた場所に
手は届かないー。
「ーー…俺がしまってやろうか?」
恭平がニヤニヤしながら、手を差し出すと、
女体化した克明は顔を赤らめながら
「じ、じ、自分でしまえるし!」と、
必死にジャンプして、上の方の段ー…
元々、その本が置かれていた場所に本を
無理矢理捻じ込もうとしたーー
「あ…!」
恭平が声を上げるー。
無理矢理本をしまおうとした女体化した克明は、
上手くしまうことが出来ずに、
本棚から本が落下、
それが、女体化した克明に直撃してしまったー
「い…」
痛みで蹲る克明ー。
「ーお、おい、大丈夫かー?」
”少し意地悪しすぎたか”と、恭平は後悔しながらそう言うと、
顔を上げた克明の額には、痣のようなものが出来ていたー。
「い…痛いよ!」
克明が不貞腐れた様子で声を上げるー。
”美少女”を傷つけてしまったような気がして
「ご、ごめんー」と、恭平は謝ってしまうと、
”くそっ!謝らせるのは俺のはずだったのに!”と、心の中で
思いながら、そのまま克明を保健室へと運んだー。
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数日後ー。
「ーねぇ、もうやめない?
放っておきなよー。」
突然、そんな言葉を掛けられたー。
「ーーえ?」
恭平が振り返ると、そこには”克明”の元彼女である栄恵の姿があったー。
栄恵は、女体化する前の克明と共に
一緒に恭平に嫌がらせを繰り返していた女子だ。
しかし、克明が女体化するとすぐに克明を切り捨てて、
克明を振っているー。
「ーーあんた、克明に嫌がらせされてきたでしょ?
なんで、助けようとするの?」
栄恵の言葉に、恭平は
「あの姿じゃ、仕返しするにしても、仕返ししずらいだろ?
俺は”憎たらしいアイツ”に仕返ししたいんだ」
と、そう言葉を口にすると、
栄恵は失笑したあとに、言葉を続けたー。
「ーーーもう、克明は元には戻れない」
栄恵のそんな言葉に、恭平は表情を歪めるー。
「そ、それはどういうー…?」
恭平が不思議そうに聞き返すと、
栄恵は「ー”女体化”は一方通行ー。何をしても、もう元に戻ることはできないの」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーーえ…」
恭平が戸惑いながら、さらに何かを聞き返そうとするも、
栄恵はさらに言葉を口にしたー。
「ーわたし、別れたかったの。克明とー。
でも、克明の嫌味な性格、あんたも知ってるでしょ?
別れたいって言い出せば、絶対なんか騒ぎ出すからー。
だからー、”こうした”のー」
栄恵のそんな言葉に、恭平は目を見開くー。
栄恵の発言ー…
それはつまり”克明を女体化させたのはわたし”だと言っているようなものだー。
「ーーーそれってー…」
恭平が、戸惑いながら言葉を続けようとすると、
栄恵は笑みを浮かべたー。
「ーー克明のジュースに混ぜたの。
女体化する薬っていうやつをー。
でもー、元に戻す方法は知らないし、ないと思うー。
だから、あんたも諦めて放っておいたらー?」
栄恵がそこまで言うと、
恭平は表情を曇らせながら、考えるような仕草をするー。
そしてー、しばらく間を置いてから口を開いたー。
「ーーあいつはクソ野郎だと思うよー。もちろん今でも」
恭平はそう呟くー。
克明は、人が抵抗しないのをいいことに、
嫌がらせを繰り返して来たいじめっ子ー…
恭平からすれば”クソ野郎”でしかないー。
しかしー
「ーーーお前も、”同類”だろ」
恭平はそんな言葉を吐き捨てたー。
恭平に嫌がらせを繰り返していたのは、
克明だけではない。彼女の栄恵も同じー。
しかも、その彼氏の克明まで女体化させて切り捨てるー。
二人の間に何があったのかは知らないし、
克明の振る舞いが日頃から良くなかったことは、恭平にも理解できる。
しかし、それでも栄恵の行動も、恭平には気に入らなかったー。
「ーーふふ、そうかもね。別にあんたに分かってもらおうと思ってないから」
栄恵は開き直ったようにそう言うと、
「ーまぁ、放っておきなよってだけ。元に戻れる可能性がないのに、
必死こいたって時間を無駄するだけよ?」と、忠告のように言葉を口にして、
そのまま立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーーそうかー」
恭平は、女体化した克明に栄恵の話を告げたー。
別に”言わないでほしい”とも言われなかったしー、
栄恵の秘密を守ることに協力する必要はない。
そう思い、恭平は全てを女体化した克明に告げたー。
その表情は、酷く落ち込んでいる様子だったー。
「ーーーもう、戻れないのかー」
女体化した克明は自虐的に笑うと、
「ーもう…死んだほうがいいかな、俺ー」と、
自ら命を絶つようなことを仄めかしたー。
「ーーーー」
恭平は、そんな女体化した克明の言葉に、
少しの間沈黙していたものの、やがて口を開いたー。
「ーー逃げんなよ」
とー。
「ーーーえ」
女体化した克明が、恭平のほうを見るー。
「ー彼女だって元に戻る方法を知らないだけで、方法は
あるかもしれないだろ?
それに、自分がひどい目にあったからって逃げるんじゃねぇよ。
散々、俺に嫌がらせしてきたくせに」
恭平のそんな言葉に、
女体化した克明は少しだけ表情を曇らせながらも、
やがて、少しだけ笑ったー。
「ーーー……ーーーーー…分かったよ。逃げないよ」
克明はそれだけ言うと、校舎の窓の外の景色を見つめるー。
「ーーー俺はお前を絶対に男に戻してやるー」
恭平はそんな言葉を口にしながら立ち去ろうとするー。
「ーーーーー……どうして、俺なんかのために、そこまで?」
女体化した克明が少しだけ不思議そうに、
改めてそんな言葉を口にするとー、
恭平は立ち止まって振り返ったー。
「ー俺はお前のことを許さないー。
一人でのんびり学校生活を送りたかったのに、
色々嫌がらせしてきやがったからなー
正直言うと、俺はさー、
お前が女体化したあの日、お前のこと”半殺し”にしてやろうと思ってたんだよー。
でも、お前がそんな可愛くなってたから
調子が狂ったし、できなかった」
恭平はそこまで言うと、
少しだけ笑ったー。
「だから、早く男に戻ってー、
憎たらしいお前に戻って、半殺しー…
嫌がらせの仕返しをさせてくれよ」
恭平のその言葉が、どこまで本気か分からないー。
だがー、女体化した克明は少しだけ笑いながら
「わかったー。男に戻ってお前に半殺しにされてやるよー」
と、言葉を口にしたー。
満足そうに立ち去っていく恭平ー。
”半殺しされるために、男に戻るー”
女体化した克明は、複雑そうな表情を浮かべながらも、
恭平の”仕返し”を受けるために生きることを決意し、
生きる気力を取り戻したのだったー。
おわり
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コメント
男に戻ることはできないまま…の結末でした~!☆
このままずっと元に戻れないと、
いつかは二人の関係が変化しちゃいそうな気も…?★笑
お読み下さりありがとうございました~!
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