<入れ替わり>入れ替わり時間はたったの1分!?①~改造~

入れ替わりの力を手に入れた男ー。

しかし、彼の入れ替わり能力は
1回につき”1分”しか入れ替わることができないという
”制限つき”の能力だったー。

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「ー入れ替わり改造手術ー?」

同じ大学に通う増谷 孝雄(ますたに たかお)が、”何言ってんだこいつ?”と
言わんばかりの表情でそう叫ぶー。

「ーーそうそうー
 ほら、これ」
そう言いながら、目を輝かせてスマホを見せて来た男ー、
勝岡 源吾(かつおか げんご)は、嬉しそうに画面に表示した
”入れ替わり改造手術”の説明を始めるー。

「ーーこの手術を受ければ、”他人と入れ替わる力”を手に入れられるんだってよ!
 マジですごいよなー」

源吾がそう言うと、
孝雄は呆れ顔で「おいおい、お前いくつだよー。入れ替わりなんて
現実で出来るわけねぇだろ」と、大きなため息をつくー

「いやいやいやいや、ほら見ろよ!実際に手術を受けた人の体験談!」
そう言いながら、源吾がスマホを操作すると、
そこには”入れ替わり改造手術”を受けた人たちの
”レビュー”のようなものが表示されていたー。

”片思いの彼女と入れ替わって、人生変わりました!”

”これでもうキモいとは言わせません!今では僕が学園のアイドルです!”

”元カレの今の彼女の身体を奪って、俺が今カノになることができました!”

そんなレビューが並んでいるー。
それを見て、孝雄はさらに大きくため息をつく。

「ーーはぁ…あのなぁ、レビューなんて
 関係者が書けば、いくらでも評価上げることできるし、
 そういう胡散臭いものでも、本当に存在するかのように
 見せることができるんだよ」

孝雄はそう言いながら源吾を見つめるー。

源吾は、悪い奴ではないー。
ただ、一言で言えばバカだー。
何事にも、すぐに騙されてしまうタイプの男で、
幼馴染でもある孝雄は、小さい頃から、
そんな源吾に振り回されているー。

「ーーいやいや、これはどう見ても本物だろ!
 ほら、ここに男っぽい座り方をしてる入れ替わった子の写真も載ってる!」

源吾が嬉しそうにそう叫ぶー。

「ーはぁ…そんな写真なんて入れ替わってなくても取れるっての」
孝雄が、そう言い放つと
源吾は「孝雄は昔から、疑い深いよなぁ」と、笑うー。

「ーいやこれが普通だよー。
 お前が単純すぎるんだって、昔から言ってるだろ?
 それで何回失敗したんだよー?

 高校時代だって、芦葉先輩に騙されて酷い目に遭っただろ?」

そんなことを口にする孝雄ー。
芦葉先輩なる人物と何があったのかは分からないが、
とにかく酷い目に遭わされたらしいー。

「ーーーー100万円かー」
ボソッと呟く源吾ー。

「やめとけって。諭吉さん100人を失うだけだぞ」
孝雄がそんな言葉を口にすると、
「ーもうすぐ栄一さんに変わるんだから、そういうこと言わない方がいいぞー。
 栄一さんに変わったあと、読んだ人が混乱するー」と、
源吾がそう言い放つー

「あ?何だよ読んだ人って?何言ってんだお前」
孝雄が呆れた表情でそう言うと、
「ーへへ…冗談だよ」と、源吾は首を横に振るー。

そして、今一度スマホの画面を見つめると
「入れ替わり改造手術…受けるか」と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーおいおい、俺は知らないぞ?忠告したからな!」
孝雄は、”ダメだこいつー”と、思いながら
呆れ顔で首を横に振ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

バイトで一生懸命貯金していたほぼ全財産を使い、
源吾は、100万円の振り込みを終えると、
入れ替わり改造手術が受けられるという
その場所に向かったー

指定された場所は、怪しい雑居ビルの一室。
いかにも怪しい感じだが、
源吾は完全に入れ替わり能力を得ることができると、
思い込んで、そのままビルの中へと入っていくー。

ビルの中へと入ると、
マッドサイエンティストのような見た目の
ボサボサ頭で白衣姿の博士のような人間がいたー。

「ーー君が、入れ替わり改造手術を受けに来た
 勝岡 源吾くんかー。
 わしは、入吉(いれきち)博士じゃー」

そんな自己紹介を受けながら
源吾は「入吉なんて、珍しい苗字ですねー」と、
そう言葉を口にするー。

「はっはっはー。偽名じゃ」
入吉博士のそんな言葉に、源吾は「あ、そうですかー」と、
苦笑いするとー、
入吉博士は「早速じゃがー、入れ替わりの説明をしたい」と、
真剣な表情で入れ替わり改造手術について説明を始めたー。

入れ替わり改造手術では、
目に、特殊なコンタクトレンズを埋め込むことで
入れ替わり能力を得るのだというー。

一度装着すれば、後は手術やメンテナンスの必要はなく、
永続的に入れ替わることができるようになるようでー、
入れ替わりコンタクトレンズを埋め込んだ方の目だけを開いた状態で
入れ替わりたい相手を20秒、ずっと見つめ続けることで
入れ替わることができる、と、入吉博士は説明したー。

「ーーなるほどー。もう片方の目を閉じた状態で
 入れ替わりたい相手を20秒以上見つめ続けるのが条件なら、
 間違って入れ替わることはないですね」

源吾が納得したように、そう言い放つー。

確かに、意味もなく20秒も片目をつぶる機会はないー。
ちょっと秒数が長い気がするが
”入れ替わるつもりがない”タイミングで入れ替わるのを防止
するためだろうー。

「ーなお、手術の取り消し…クーリングオフみたいなことは
 できないから、注意じゃ。
 それでもいいかの?

 クーリングオフされてしまうと、目玉ごと返してもらうことに
 なるからのお」

入吉博士の言葉に、源吾は「し、し、しませんよ」と、
そう言い放つと、
入吉博士は「では、早速手術を始めようー。」と、笑うー。

「そうそう、わしは麻酔とかいうまどろっこしいものが嫌いなんじゃー。
 麻酔なしじゃが、痛みに耐えるんじゃぞ」

入吉博士のそんな言葉と同時に、雑居ビルの中には悲鳴が響き渡ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

目の状態が回復した源吾は、
いよいよ”入れ替わり能力”を、実践しようとしていたー

入れ替わりコンタクトレンズを埋め込んだ左目だけで、
入れ替わりたい相手を20秒見つめ続けるー。

それが、入れ替わりの条件だー。

「へへ…まずは孝雄のやつに入れ替わりの力を見せ付けてやるかー」

”入吉博士”によれば、元に戻るためには
”入れ替わって源吾になった相手が、”元自分の身体”を同じように20秒以上見つめ続けるー…”
つまりは、もう一度入れ替わりを起こすことで、元に戻ることが可能、
とのことだったー。

まずは、親友の孝雄と入れ替わって、
孝雄に”ほ~ら、入れ替わりできるじゃねぇか”と、見せ付けてやろうと、
源吾は意気揚々と、親友の孝雄を呼び出したー。

「ーなんだよ、話って?」
呼び出された場所に孝雄がやってくるー。

「ーくくくー…今から入れ替わりをお前にも見せてやるぞ」
ドヤ顔で源吾がそう言い放つと、
孝雄は流石に呆れた様子で「またその話かよー」と、
呆れ顔で、源吾の方を見つめるー。

すると、源吾は片目をつぶり、孝雄のほうを見つめ始めたー

「ーー? な、なんだよー…?」
孝雄は、片目をつぶっている源吾の方を
気味悪そうな表情で見つめるー。

がー、やがてー…

「ー!?!?!?!?!?!?」
孝雄は、驚いて目を見開くー。

”突然”
自分の立っている位置が変わったのだー

いやーー…

「ーーえッ…!?」
孝雄は驚くー。
何故なら、自分の立っている位置は変わっていなかったからだー。

目の前に”自分”がいるー。
それはつまりー、自分の立っている位置が変わったのではなくー…

「ーーへへへー…マジだっただろ?」
孝雄と入れ替わった源吾が、ドヤ顔でそう言い放つー。

「ーーーう、う、う、う、嘘だろ!?」
源吾になった孝雄が、驚きのあまり変な声を出すと、
孝雄(源吾)は「これで信じるつもりになったか?」と、
ニヤニヤしながら言い放つー。

「ーーく… うぐ…」
源吾(孝雄)が、少し悔しそうに視線を泳がせるも、
実際に入れ替わってしまった以上、もはや信じるほかなく、
「た、た、確かに…悪かったよー」と、言葉を口にするー。

「分かればよろしい」
ドヤ顔で孝雄(源吾)がニヤニヤしながら勝ち誇った表情を浮かべると、
「ーへへへ…これで俺は誰とでも入れ替わることができるぜ」と、
嬉しそうに言葉を口にするー

「だ…だ…誰とでもー」
源吾(孝雄)が、ゴクリと唾を飲み込みながら
そんな言葉を口にすると、
「ーへへへーそうだぜ。お前が好きな日葵(ひまり)ちゃんにだって
 なることができるんだぜー?」と、
孝雄(源吾)が言葉を口にしたー。

”日葵ちゃん”とは、源吾の親友・孝雄が
片思いしている相手の子でー、
それなりに良い感じにはなっているものの、
何事にも慎重な孝雄は、告白することができず、
時ばかりが流れているー…
そんな状況だー。

「ーや、や、やめろよ!」
一瞬、”日葵”と、源吾が入れ替わってしまった姿を
想像して、ドキドキしてしまった源吾(孝雄)は、
顔を赤らめながらそう叫ぶー

「ーへへへ…俺の顔を赤くするなって」
そう呟きながら「そうだー…せっかく入れ替わったんだし、俺がお前の
代わりに日葵ちゃんに告白してやろうか?」と、笑みを浮かべるー。

「ーー今、俺が代わりに告白すればもしかしたら、いい返事を
 貰えるかもしrーー

ーー!?!?!?!?!?!?

その時だったー。
言葉を途中で遮るように、”何か”が起きたー

「ーーれないーーー… え…?」
源吾が表情を歪めるー。

自分の立っている位置が変わったー

いやー
目の前に孝雄がいるー

「ーーえ…?」
源吾に身体を入れ替えられて、驚いていた孝雄もまた、
目を丸くしながら、困惑した様子を浮かべているー。

「ーーーえ…?あれ…?な、何で元に戻ってー?」
源吾がそんな言葉を口にすると、
孝雄は「ーーえ?お前が元に戻したんじゃないのか?」と、
そう言葉を口にするー

「…いや」

困惑する源吾ー。

”源吾になった孝雄”は、別に片目をつぶって話していたわけでもなかったし、
入吉博士が言っていた”元に戻る条件”は満たしていないはずだー。

それなのに、何故ー?

源吾は困惑しながらもすぐに、”また孝雄に何か言われそうだ”と、
そう危惧しながら「ーーいやー、へへー、男と入れ替わる趣味はないんでなー」と、
そんな言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーとりあえず、実験してみるかー」

源吾は、そんなことを思いながら、
大学に通う幼馴染の瑠璃(るり)を呼び出したー。

「ーーあ~源吾、どうしたの?」
瑠璃は、少し面倒臭そうに、源吾のところにやってくるー。

がー…嫌々ではなく、
瑠璃は元々、そういう雰囲気の子で、少し雰囲気で
勘違いされやすい子だー。

「ーーあぁ、いやー。俺といつも一緒にいる孝雄って知ってるだろ?」
源吾は、そんな会話をしながら
片目を気付かれないように瞑り、瑠璃のほうを見つめるー

”へへー…瑠璃はオーラはよくないけど、見た目は可愛いからなー”

昔は、自分も嫌われているのかと思ったこともある。
しかし瑠璃は、”不機嫌そうに見えてしまう”だけで、
別に怒っていないことが分かったー。

本人も”なぜかわたし、怒ってると勘違いされやすいんだよね”
などと、悩んでいたこともあるー。

それはさておき、そんな瑠璃とは、それなりに何でも
話せる間柄ー。
”女子”との入れ替わりを試すには、もってこいの間柄と言える。

「ーーあぁ、あの人ねー。
 それがどうかした?」
瑠璃のそんな言葉に、
源吾は「あいつ、日葵ちゃんのこと好きらしいんだけどさー
プレゼントするとしたら、どんなものがいいかー、瑠璃なら知ってるかなって
思ってさー」と、適当に言葉を続けるー

そしてー、20秒が経過しー、
源吾と瑠璃は、入れ替わったー

「ーーあぁ、日葵ちゃんはーー って… えぇっ!?」
源吾と入れ替わった瑠璃は、会話の途中で、自分がいきなり
男の声で喋っていることに気付き、声を上げるー。

「ーー”えへへへへへーーーーやべぇ、女子の身体だー…”」
瑠璃になった源吾は、ニヤニヤしながら
身体を見下ろすと、”うぉぉぉ…リアル入れ替わり視点ッ”と、
心の中でそう叫んだー。

②へ続く

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コメント

”1分”しか効果が続かない入れ替わりモノデス~!

今のところまだ源吾くんは
そのことには気づいていないのデス…!

続きはまた明日~!★
今日もありがとうございました~!

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