<女体化>女装してたらホントになっちゃった②~戸惑い~

女装趣味を楽しんでいた男が、
ある日の朝、突然女体化してしまった。

そんな、突然の出来事に彼は
戸惑うことしかできなかった…。

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「ーーーはぁー…」

病院にもまともに相手にしてもらえず、
仕方がなく帰宅した圭太郎は
ため息をついていたー。

しばらく”どうすりゃいいんだ?”と悩んでいた圭太郎ー。

しかし、”女”になってみたいという気持ちがあったのも事実ー。
どんなに女装を極めても、骨格も、声も、胸も、何もかも、
手に入ることはなかったー。

がー、今は、それらを全て手に入れている状態ー。

「ー明日になりゃ、治ってるかもしれないし、
 せっかくだから楽しむか!」

そんな言葉を口にすると、
朝、着ていたメイド服に着替えて、鏡の前で
自分をじっくりと見つめるー

「いやぁ…可愛すぎだろー…俺」

声も可愛いー
見た目も可愛いー
メイド服も、よく似合っているー。

そんな風に思いながら、嬉しそうに
女体化した自分の姿を見つめるー。

やがて、可愛らしいポーズや、
あざといポーズ、
セクシーなポーズ、色々なポーズを
鏡の前でとっては、満足そうに微笑むー。

「うへへへへ…可愛すぎるぅ…」
あまりの自分の可愛さに涎を垂らしながら、
へらへらと笑う圭太郎ー。

せっかくの可愛い容姿が台無しになってしまいそうな、
そんな表情を浮かべながら、
圭太郎は、「そ、そうだ!」と、自分のスマホを手にして、
自撮りを始めるー。

”明日には、元に戻ってるかもしれないし、
 今のうちに記念撮影しておかないとな”

メイド服姿で、様々なポーズを取りながら、
色々な写真を撮っていく圭太郎ー。

何となく、”撮られる快感”のようなものを覚えながら、
メイド服だけでは飽き足らず、
私生活で着ることができる女装用の服から、
ナース服、チャイナドレス、ラバースーツなどなど、
お楽しみ用の女装衣装も次々と着ていき、
色々な写真を存分に撮影したー。

「ーーえへへへへ~わたし、可愛すぎるぅ~」

喋り方も、あえて女子っぽくしながら
満足そうに笑みを浮かべると、
やがて「ーそうだ…お風呂も入っておくかー」と、
お風呂に入る準備を始めるー。

明日には元に戻っているかもしれない自分の身体ー。
それだったら、悩むよりも存分に楽しんだ方がいいー。

そう考えて、女性としてのお風呂を堪能すると、
「ーは~~こういう長い髪って、洗うの大変なんだなぁ」と、
ため息をつきながら、リビングの方に戻って来たー。

やがて、夜を迎えて、
いつものように1日を終えると、
寝る支度を終えて、明日の朝の
目覚まし代わりのアラームをセットするー。

「ーーーさて…おやすみー」

”最初は戸惑ったけど、本当の女になって過ごす1日は楽しかったー”

そう思いながら、眠りにつく圭太郎ー。

”明日には、元に戻ってるだろうー”

全く、根拠のない自信だが、
何故か圭太郎は、そう思い込んで、そのまま眠りについたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

「ーも、戻ってないじゃん!?」

朝、起きてすぐに胸を触った圭太郎は、
自分がまだ”女”のままであることに気付き、
悲鳴に似た叫び声を上げたー

「おいおいおいおい まだついてないし」
ズボンの上から、股間のあたりを触るも、
”アレ”はついていないままー。

イヤでも、自分が女のままであると
思い知らされるー。

「ーーいや、声は可愛いからいいけどさー
 いいけど、よくない!」

圭太郎は一人でそんな言葉を叫ぶと、
慌てた様子で部長に連絡を入れたー。

流石に、あまり欠勤を続けるわけにもいかないー。
そう思いつつ、今日は電話で事情を説明するー。

がー…

”北島くんに、そうお願いされたのですか?”
と、部長は言い放ったー

”電話をかけているのは圭太郎のスマホ”
しかし、電話の相手は女ー。

何らかの理由でズル休みをしようとしている圭太郎が
彼女か何かにお願いして、
電話を掛けさせている、と、部長はそう判断してしまったようだー。

「ーーち、違います!ほ、本人です!北島圭太郎です!」
可愛い声でそう叫ぶ圭太郎ー。

”いやぁー… ははっー

 ーー失礼。
 流石に、そんなことを言われて信じる人間がいるとお思いですか?”

 北島君は、男性社員だし、声もまるで全然違うー。
 信じろと言う方が、無理だと思いますが”

上司は、相手が圭太郎本人ではないと思い込んでいるのか、
他人行儀な口調でそんなことを口にすると、
圭太郎は戸惑いの表情を浮かべながら、
「ーーほ、ほ、本当なんですよ!昨日の朝、起きたら女になってたんです…!
 こ、このまま会社に行って良ければ、行きますけど、
 どうしたらいいですか!?」
と、必死に言葉を吐き出すー。

”どうしたらー…と言われてもー…
 まぁ、北島君本人が会社に来るしかないですね”

部長は半分呆れたような声でそう答えるー。

「ーい、いや、だから、俺が北島圭太郎なんですってば!」

なおも、そう叫ぶも上司である部長には
結局信じてもらうことは出来ず、
そのまま電話を切られてしまったー。

「ーまずいまずいまずいーこのままじゃ俺、クビになるぞ!」

社会人1年目の圭太郎ー。
別に、今の職場は嫌いではないし、
職場自体も悪い職場ではなかったー。

これから頑張って行こうと、そう思っていたのに
まさかこんなことになってしまうなんてー。

なんとかしなくてはならないー。
そう思った圭太郎は、とにかく会社に行こうと、
スーツを無理やり着て、会社に向かうー。

いつも自分が着ているスーツ姿で、
そのまま会社に向かうー。

だがーー
入口で社員証を見せても、警備員が通してくれなかったー。

「ーーいやぁ…その社員証、あなたのじゃありませんよね?」
警備員のおじさんが戸惑いながら言うー。

「で、ですから!昨日の朝、女になってしまって!」
圭太郎がそう叫ぶー。

しかし、警備員は苦笑いをしながら
「それで”はいそうですか”って、ここを通したら
 警備員がいる意味がなくなっちゃうよー」と、冗談めいた言葉を口にするー。

確かに、警備員の立場に立ってみればそうだろうー。
いきなり、男性社員の社員証を持った女が
”俺、昨日、女になっちゃったんです!”などと騒ぎ出したら、
絶対に中に入れることはできないー。

それは普通の判断だし、
理解できるー。

とは言え、それでも圭太郎は奥に進まなくてはならなかったー。
このままここで引き下がるわけにはいかなかったー

「ーーそ、そうだー…じ、じゃあ、誕生日とか、個人情報、全部お伝えするのでー」
圭太郎が何とか信じてもらおうと、そんな言葉を口にするー。

けれどー、
警備員は「お帰り下さい」の一点張りー。
さらには、社員証まで”預かる”と言い始めたー。

確かに、会社からすれば”北島圭太郎”の社員証を知らない女が
持っている状況は看過できない状況なのだろうー。

”くそっー…どうすりゃいいんだー”
会社にも入ることができないー。
このままでは失業ー。ニートになってしまう。

そんな焦りを感じながら、圭太郎が何とか次の言葉を
振り絞ろうとしたその時だったー。

「ーどうかしましたか?」
30代前半の先輩社員・坂井戸(さかいど)が偶然、
出社してきて、そんな声を掛けて来たー。

警備員が「あぁ、坂井戸さんー。この人がですねー」と、
事情を説明し始めるー。

すると、坂井戸先輩は、女体化した圭太郎の方を見つめながら
「ーーなかなか可愛いねー」と、穏やか笑みを浮かべると、
「ーいや、失礼ー。君、本当に北島くんなのかい?」と、
そんなことを口にしたー。

「ーは、はいー。坂井戸先輩ー。
 信じて下さいー。
 誰にも、信用して貰えなくて、困っててー」

圭太郎が必死にそう叫ぶー。

そんな言葉に、坂井戸先輩は「分かった。信じるよ」と、だけ言うと、
警備員と何やら話を続けるー。

そして、警備員との話が終わると、坂井戸先輩は振り返って
こう言葉を口にしたー。

「ーー北島くんー。
 今、この場で中に入ることはやっぱり難しいみたいだから、
 僕が先に中に入って部長に説明しておくよー。
 仕事が終わったら連絡するから、今日は一旦、家で待っててもらえるかな?」

「あ、はいー。わかりましたー。
 よろしくお願いしますー」

そう返事を返すと、圭太郎は困惑の表情を浮かべるー。

このまま、ずっと会社に出社できない状況が続けば、
当然、会社はクビになってしまうだろうー。

坂井戸先輩がどうにかしてくれるかー、
誰かに何とか信じてもらうかー、
それとも、何らかの拍子に無事に男に戻るかー。

方法としては、そのぐらいだろうかー。

しかし、全部、運任せや他人任せの方法しかないことに、
圭太郎は困り果てたような表情を浮かべることしかできなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕方ー。

坂井戸先輩から電話がかかって来たー。

圭太郎が慌てて先輩からの電話に出ると、
坂井戸先輩が声を発したー

”もしもし?1時間後に部長が話がしたいって
 言ってるんだけどー、
 会社の談話室に来れるかな?”

坂井戸先輩のそんな言葉に、
圭太郎は「えっ!?部長、信じてくれたんですか!?」と、
嬉しそうに言葉を発するー。

”いやー、そこまでは分からないけどー、
 とにかく、北島くんの話を聞いてくれることにはなったー。
 僕も同席するから、今から来れるかい?”

坂井戸先輩にそう言われた圭太郎は
「も、もちろん!今すぐ向かいます!」と
慌てた様子で会社へと向かったー。

がーーー
談話室に入ると、そこにいたのは坂井戸先輩だけー。

坂井戸先輩が部屋の入口の扉を閉めて、
笑みを浮かべるー。

「ーーーえ…?」
女体化した圭太郎が表情を歪めると、
「ー君、可愛いって朝から思ってたんだ」と、
坂井戸先輩が、不気味な笑みを浮かべながら
そんな言葉を口にするー。

その坂井戸先輩を見て、
圭太郎は”騙された”ことを悟るー。

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!
 坂井戸先輩!
 お、お、俺は男ですよ!?
 こんな姿ですけど、男なんですよ!?」

圭太郎が恐怖を感じて叫ぶー。

普段ならー
”こんなに”恐怖を感じたりはしなかったかもしれないー。

けれど、今の自分は”女”ー

「ーーふふふふー
 君が北島くんか、そうでないかなんて、どうでもいいんだー。
 嘘なら君は女の子だろうしー、
 本当だとしても、今の君は女の身体だー」

そう言うと、坂井戸先輩はニヤニヤしながら
圭太郎の胸を触って来たー。

「ーーん~~~♡ 素晴らしい」
坂井戸先輩が、完全に変態の顔でそう囁くと、
圭太郎は慌てて逃げようとするー。

だがー、坂井戸先輩に腕を掴まれー、
思いっきり引っ張られてしまった圭太郎は、
その”腕の力”に驚きを露わにするー。

「ーーー!!!!!」
驚く啓太郎に対して、
坂井戸先輩は笑みを浮かべると、
「今日はもうみんな帰ったし、助けは期待しない方がいいよ?」と、
そう言葉を口にしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した圭太郎は、ガタガタと身体を震わせていたー

”女としての恐怖”を生まれて初めて味わったー。

それと同時に、
もう”会社に顔を出すことはできない”
いやー、出したくない、という感情が膨れ上がってしまい、
さらには”自分は女なのだと”嫌でも、それを思い知らされてしまったー。

自暴自棄になって、メイド服を着たまま
「どうせ俺は女ですよ~!だ!」と、不貞腐れたまま
自撮りを繰り返す。

”もうどうにでもなれ”と、
自分の可愛らしい写真や、きわどい写真を、
作っただけでほとんど使っていなかったSNSのサブアカウントのひとつを使い、
それをUPしていくー。

「ーケッ」
不満そうにそう呟くと、そのままベッドに飛び込む圭太郎ー。

明日になったら元に戻っていることを、
ほんの少しだけ祈りながら、眠りにつくー。

がー…
やはりと言うべきか。
翌日になっても、男に戻っていることはなかったー。

「ーーーくそっ…どうすりゃいいんだよー」
圭太郎は、苛立ちを露わにしながら何気なくスマホを見つめるとー、
ふと、”あること”に気付いたー。

「ーーーあ…?なんだこりゃー?」

昨日、自撮りの写真を公開したSNSに
”見たこともない数の通知”来ていたのだー

そこに溢れる”かわいい”の文字ー。

それを見た圭太郎は、思わず笑みを浮かべるのだったー

③へ続く

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コメント

女装していた男の人が、女体化してしまった…

嬉しいことばかりかと思いきや、
現実は厳しいですネ~!

でも…?

明日が最終回デス~!!

コメント

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