女装趣味を持つ男。
しかし、そんな彼が
ある日、本当に女体化してしまってー…?
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今年から社会人になった
北島 圭太郎(きたじま けいたろう)には、
ある趣味があったー。
それがーー
「ーーーえへへへへへへ…」
”女装趣味”だったー。
元々、女装が似合う雰囲気の彼は、
高校時代の文化祭の出し物で、女装をすることになってしまい、
そこから、女装に目覚めたー。
最初は嫌々だったけれど、
文化祭に遊びに来た人たちから
本当の女子だと勘違いされたり、
”えぇ!?男!?いやいや、男でも付き合いたいぜ!”と、言われたり、
”可愛くてついてるなんて、2倍お得じゃん!”と、言われたりして、
”可愛い”と言われる快感に目覚めてしまったー。
その後、大学に進学し、
”女装”を本気で楽しむために一人暮らしを始めて、
帰宅しては、一人で女装を楽しんでいたー。
可愛い服に身を包んだ自分は、本当に可愛いー。
そんな風に、日々思いながら、大学生活を過ごしたー。
そしてー…
社会人になった現在も、その趣味は続いているー。
もちろん、今でこそまだ20代前半だが、
そのうち、何十年もすれば女装が難しい容姿にー…
おじさんになっていくことは、圭太郎も理解はしている。
しかし、今はまだ、”女装した俺”はとても可愛いー。
そんなことを思いながら、
今日はメイド服を身に纏い、鏡の前で笑みを浮かべていたー。
「ーは~~~…かわいい~… 俺」
自分のことを可愛いと言いながら、
女装した圭太郎は笑みを浮かべるー。
”女声”の練習もしたが、
”声”は生まれ持ったものー。
流石に、本物の女子のような声を出すことはできないがー、
黙っていれば本当にかわいいー。
鏡の前で色々なポーズをしたり、
可愛い仕草をしてみたり、
「圭太郎くん、おつかれさまー」と、小声で囁いてみたりー、
色々なことをして、癒されるー。
特に、社会人になってからは、学生時代とは
違う部分も色々とあって、
想像以上に日々、疲れているー。
そのためか、こうして女装する日も、
大学時代よりもさらに増えたようなー、
そんな気もしているー。
「ーーさて、と、そろそろ寝るか~」
女装を存分に堪能した圭太郎は、そのままベッドに向かうー。
既にお風呂は済ませてあるし、
寝る準備は、完璧だー。
「ーーへへへ…女装したまま寝ると、朝、起きた時興奮するんだよなー…」
そんな風に呟きながら、圭太郎はベッドに向かうー。
女装したまま寝ると、
朝、起きた時に一瞬”自分が本当に女になっちゃった”と、錯覚することがあるー。
寝起きは寝ぼけているし、
だからこそ、”えっ!?”となるのだー。
その感覚が好きな圭太郎は、女装したまま眠ることが多いー。
加えて、格好によっては、朝、いい感じに乱れたりしていて、
それもまた、ドキドキするのだー。
”あー、そうだー”
圭太郎は、そんな風に思いながらネットの女装仲間である「凛香(りんか)」から
メッセージを貰っていたことを思い出し、
それに返信するー。
”凛香”は、大学時代にネットで知り合った”女装仲間”
本名は当然、凛香ではないとは思うが、
自分自身も、ネット上では”姫梨”と名乗っているし、
お互いに”女装”であることは知っていても、
相手の本名までは知らないー。
そういう間柄だー。
”凛香さん、本当にいつになっても可愛いよな”
そんなことを思いながら圭太郎は、凛香からのメッセージに
返信を送ると、そのまま翌日の朝にセットしたアラームを確認し、
静かに眠りについたー。
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翌朝ー
いつものように、スマホのアラームが鳴り響き、
目を覚ました圭太郎ー。
「ーーー」
スマホのアラームを止めて、
ふと、自分がメイド服姿なのを見て、
”いつものように”ふざけて「俺、女になってるー!?」などと
言葉を口にするー。
女装したまま寝た翌朝には、
大体、圭太郎がやっている”おふざけ”だー。
もちろん、胸は偽物だし、ちゃんとついたままだし、
声は男のままだしー、
朝、起きたら急に女になっていた、なんてことが
現実には起きない、ということはよく理解しているつもりだ。
しかし、何となく、いつもそれをやってしまうー。
「ーー?」
ふと、変な声が出た気がすると思いながらも、
寝ぼけている圭太郎は、そのまま立ち上がるー。
”なんか、今日は歩いている感じが変だなー”
そんな風に思いながら、ふと、股間のあたりに違和感を感じて、
そこに手を触れるとー…
「ーー!?!?!?!?!?!?」
圭太郎は「えっ!?」と思いながら、
メイド服の上から股間のあたりを何度も何度も触るー。
「えっ!?ちょっ!?えっ!?」
慌ててメイド服の中に手を突っ込んで、さらに何かを探る圭太郎は、
唖然とするー
「ーって…何だこの声ー…女みたいな声にー…」
圭太郎は呆然としながら、とりあえずウィッグを外そうと
頭の方に手をやるも、
ウィッグが外れないー。
「ーーあ…??? え???」
何度も何度も髪を触るー。
しかし、綺麗な黒髪は、まるで”自分のものかのように”、
頭にしっかりとついている状態ー。
「え…?」
試しに髪を引っ張ってみる圭太郎ー。
すると、「いたっ!?」と、ちゃんと痛みが走ったことに
圭太郎は驚くー。
「ーーーー…」
そしてー、胸の膨らみを見つめながら
上から胸を揉むとーー
「ーえっ!?!?な、な、なんだこれ!?!?!?」
圭太郎は思わず変な声を出してしまうー
今まで感じたことのない感触ー
偽物の胸とは全く違う感覚ー
そもそも、”触られている”という感触からして、
もう何もかもが違うー
アレがないー
それに、髪も、胸も、声もー
そう思った圭太郎が、鏡の前に走るとー、
そこには”女装している自分”ではなくー、
”女体化した自分”が、驚いた表情を浮かべて
鏡のほうを見つめていたー
「ーーう、う、う、嘘だろ!?」
元々、女装すると、本当の美少女のように見える顔立ちだったが、
今はそれ以上に美人で、女性的な顔立ちになっているー。
「ーー…な、な、な、何だこれはー…」
呆然としながら”女の声”を発する圭太郎ー。
圭太郎は思わずその場でメイド服を脱ぎ捨てて
自分の身体の状態を確認したー。
そしてー…
”現実”を思い知ったー。
自分は、本当に”女”になっているのだとー。
「ーーーい…いやいやいやいやいやー…
え…?マジ?」
あまりの出来事に、信じられないという様子で
女体化した圭太郎は困惑の表情を浮かべるー。
とりあえず”女装”のために、女物の服は色々と
あるため、その点は困らないし、
メイク用品もあるから、メイクもできるー。
がー…とは言っても、
いざ、本当に女になってしまうと、
驚きを隠せないー。
ちゃっかり自分の胸を気持ちよさそうに揉みながらも
”こ、これからどうすりゃいいんだ?”と、
只々、困惑の表情を浮かべる圭太郎ー。
「ーーそういや…仕事とかどうすんだこれ…?」
自分の身体を見つめながら、圭太郎は
困惑の表情を浮かべると、
仕方がなく、スマホを手にして、上司にLINEを送ったー。
”おはようございます。
信じられないとは思いますが
朝、起きたらいきなり女になっていたのですが、
どうすれば良いでしょうか?
このまま出勤することもできますが、
事態が事態なので、部長の指示を仰ぎたく、
ご連絡させていただきました”
動揺しながらも、
そんなメッセージを上司に送る圭太郎ー。
”本当は電話でご連絡したかったのですが、
声もいつもと全然違うため、
まずはメッセージでご連絡させていただきました”
とも、添えてー。
するとー
数分後には、部長からの連絡が帰って来たー。
”朝、目が覚めたら女になっていた…?
それは、大変だなー。
今日はとりあえず会社は休んで、
病院に行きなさい”
返事の内容はそれだったー。
一見すると、”圭太郎の状態”を心配してくれている
返事にも見えるが、
よく読んでみると、
”頭がおかしくなったのか?病院に行け”という意味合いにも見えて、
どっちとも取れずに、圭太郎は少し不安を覚えたー。
しかし、いずれにせよ、この状況では
病院に行った方が良さそうだー。
そう思いながら、圭太郎は「おっぱい揉むのは気持ちいいけどー…」と、
呟きつつ、病院に行く支度をするのだったー。
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「ーーーーーあの、北島様ー」
病院の受付に、保険証を提出して数秒後ー、
圭太郎は、受付のスタッフから呼び出されていたー。
「ーはい?」
女装は手慣れたものー。
いや、今は”女装”ではなく、これが自然の姿ー…と、言うべきだろうかー。
”女”としての服装で、ちゃんと外出した圭太郎は、
どこからどう見ても”女”だったー。
それ故にー…
「ーー北島 圭太郎様 ご本人は、このあといらっしゃるということで、
よろしいでしょうか?」
受付の女性が、保険証と、”女体化した圭太郎”の顔を見比べて
困惑するー。
保険証には顔写真はないー。
しかし、”北島 圭太郎”と、確かに保険証には書かれているー。
けれど、目の前にいるのは、どう考えても女性で、男性ではないー。
”圭太郎”という名前の女性がいる可能性も0ではないかもしれないー。
でも、保険証の性別欄にも”男”と書かれているー。
「ーーー……ーーえ、えっと、あのー、ほ、本人ですー」
女体化した圭太郎は、可愛らしい声で自分を指差しながら
苦笑いするー。
受付の女性は困惑した様子で、
「ーー北島 圭太郎様ーー…ご本人様でいらっしゃいますか?」と、
繰り返したー。
「ーーは、はいー」
圭太郎はそう言いつつも、
”いや、分かるよー。本人じゃないって言いたいんだろ?
でも、俺、本人なんだよなー…”
と、心の中で呟くー。
やがて、受付の女性たちが
”ここで問答していても、面倒だし、このまま通しちゃえ”と
言わんばかりの雰囲気で、
「き、今日はどうされましたか?」と、言葉を口にするー。
圭太郎はここで
”朝、起きたら女になっていたのでー”と、症状を説明したら
100%つまみ出されると判断して
”ち、ちょっと風邪気味でー”と、嘘をついたー。
とにかく、先生に話を聞いてもらいたいー。
受付の女性たちに門前払いにされるわけにはいかないのだ。
ようやくー、待合室で待つ段階になり、
10分ほどで、診察室へと呼ばれたー。
圭太郎は、スカートを揺らしながら、
慣れた様子で、診察室へと向かうー。
”女装”をいつも楽しんでいた圭太郎からすれば、
スカートの感触は”慣れたもの”だったー。
こんな風に堂々と病院で履いているのは初めてだが、
それでも、いきなり女体化して、
人生で初めてスカートを履くことになるような人たちとは、違うー。
いつも女装して、スカートを履いている圭太郎は、
スカートに慣れているのだー。
「ーーー今日は…どうしましたか?」
診察室に入ると、医師が少し困惑した表情で、
女体化した圭太郎のほうを見つめたー。
「ーー…」
”北島 圭太郎”と書かれているのに、
入ってきたのは可愛らしい女性ー…
それ故に、困惑しているのだろうー。
「ーーーえ~…実は、今日…朝、起きたら”こう”なってまして」
圭太郎が困惑の表情を浮かべながら
自分の身体を触りつつ、そう言葉を口にするー。
「ーーこう?」
医師は、さらに困惑の表情を浮かべるー。
「ーーそ、そのー
朝、目が覚めたら女になってましてー…
昨日まで、男だったんですけどー」
女体化した圭太郎は、正直にそんな言葉を口にする。
別の嘘はついていないー。
それが、事実だー。
「ーーーーーーー」
医師は困惑した表情で、目の前にある患者情報か何かが
記録されているパソコンのほうを見つめると、
首を傾げたー。
「えっと、お名前はー?」
”北島 圭太郎”ではないと判断されたのだろうー。
そう確認してくる医師ー。
「北島 圭太郎ですー。」
圭太郎は、女の声でそう言い放つと、
医師は首を横に振ったー
「ーー北島 圭太郎さんとはどんなご関係で?
ダメですよー
他人の保険証を使っちゃ。
それとー……
朝、起きたら女になっていたとのことですがー、
ちょっとウチではそういうのは診察できないのでー
あぁ、ウチは内科なのでねー。
とりあえず、紹介状書きますのでー」
そう言いながら医師は、看護師に小声で
”あそこの心療内科に紹介状をー”と、コソコソ話し始めるー。
「ーーいや、ちょっと待ってください!」
”頭のおかしなやつ”認定をされてしまったのだろうかー。
そう、思いながら
焦った様子を見せる圭太郎ー。
だが、結局、信じてもらうことは出来ず、
診療費も10割を請求されて、
散々な目に遭うことになってしまうのだったー。
②へ続く
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コメント
女装してたらホントに女体化してしまった…!
そんな、女体化モノデス~!
周りに信じてもらえず、
早くも暗雲が…★
続きはまた明日デス~!★!
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