異世界に飛ばされてしまい、
その世界の巫女に憑依してしまった三人ー。
三人は元の世界に戻る方法を探し求め、
ようやく、それにたどり着いたもののーー…
”三人で異世界”その後の物語…!
※先に本編を読んでくださいネ~!
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沼津 寛太(ぬまづ かんた)と、
その彼女、相葉 早緒莉(あいば さおり)が
試験勉強のために寛太の家にやってきていたある日ー、
寛太が帰り道で拾った”虹色の石”の力によって、
寛太の兄・沼津 隆也(ぬまづ たかや)も巻き込み、
三人は異世界に飛ばされてしまったー。
異世界では、その世界の巫女・ソニアに憑依した
状態になってしまっていた三人ー。
困惑する中、ソニアと共に
世界5か所に存在すると言われる”魔晶石”を破壊して回っている
傭兵・ティムとも出会い、
共に、元の世界に戻る方法を模索していくー。
ソニアの身体には、
ソニア本人の意識も残っていて、一つの身体に4人の意識が
存在する状況ー。
そんな状況でも、なんとか2つ目の魔晶石にたどり着いた三人は、
そのまま元の世界に戻れるーーー…
はずだったー。
が、元の世界に戻ったのは、兄の隆也だけー。
しかも、隆也は”早緒莉”の身体に入り込んでしまっていたー。
そしてー…
元の世界に戻れなかった寛太と早緒莉は、
まだ、巫女・ソニアの身体で異世界の冒険を続けていたー。
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異世界ー。
3つ目の魔晶石があるエリアを目指しながら
ソニアが呟くー
”残ったのがあんたたちで良かったー
もう一人の人、やたらわたしの身体をヘンな目つきで見てたしー”
ソニアの言葉に、
寛太がソニアの身体で「俺の兄がすみませんー」と、
申し訳なさそうに言葉を口にするー
”あははー、まぁ、悪い人じゃないっていうのは分かるし、
いいんだけどねー
でも、あの人だけ元の世界に戻れたってことはー
次の魔晶石にたどり着けば、また、二人同時ー、もしくはどっちかは
元の世界に戻れるんじゃないかな?”
とー、ソニアはそんな言葉を口にするー。
「ーーそうだといいんですけどー…
でも、寛太のお兄さんも、ちゃんと元の世界に戻れたのかなー?」
早緒莉がソニアの口でそう言うと、
「ーう…こ、怖いこと言わないでくれー…」と、寛太がソニアの口で呟くー。
確かにー、
寛太たちからすれば、兄の隆也が”元の世界に戻れた”ということを
確認する術は、残念ながら”ない”に等しい状態だー。
元の世界に戻れたと考えるのが妥当だが、
単に消えてしまったり、他の世界に飛ばされている可能性だって、
あるにはあるのだー。
「ーははは…相変わらず賑やかだなー
2人しかこの場にはいないのに、大勢で冒険しているみたいだ」
ティムが笑いながらそう言うと、
「ーーそろそろ見えて来るぞー。3つ目の魔晶石」と、
そんな言葉を口にしたー。
”3つ目の魔晶石ー”
ソニアが、自分の身体の中で呟くー。
”移動の時は、寛太か早緒莉が表に出てくれていた方が楽”という理由で、
こうして奥に引っ込みながら、
自分の身体が勝手に移動する状態を楽しんでいるー。
「ーはぁ…はぁ…歩くの、俺ばっかりー」
寛太がソニアの身体でため息をつきながら言うと、
早緒莉が申し訳なさそうに”そ、そろそろ交代しようかー?”と、
言葉を口にするー
「い、いいやー。さ、早緒莉はゆっくり休んでて!」
ソニアの身体で、寛太がそう言葉を口にすると、
前を歩いていたティムが立ち止まったー。
「ーーむぅ」
3つ目の魔晶石ー…
それがある場所を見て、ティムは表情を歪めているー。
「ーどうかしたの?」
ソニア自身が、自分の身体を動かしながら、
そう言葉を口にして、ティムが立っているところまで
歩いていくと、
「あ~~~~…大変そうだね…」と、
ソニアも、ティムが表情を歪めている理由に納得したのか、
その先を見つめながらため息をつくー。
視線の先には、大樹海のような場所が広がっているー。
”魔晶石”の光はその中から見えていて、
魔晶石を破壊しに行くためには、あの大樹海を突破しなければ
ならないのは明白だったー。
「ーーまぁ、わたしの”結界”があれば、迷うことはないから」
ソニアがそう言うと、ティムは「君は本当に頼りになるなー」と、
安堵の表情を浮かべながら笑うー。
「ーふふ、でも、戦いはティムの方が全然上だしー、
わたしたちは二人揃ってなくちゃ、だからね!」
ソニアがそう言うと、ティムは「ああ、そうだなー」と、
そのまま大樹海に向かって歩き出すー。
”ええええ…本当に出れるの?”
”なんか、いやな感じの森だなぁ…”
早緒莉と寛太がそれぞれ戸惑いの言葉を口にしながら
中に入ると、
その直後ーー
「ーーーー…こ、交代ー」
と、ソニアが言葉を口にしたー
「ーーえっ!?!?ま、また!?」
寛太がソニアの身体の主導権を握ると同時に
困惑の表情を浮かべるー。
”ーわ、わたし、こういうオバケが出そうなところ、苦手なの”
ソニアが恥ずかしそうに言うと、
”あ~分かります!わたしも苦手です!”と、早緒莉が意気投合するー。
そのまま、頭の中でオバケトークを二人が始めるのを聞きながら
寛太は、ソニアの身体で仕方がなく、
ティムと行動を共にするー。
「ーははは、ソニアはこういうところが苦手でねー
君たちがいてくれて良かったー。」
ティムが笑いながらそう呟くー。
「ー君たちがいなければ、ソニア、きっとこの大樹海の入口で
何時間も立ち止まっていただろうからー」
その言葉に、寛太はソニアの身体で、
「色々大変なんですねー」と、笑うー。
「ははは…まぁ、でも、ソニアも僕も、どちらも欠けるわけには
いかないからなー」
ティムがそう言いながら、ソニアのほうを見ると、
「ソニア、そろそろ迷わないように”光の導”をー。」と、
言葉を口にするー
”はいは~い”
ソニアの頭の中からソニアの声がしてー、
寛太が一時的に奥に引っ込むー
「うわぁ…やっぱ、心の中から見てるのより、
中で見るとより不気味さが際立つぅ…」
ソニアが震えながらそう呟くと、
そのまま錫杖を手に、何かを唱え始めるー。
「ーー光よー。正しき道を照らしー、
今まで辿って来た道に印をー」
そう言い放つと、光の雫のようなものがたくさん出現して、
正しき道を照らし始めるー。
「ーさすがソニア。頼りになるなー」
ティムが、そんな感心の言葉を口にすると、
少し照れくさそうにソニアは笑うー。
「ーーーって…」
ソニアがふと、あることに気付いて表情を歪めるー。
「どうした?」
ティムが不思議そうに振り返ると
「こ、この術、維持してるにはわたしが表に出てないとダメじゃん!」と、
声を上げるソニア。
「ーーは、はははー 確かにー」
ティムが苦笑いすると、
ソニアは「え~~!怖い~!!やだ~~~!」と、声を上げながらも、
仕方がなく、表に出たまま、大樹海のルートを照らし続けたー。
そしてー、
ようやく、”3つ目の魔晶石”が存在する場所にたどり着くー。
ソニアが魔晶石の前に立ち、
ティムが少し距離を取るー。
「ーじゃあ、今度こそ、お別れかもねー」
ソニアがそう言い放つと、
”色々お世話になりましたー”
と、早緒莉がソニアの中で丁寧に言葉を口にするー。
”俺たちがいなくなっても、魔晶石の破壊、頑張って。”
寛太も、そんな言葉をソニアの中で口にすると、
ソニアは少しだけ寂しそうな表情を浮かべてから、
そのまま、魔晶石に攻撃を加えたー。
砕け散る魔晶石ー
今度こそ、元の世界に戻ることができるー。
寛太と早緒莉は、そう信じながら静かに目を閉じたー。
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「ーーーーーーー!!!」
ガバッと起き上がる早緒莉ー。
周囲の光景は、見覚えのある光景ー。
そう、ここは、寛太の家ー。
思わず安堵する早緒莉ー。
「ーーーわ、わたし、もどってこれーー……」
がーーー
”声”が違ったー。
「ーーーえ…???
こ、この声って、寛太の声…だよねー?」
そう思いながら、寛太の身体に戻ってしまった早緒莉は、
困惑しながら、鏡を見つめたー。
予想通り、鏡にも寛太の姿が写っているー。
「えっ…? えっ…? えっ…?
わ、わたし、こっちに戻って来る時に
寛太の身体に入っちゃったってことー!?」
早緒莉は困惑しながら、寛太の身体で
そう叫ぶと、
ふと、部屋に倒れたままの寛太の兄・隆也の身体を
見つめたー。
「ーーーーーーー…」
「ーーーーーえ」
ふと、イヤな予感が頭をよぎるー。
寛太の兄・隆也は、2つ目の魔晶石を破壊した際に、
一足先に、ソニアの身体から出て、
元の世界に戻っているー。
しかし、ここに隆也の身体が倒れたままと言うことはー…
”ソニアの身体からいなくなった隆也は、
実はこの世界には戻ることができていない”
あるいはー
”早緒莉の身体に入った”
かー…
その、どちらかであることを示しているー
「ーわ、わたしの身体がないってことはー、
ま、まさかお兄さんがわたしの身体にー…?」
そんな風に思っていると、
部屋の扉が開きー、
紙袋を手にした早緒莉が、部屋に入って来たー
「ぶっ!!?!?!?!?」
”寛太”の身体が起き上がっていることに気付き、
”早緒莉になった隆也”は、思わず変な声を出してしまうー。
今、買ってきたばかりと思われる紙袋から、
メイド服がこぼれ落ちるー。
「ーーー………あ、あはーー…
か、寛太…?それとも、さ、早緒莉ちゃんー?」
早緒莉になった隆也が気まずそうに言うと、
寛太になった早緒莉は「ーー早緒莉ですー」と、
少し不機嫌そうに言うと、
「ーわたしの身体で、何しようとしてたんですか?」と、
そんな言葉を口にしたー。
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”まぁまぁ、そんなに落ち込まないで”
ソニアの意識がそう言葉を口にすると、
寛太は、ソニアの身体で
「ついに俺だけになっちゃった…」と、少ししょんぼりした様子で
そんな言葉を口にするー。
「ーーははー君は一人ぼっちじゃないさー。
この世界にいる間は、僕たちは仲間だー。
それに、魔晶石を1個壊すごとに、一人ずつ元の世界に
戻れているから、君も必ず、次の魔晶石を壊した時に
元の世界に戻れるはずさ」
ティムのそんな言葉に、
寛太はソニアの身体で「あ…ありがとうございますー」と、頷くー。
「ーーーでも、もし、次の魔晶石を壊したら
俺も帰れるんだとしたらー…
最後まで二人の冒険に力を貸すことはできないかもしれませんねー」
寛太がソニアの身体で言うと、
ティムは「はははー、僕たちのことも気にしてくれているのか?」と、笑うー。
「ーーこれだけお世話になったら、気にしますよー。」
寛太がソニアの身体でそう言うと、
ソニアは”ふ~ん 意外と、ちゃんと恩を感じるタイプなのね”と、
いつものように言葉を口にしたー。
「ーーまぁ、次の魔晶石を破壊すれば残りは一つ。
それを壊せば、各地の魔物たちの力を削ぐことができるー。
あと一つぐらい、僕とソニアで十分さー。
君は、気にせず、早く元の世界で待っている二人のところに
帰ってあげないとな」
ティムのそんな言葉に、
寛太は「そうですねー」と、頷くと、
「じゃあ、それまでよろしくお願いします」と、頭を下げたー。
”ーーえへへへー
でも、早緒莉さんがいなくなっちゃって、
ちょっと寂しいんじゃないの?”
ソニアが揶揄うようにして心の中から声を掛けて来るー。
「ーーべ、べ、別にー…
元の世界に戻ればまた会えるんだしー」
「ーまたまたぁ、照れちゃって」
「ーーて、照れてないし!」
ソニアが一人で二役やってるかのように、
コロコロ態度を変えながらしゃべっているのを見て、
ティムは苦笑いをすると、
「この先は、山賊が根城にしている地帯だー。」と、
ソニアたちに注意を促すー。
「ーーさ、山賊ー」
ソニアの身体で寛太がゴクリと唾を飲み込むと、
”大丈夫大丈夫ー。ティムは強いし、わたしの光の力でも
簡単に撃退できるからねー”と、
軽い調子でソニアが言葉を口にするー。
”俺は、ちゃんと元の世界に帰れるだろうかー”
そんな風に思いながら、寛太は、
ソニアの身体でティムについていくようにして、
歩き始めたー。
<後編>へ続く
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コメント
「三人で異世界転生~」の後日談デス~!
無事に(?)二人は元に戻れましたが
あとは寛太くんが…★
戻った二人も、自分の身体には戻れていないので、
色々大変そうですネ…!
続きはまた来週デス~!!
(※火曜日のみ(土曜日から少し前に変わりました)予約投稿な都合上、
火曜日の作品の続きは、また次の火曜日になります~)
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