明るい性格のお姉ちゃんと、暗い性格の弟が
入れ替わってしまったー…!
戸惑いの中、二人は元に戻る方法を
探していくことにー。
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麗奈は栄太として、
栄太は麗奈として、お互いの学校に行く準備を進めるー。
「や、やっぱ…僕に姉さんの代わりなんて無理だよー」
不安そうにそう呟く麗奈(栄太)ー
「ー大丈夫 別に無理にわたしの代わりをしなくてもいいし」
栄太(麗奈)がそんな風に言うと、
「で、でもー僕…姉さんの評判とか、そういうの落としちゃうかも…」と、
不安そうに言葉を口にするー。
「ーそんなこと気にしなくて大丈夫ー
わたしだって、ちゃんと”栄太”として振る舞えるかは分からないしー」
栄太(麗奈)のそんな言葉に、
「ーやっぱ、しばらく休んだ方がいいような気がするー」
と、麗奈(栄太)は言葉を口にするー。
当然、”栄太(麗奈)”もそれは考えたー
”入れ替わってしまったこの状態”が解決するまで
学校は休むべきなのではないか、とー。
しかし、いつ元に戻れるか分からないしー
もしー…もしもずっとこのまま戻れなかったらー、
ずっと休んでいるわけにもいかない、と、
入れ替わった状態のまま学校に行くことを提案したー。
「ーーーーーー」
しばらく話し合いを続ける二人ー。
ようやく、麗奈(栄太)も納得したのかー
「ぼ、僕ー、頑張ってみる」と、そんな言葉を口にしてー、
二人はお互いに準備して、学校に向かい始めるー。
通っている高校は姉と弟で別々ではあるものの、
途中までは方向が一緒のことから、今日は二人で一緒に
そこまで向かっていくー。
「ーーーだ、大丈夫ー?」
あまりにソワソワした様子の麗奈(栄太)を見て
不安そうにそう呟く栄太(麗奈)ー
「ーえ、だ、大丈夫だけどー…そ、そのーす、スカートってーー
なんかー落ち着かないー」
”スカートを履いて外を歩く”
そんな経験が当然初めての麗奈(栄太)からとってすれば、
今の状況はとても落ち着かない状態ー。
スカートを恥ずかしそうに抑えたり、
「こ、こんなので毎日歩いてるのー?」と、
不安そうに言葉を口にしたり、常にソワソワした様子を繰り返すー。
「ーーう、うんー
わたしからすれば当たり前というかー…
普通になっちゃってるけど、
栄太は普段、スカートなんて履かないもんねー」
栄太(麗奈)がそう言うと、
麗奈(栄太)は静かに頷くー。
「ー確かに、こういう時は男子の方が大変かもー」
栄太(麗奈)は歩きながらそう呟くー。
”女子”はスカートも履くし、ズボンも履くー。
だから入れ替わってズボンを履くことになっても
そこに関しては多少の違和感で済むー。
しかし、”男子”は、ズボンしか履かないー。
女装趣味があったり、何か事情があれば、
スカートを履く機会がある子もいるにはいるだろうけれどー、
基本的にはスカートを履かない男子の方が多いー。
だからこそ、入れ替わってスカートを履くことになれば
戸惑うのも当然だろうー。
「ーーあ、そろそろ分かれ道だねー」
栄太(麗奈)が、前の前に迫った大通りのほうを見つめながら
そう呟くー。
二人の高校への道のりは、
この交差点で別々の道を進むことになる。
「ーーー…あんまり、緊張しすぎないでいいからね?
何かやっちゃっても、わたし、気にしないから!」
栄太(麗奈)がそう言うと、
麗奈(栄太)は、意を決したかのように、
「で、できるだけ姉さんに恥をかかせないように、が、頑張るよー」
と、そう言葉を口にしたー。
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学校に到着した二人ー。
栄太として栄太の学校に登校した麗奈は、
”誰も話しかけてこない…”
と、”いつもの自分”とは違う状況に
少し寂しさに似たような感情を覚えるー。
”栄太、いつもさみしいだろうな…”
そんなことを思いながら、栄太(麗奈)として
学校生活を続けるー。
栄太の方が学年が下であることから、
授業自体はすんなり理解できたし、
成績優秀の麗奈からすれば、
授業には何の問題もなかったー。
むしろー
「えぇっ!?今里のやつ?今日、なんかすごくねー?」
「あいつ、あんなに頭良かったっけー?」
授業中に難しい問題を簡単に解いて見せたことから、
そんなことまで言われてしまう始末ー。
”栄太は、本当は凄いんだからね!”
栄太のイメージが上がることを、姉として少し誇らしげに思いながら、
栄太(麗奈)は内心でドヤ顔をすると、
”もっと栄太のすごいところ見せてあげよっと!”と、
そんなことを内心で呟くのだったー。
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「ー今日、なんか静かだね?」
麗奈の親友・麻耶がそんな言葉を掛けて来るー
「え、え、え、そ、そうですかー?」
敬語で反応してしまう麗奈(栄太)
「え?」
敬語で返事をされた麻耶は、当然、不思議そうな表情を
浮かべながら首を傾げるー。
「ーーあ、あ、ち、ちがっー
わ、わ、わたしは、げんき!げんき!」
麗奈(栄太)がそんな奇妙な返事をしてしまうと、
麻耶はさらに不思議そうに首を傾げたー
「ーな~んか、今日の麗奈、変だよねー?」
麻耶の言葉にギクッとする麗奈(栄太)ー
「そんなことないよ~!あはっ!あはっ!あはははははは!」
無理がある笑い方で必死に誤魔化そうとするも、
もはやちゃんと誤魔化せているのかどうかも
怪しいー
そんな反応を繰り返していると、麻耶は、
「ーま、まぁ、何か困ったことがあったら何でも言って」と、
そう言葉を口にしたー。
「は、はぁ…ありがとう、ございますー」
麗奈(栄太)は、また敬語でそんな反応をしてしまうと、
そのまま”やっぱ僕に姉さんの代わりは無理だ”と、
ため息を大きく吐き出しながら、
静かに首を横に振るのだったー。
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「ーーーーー」
帰宅した栄太(麗奈)は、虹色の石を見つめながら
色々なことを試していたー
「この石で入れ替わったのは間違いないけどー」
栄太(麗奈)はそう呟きながら
石を振ったり、石を叩いて見たり、そんなことを繰り返すー。
入れ替わる直前、虹色の石が謎の光を発したのを覚えているー。
恐らく、あれが入れ替わりの原因だとは思うー。
しかし、あれ以降、この石が光を発する様子はなく、
何の反応も示していないー。
「なんか、条件があるのかな…?」
栄太(麗奈)がそんなことを思いながら石を振っていると、
後から帰宅した麗奈(栄太)が、部屋に入っていたー
「ーーあ」
”栄太の部屋”に入って来た麗奈(栄太)は
「あ、ごめんー癖で」と、そんな言葉を口にするー。
「ーううんー大丈夫ー。
それで、学校はどうだった?」
少し心配そうに栄太(麗奈)がそんな質問を投げかけると、
麗奈(栄太)は意外にも、いつもは見せないような笑顔を
浮かべながら言葉を口にしたー
”思ったより、楽しかったー”
とー。
「ーーあはは、それなら良かったー!
元に戻る方法も見つけるから、もう少しだけ我慢しててねー」
弟の栄太が、学校を楽しかった、と言ったことを少し意外に思いながらも、
”良い意味”で予想を裏切ってくれたことに少し安堵しながら、
栄太(麗奈)は、少しだけため息を吐きだしたー。
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次の日もー、
その次の日もー
元に戻れない状況が続くー。
だが、入れ替わって4日目ー。
事態は進展を見せたー。
「ーーーー!」
虹色の石を窓際に置いておいた
栄太(麗奈)はあることに気付くー。
例の”虹色の石”が、
微かに光を発していたのだー
「ーー!!!」
栄太(麗奈)は慌てて虹色の石に駆け寄って
それを手にするー。
しかしー、
虹色の石はすぐにその輝きを失ってしまいー、
結局は何も起こらないままー。
「ーー今の…もしかしてー」
栄太(麗奈)はふと、この石を拾った時のことを思い出すー。
この石を下校中に親友の麻耶と一緒に見つけた時、
この石は道路の上に置き去りにされた状態だったー。
確か、あの日は雲一つない快晴だったのを覚えているー。
つまりは、太陽光に晒された状態ー。
そしてー、
太陽光に晒された状態は
今も同じー。
「ーもしかして…太陽の光で…?」
そんな考えにたどり着いた栄太(麗奈)は虹色の石を手に、
外へと向かうー。
そしてー、
外でしばらくその石を光に充てていると、
その次第にその石が光を蓄えていくのが分かったー
しばらくその様子を観察していると、
最後には、光が消えて”拾った時と同じような状態”に戻ったー。
その様子を見ていた栄太(麗奈)は、
”何らかのエネルギーを太陽の光で充電しているような感じなのかな…?”と、
そんなことを心の中で思うー。
イメージとしては、太陽光でエネルギーを充電、
充電中には石が光を発し、フル充電すると、光は消えるー。
そんな感じだろうかー。
”ーこの石が何なのかは分からないけどー、もしかしたらこれで
元に戻れるかもー”
そんな希望を抱いた栄太(麗奈)は、
そう思いながら家へと帰宅すると、
部屋にいる麗奈(栄太)に声を掛けたー。
「ーー栄太!」
栄太(麗奈)が嬉しそうに麗奈(栄太)に声を掛ける。
「ーー姉さんー」
そんな姉の様子に少し驚いた様子の麗奈(栄太)が振り返ると、
栄太(麗奈)はとても嬉しそうな表情を浮かべながら
言葉を口にしたー。
「わたしたち、元に戻れるかも!」
とー。
麗奈(栄太)は、そんな言葉に「え?」と言葉を口にするー。
栄太(麗奈)は虹色の石を太陽の光に当て続けたら
反応を示したことを説明し、
”拾った時と同じ状況になったかも”と、言葉を続けるー。
「ーだから、今、二人で色々試せば、またあの時みたいに
この石が光って、元に戻れるかも!」
栄太(麗奈)が心底嬉しそうにそう言い放つー。
がー…
麗奈(栄太)は、
そんな姉の喜びとは裏腹にあまり嬉しそうな表情を
浮かべていなかったー。
「ーーーーーー」
沈黙する麗奈(栄太)ー
「ーーーえ…栄太?」
その反応に、栄太(麗奈)も
ようやく”様子がおかしい”と気付いたのか、表情を歪めるー
「ーーーぼ、僕ー…」
そんな姉の反応を見て、麗奈(栄太)は、口を開くー。
「ーぼ、僕ー…も、元にー」
最初は躊躇いながら、口にしていたその言葉ー。
やがて、麗奈(栄太)は意を決して
今度はハッキリと、大きな声でその言葉を口にするー。
「ぼ、僕ー…
元に戻りたくない!」
とー。
「ーーー…え…」
栄太(麗奈)は戸惑うー。
「ーーーも、元に戻りたくないってー
ず、ずっとこのままでいたいってことー?」
栄太(麗奈)がそう言葉を口にすると、
麗奈(栄太)は頷くー
「だ、だってー、この身体になってからー
が、学校が毎日楽しいしー、
昨日なんて、友達から”かわいい”って言われて
す、すっごく嬉しかったしー」
麗奈(栄太)がそんな言葉を口にすると、
”自分”のほうを指さしながら、
「僕…そ、そんな身体に戻りたくないー!」
と、叫ぶー。
「ーーえ、栄太ー…」
弟の予期せぬ言葉に困惑の表情を浮かべる栄太(麗奈)ー
「ーで、でも、いつまでもこのままでいるわけにもいかないでしょ?」
栄太(麗奈)がそう言うと、
「ーー嫌だ!僕は元に戻りたくない!」と、
麗奈(栄太)が叫ぶー
「ーー…こ、このままだって、べ、別に死ぬわけじゃないし、
だんだん慣れて行けばいいだけだし、別に大丈夫じゃないか!
ね、姉さんは恵まれてるから、そんなこと言うんだ!
け、結局、姉さんも僕なんかの身体はイヤなんだ!」
そう言い放つと、麗奈(栄太)は虹色の石から
逃げるようにして部屋から飛び出すー。
「あ、栄太!」
栄太(麗奈)は、そう叫びながら、
困惑の表情を浮かべることしかできなかったー
③へ続く
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コメント
コロナ療養しながら執筆するのは
なかなかハードですネ~!
ようやく書き上げることができました~!
いつもより、更新時間が遅れたりしちゃいますが
必ず更新はするので、
許してくださいネ~!
今日もお読み下さりありがとうございました~~!
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