入れ替わったあとに、
時間が経てば経つほど、相手の身体に”汚染”されて、
相手そのものになってしまうー。
そんな二人の”入れ替わり”は、
予想外の方向に向かおうとしていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「わたしの身体を、返して!」
愛花(雄之助)が叫ぶー。
二人は、再び入れ替わったー。
今度は”元の自分”とは別の身体にー。
いつも通り、必死に身体を取り戻そうとする雄之助(愛花)ー
しかしー、
”愛花の家”を尋ねた雄之助(愛花)の前に、
”大体ひと月に1回ぐらい愛花の家に来るあやしいおっさん”に、
近所のおばさんが、ついに問いかけたー
「ーーあなた、定期的に来てるけど、どちらさま?」
そんな言葉に、雄之助(愛花)は「えっ…」と、戸惑うー。
以前と同じように
”まさかこの人、前からわたしの身体を狙って、物色してたってことー?”と
解釈するー。
「ーいつも、”女の子みたいな”喋り方して、部屋をノックしてるけどー
あなた、何なの?」
ガツン、と聞いてくるおばさんー。
その言葉に、雄之助(愛花)は、さらに戸惑うー。
”い、いつもー?”
二人は入れ替わって、相手の身体に汚染されるたびにー、
入れ替わり後の記憶を失っているー。
入れ替わった直後は、身体と魂が定着していない状態で、
魂の方が一時的に記憶を保存するような形になり、
次第に身体と魂が定着し、身体の記憶に汚染されることで、
”入れ替わった後、一時的に魂に記録されていた記憶”が、飛び、
元々身体(脳)に記憶されていた記憶のみが残るー。
そのためー…
”入れ替わり後の記憶”を、毎回二人は汚染されると同時に失っているー。
だからー、今の雄之助(愛花)にとっても、これが”初めて”のつもりなのだー。
「ーーー…あ、あのー」
ついに、雄之助(愛花)は、言葉を口にするー。
「ーーー…わたし…実はここに住んでいる島永愛花なんですー」
雄之助(愛花)が、近所のおばさんに信じてもらおうとそう言い放つー。
「ーーー……あなた、何言ってるの?」
雄之助(愛花)の言葉に、近所のおばさんは表情を歪めるー。
その反応に、愛花は”やっぱり、入れ替わりなんて信じてもらえるわけがないー”と思いー、
咄嗟に「ーす、すみませんー。島永愛花の”親戚”なんですー」と、言い返すー
「ーーーー」
近所のおばさんの疑いの目ー。
雄之助(愛花)は、戸惑いながらも、足早に頭を下げて、
そのままその場から撤退したー。
そしてー、
時間の流れと共に、雄之助(愛花)は、再び”自分が愛花”であることを忘れていきー、
雄之助の脳に汚染されていくー
「ーいやだ…わたし…わたしが、わたしでなくなっちゃうー」
雄之助(愛花)は、そう震えながらも、数日後ー
完全に”雄之助”になってしまったー。
この時点で、入れ替わり後から今までの記憶は、消えるー。
「へへへ…これで、中年フリーター生活とはおさらばだぜー」
そして、またー、
完全に雄之助になってしまった愛花は、
”エロイ身体”を手に入れようと、”夢の矢印”を手に、
近くの大学に物色へ向かうー。
”雄之助の好み”で入れ替わり相手は決まるー。
当然、いつも通り、愛花に決まるとー、
”また”入れ替わりを仕掛けるー。
終わらぬループ…。
”もし”これが終わるとすれば、
周囲の行動ー。
近所のおばさんのように”誰かが”
いつもと違う、二人の状況を大きく変えるような行動を取れば、
このループは終わるかもしれないー。
だが、それがない限りー、
二人は入れ替わりを繰り返し続けるー。
「ーーわ、わたしの身体を返して!」
また、入れ替わって
今度は、愛花が愛花、雄之助が雄之助の身体に戻ったー。
だが、雄之助に戻った雄之助は、
自分を愛花だと思い込んでいてそう叫ぶー。
「ーーへへへへ…」
愛花に戻った愛花は、雄之助の身体で過ごしていたことで
自分を雄之助だと思い込んでいて、
”自分の身体”を”いやらしい目”で見つめるー。
ふたりはもうーーー
”3年間”
これを繰り返しているー。
”最初”の入れ替わりは、この前の入れ替わりではないー。
愛花の前で”わざと”夢の矢印”を落として入れ替わった時”が、
最初ではないー。
あれはもう、既に約10回目ぐらいの入れ替わりだー。
”最初”は、愛花が大学に入学してすぐの頃ー。
それ以降、二人は入れ替わっては相手に汚染され、
また入れ替わるー…を、繰り返し続けているー。
本人の自覚もないままにー。
だからー、
おばさんたちは、雄之助(愛花)のことを元から知っていたし、
愛花の家には既に、”以前入れ替わった時に既に購入済みのコスプレ衣装”が
隠されているー。
二人は、この3年間、自覚がないまま
入れ替わりを繰り返しているー。
時の流れは、脳が整合性を合わせるのか、
二人は気にしておらず、
このままだと、入れ替わりを繰り返しては相手に汚染されてー、を、
永遠と繰り返し続けることになるー。
”なにか”きっかけがあるまではー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー……」
愛花(雄之助)は、ニヤニヤしながら自分の胸を揉んでいたー。
「へへっ…エロすぎる就活生だぜー」
リクルートスーツを身に着けたまま、胸を揉みまくる愛花(雄之助)ー
だがー
流石に、脳も整合性を取れなくなってきたのか、
違和感を感じるようになってきていたー
「ーーー…なんかーー…変だなー」
愛花(雄之助)は、胸を揉みながら考えるー。
「ーーー………ーー」
日付を見つめる愛花(雄之助)ー
「ーーー俺…この女の身体になるの、本当に、1回目かー…?」
愛花(雄之助)は、そんなことを思いながらも
「ま、まぁ、いっかー」と、笑うー。
そして、何度も何度も胸を揉むー。
こんなに気持ちイイ瞬間が、今、この手にあるんだー。
喘ぎ狂いながら、感じた違和感なんてどうでもいいー、と、
愛花にひたすら、妖艶な吐息を吐き出させながら、
その身体を弄んでいくー。
一方、雄之助(愛花)は、いつも通り雄之助の身体に
汚染され始めながらも、
同じような違和感を抱き始めていたー
「ーーなんか……前も…あったようなー」
雄之助(愛花)は、戸惑いの表情を浮かべるー。
”普段通りの大学生”であるうちは、あまり違和感は感じなかったー。
だが、就活という大きな節目に入ってきて、
流石に、自分の記憶していることがおかしいことに気付き始めて来たー。
がー、それでも、やはり雄之助に汚染されて、
今回も、愛花は自分を雄之助だと思い込んでしまい、
”また”夢の矢印を手に、大学に向かうー。
二人が仮に、このまま”何度も繰り返していること”に気付けなかったとしても、
”これ”はいつかは終わるー。
愛花が就職するか、あるいは入れ替わりが原因で就活が上手く行かず、大学を去るかすればー、
少なくとも”雄之助”と”愛花”の入れ替わりは起きなくなるー。
何故なら、雄之助は”JDかJK”と入れ替わろうとしているためだー。
愛花がこの大学を去れば、
雄之助は恐らく、この大学で別の子を入れ替わり対象に選びー、
愛花と雄之助の入れ替わりはもう起きなくなるー。
永遠にこれを繰り返すことは、ないー。
がーーー
「ーーー!!!!!!!!」
雄之助は、表情を歪めたー。
”夢の矢印”を手に、
近所の大学に”入れ替わり相手”を物色しに行こうとした
そのタイミングで、ハッとしたのだー。
「俺…何度も、”これ”してないかー?」
雄之助が戸惑うー。
「ーーーーーーー」
雄之助の当初の目的は、”可愛い子の身体をゲットすること”ー
こんな風に、相手の身体に汚染されて、また入れ替わりを繰り返すことなど、
本来の目的ではないー。
「ーーー……俺ーー…」
雄之助は表情を歪めながら大学に向かうー。
だがーー
ついにー、
雄之助は、愛花を見ても、愛花との入れ替わりに踏み切らずー、
そのまま家へと帰宅したー。
その理由は、”簡単”だったー。
何度も入れ替わりを繰り返している二人ー。
しかし、時は確実に流れているー。
”愛花”の身体も、少しずつ容姿に変化が出ていてー、
しかも、入れ替わっている最中に、健康よりも欲望を
楽しむことを優先していたからか、
容姿にも若干の影響が出ていたー。
その結果ー
”即決で雄之助が愛花に決めるほどの容姿ではなくなった”のだー。
”まだ焦るなー”
笑みを浮かべる雄之助ー。
”大学”では入れ替わりで人生を奪おう!と思えるほどの
理想の子がいなかったー。
だが、まだ焦ることはないー。
明日は、この近くの高校に足を運んでみるとしようー。
そんな風に考えるー。
「ーー高校生だと、ほとんど実家暮らしだからなぁ~
そこがちょっとアレだけどー
まぁ、JDよりも少し若いし、JKライフを楽しむのもいいかー」
雄之助はそう呟くと、笑みを浮かべながら
”明日は高校を見に行こう”と、そう考えるー。
この時点で、”雄之助”が”愛花”と入れ替わることはなくなったー。
そして、翌日ー。
雄之助は、高校に足を運ぶと、
”超”がつくほど好みなツインテールの子を見つけて、
その子と自分の身体を入れ替えたのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
愛花は、無事に大学を卒業しー、
一般の企業に就職したー
OLとして、色々戸惑いながらも、
ひとまず、平和な日々を送っているー。
だがーーーー
今の愛花は、”愛花”ではないー。
中身は”雄之助”だー。
雄之助が、愛花の身体を奪ったことで始まった入れ替わりー、
二人は、
愛花(雄之助)と雄之助(愛花)になり、
二人とも相手の記憶に汚染された段階で、
今度は、自分を雄之助だと思い込んだ雄之助(愛花)が、愛花(雄之助)に入れ替わり、
本人たちは自覚してないまま”元に”戻ることを繰り返していたー。
そしてまた、愛花が愛花に、雄之助が雄之助に染まった段階で、
雄之助が入れ替わりを仕掛けー、愛花(雄之助)と雄之助(愛花)になるー。
その繰り返しー。
そしてー
その”終わり”はー、
愛花が雄之助の身体、雄之助が愛花の身体である時に起こったー。
自分を雄之助だと思い込んだ愛花は、
愛花の身体を奪わずに、そのまま別の女子高生の身体を奪ってしまったためー、
もうー、元に戻ることはできない…
社会人になった愛花(雄之助)は、
自分が雄之助だったことも完全に忘れー、
愛花として、人生を送っているー。
当然、周囲はそんなことには気付かないー。
いいや、当事者たちも、
”今の愛花の中身は愛花ではない”
などということには、気付いていないー。
そのまま、”女”として数年後に恋愛し、
”女”として結婚し、女として出産しー、
愛花(雄之助)は、母親になったー…
一方、雄之助(愛花)は、女子高生・美桜と入れ替わり、
欲望の日々を過ごしていたー。
実際には、身体も中身も女ではあるけれどー、
美桜になった愛花は、自分を雄之助だと思い込んでいて、
まるで男のように、美桜を弄んだー。
雄之助になってしまった美桜は、まだ高校生だったからか、
愛花が雄之助に身体を奪われた時のように冷静な判断が出来ず、
雄之助の身体で騒いだために、不審者として警察のお世話に
なることになってしまったー。
”夢の矢印”も警察の家宅捜索で回収され、
”ただのゴミ”と判断されて、そのまま処分されてしまったー。
当然ー、
美桜になった愛花は、次第に美桜の身体に汚染され、
”わたしは美桜”と思い込むようになりー、
変態女子高生から、普通の女子高生に戻ったー。
雄之助になってしまった美桜は、警察から釈放されるまでに
雄之助に汚染されて、完全に雄之助になってしまい、
出所後、夢の矢印も失い、バイトもクビになり、
失意の中年おじさんとして、惨めな人生を送ることになってしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてーー
何年も経過したある日ー
子育てが一段落して、職場に復帰していた愛花(雄之助)ー。
当然、もうとっくに自分が雄之助だったことは覚えていないー。
そこにー
偶然、転職してきた美桜(愛花)がやってくるー
美桜(愛花)は
「ーよろしくお願いしますー」と、社員たちに挨拶しながら
ふと、愛花(雄之助)を見つめて、表情を歪めたー
「ーーーーーーー…」
美桜(愛花)は、それが”何なのか”は分からなかったー
けれど、”初対面”のはずの愛花(雄之助)の姿を見てー
なんとなくー”懐かしい”気持ちがしたー
その理由に気付く日は、来るのかどうかは分からないー。
けれどー
仮に気付いたとしても、もう、手遅れなのかもしれないー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
汚染X交換の最終回でした~!★
①の最初に描かれている入れ替わりも
既に二人の”1回目”の入れ替わりではなく、
何度も繰り返しているうちの1回デス~!
近所のおばさんが雄之助を既に見たことがあるようなことを言っていたり、
愛花の家になぜか最初からコスプレ衣装がしまい込まれていたり…
入れ替わりが1回目じゃないことを示すような描写もこっそりと…★!
今度は、兄妹とかでジワジワ汚染する過程を描く入れ替わりも
また書いてみたいですネ~!
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
元の自分を完全に忘れてしまったとはいえ、普通に女として、幸せな感じの人生を送っている雄之助と愛花に比べて、惨めなおっさんライフを送るはめになってしまった美桜は、完全にババを引かされてしまった感じですよね。
とても気の毒です。
ところで、展開次第では、美桜と愛花の新しい入れ替わりループになってた可能性もありそうですよね。そんで、またいずれ、どこかで別の女の子が巻き込まれてという、無限ループも面白そうですよね。
コメントありがとうございます~!!!
雄之助になってしまった美桜ちゃんはとっても、
ハズレくじを引いてしまいましたネ~
(逮捕されてしまったので、前科持ちのおじさんに…)
美桜が愛花のように(不審者扱いされないように)
賢く立ち回るタイプだったら、
またそこでループが発生するところでした~笑
出所した雄之助(美桜)が、またどこかで⇔を手に入れれば、
入れ替わりループが発生することもあるかもデス…!