少女の身体を乗っ取った男は
依頼人の依頼通り、”親を悲しませるような子”に染めるため、
染め上げるまでの1か月間、皮にした少女を着て、
家族にバレないように生活を開始するー。
しかしー…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーは~~~~…」
エアコンの風が当たる場所で、暑そうにしている架純ー。
「ーーねぇねぇお姉ちゃんー…」
ツインテールの妹・奈美が苦笑いしながら
「見えてるー」と、ぐったりとソファーに座り込んでいた
架純のスカートを指差すと、
「わ、わぁっ…ごめんね!」と、慌てた様子で架純は
イスに座り直したー
「今日、暑くてー」
汗をぬぐいながら笑う架純ー。
「え~?そんなに暑いかなぁ
っていうか、お姉ちゃん、寒がりだったよね???」
笑う奈美ー。
架純は「あっ、あははははー暑がる日もあるよー」と、笑うと、
奈美は「え~?ホントに~?」と、苦笑いするー。
「ー実は熱でもあるんじゃないの?」
妹の奈美が近付いてきて、架純の額のあたりを触るー。
「ーーーー…!!!!!!!!!」
架純はー
いいや、架純を着ている竜則は、妹の奈美に触られて
激しく身体が興奮するのを感じたー
その場で抱きしめて激しいキスをしたくなってしまう衝動を
架純は必死に抑え込むと、
「ーー熱は無さそうだねー」と、笑う奈美を見つめながら
「ーか、かわいいー」と、思わず言葉を口にしてしまうー
「え?」
奈美が困惑するー。
「ーーん?な、なんでもないー」
架純は咄嗟に誤魔化すと、
「とにかく、今日はちょっと暑くて~」と、エアコンの風に再び当たり始めるー。
”皮”を着ていると、普段より暑いー。
他人を着ている状態だと、基本的に”五感”は、
”乗っ取った身体のほう”で感じるのだが、
何故か、共通して”普段より暑く”感じるー。
いつもより厚着をしているような、そんな感じだー。
乗っ取った身体で五感を感じるなら、普段より暑く感じる、なんてことも
起きないように思えるのだが、
細かいことまでは、竜則自身にも分からないー。
「ーは~…あっちぃな…」
妹の奈美がいなくなったことを確認すると、
服をぱたぱたとさせる架純ー。
確かに気温は高いー。
しかし、いつも以上に暑いー。
「ーーは~全部脱ぎてぇけど、家族に怪しまれるしなぁ」
架純はそう呟くと、「こいつの部屋に行くか」と、
自分の部屋に戻ってエアコンをつけると、
早速服を脱ぎ捨てて、嬉しそうに「あ~涼しい~」と、叫んだー。
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「ーー生徒会副会長になったよ~!」
妹の奈美が嬉しそうにそんな風に報告してくるー。
架純を皮にしてから2週間ー。
順調に”架純”を染めることはできているー。
途中で、架純がどのぐらいまで染まっているかどうかを
確認したいところだがー、
途中で”脱ぐ”と、乗っ取られている人間が正気を取り戻し、
脳も正常な状態に一瞬でも戻ってしまうため、
架純自体を途中で脱ぐことはできないー。
がー、これまでの経験上ー、
どんな人間でも”1か月”あれば、完全にその人間を
思い通りに染め上げることができることが分かっているー。
人によって3週間で染まる者もいれば、
4週間ぐらいかかる者もいるが、
大体、4週間が限界だー。
”念のため”余裕を持って1か月としているため、
どんな人間でも、竜則が”脱ぐ”頃には、
竜則の染めた通りの人間に変わっているー。
「ーーーわたし、親を困らせる悪い子になるのー」
部屋でクスッと笑った架純は不気味な笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”そっちは上手くやっているかー?”
架純の声が電話の向こうから響き渡るー。
「ーはい。今のところ、新しい依頼が2件ー。
順番待ちにしてありますー。」
先日、チャイナドレスを着ていた女・美姫(みき)が
そう答えると、
”そうかー”と、架純の声が電話の向こうから響き渡るー。
美姫は、高校時代に竜則をいじめていた女子の一人。
竜則が”人を皮にしたあとに乗っ取ることができる”と気付く前に
大半のいじめっ子は始末されてしまったが、美姫は竜則が”気づいたあと”に
皮にされたため、始末されることはなかったー。
が、1か月以上、皮にされて着られ続けて、
今では自分がいじめていた男を愛し、忠実に従うしもべになってしまっているー。
もう一人ー、先日メイド服を着ていた女・麻紀(まき)も、
いじめに加担していた女子の一人ー。
皮にされて、美姫と同じように忠実なしもべにされてしまい、
既に大学時代に出会った男と結婚していたものの、
離婚させられて、子供も捨てて、ここにいるー。
「ーーーご主人様のお帰りをお待ちしていますー」
美姫から受け取った電話で、架純に近況を報告し終えると、そう言い放つ麻紀ー。
”クククー俺のことを昔はいじめていたくせにな”
架純のそんな言葉に、麻紀は「その償いのために、わたしは永遠のご主人様の
ために働くんですー」と、迷わず言葉を口にしたー
”おっと、親が来たー。電話を切るぞ”
架純のそんな声と、共に電話が切れるー。
可愛らしいスマホで電話をしていた架純は
電話を切ると、部屋にやってきた母親のほうを見つめながら
「あ、お母さん」と、いつものように明るい声を出すー。
「ーーあ、架純宛に荷物が届いてたから」
母親が、ダンボール箱を手に、架純にそれを手渡すー。
「あ!読みたかった本と、あと欲しかった洋服~」
そう言いながら、架純がそれを受け取ると、
母親は何の疑いを抱くこともなく、そのまま部屋を後にしたー。
「ーーな~んてな」
架純が低い声を出しながら笑うと、
そのままダンボール箱を開けるー。
そこにはコスプレ用の衣装と、
”竜則”がいつも楽しみに読んでいる、Hな漫画の新刊が
入っていたー。
”染め上げる”までの間、竜則は”自分”として
過ごすことはできないー。
だからいつも、プライベートも乗っ取った身体で済ませるー。
「うへへへへへ」
Hな漫画を読みながらニヤニヤする架純ー
「ーやっぱ、女の身体で読んでも興奮するよな」
そう呟きながら、架純は下品な笑みを浮かべるー。
漫画の内容に興奮しているのか、
顔を赤らめながらニヤニヤしている架純ー。
そしてーー
漫画をある程度読み終えると、
笑みを浮かべながら架純は、コスプレ衣装を見つめたー。
漫画に登場している”格好”と同じ格好を楽しもうと
一緒に注文したのだー。
「ーーうへへへへ…大人しそうな子にこの衣装は刺激的過ぎるー」
ボンテージ姿に着替えた架純は、
いつもの架純ならしないような、偉そうなポーズを取ったり、
見下すような視線を鏡に送ってニヤニヤするー。
「ーーんへへへへへ…やっべぇ…」
クスクスと笑う架純ー。
「ーあと、巫女服ー」
架純がそう言い放って、振り返ったその時だったー。
「ーーーぁ」
ボンテージ姿の架純が、部屋の扉を開けて
呆然としているツインテールの妹・奈美のほうを見て、
青ざめるー
「ーな、なーー…な、みー?」
架純はそう言いながら、
頭の中で”な、なんでここにいやがる!?”と、叫ぶー。
今日、妹の奈美は部活で遅いと聞いていたー。
親も、経営者の父親は今日も仕事で不在、
さっき荷物を部屋に運んでくれた母親も、20分前に
パートに出かけたー。
”今日は欠勤が出て、急遽、夜にスーパーのシフトに入った”と、
昨日から言っていたことだー。
だからこそ、こんなお楽しみをしていたのだがー
「ーーな、奈美じゃんー…!ど、どうしてここにー?」
ボンテージ姿のまま、架純がそう言うと、
奈美は「ぶ…部活が…顧問の先生が体調不良で中止になってー」と、
言葉を口にしたー。
架純は慌てて、Hな漫画を隠すと、
ボンテージ姿のまま
「わ、わたしーね… コスプレ趣味があって!」と、
咄嗟に誤魔化したー
「ーーえっ… え、そ、そ、そうなんだぁ」
奈美の声は明らかに裏返っているー。
ボンテージ姿のまま、架純が奈美に近付くと、
「お母さんと、お父さんには内緒ー。おねがい」と、言葉を口にするー。
奈美は、姉の刺激的な姿にドキドキしているのか、
顔を少し赤らめながら「あ、う、うんー」と、返事をするー。
「ーー絶対だよ?絶対ー」
架純が釘を刺すようにして言うと、奈美は戸惑った表情のまま、
頷いたー。
「ーーーーあ、そ、それで、何の用ー?」
架純がそう言うと、「あー…予定より早く帰ったから”ただいま”って
言いに来ただけだけどー…」と、奈美は戸惑いの表情を
浮かべながら言葉を口にするー
「あ、あ~、そういうことねー
うん、おかえり~」
架純はそう言いながらも、
”ある感情”に支配されていたー。
それはー
”見られる快感”ー
奈美に見つかってから
架純の身体が妙にゾクゾクと興奮しているのを感じるー。
ボンテージ姿に着替えて、自分で自分を見ているのとは、
”違う”とハッキリ分かる、
そんな不思議な感覚だー。
”へへへへーこの女、見られて興奮してやがるー”
元々、架純が実は変態だったのかー、
架純本人も気付かぬうちに、そういう素質を持っていたのかー、
それとも、架純を皮にしてから既におよそ半月ー
架純が、竜則に染まっているのか、それは分からないー。
だが、奈美に見られることに、この身体は確実に興奮しているー。
”クククー、奈美ちゃんを部屋から追い出してもう少し遊ぼうと
思ってたけどー
この格好のまま、奈美ちゃんと過ごすかー”
どうせ親はまだ帰ってこないしー、と思いながら
ボンテージ姿のまま、奈美と共に部屋を出ると
「わたしのこの服、似合う?」と、架純は興奮した様子で、
奈美にそう尋ねたー。
”あんま興奮しすぎると、コスプレ好きの見られることに
快感を感じる女になっちまうからなー。
やりすぎないようにしないとー”
そんな風に思いながらもニヤニヤが止まらない架純は、
奈美と共に、ボンテージ姿で1日を過ごしたー。
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「ーーーーーは~~~…親の帰りが遅い日がねぇなぁ…」
架純は部屋でため息をつくー。
架純を皮にしてもうすぐ4週間ー。
あれからは、母親の帰りが遅い日はなく、
”見られる”快感を味わえずにいたー。
「ーは~~~もうボンテージ姿で外を歩いちまいたいけどー、
そんなことしたら、怪しまれちまうしなー」
架純を支配している竜則は、私利私欲のために
他人を皮にして楽しむこともあるが、
今は”依頼”の最中ー。
竜則の”生計”は、今、この仕事で成り立っているため、
この仕事を疎かにすることは、できないー。
架純は「我慢我慢」と呟きながら立ち上がると、
「あんまエロい格好すると、普通の服装が物足りなくなるんだよなー」と、
笑いながら部屋から出るー。
今日は、髪型をツインテールにしている架純ー。
妹の奈美の口ぶりから、普段、架純はツインテールにすることは
なかったようだが、
架純を乗っ取ってからは、色々な髪型を楽しんでいるー。
”楽しみながら、バレないように染め上げるー”
それが、竜則のやり方だー。
髪型を変えるようになったぐらいで
”娘が乗っ取られた!”なんて考えに至る親は流石にいないだろうし、
問題はないー。
”まぁ、大体あと1週間ー
毎晩念じてるし、もうこの女もだいぶ、親を困らせる悪い子になったと思うけどー、
いつも通り、1か月は余裕を見ておかないとなー”
「ーーーーー」
架純はそう思いながら、リビングでのんびりしている
妹の奈美を見つけると、
”それにしても、奈美ちゃん可愛いよなー”
と、邪悪な笑みを浮かべるー。
「ーーえ?あ、お姉ちゃんー?ここ、邪魔だった?」
イスに座ってスマホを触っていた奈美が、
姉の架純に気付いてそう呟くと、
架純は「ううんー。大丈夫いー」と、微笑むー。
奈美は「邪魔だったらいつでも言ってね~」と、
言いながら、友達とメッセージのやり取りをしている最中の
スマホの方に視線を戻すー。
そんな、奈美の後ろ姿を見つめながら、
架純はニヤリと笑うー。
「ー”依頼”が終わったらー…
次はーーー」
そうー
次は”プライベート”で、奈美を乗っ取っちゃおうかなー?
などと、架純の中に潜む竜則は思いながら、
静かに笑みを浮かべたー。
③へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!☆
皮を着ていると暑い…なんて書きながら、
そんな暑さを想像していたら、
余計に暑い気持ちになりました~笑
エアコンの力を借りるのデス…!
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