”イライラ”が止まらない彼女ー。
やがて、そんな彼女の様子はエスカレートしていくー。
そんな彼女を前に、彼は…!?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー………」
優香がイライラした様子で、相手のほうを見つめているー。
指をトントンと動かしながら
露骨に待たされていることにイライラしている様子だー。
「ーーーねぇ、いつまで待たせるの?」
やはり、露骨にイライラしているー。
優香のそんな言葉に、
たまたま近くにいた勝馬は
「そ、そんなに怒らなくてもー」と、口を挟むー。
昼休みー。
優香と友達の美也子が、お昼を一緒に買いに行く約束を
していたようだったものの、
美也子が前の授業の片づけに手間取っていて、
待たされる形になっていた優香が露骨にイライラしているー。
そんな、状況ー
「ーーー勝馬は口を挟まないで」
優香が刺々しくそう言い放つー。
「ーーな、なぁ…優香ー昨日からどうしたんだよー?
何かあったのかー?」
勝馬がそう言うと、
優香は「別にー。何もないって言ったでしょ?」と、
不満そうに言葉を口にするー。
「で、でも…優香、昨日からずっと何かにイライラしてるじゃないか」
勝馬が思い切ってそう言い放つと、
優香は不愉快そうに表情を歪めるー。
「ーー何かあったなら言ってくれないと分からないよー。
ーー優香、何かあったなら力になるし、
俺が悪いなら謝るからー」
勝馬がそこまで言うと、
優香は「ーべ、別に勝馬は何も悪くないよー」と、
少し困った表情を浮かべるー。
「ーーだ、だったらどうしてー」
勝馬がそう言うと、優香は少し戸惑いながら
「別に…イライラなんてしてないし!」と、
投げやりな言葉を口にするー。
「ーしてるって!いつもと全然違うー!」
勝馬がなおも食い下がると、優香は明らかにイライラした様子で
髪を掻きむしりながら「あ~~~~~~~~~~…」と、
言葉を口にするー。
「ーーーほら!そういうの!
普段、優香、そんなことしないだろ!?
何かあったなら、教えてくれー頼む」
勝馬が必死に粘ると、
優香はイラついたまま、考える仕草をするー。
だが、優香自身にも”原因”が分かるはずはないー。
何故なら優香は”洗脳”されているのだからー。
イライラの原因は”洗脳”ー。
それ以外には、何もないー。
「ーーーそんなの、分かんないよ」
優香が不満そうに言うと、
そのやり取りを見ていた優香の親友・美也子が
慌てて口を挟んだー。
「だ、大丈夫大丈夫ー。わたしが悪いんだしー」
美也子の言葉に、優香は
「そうよ!いつまで待たせるのよ!」と、
不満そうに声を上げるー。
やがて、二人でお昼を買いに教室に出て行くのを見つめながら、
勝馬は不安そうに表情を歪めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーねぇねぇねぇねぇ!」
背後から、幼馴染の麻衣が声を掛けて来るー。
「ーーさっき見たよ!やっぱ喧嘩してるでしょ?」
悪戯っ子で騒がしい麻衣が、そんな言葉を口にするー
「ーーお、お前ー…な、なんか嬉しそうじゃないか?」
勝馬が不満そうにそう言いながら振り返ると、
「ーギクゥ~!あ、バレちゃった!?」と、
笑いながら言葉を口にする麻衣ー。
「おいおい、人の不幸を笑うとロクなことにならないぞー」
勝馬が呆れ顔でそう言うと、
麻衣は「ごめんごめんごめんごめん」と手を合わせながら
謝罪の言葉を口にしながら、
言葉を続けるー。
「ーーまぁ、でも真面目な話ー、
優香ちゃん、どこか調子悪いんじゃないのかなぁ?」
麻衣がそう言うと、
勝馬が「調子?う~ん」と、言葉を口にするー。
「わたしが不機嫌になるときは
体調不良のとき、寝不足のとき、あと友達と喧嘩したとき、
それと生理のときに、滅茶苦茶暑い日ー、あとーー」
「ー多いな!オイ!」
勝馬が、麻衣の言葉を途中で遮るとー、
「ーなんか原因はあると思うんだけどなぁ」と、心配した様子で
イライラしている優香のことを思い出しつつ、言葉を口にするー。
「ーーあ!でもでも、
ほら、女の子って心変わりしやすいし!
単に優香ちゃんも心変わりしちゃったのかもよ!
わたしだってホラ、昨日まで好きだったお菓子、
今日になったら嫌いになってた!なんてこともあるし!」
相変わらずハイテンションな麻衣に、
「いやいやいや、麻衣と一緒にするなよ」と、ツッコミを入れるー。
「ー麻衣と違って、優香は勢いとノリで生きてるようなタイプじゃないしー…」
勝馬のそんな言葉に、麻衣は少しだけムッとした様子を見せながら
「え~~~~~~…勢いとノリ~?失礼な!」と、勝馬に軽いチョップを食らわせたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
不愉快そうに、部室に向かう優香ー。
その前に、再び男の先輩が姿を現すー。
この前とは違い、無言で赤く光るライトを優香の目に照らすー。
ライトの横に備わった小さなスイッチのようなものの
”レベル”を上げる先輩ー。
優香は虚ろな目でビクッと震えると、
先輩は笑みを浮かべながら、ライトをしまい、立ち去っていくー。
優香も何事もなかったかのように歩き出すー。
しかし、歩きながら舌打ちする優香はー
”より”イライラしているように見えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
優香は”さらに”イライラを露わにしていたー。
「ーーさっきからうるさい!少しは静かにして!」
優香が、オタク2人組の男子に向かってそう叫ぶー。
優香の近くには、アニメオタクの男子の座席があり、
そこにその友人がやってきて、いつも二人で
アニメの話をしながら大声で笑ったり、盛り上がっているー。
普段の優香は、そんな二人のことも全く気にしている様子はなく、
話しかけられれば普通に笑顔で返事をしているような感じだったが、
今日の優香はいきなり、その二人に向かってキレたー。
突然、女子に怒鳴られたことで委縮してしまう二人ー。
そんな優香を見て、たまらず勝馬は
優香に声をかけるー。
「ーなぁ、何かあったのか?」
とー。
「ーそればっかりうるさい」
優香は、勝馬にも攻撃的だったー。
勝馬は優香をこれ以上怒らせないようにと、
慎重に言葉を選びながら、
なんとか優香から話を聞き出そうとするー。
「ーーーあ~~~~~~~~…」
しかし、優香は貧乏ゆすりを始めると、
「うるさいうるさいうるさい!
わたしだってイライラすることぐらいあるの!
それとも勝馬はわたしがいつもニコニコしてれば満足?」
と、声を荒げながら、勝馬に対して言い放ってきたー。
勝馬もびっくりしながらも
「そんなことは言ってないよー
でも”イライラする”きっかけがあるはずだろー?
何かあったなら聞くし、力になれるように頑張るからー。
ほら、みんなも優香にびっくりしてるだろ?
だから、頼むよー」
と、必死に説得の言葉を口にしたー。
それでも優香は
「だ~か~ら~!何もないって!」
と、怒鳴るのを無理に我慢しているのか
顔をヒクヒクとさせながら、
そのまま「どいて」と、言葉を口にするー。
「え?」
勝馬が少し戸惑うと、
優香は「ロッカーに荷物を取りに行くの!さっさとどいてって言ってるでしょ!」と、
怒鳴り声を上げたー。
びっくりして道を開ける勝馬ー。
優香は、「あ~~~むかつく!」と声を上げながらそのまま
廊下へと立ち去っていくー。
そんな優香の豹変に、勝馬は戸惑うことしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”なにか、理由があるはずだー”
そう考えた勝馬は
”優香”の行動を細かくチェックし始めたー
幼馴染の麻衣にも相談すると、
麻衣は”え~?それ、ストーカーじゃん!”などと笑われてしまったー。
「そ、そ、それは確かにそうだけどー…
でも、なんか、優香の様子ー
”普通”じゃない気がするんだー」
勝馬は戸惑いの表情を浮かべながらそう呟くー。
「ー単にイライラしてるんじゃないような、そんな気がー」
勝馬のその言葉に、麻衣は
「ーまぁ、人は変わる生き物だしー。
でもほら、大丈夫ー」と、笑いながら言うー。
「ーー何が大丈夫なんだよー」
勝馬が呆れ顔で言うと、
麻衣は「もしも優香ちゃんに振られちゃったり、
勝馬が愛想を尽かしちゃったりしても、勝馬にはわたしがいるからね!」と、
いつものような明るい調子で言うー。
口をぽかんと開いたまま、呆れ顔を浮かべる勝馬ー
「な、な、な、なによその顔~!?」
麻衣が大げさなリアクションを交えながら言うと、
勝馬は「いやぁ、麻衣は異性というより”幼馴染”って感じだしー」と、
苦笑いしながら言うー。
「ーじょ、冗談に決まってるでしょ~?
しかも、性別・幼馴染 とかわけわからないんだけど!?」
麻衣がそう言うと、勝馬は少しだけ笑うー
そんな勝馬を見て、麻衣は
「まぁ、冗談はともかく!」と、気を取り直して、
「何か分かったら教えてあげるから!」と、言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
優香は”いつも以上”にイライラしていたー。
授業中でも露骨にイライラした様子で、
先生に対しても、それが隠せない様子を見せていたー。
もちろん、先生に意味もなく反抗的な態度を
取ったりはしないものの、
自分の中のイライラを隠せないような、
そんな状況ー。
昼休みに入ると、優香は、周囲に人がいないタイミングで、
ロッカーを殴りつけていたー。
勝馬は、そんな優香の様子を注意深く観察していくー。
5時間目ー
6時間目ー。
優香のイライラは収まらず、
表情もいつもの優しい雰囲気とはまるで違う、
ピリピリとした、周囲に”緊張感”を与えるような
そんな表情を終始、浮かべたままだったー。
そしてー
放課後ー。
勝馬は、下校したフリをして、部活に向かう優香のことを尾行していたー。
部活かー、
あるいは、プライベートで何かあるのかもしれないー。
そう、思いながらー。
”はははー…これじゃ、麻衣の言う通り、ストーカーみたいだよな”
自虐的に笑いながらも、
”優香のためならー”と、自分に言い聞かせて、
そのまま優香の尾行を続けたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
赤ー
青ー
黄ー
緑ー
そして、黒ー。
5つの小柄ライトが並んでいるー。
”洗脳装置 キ・ド・アイ・ラク”ー
特殊なルートで入手した”人を洗脳するライト”だー。
赤を照らせば、相手の”怒”をー
青を照らせば、相手の”哀”をー
黄を照らせば、相手の”喜”をー、
緑を照らせば、相手の”楽”を、洗脳によって強めることができる。
それぞれ、ライトに備え付けられたボリュームバーにより、
レベルの調節が可能になっていて、
レベルを強めれば強めるほどに、その力は強力になるー。
そしてー、
”黒”はーーー…
5本のうち、4本のライトを手に、不気味な笑みを浮かべると
ライトの持ち主はゆっくりと歩き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
部室に向かう優香の尾行を続けている勝馬ー
優香は一人、歩きながらも
時々、怒りをこらえきれないのか、
「ーーあ~~~~~~~~…」と、小さく声を上げたり、
大きくため息をついたり、壁に八つ当たりしたりしているー。
とても、話ができる状況じゃないように見えるー。
不安な表情で尾行を続ける勝馬ー。
だがー
その時だったー。
勝馬の視線の先を歩く優香の前に
一人の男子生徒が姿を現したー。
「ーー(あれはー?)」
勝馬がその男子生徒の顔を見つめるー。
確か、あれは3年生の浪口(なみぐち)先輩だったはずー。
そう思いながら、優香に何の用かと見つめていると、
浪口先輩は優香に”赤いライト”を向けたー。
優香がビクッと震えるー。
「ーーー!!!!」
”優香に何かしている”
直感的に勝馬はそう感じたー。
そう思った直後ー、
勝馬はもう、無意識のうちに廊下の物陰から
飛び出していたー。
「優香に何をしてるんですか!」
一応、相手は先輩だー。
そんな言葉遣いで、叫びながら浪口先輩と優香の前に姿を現すと、
浪口先輩は驚いたような表情を浮かべて、
逃げ出し始めたー。
「ーーおい!」
思わずそう叫ぶ勝馬ー。
「ーーゆ、優香!?大丈夫か!?」
そんな勝馬の問いかけに優香は「はぁ?」と、苛立った様子で声を上げるー。
とりあえず大丈夫そうだと判断し、
勝馬はそのまま逃げだした浪口先輩を追いかけ始めるー。
浪口先輩より、勝馬の方が足が速いー。
すぐに、浪口先輩に追い付いて、その腕を掴んだ勝馬は、
浪口先輩を壁に叩きつけて、
「今、優香に何をしてたんですか!」と、そう声を荒げたー。
③へ続く
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コメント
イライラに支配されてしまっている彼女を
元に戻すことはできるのでしょうか~?★
明日の最終回を楽しみにしていて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!
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