”男子トイレに入ると女体化してしまう”
そんな体質になってしまった彼は
戸惑いの日々を送ることにー…。
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木森 陽平(きもり ようへい)は、
高校時代の友達と久しぶりに会い、
楽しいひとときを過ごしていたー。
「ーへへへへへー
見ろよこれ! 中東から取り寄せた”秘伝のタレ”だぜ!
焼き鳥にピッタリだ!」
高校時代の友人の一人、森村 純一郎(もりむら じゅんいちろう)が
笑いながら”謎のタレ”を取り出すー。
彼は高校時代から”国内外問わず”よく分からない怪しいものを
ネットで買ってはそれを周囲に見せびらかしていた
”よく分からないけど、面白い男子”だー。
今日は、中東から秘伝のタレを取り寄せたのだというー。
「おい!お前!それ大丈夫なのかよ!!腹壊したりしねぇよな?」
体格の良い男ー、小久保(こくぼ)がそう叫ぶー。
「ーへへへ 大丈夫さ!家でポテチにこれかけて食べたけど、腹壊してねぇし!」
純一郎のそんな言葉に、”本当に大丈夫なんだろうなぁ~?”と、小久保が笑うー。
「はははー」
そんな光景を見つめながら陽平が少しだけ笑うと、
穏やかな雰囲気の女子が、陽平を見つめて「最近どう?」と、言葉を掛けて来たー。
「ーあ、久しぶりー」
陽平がそう言うと、
その相手、峰島 由紀子(みねじま ゆきこ)が、少しだけ微笑みながら
隣の空いていた座席に座るー。
由紀子と陽平は”元”恋人同士ー。
高校2年生の時に付き合い始めたものの、
陽平が受験や部活で忙しくなり、
由紀子に時間を割くことができなくなってしまったことで、
すれ違いが生じ、陽平側から
”これ以上は申し訳ない”という理由で別れ話を持ち掛け、
由紀子がそれを承諾、今は”元恋人同士”という間柄だー。
「ーーーう~ん、まぁ、でも、何だかんだで上手くやってるよー」
陽平がそう言うと、「由紀子の方は?」と、確認するー。
由紀子は苦笑いしながらー
「わたしも、陽平と同じような感じー。
”何だかんだで上手くやってる”ー」
と、答えると、陽平は「はははー。そりゃよかったー」と、言葉を口にしながら
他の”元同級生”たちのほうを見つめたー
「ーはははは~!全員、秘伝のタレで食え~!」
勝手に全員分の焼き鳥に、中東で手に入れたという怪しい秘伝のタレを
振りまく純一郎ー。
「ーーーお!おいっ!俺のにまでかけるな!」
陽平がそう叫ぶと、
隣にいた由紀子が微笑みながらー
「じゃ、頑張ってー」と、声を掛けてから
そのまま女子たちが集まっている方に向かって行ったー。
「ーーーまずっ!」
秘伝のタレつきの焼き鳥を食べた小久保が叫ぶー。
「ーーー」
陽平はイヤな予感を覚えながら焼き鳥を口に運ぶと、
小久保と同じように「まずっ!」と声を上げたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
陽平は”昨日、ちょっと食べすぎたかなー”などと思いながら
いつものように大学へとやってきていたー。
「ーーよ!昨日は楽しめたか?」
同じ大学に通う親友・勝春(かつはる)に声を掛けられた陽平は
「ーははー、まぁなー」と、笑うー。
「そりゃよかったー」
勝春はそう言うと、いつものように色々な話題を
陽平に振って来るー。
陽平もいつものように楽しそうに色々な会話を交わしながら
歩いていると、
勝春はトイレの前を通りがかったタイミングで
「お!わりぃ、トイレ」と、トイレのほうを指さして
そのまま男子トイレの方に入っていくー。
”このあと、講義も受けるし、俺もトイレ済ませておくか”
陽平は、勝春がトイレに入った姿を見て
そんな風に思うと、勝春の後に続き、
そのままトイレの中に入るー。
「ーー!?」
なんとなく”ふわっ”とした違和感のようなものを感じた
陽平は、一瞬表情を歪めるー。
だが、すぐに陽平は
その違和感が消えたことに安堵して、
便器の方に向かって歩き始めるー。
がーー…
「えっ…」
歩くと同時に、自分の”髪”の違和感に気付くー。
自分の髪がー、
何も意識せずとも視界に入るほどに”長く”なっているー。
「ーーーーーえ…俺のかーー」
”え?俺の髪”と言おうとしてー
陽平はさらに表情を歪めるー。
何故ならー
”自分の口”から出た声が、自分のものではなかったからー。
自分の口から出た声がー、
今まで聞いたこともないような”可愛い声”だったからー
「ーーえ!?… はっ!?!?!?」
先に男子トイレに入っていた勝春が、トイレに入って来た
陽平に気付いて、声を上げるー。
その顔には、心底驚いたような表情が浮かび上がっているー。
「ーーは…!?こ、ここ、男子トイレだぞ!?」
勝春が思わず叫ぶー。
「ーーえっ…!?」
自分の異変に戸惑っていた陽平が、そんな勝春の言葉に
さらに戸惑いの表情を浮かべると、
自分の身体を見下ろすー。
「ーーな、な、な、な、な、なんだこれ!?!?!?」
自分の身体を見て、陽平は思わず変な声を出すー。
しかも、その声は”いつもの陽平”の声ではない、可愛い声ー。
それもそのはずー。
自分の身体に”あるはずのない膨らみ”が見えたのだー。
それも、結構な膨らみで、
とても洋服で隠したりすることができるような
レベルではないー。
「ーーーえっ… えっ… え? お、俺ー
な、なんでおっぱいがー!?」
可愛い声でそんな叫び声を上げると、
勝春は「な、な…何だよー… っていうか、お前、どこのクラスのー!?」
と、なおも困惑した状態で、陽平のほうを見つめるー。
「えっ!?!?えっ!?
お、俺、陽平なんだけどー… えっ!?」
陽平が可愛い声で、戸惑いながらそう呟くー。
あるはずのない自分の胸を服を上から触ると、
”確かに”感触があるー。
無理だとは思うけれど、
いつの間にか勝春に、制服の中におもちゃのボールでも
突っ込まれたのではないかと期待したものの
そんなことはなく、”自分の身体”を触っている確かな感触が
あるはずのない胸から伝わって来たー。
「ーバ、バカ言うな!あいつは男だぞ!?
ってか、ここ男子トイレだから!
早く!ほら!」
勝春はトイレから出て行け、と言わんばかりの仕草をするー。
混乱した陽平は
「いや、だから俺なんだって!」と、叫びながらトイレの鏡を見つめるとー、
そこにはー、髪の長い”美少女”の姿があったー。
髪は伸びー、
顔は別人のように可愛くー、
胸もあるー。
「ーーはぁ!?!?」
陽平が鏡を前に思わず声を上げると、
勝春は「はぁ!?じゃねー!」と、叫びながら、
トイレを終えると、そのまま陽平の方に近付いてきて、
陽平を男子トイレの出口の方に押していくー。
「いやいやいや、俺、陽平なんだってば!マジで!」
”女体化”してしまった陽平がそう叫ぶと、
勝春は「ダウト!どう見ても女子じゃん!」と、ツッコミを
繰り返すー。
「ーーいやいや、だ~か~ら~!」
なおも食い下がる陽平ー。
そうこうしているうちに、”男子”の勝春の方が力が強いのか
そのまま男子トイレの外に押されてしまった陽平ー。
がーーー
その時だったー
「って、えぇっ!?!?!?」
女体化した陽平を男子トイレから追い出したばかりの
勝春が変な声を出すー。
「こ、今度は何だyーーー
”今度は何だよ”と言いかけた陽平は
「えっ!?」と、自分の身体を触るー。
そうー
男子トイレから追い出された瞬間に、
陽平は”男”に一瞬にして戻ったのだー。
「ーーー……ま、マジかー」
勝春は呆然として陽平のほうを見るー
陽平も呆然とした様子で
「えっ…俺どうなってんの?」と、勝春に聞くと、
勝春は「し、知らんー。俺に聞くなー」と、
困惑した表情で首を横に振ったー。
「ーーーーー」
男子トイレの入り口のほうを見つめる陽平ー
”もう一度”男子トイレの方に向かって
歩を進めるとー、
また”ふわっ”とするような感触が一瞬だけ、全身に走ったー。
すぐに陽平は自分の姿を鏡で見つめるとー
陽平は”また”女になっていたー。
「ーーおいおいおいー…」
陽平が女の声で、自分の綺麗な手を見つめながらそう呟くと、
その様子を見ていた勝春は
「お…お…お前ーー…いったい…?え…?」と、
戸惑いの表情を浮かべるー。
そんな反応になってしまうのは無理もないー
目の前で親友がいきなり女になったり、男になったり、かと思えば
また女になったりすれば、驚いて当然だし、
勝春の反応は、何も不思議なことではないー。
「ーーー……ーーーーー」
陽平は、そんな勝春の反応もあまり耳に入らぬ様子で、
男子トイレの出口のほうを見つめると、
そのまま男子トイレの扉を開いて、また外に出るー。
”また”だー。
一瞬ー、全身に空気が抜けるようなー、
何とも表現しがたい”ふわっ”とした感触がしたー。
間違いなく、男に戻ったー。
そう感じた陽平は、唖然と見ている勝春のほうを見つめながら
「俺…男に戻ったよな?」と、自分を指差しながら
言葉を口にするー。
「あ…あ…あぁ」
戸惑いながら頷く勝春ー。
「ーー…ち、ちょっと、カツ、お前も入って見ろよー」
”カツ”とは、勝春のあだ名だー。
そう言われた勝春は
「いやいやいや、元々俺はトイレ使ってたし!」と言いながらも、
陽平のためにもう一度トイレの中に入って見せるー。
…が、当然何も起こるはずもなくー、
勝春は戸惑いながら自分の胸のあたりを触るー
”女になってねぇじゃん”と言いたげな表情だー。
「ーーっっ、”女”になるの、俺だけ!?」
そう叫びながら再度男子トイレに入ると、陽平は
やっぱり女体化して、困惑の表情を浮かべたー。
「ーーー…えぇ…こ、困るんだけどー…何だこれー!?」
陽平が自分の髪を触りながら、
鏡のほうを見て、改めて自分の女体化した姿を見つめるー。
「ーーーー俺に聞かれてもなぁ…
俺にもサッパリ分からねぇ」
思わず苦笑いしながら、そう呟く勝春ー。
「ーーってか、と、トイレーー…」
女体化した陽平は、そう言えばトイレに来た理由はトイレを済ませるためだったー、
という当たり前のことを思い出し、周囲をキョロキョロと見回すー。
「ーーそ、そこ入れば、気付かれないだろ」
勝春がトイレの個室を指差すと、
「そ、そっかー。それもそうだなー。サンキュー」と、
陽平は個室に入っていくー。
「ーーーーー」
陽平が個室に入り、一人残された勝春は
戸惑いの表情を浮かべながら”いったい、何が起きてるんだ?”と、困惑するー。
そんなことを考えていると、
個室から可愛らしい声が響いたー
「お、おい!カツ!あ、あれがない!
ど、どうやってトイレすりゃいいんだ!?」
姿さえ見なければー
いいや、姿を見ても、相手が陽平だとは思えないー。
が、勝春は先ほど、この目で確かに見たー。
陽平が”女体化”する瞬間をー。
「ーし、し、知るか!俺に聞くなぁ!」
勝春が戸惑いながらそう叫ぶとー、
「ーま、まぁ、知ってたらむしろ怖いよな」と、
個室の中から陽平がそう呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーったく、どうなってんだ俺の身体は」
陽平がそう呟くと、勝春は「知らんー」と、首を横に振りながらも、
「でも結局、トイレに入りさえしなきゃ、普通なんだよな?」と
確認するー。
あのあと、陽平は別の階の男子トイレにも入ってみたが
やはり”女体化”してしまい、
トイレを出たら元に戻るー、を繰り返した。
”女子トイレの場合はどうか”も、気にはなったものの、
流石にそれを試すのはリスクが高いため、我慢したー。
勝春が、”考えられること”を色々と口にしていくーー
そしてーー
「ーなんか変なモン食ったとかー?」
そんな言葉に、陽平は反応したー
「変なモノー!?」
陽平の言葉に、勝春は「あぁ。可能性はあるだろ?なんか食ったのか?」と
確認するー。
陽平の脳裏に浮かんだのはー、
昨日の集まりの光景ー
”「ーへへへへへー
見ろよこれ! 中東から取り寄せた”秘伝のタレ”だぜ!
焼き鳥にピッタリだ!」”
「あ…あ…あれだー…」
陽平は、昨日会った高校時代の同級生の一人、
純一郎が持ってきていた”得体の知れないタレ”を思い出しながら
呆然とした表情を浮かべたー。
②へ続く
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コメント
8月最初のお話は、”場面限定”の女体化モノデス~!
男子トイレに入りさえしなければ
特に大きな影響はなさそう…とは言え、
苦しい状態ですネ~笑
続きは、また明日デス~!
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