<憑依>僕は先生の身体で奴らに復讐する~中編~

いじめられていることを訴えても、
担任の女教師は助けてくれなかったー。

途方に暮れる中、彼が手にしたのは
”復讐AI”を名乗る謎のアプリ。

そのアプリを用いて曽根崎先生に憑依した彼は
”復讐”を実行に移すことに…。

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「神室くんー
 あなた、僕ーーーじゃない、幸田くんをいじめてるーー…よね?」

曽根崎先生に憑依した武信は
早速、曽根崎先生の身体を利用して、
いじめのリーダー格である神室 孝義を職員室に呼び出していたー。

「ーへへへ…先生、
 あいつの言うことなんか信じるんですか?
 俺は、何もしてないっすよ?」

神田 孝義はふてぶてしい態度でそう言い放つー。

その雰囲気に、いつもいじめを受けている武信は
曽根崎先生の身体になっているのにー、
気圧されてしまうー。

「ーみんなもちゃんと知ってますよ、
 俺はいじめなんてしてないって。
 幸田の妄想でしょう」

神室 孝義はそう言い放つと、
笑みを浮かべるー。

「そ、そ、それはー」
せっかく先生の身体をゲットしたにも関わらずー、
本質的に憶病な武信は、曽根崎先生の身体で狼狽えるような
態度を取ってしまうー。

”おいおいー…それじゃ、意味ないだろ?”
そんな言葉が、聞こえて来たー。

長い髪に隠した耳に装着したイヤホンから
”復讐AI”の声が聞こえて来たー。

復讐を実行に移す前に、
僕一人じゃ不安だから、と、こうして
復讐AIの助言を聞くことができるようにしておいたのだー。

「で…でも」
小声で言い放つ曽根崎先生ー。

「僕は…普段、あいつにいじめられててー
 アイツを前にすると、どうしてもー」
曽根崎先生が小声でそんな言葉を続けるー。

”ーーーあははー、でも今、君は曽根崎 優花ー
 女性教師なんだからー。
 堂々と先生として振る舞えばいいんだよ”

復讐AIの言葉に、
曽根崎先生に憑依している武信は、戸惑いながらも静かに頷くー

そしてーー
今まで散々いじめられた怒りと、
半分、”もうどうにでもなれ”という自暴自棄な気持ちで、
声を上げたー。

「ーー言い訳しない!幸田くんをいじめたのは分かっているの!」
曽根崎先生として叫ぶ武信ー。

その言葉に、孝義も少し驚いた様子を見せるー。

「あんたのしたことは、いじめ!
 いじめは犯罪と同じ!
 証拠はもう揃っているから
 言い逃れなんてできないのよ!」

曽根崎先生は、普段こんな口調じゃなかったかもしれないが、
自分が今は女だということを意識しながら、
勢いのままにそう叫んだー

「ーへへーだからそれは誤ーーー」

「ーお黙り!!」
大声で曽根崎先生は孝義の言葉を遮ると、
孝義は、困惑の表情を浮かべたー。

「ーあなたは停学! そう、停学よ!
 反省しなさい!」

曽根崎先生がそう言い放つと、
神田孝義は「ふ…ふざけんじゃねぇ!」と、
本性を露わにするー。

しかしー、武信は
曽根崎先生の”教師”という立場で、
いじめの主犯であった孝義を強引に停学に追い込んだのだったー

”どうだいー?復讐は気持ちよかっただろうー?”

「ーうんーすっごく最高だった」
曽根崎先生の身体で廊下を歩きながら笑みを浮かべるー。

「ーーーーふふふ…先生の身体ってすごいやー…!
 ”憑依の力”最高だよー!」

興奮を隠しきれない様子で曽根崎先生がそう叫ぶー。

”ふふーそれは良かったー。
 ところで、残りの二人はどうするんだい?”

復讐AIの言葉に、
曽根崎先生は立ち止まるー。

いじめの主犯だった神田孝義と違いー、
残りの二人は、それなりに普段から素行は”悪くはない”

神田孝義を停学に追い込むのは簡単だったがー、
残りの二人は、いくら曽根崎先生の身体とは言え、
強引に停学にするのは難しいかもしれないー。

「ーーーー」

”その顔を見る限りー、
 いいアイデアが浮かばないようだね”

復讐AIが、武信の心を見透かしたかのようにそう呟くと、
曽根崎先生に憑依している武信は少しだけ
悔しそうに「ま…まぁ…」と、だけ返事をするー。

”はははー、じゃあ、AIのこの僕がアドバイスをあげよう”

復讐AIがそう言うと、

「ーす、すごいなー。今のAIって何でもできるんだなぁ」
と、曽根崎先生は笑うー。

”そりゃそうさー。
 AIの技術は、日々進歩してるからねー。
 状況に応じて、君にアドバイスすることだって、お手の物さー”

復讐AIのそんな言葉に、
曽根崎先生はニヤッと笑うとー、
「じゃあ、お言葉に甘えて、日々進歩してるAIさんのアドバイスを貰おうかなー」と、
言葉を口にするー。

”ーーその身体を使うんだ”
復讐AIの言葉に、曽根崎先生は
「う~ん…でも、先生の立場を使っても、残りの二人はそう簡単にはー。
 何か決定打がないと」と、苦笑いするー。

だがー
復讐AIは笑ったー

”違う違うー。立場じゃない。身体だよー”
とー。

「え?」
曽根崎先生が戸惑うとー
復讐AIは、愉快そうに言葉を続けたー。

”「女の身体」を使って停学ー、いいや、退学に追い込むんだよ”
とー。

「ーーえっ… えぇっ!?」
曽根崎先生がドキッとして言うとー、
”その先生、冷たいけど、美人じゃないかー。
 その身体で、残りの一人ー、そう男子のほうを誘惑してーーーー”

復讐AIはそんな言葉に続けて、
武信に対して”作戦”を説明したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー先生…話って何でしょうか?」

いじめの主犯・神田孝義の親友、
高井戸 健太郎ー。

名前が長すぎることから、”イドケン”と仲間から
呼ばれている彼は、
表向きは真面目な生活を送っていて、
先生たちからもそれなりに信頼されている男子生徒だー。

神田孝義のように”素行不良の塊”のような
分かりやすいやつに復讐するのは簡単だがー、
健太郎のように”表向き真面目な生徒”を、無理に停学にするのは
先生の身体であっても難しいー

「ほ、本当にやるの?」
小声で呟く曽根崎先生ー。

”いいや、別に僕は強制はしないー。
 でも、復讐したいなら”女”も武器に使わなくちゃ”

復讐AIが面白そうにそんな言葉を口にするー。

「わ、わかったー。やるよ」
曽根崎先生はそう呟くと、
にこっと笑みを浮かべて、健太郎のほうを見たー。

復讐AIから提案された健太郎への復讐方法はー
”曽根崎先生の身体で健太郎を誘惑して、
 健太郎とHなことをしたあとに、被害者のフリをして助けを求め、停学に追い込む”という
”女”の身体を最大限悪用した恐ろしい復讐方法だったー。

復讐AIが言うには、
高井戸健太郎の性格を分析したところ、
曽根崎先生の身体で誘惑すれば
”乗って来る”可能性は高い、とのことだったー。

そしてー
ついでに、いじめの相談をしても助けてくれなかった
”曽根崎先生”に対する復讐にもなるのだから、
一石二鳥だとー。

確かに、普段の曽根崎先生が生徒に身体を売るような真似を
するとは絶対に思えないし、
曽根崎先生の性格を考えると、
最大限の屈辱を与えることが出来る行為であるのは、
間違いなかったー。

曽根崎先生として、戸惑う健太郎に近付きながら
曽根崎先生に憑依している武信は、
復讐AIとの事前の打ち合わせを思い出すー。

「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、誘惑って!?
 僕、そんなことしたことないし、できないよ!」

曽根崎先生の身体でそう叫ぶと、
復讐AIは”言われなくても分かってるよ。君が自分の身体で誰かを誘惑してたら
それはそれでびっくりだー。 まぁ、男の子が好きなお姉さま方もいるかもしれないけど”
と、笑いながら答えたー。

”ー大丈夫さ。今の君は美人なんだからー。
 やり方なんて分からなくても勢いでエロさを出せばいいのさ”

復讐AIの言葉に、曽根崎先生は顔を赤らめながらも
「ほ、本当にうまく行くのかなぁ…」と、戸惑うー。

そんなー
会話を思い出しながら、
「ねぇ…高井戸くん…♡ わたし、高井戸くんのことがずっと好きだったの」
と、精一杯、甘い声をその口から出してみたー。

「えっ…!?えっ!?せ、先生ー?い、いきなりどうしたんですか?」
戸惑う健太郎ー

「うふふふ♡ だから…わたしのこと、好きにしていいわよ♡」
精一杯甘い声を出すー。

あまりにもセリフがイヤらしくー、
わざとらしいと言えばわざとらしいー。

だが、高井戸健太郎は、いじめの最中には見せないような
笑みを浮かべながら「マ…マジですか?」と、笑みを浮かべたー。

「ーふふふふ…そう、わたしの胸ー触ってみて」
自分でそう言いながら、自分自身が興奮しておかしくなってしまいそうな感情を抱きつつ、
それでも、とにかく健太郎に曽根崎先生の身体を触らせていくー

”誘惑しながら、その先生の髪とか服をどんどん
 乱していくんだー
 まるで、襲われたようにね”

復讐AIの助言に従いながら、
高井戸健太郎にキスをしたりー、胸を押し付けたり、
抱き合いながら、髪や服をわざと乱していくー。

「ーーはぁ♡ はぁ…♡ はぁっ♡」

途中からは、曽根崎先生の身体が興奮してきたのか、
自分でも訳が分からなくなったまま、
無我夢中で、健太郎と激しい欲望を満たしていくー

やがてー

”もう十分だろ?そろそろ悲鳴を上げながら外に飛び出すんだー
 それで、イドケンはジ・エンドだー”

復讐AIの言葉に、気持ちよく喘いでいた曽根崎先生は、
我を取り戻して、そのまま悲鳴を上げて廊下に飛び出したー

「えっ!?先生!?」
ニヤニヤしていた健太郎が突然青ざめた表情で、
曽根崎先生が出て行った扉のほうを見つめるー。

「ーたすけて!高井戸くんが、わたしを!
 誰か、誰か来て!」

髪も服も乱れ切った状態の曽根崎先生の言葉に、
生徒や、他の教職員が駆け付けて来るー。

程なくして、高井戸健太郎は、
”お、俺は先生に誘われてー!”と、必死に叫んだものの、
”曽根崎先生を無理やり襲ったー”ということになってしまい、
そのまま停学処分を受けたー。

一旦”停学”という対応だったが、
間もなく”退学”になる見込みだー

”ーーふふ、上手く行っただろ?
 事前に校長先生も誘惑しておいて正解だったー”

復讐AIの言葉に、
曽根崎先生はニヤニヤしながら「うんー」と、呟くー

高井戸健太郎を誘惑する前に、
事前に曽根崎先生の身体で校長先生も誘惑しておいたのだー。

校長先生まで味方につけた曽根崎先生に怖いものなんてないー。

「ーーふふふふー
 だんだん”女の身体”の使い方も分かって来たよー」

ニヤニヤしながらそう言い放つ曽根崎先生ー

”それはよかったー”

復讐AIのそんな言葉に、曽根崎先生はニヤリと笑うー。

これで、神室孝義と高井戸健太郎の二人に罰を与えたー。

あとはー
神室孝義の彼女である杉島渥美のみー。

しかし、この最後の一人の渥美が厄介で、
渥美は生徒会副会長の座にいる”優等生”だー。

神室孝義と付き合っていることも、
表向きには秘密になっていて、
真面目な女子生徒、というイメージが
学校中についているー。

校長先生を誘惑して手に入れた”校長の後ろ盾”を使ったとしても、
この杉島渥美を停学や退学に追い込むことは
現実的には難しいー

「どうしようー…
 女子相手じゃイドケンにやったような方法も使えないしー、
 そもそも二人続けて曽根崎先生を襲う、ってのも不自然だしー」

曽根崎先生の身体を支配している武信はそう呟くー。

確かに、渥美を曽根崎先生の身体で誘惑しても
どうすることもできないだろうー。

それに、二人続けて同じ先生を襲うなんていうのも
不自然すぎて、同じ手を2度使えば
”高井戸健太郎ははめられたのかもしれない”と、
逆に、健太郎の処遇を良くしてしまう可能性もあるー。

”ーははは、そうだなぁー”

復讐AIが笑うー。

曽根崎先生は「まぁ、少し時間をかけて追い詰めて行こうかな」と、
そう呟きながら笑みを浮かべると、静かに廊下を歩きだすー。

がー
そんな曽根崎先生の後ろ姿を廊下の物陰から
見つめている女子生徒の姿があったー。

その女子生徒こそー、”武信”にとって最後の復讐相手である、
”杉島渥美”ー。

渥美は険しい表情を浮かべながら
「ーーー今の、聞いたからー」と、怒りの言葉を口にしたー。

<後編>へ続く

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コメント

土曜日枠のお話なので、
次週までお待たせしてしまいますが、
いよいよ次回が最終回デス~!

ちなみに、秋から私のお仕事の都合で、
また”予約投稿で投稿する曜日”が変わるので、
具体的に決まったらまたお知らせしますネ~!

(毎日更新が変わるわけではなく、
 予約投稿で更新する日が変わるだけなので
 皆様にはあまり影響はありませんので、安心してくださいネ~!)

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