<憑依>宝箱の中の悪魔②~豹変~(完)

宝箱の中に封印されていた悪魔…

過去に封印された大悪党に憑依されてしまった
トレジャーハンターの女は、豹変していくー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーわたしは…お酒はちょっとー」

町娘のような格好をしたミシェルがそんな言葉を口にするー

「ーー!?!?!?」
仲間のトレジャーハンターの
ルイも、ピエールも、モルガンも驚きを隠せないー。

「ーーはぁ???お、お前…やっぱ、熱でもあるんじゃ?」
バンダナがトレードマークのピエールがそんな言葉を口にしながら、
ミシェルの額に手を触れると、
ミシェルは恥ずかしそうに「あ…」と、身体を避けるような
仕草をしたー。

「ーーえ」
ピエールが驚くー。

「あ、ううんー…そ、そのー」
ミシェルが顔を赤らめるのを見て、
ピエールは「え…??え…?なに?なになに???」と、
困惑の表情を浮かべるー。

ミシェルの行動の意味するものが、まるで分からないー。

「な、な、な、な、なんだよ!?どうしちゃったんだよ!
 いつもなら、誰よりも酒を飲んで
 ”おらおら!全部持ってこい!”な勢いのお前が!?

 えっ!?えっ!?」

ピエールが戸惑いの声を上げると、
ミシェルは「うー…うんー…」と、顔を赤らめて
恥ずかしそうに俯くー

「な、な、な、な、な、な、なんだぁ…!?!?」
ピエールはあまりの戸惑いに言葉を失うー。

いつもならミシェルは
「じゃんじゃん酒を持ってこい!あたしのおごりだ!」みたいな感じだし、
飲みすぎて酔ってくると、平気で下着姿でウロウロしたりし始めるー。

以前、その姿をモルガンが指摘したところ
「あたしさ、そういうのどうでもいいからー。
 ってか、気になるならあたしのこと、男として見ればいいし」
と、言われてしまったぐらいだー。

がー
今のミシェルは、まるで別人ー。

「ーーーー(へへへ…俺はさー…”女の子”になりてぇんだよ)」
ミシェルに憑依している男は笑うー。

”男の振る舞い”は、元々自分が男だったこともあり、
今までに散々やってきたー。
どうせー、新たな身体を手に入れたのであれば
今度は”違う”人生を歩んでみたいー。

女トレジャーハンターとして好き放題やるのもいいが、
それだと、罪を犯している・いないの違いはあれど
”前の自分”とあまり変わらないー。
命の危険と引き換えに、自由奔放に生きるー。
それでは、前と似たような人生だー。

”この女はどうやらー、荒々しい感じだったみたいだがー、
 せっかくこんな可愛い身体を手に入れたんだー…
 俺は、俺の好きなようにやらせてもらうぜ”

ミシェルに憑依した男はそんな風に思うー。

元のミシェルは”可愛い”と言われることを
一番の侮辱だと感じていて、
前に、宝を巡って盗賊と争った際に、
盗賊のリーダーから”可愛いねぇ”と言われた時には
その男を半殺しにしたこともあるー。

しかしー、今のミシェルは違うー。
憑依されて、乗っ取られてしまったミシェルは
自ら”可愛い自分”になろうとしていたー。

「ーーー…と、とにかく、わたし、今日はお酒はちょっとー」

滞在中の村人たちも、ミシェルを知る人間は
その豹変ぶりに驚くー。

ちょうど、仕事で酒場に来ていた”闇の商人”ことヨハンも、
少し離れた場所からそんな
ミシェルの様子を見つめつつ、首を傾げたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーあ…どうもー」
廊下ですれ違ったミシェルがペコリと頭を下げるー。

また、おしゃれな姿をしていて、
”荒々しいミシェル”とはまるで違う雰囲気だー

「ーーお…おい、昨日から、何か変だぞ?」
ピエールがそう声をかけると、
ミシェルは「ごめんなさいー」と言いながら
頭を下げて自分の部屋へと入っていくー。

「ーーーー……~~~」
ピエールは”なんか変だぞ?”なんて言ったら
”あたしのどこが変だって言うんだ?”と、言ってくるような
勢いなのにー、と思いつつも
首を傾げながら、自分の部屋へと戻って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

闇の商人・ヨハンが、”宝”の情報を仕入れて来たー。

「ー北の方に、先日洞窟が発見されましてねー。
 そこは、数十年前まで盗賊たちの根城になっていて
 色々なお宝が隠されていると言われています」

ヨハンの言葉に、
ルイは「いつもすまないな」と、笑うー。

「いえ。ルイさんたちに情報を提供すればー、
 ルイさんたちがお宝を持ってきて、僕に売ってくれるー。
 僕はそれを使って”闇の商人”として儲けるー。

 すべてはビジネスのためですよ」

ヨハンはそう言うと、
ルイは「はははー。ヨハンさんとはこれからもいい
ビジネスパートナーでいたいもんだな」と、笑いながら
洞窟に向かう準備をするー。

だがーーー

「ーーあ、あのー…わたしはー」
ミシェルが申し訳なさそうに声をかけて来るー。

ルイは戸惑いながら「ミシェルー…」と、振り返ると、
ミシェルは「わ…わたし…トレジャーハンターをやめたいの…」と、
言葉を口にしたー。

「ーえぇっ!?」
ルイも、ピエールも、モルガンも驚くー。

「そ、それはまた急ですねー…いったい、どうして?」
眼鏡をかけたモルガンがそう言葉を口にすると、
ミシェルは「ーーその…”普通の女の子”として生きてみたいなって」と、
言葉を口にするー。

「は、はぁ!?!?」
ピエールは思わず変な声を出してしまうー。

”あたしはこういう風にしか生きられないのさ”
などと、前は言っていたのにー

「ーーーーー」
ルイは困惑しながらも、ミシェルのほうを見つめると、
ミシェルは「いままで…わたし、無理してたのー。自分を偽ってー」と、
まるで別人のような態度で言葉を口にしたー。

「ーーーーーいやいやいやいや、
 え?何?どうしたんだよマジで?
 え?正気かよー?」

ピエールがそう言うと、
ミシェルは「ーーはいー正気です」と、答えたー。

「ーーいや…待てって!ど、どういうことなのか説明してくれよー?
 いつものミシェルはどうしたんだよ!?」

”戦友”としてミシェルを気に入っていたピエールが
少し声を荒げながら言うと、
ルイがピエールを止めたー。

「ーーピエール…やめよう。
 彼女がそう決めたのなら、俺たちに強要することはできない」

「けど…!なんか昨日から変だ!」
ピエールがそう言い放つー。

がー、ルイは首を横に振ったー。

「ーー本当に、ごめんなさい」
ミシェルはそれだけ言うと、
一昨日まで、平気で下着姿でウロウロしたり、大酒を飲んでいた
彼女とは思えないような様子で、恥ずかしそうに
その場を立ち去って行ったー。

”へへへへ…これでトレジャーハンターとはおさらばだぜー”
ルイたちに背を向けたミシェルは笑うー。

”この女がどう生きて来たのかは知らねぇけどー
 せっかく可愛い顔してるんだから、それを利用しなきゃなー”

ミシェルはそう呟くと、そのまま支度をして、
足早に村から立ち去って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ったく、何だよ!くそっ!」
不機嫌そうなピエール。

気に入っていたミシェルの突然の豹変に、
不満が収まらないようだー。

眼鏡をかけたモルガンが「まぁまぁ…仕方ありませんよ」と、
ピエールをなだめるー。

トレジャーハンター同士、仲たがいしたりすることはよくあるし、
ピエールもルイのグループに入る前に、
何度か、仲間割れしたり、チームを抜けたりしたこともあったー。

「ーーールイ!お前もお前だ!
 何でミシェルを引き止めない!?
 あいつ、どう考えたって変だっただろうが!」

ピエールが叫ぶと、ルイは「ー”やりたくない”って言ってる本人を
連れて来れば、彼女にも、俺たちにも危険が及ぶー。そうだろ?」と、
穏やかな口調で呟くー。

ピエールはルイの言葉に「分かってるー…分かってるけどよー」と、
悲しそうに言葉を口にしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」

数日後ー。

ルイ、ピエール、モルガンの三人が、
今日も”宝”を求めて、
ジャングルの奥地にやってきていたー。

「チッー」
ピエールは不快そうに舌打ちをするー。

「ーいい加減に切り替えましょう。
 僕たちの目的はお宝のはずです。
 ミシェルさんがいようと、いまいと、それは同じこと」

眼鏡をかけたモルガンはそう言うと、
「今までも、たくさんの別れと出会いを繰り返してきたはずです」
と、そう言葉を付け加えたー。

モルガンも、ピエールも、そしてルイも
今までたくさんのトレジャーハンターと出会い、そして別れて来た。

今はこうしてルイと一緒に行動しているが、
それがいつまで続くかどうかは分からないー。

「ーーーーー」
二人の会話を聞きながら、前を歩くルイが少し表情を歪めるー。

ルイも、ミシェルが急に変わってしまったことに
少なからずショックを受けている様子だったー。

「ーーーーー」
それは、ピエールも同じー。

だがーーー

眼鏡をかけたモルガンは、少しだけ笑みを浮かべていたー。

”あんた、ホント、貧弱だねぇ…もう少し、鍛えたらどうだい?”

ミシェルに、そんなことを言われたことを思い出すー。

モルガンは、ミシェルのことが以前から”嫌い”だったー。

馴れ馴れしいし、騒がしいし、
平気でスキンシップをしたり、下着姿でウロついたりするしー、
おまけに、本人に悪気はないのだろうが、平気で
”あたしの方が、強いからな~”とか、そんなことを言ってくるー。

とにかく、モルガンからすれば目障りだったー。

だからーーーー

”悪魔”が封印されたお宝を、ミシェルに開けさせたー。

”死ねばいい”と思ったー。

だがーー…
結果はモルガンも予想しなかった結末ー
”悪魔にミシェルが憑依されてしまう”という結果に終わったー。

(まぁ、いいでしょうー。
 トレジャーハントはビジネスー。
 ビジネスの障壁は排除するー
 その目的は達せられました)

モルガンは、そう思いながら静かに笑みを浮かべると、
そのままルイ、ピエールの二人と共に”お宝”を目指して歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数か月後ー。

「ーー」
とある村を訪れた闇の商人・ヨハンは
見覚えのある顔を見つけて「おや…?」と、言葉を口にしたー。

「ーいらっしゃいませ~♡」

可愛らしい格好で、宿屋の呼び込みをしていたのはー
”かつてトレジャーハンター”だったミシェルだったー。

すっかり美少女風の雰囲気になっていてー、
数か月前まで、大酒を飲み、宝を求めて荒々しい環境に
身を置いていたとは思えないー。

「ーーー(へへへ…美貌を利用して店主や客と遊ぶのー最高だぜ)」
ミシェルに憑依した男は、
今はこの村で、男たちを誘惑しては、お楽しみを繰り返していたー

”飽きたら”また別の場所に移動して、
ミシェルの美貌を利用した”遊び”を繰り返す予定だー。

”ーーヨハンさんー…危険な”お宝”の情報はありませんかー?”

モルガンにそんなことを聞かれた時のことを思い出すー。

”危険なお宝…ですか?どうしてそんなものを?”
ヨハンが聞き返すと、モルガンは答えたー。

”ーあの女を蹴落としたいー。
 情報料は、いくらでも払いますー。
 もちろん、他言は無用でー”

モルガンの言葉に、ヨハンは”古の大悪党が封印された封印石”の情報を伝えたー。

ルイたちが手に入れて、ヨハンにそれを売りに来た時も、
ヨハンは”全て知っていた”のだー。

別に、ヨハンはモルガンのグルではない。
”客”であるモルガンから金を受け取り、情報を教えた。
ルイとピエールの大事な客だが、他の客との”やり取り”は絶対に他言しない。
それが、商人の掟だー。

「ーーあ、ねぇねぇ、どうですか?
 今なら特別サービスもありますよ♡」

ミシェルが笑いながら、ヨハンに声を掛けて来るー。

”ーーこの娘が、正気を取り戻したらー
 いったい、どんな反応をするんでしょうね?”

ヨハンは、少しだけそんなことに興味を持ちながら
「ーでは、せっかくですので、今日はここで泊ることにしましょう」と、
ミシェルのほうを見て微笑んだー。

数年後ー
ミシェルがとある村で、
「お前…いつの間にそんなに女らしくー?」と、幼馴染と再会ー。
戯れに誘惑を続けているうちにー、
”悪党の俺が、何でこんなにドキドキしてるんだー…!?”
と、自分が”心”も女になり始めていることに戸惑うのは、
まだまだ先の話ー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

女盗賊みたいなキャラが、憑依されて普通の美少女的な
振る舞いになってしまう…を、コンセプトに考えたお話でした~!☆

普段はあまり書かない(?)タイプな気がするので、
貴重な経験でした~!

お読み下さりありがとうございました!☆

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コメント

  1. 匿名 より:

    これは一応ハッピーエンドなんですかね?

    もちろん憑依されたミシェルを除いてですが、普通に平和的な感じですし。

    あと、心まで乙女化しつつある大悪党のその後がとても気になりますね。

    ところで、憑依されたミシェル本人の意識はどうなってるんでしょうね?
    意識がないより、意識はあるまま、勝手に女らしくなっていく自分を見ていることしか出来ない状態になってる方が個人的には好みですけどね。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆★

      ミシェル以外は…
      平和そうなので、ハッピー(?)ですネ~笑

      ミシェル本人の意識…★
      それがどうなっているのか描くのも楽しい気がしてきました~!☆

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