<憑依>ライダーポゼッション②~興味~

謎の女性ライダーと出会った男子大学生ー。

その不思議な雰囲気に、今までバイクにしか興味の無かった彼は、
彼女に興味を抱き始めるー。

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姉・円花が実家を出る手伝いをするために
実家にやってきていた鉄平は表情を歪めたー。

”村西 愛由美(むらにし あゆみ)”

姉の高校時代の卒業アルバムに、
あの女性ライダーとそっくりな子が載っていたのだー。

名前も顔立ちも似ているー。

強いて言えば、全然雰囲気が違うー、
と、いうことぐらいだろうかー。

写真の”村西 愛由美”は眼鏡をしていて、穏やかそうな雰囲気に見えるー。

だがー、バイクに乗っている時に出会った”愛由美”を名乗る子は、
何となく無表情で、クールな感じだったしー、
こんな笑顔を浮かべるような子には見えないー。

「知り合い?」
姉の円花が、鉄平の雰囲気を察して声をかけるー。

「ん?あぁー…なんかさー、バイクで走ってる時に最近何度か
 会った人と似ててー」

鉄平がそう言うと、円花は「へ~…」と、言いながら
”村西愛由美”のほうを見つめるー。

「ーう~ん、でも、村西さんって、バイクに乗りそうな感じに
 見えなかったけどなぁ~」

円花がそう言うと、
「いやいや、大人しい子でもバイクに乗る子は乗るだろ」と
鉄平がツッコミを入れるー。

「まぁ、それはそうだけどー…
 1回だけ他の仲の良い子と一緒に夏休みに遊園地行ったことあるんだけどー
 コーヒーカップとかメリーゴーランドぐらいしか乗れないぐらい
 怖がりだったしー」

「あ、そうそうー
 それに、ゴーカートも怖がって乗るの嫌がってて一人で待ってた気がする!」
円花が思い出したかのように、そんな言葉を口にするー。

「はははー…随分怖がりなんだなぁ…」
鉄平はそう言いながら
”村西愛由美”のほうを見つめるー。

確かに、遊園地のゴーカートですら怖がってしまうような子が、
バイクを乗り回せるとはあまり思えないー。
もちろん、姉・円花の話は既に何年も前の話だろうから
その間に変わったのかもしれないけれどー…

似ている気がするだけで、別人だろうかー。
だが、名前まで同じというのは、少し気になるー。

「ーーバイクが好きって話はー?」
鉄平がそう言うと、
円花は「そこまで村西さんとは関りがあったわけじゃないけどー」と、
前置きした上で、
「ー確か村西さんは、美術部に所属してたし、そういうものが
 好きそうな感じはなかったかなぁ」と、そう、答えたー。

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鉄平は、あれから”愛由美”と2度会った場所で
いつもより”長く”休憩するようになっていたー。

何となく、愛由美のことが気になってー、
もう一度、愛由美と会いたい、と、そんな期待を
心のどこかで抱いていたのだー。

だがー
あのあとー、
月曜日、水曜日、金曜日と大学の後にバイクでここに来たが会えずー、
1週間以上が経過したー。

がーーー

「ーー!」
鉄平が夜景を見つめてぼんやりしていると、バイクの音が聞こえて、
振り返ったー。

そこには愛由美の姿があったー。

ヘルメットを外し、邪魔そうに髪をどけると、
「ーーあー…なんだっけー」と、名前を忘れたのか
そんな言葉を口にしたー

「あ、て、鉄平ですー」
鉄平は照れくさそうにそう言うと、
「あ、そうそうー鉄平くんー」と、思い出したかのように
言葉を口にしたー。

愛由美は、あまり興味なさそうに、
近くのベンチに座ると、持っていたペットボトルの飲み物を
飲みながら、自分の髪を面倒臭そうに払いのけるー。

「ーーー…あ、あのー」
鉄平がそんな愛由美に声をかけると、
「ん?」と、愛由美が鉄平のほうを見るー。

「ーーもしかしてー…もしかして何ですけどー…
 そのーー村西愛由美さんですか?」

とー、言葉を口にするー。

姉・円花の卒業アルバムに写っていた
村西愛由美なのかどうか、どうしても気になって、
そう言葉を口にするー。

「ーーーー…何で知ってんの?」
愛由美が表情を歪めるー。

敵意のようなものを感じられて、鉄平は慌てて
「あぁ、いや、いや、ストーカーとかじゃなくて!」と、
慌てた様子で言葉を口にするとー、
「ーす、少し前に姉さんの引っ越しを手伝ってた時に
 姉さんの卒業アルバムに載ってたのを偶然見てー!」と、
慌てて敬意を説明したー。

「ーーーあぁ、そういうことー」
愛由美はそう呟くと、
「ー村西愛由美だけど、それが何か?」と、
鉄平のほうを見つめるー。

「ーあ、い、いえー…
 そのー何だかこうーー
 高校の時と全然違う雰囲気で、ギャップがーそのー

 気になってー」

鉄平は、自分でも”俺、何言ってんだ!?”と、心の中で
ツッコミを入れながら
愛由美のほうを見つめるー。

「ーーーーーーーー」
愛由美は何も答えないー。

「ーそ、そのー…姉さんが”遊園地でゴーカートも乗れないような子だった”
 って言っててー…」

鉄平がそう言うと、
「それを知って、どうするの?」と、愛由美が呟くー。

「ーーい…ーーー…
 う~… う~ん……
 ど、どうしたいんでしょうー…?」

鉄平は苦笑いしながら、首を傾げるー。

「ーな、なんて言うかー…そのー…
 俺、バイクと結婚する!なんて言ってるような人間なんですけどー
 な、なんか、村西さんと会ってからー
 う~ん…興味がわいたっていうかー…」

鉄平は自分の感情が、自分でもよく把握できないままそう言うと、
愛由美は真顔で「わたしと結婚したいの?」と、聞いて来たー

「ふぇっ!? はっ!? えっ!?」
鉄平が顔を真っ赤にしながら、首を横に振るとー、
愛由美は立ち上がると、少しだけ微笑んだー

「ーなんかー…笑えるー」
とー。

「ーーえ?」
鉄平が戸惑うー

「鉄平くんって、なんか面白いねー」
愛由美はそう言うと、「ーー…まぁ、いっかー…教えてあげるー」と、
言葉を口にしたー。

「ーーわたしー、”村西愛由美”だけど、”村西愛由美”じゃないのー」
愛由美がそう言うと、
鉄平は「え」と、言葉を口にするー。

「ーあ…な、なるほどー 同姓同名のー…」
鉄平がそう言うと、
愛由美は「ーー身体は”村西愛由美”だけど、中身は別人ー」と、
淡々と呟くー。

「ーー…???????」
鉄平は変な顔をしながら、頭に?をたくさん浮かべるー。

「ーま、まぁー…その反応が普通でしょうねー」
愛由美はそう言うと、
「中身は”男”ー」と、自分の身体を触りながら、
言葉を口にしたー。

「ーーはっ!?!?」
鉄平が思わず愛由美の胸のあたりをライダースーツの上から
見つめてしまうー。

「…ど、どこ見てんのよー…」
愛由美の言葉に、鉄平は「だ、だって今ー…男ってー」と、
戸惑った様子で言葉を口にするー。

「ーだからぁ…身体は愛由美って言ったでしょ」
愛由美はため息をつきながらそう言うと、
鉄平の前に近付いて来てー、
「ーちゃんと、ついてないからー…」と、
ライダースーツの上から、アソコのあたりを指差したー。

「ーー!?!?!?!?!?!?」
鉄平が顔を真っ赤にしながら視線を移すー。

「ーーー…疑うなら、触ってみるー?」
愛由美の言葉に、鉄平は「い、いやいやいやいやいやいや!」と、
慌てて首を横にぶんぶん振ったー。

「ーふふふ…冗談冗談ー」
愛由美はそう言うと、
”どこからどこまでが冗談なのか”を言わずに、
そのまま鉄平のバイクを見つめるー。

「ーう~ん…メンテナンスもしっかりされてるしー、
 バイクへの愛を感じるー」

愛由美はしゃがみながら、
またバイクオタクっぷりを発揮して、
専門用語もペラペラと喋りながら、
嬉しそうにバイクを見つめているー。

そんな姿を見ていると、
本当に”中身は村西愛由美じゃない”と、そんな言葉が
思い浮かんでくるー。

「ーーー…」
振り返った愛由美は、
「今度、一緒に走ってみる?」と、鉄平に言葉を口にするー。

「ーーえっ!?えっ!?いいんですか?」
鉄平が言うと、愛由美は「もちろん」と、言いながら
スマホを取り出したー

「?」
鉄平が首を傾げるとー、

「連絡先ー。
 知らないと、日程とか調整できないでしょ」
と、愛由美はため息をつく。

「あ、えっ!?は、はいー」
すっかりデレデレとした様子で鉄平がそう言うと、
愛由美は「ー鉄平くん、面白いね」と、今一度言葉を口にしたー。

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ますます”愛由美”のことが気になってしまった
鉄平は、スマホばかりを見つめながら
愛由美からの連絡を待っていたー。

”知らないと、日程とか調節できないでしょ”

そんな風に、愛由美から連絡先を聞かれたということはー
きっと、愛由美から連絡が来るのだろう、と、そう鉄平は解釈していたー。

「なんだよ?スマホばっかり眺めてー」
ニヤニヤしながら、友人の茂が近付いてくるー。

ギクッとして目を逸らすと、
「おいおいおい、バイクからの連絡待ちか~?」と、
バイクが恋人だと豪語する鉄平を揶揄うような言葉を口にする茂ー。

「ーそ、そうそうー」
咄嗟に鉄平はそんな嘘をつくも、
茂は笑いながら、「例のバイク乗りの子だろ~?」と
言葉を口にするー

「ーべ、べ、べ、別に!
 ただ、ほら、一緒にバイクで走ろうかと!
 男とか、女とか、関係ないし!」
鉄平がそう言うと、
「ははは~じゃあ、そういうことにしておくか」と、茂は笑ったー。

「ーーでもまぁ、気をつけろよー。」
ふと、茂が真面目な口調に戻ってそう言葉を口にするー。

「え?」
茂の言葉に、鉄平が少し不安そうに反応するー。

「ーいや、ほらー…相手のこと、まだほとんど何も知らないんだろ?
 相手には彼氏がいるかもしれねぇしー、あまり深追いはしすぎるなよ、ってことだよ」

茂がそう言うと、
鉄平は「分かってるよー」と、少しだけ不安そうに、そう言葉を口にしたー。

そしてーーー
愛由美から、連絡が来たのはその日の夜のことだったー

”次の休みの日、ご飯でもどう?”

とー、そんなメッセージが書かれていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー」
緊張した様子で、待ち合わせ場所にやってきた鉄平ー。

ソワソワしながら、鉄平が、愛由美の到着を待っているー。

「ーーーーーー…(急に彼氏と一緒にやってきて、ボコボコにされるとかないよな?)」
茂の言葉を聞いて、少しそんなことを心配してしまいながらも、
鉄平は大きく息を吐き出すー。

「ーーあの」

「はい?」

鉄平は、ふと女性に声を掛けられて振り返るー

一瞬、愛由美の声に聞こえたが、人違いだったようで、
慌てて「えっ、えっと、何でしょうー?」と、不安そうに呟くー。

「ーーーー」
相手の女性が、鉄平のほうを不満そうに見つめるー。

”えっ?えっ? 俺なんかしたー?
 あぁ、あれかー?俺、ストーカーか何かだと思われて
 あの子の友達かなんかに怒られるのか?”

鉄平がそんなことを思っていると、
相手の女性は静かに口を開いたー

「ー何でしょうって何ー?
 ご飯の約束したでしょ」

不満そうに言う相手ー。

「えっ?えっ!?」
鉄平は、困惑しながら相手の女性をよく見るとー、
髪型も服装も違って、いつもは眼鏡をかけていないのに、
今日は眼鏡をかけているためー気付かなかったが、
相手は見知らぬ女性じゃなくて、愛由美だったー

「うあっ!? す、すみませんー 気づかなくて」
鉄平がそう言うと、愛由美は「まぁ、無理もないかー」と、
自分の髪を少しだけ触りながらー、
「ーーじゃあ、そこでいい?」と近くのファミレスを指差すー。

「ーあ、はいーはい、どこでも」
緊張した様子で鉄平が頷くと、二人はそのまま
近くのファミレスに入っていくー。

いつもライダースーツ姿しか見たことがない、
愛由美のおしゃれな姿にドキドキしながら、
着席するー

「ーーーー…ねぇ」
ふと、愛由美が言葉を口にするー。

「ー滅茶苦茶視線を感じるんだけどー…」
そんな愛由美のツッコミに、鉄平は「ひぇっ!すみません!」と、
必死に謝るー。

「ー別にいいけどさー
 気持ちは分からないでもないからー」
愛由美はそんな、意味深な言葉を口にすると、
そのままメニューを見つめ始めたー。

緊張したまま、適当にいくつかの料理を注文すると、
愛由美は「この前言った通りー、今度一緒に走る約束とー、あとー」と、
言葉を口にしたー。

「ーちゃんと、全部話をしておこうと思ってー。
 なんか”勘違い”されてると困るからー」

愛由美のそんな言葉に、鉄平は「勘違いー?」と、言葉を口にするー。

「ー鉄平くん、わたしのこと気になってるよね?」
愛由美に急にそんなことを言われた鉄平は「うえっ!?」と、飲んでいた水を
吐き出すと、顔を真っ赤にしたまま、愛由美のほうを見つめたー。

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

次回が最終回デス~!

彼女がどんな状態なのか…
今回はジャンルに<憑依>と書いてあるので
何となく皆様も分かってそうですネ~笑

今日もありがとうございました~~!

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