<憑依>続・ねぇねぇ女装してみない?(前編)

とある家の男子高校生が、
近くに住む”怪しいお姉さん”に狙われてー
憑依された挙句、女装させられてしまったー。

異変に気付いた兄は、
その怪しいお姉さんに憑依して彼女を問い詰めるも…?

※「ねぇねぇ女装してみない?」の後日談デス!
 先に本編を読んでくださいネ~!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”近所の男の子が可愛いー”

そんな風に思いながら、
日々、その男子高校生・恭太(きょうた)に声をかけては、
ニヤニヤしていた女子大生・真壁 陽華(まかべ ようか)ー。

彼女は、中性的で、可愛い雰囲気の恭太が
”女装”したら可愛いだろうなぁ、と、妄想する日々を送っていたー。

おしゃれや、可愛い服が大好きな陽華ー。
しかし彼女は、世間的には”可愛い”と言われるタイプの風貌ながら、
彼女自身が自分の顔を好きではなくー、
いつしか”恭太くんが女装したら、可愛いだろうなぁ”と、
そんな感情を抱き始めていたー。

そしてある日ー、
陽華は、恭太に”ねぇねぇ女装してみない?”と
話を持ち掛けたー。

がーー
女装に興味のない恭太はそれをあっさりと断るー。

我慢できなくなってしまった陽華は、
恭太に憑依ー、
恭太の身体を乗っ取って、恭太の身体で存分に女装を楽しんだー。

けれどー…
異変に気付いた恭太の兄で大学生の真治は、
恭太に憑依していることで”抜け殻”になっていた陽華の身体に憑依、
”恭太の身体を解放すれば、俺もあんたの身体を返す”と、
交換条件を持ちかけるー。

しかしー、
恭太に憑依した陽華から”何で憑依薬なんて持ってるの?”と、
指摘されてしまいー、
個人的に”ちょっとしたお楽しみ”をするため、以前から憑依薬を
時々使って楽しんでいた真治は、陽華に対して
強く言うことができなくなってしまうー。

その挙句、
”女装した弟の恭太”に、”陽華の身体で”エッチなことを
されてしまうというとんでもない結末を迎えー、
兄・真治は放心状態で天井を見上げることしかできなかったー。

あれからーー
半月ー。

「ーーーふふふふ 今日も僕、かわいい??」
本格的な女装をした弟・恭太が笑みを浮かべながら
自分の服をくるくると回転しながら見せ付けるー

まるで本当の女の子のように可愛らしい恭太に
少しドキッとしてしまうー。

しかしーーー…

”なんで…こんなことにー”
と、恭太の目の前にいる”近所のお姉さん”陽華は
表情を歪めるー

恭太が”女装”しているのは、本人の意思ではないー。
恭太に女装させたかった近所のお姉さん・陽華が
恭太に憑依して、勝手に女装しているのだー。

そしてー、
反対側にいる”陽華”には、
恭太の兄・真治が憑依した状態ー。

あれから半月ー、
”弱み”を握られてしまった真治は、
”近所の怪しいお姉さん”である陽華の”遊び”に
付き合わせされていたー

「ーーあ~…もう、女装したまま、外を歩かせたいなぁ~」
女装した恭太が、ニヤニヤしながら顔を真っ赤にして
嬉しそうにそう笑っているー

「おい!俺の弟でこれ以上遊ばないでくれ!」
陽華が、女の声で、男言葉を口にするー。

女装した恭太には陽華がー、
陽華には真治がそれぞれ憑依した状態ー。

あの日、近所の怪しいお姉さんである陽華に
憑依されてしまった恭太を救うため、
抜け殻になっていた陽華の身体に憑依し、
”弟を返せ!”と迫った真治ー。

しかし、その行動が逆に
”なんでお兄さん、憑依できるんですかぁ~?”と、
聞かれる結果になってしまいー、
”憑依薬でこっそり時々遊んでいた”ことがバレてしまった真治は
よの弱みを握られて、
時々こうして”お姉さんの遊び”に付き合わされていたー

「ーあ~~~僕ってば本物の女の子みたいー」
女装してうっとりとしながら鏡を見ている恭太ー

冷めた性格の本人が、今の
自分の状況を見たら失神してしまうかもしれないしー、
何より、”兄さん、失望したよー”とか、言われてしまうかもしれないー

「ーぜ、ぜ、絶対に外に出るのはダメだ!」
陽華の身体でそう言うと、
恭太は「え~~~女の子として外を歩きたいよ~」と、
甘えるような仕草で身体をくっつけて来たー。

”く、くそっー…なんでドキッとなんてしてるんだ俺ー”

そんなことを思いながら
陽華に憑依している真治は表情を歪めるー。

どんなに可愛いとは言えー、
相手は”女装している恭太”だー。
つまり、男であり、弟なのだー。

そんな恭太にドキッとしてしまうなんてー

”いやー、この変態女の身体だからドキッとしてるだけだー
 俺は、俺はドキッとなんてしてないー”

陽華の身体のせいにしながら、
そう自分に言い聞かせると、
「とにかく!外に行くのは絶対ダメだ!
 そんなことしたら、あんたの身体でメイド服着て外を歩くぞ!!」
と、乗っ取られた恭太が”女装したまま”外を歩かないように
必死に言葉を投げかけるー

「ー別にいいですよ」

「ーーーへ?」
陽華に憑依している真治は、表情を歪めたー。

「ー法律的にアウトにならない格好で外を歩くならー
 別に構いませんよー?ふふ

 恭太くんは女装して、
 わたしの身体はメイドさんの格好をして一緒に外を歩くのー

 ふふふー
 ふふー
 じゃあ、決まりねー
 
 あぁ、興奮してきちゃったー♡」

女装した恭太がそんな言葉を口にするー

”し、しまったー…”

変態お姉さんを前に、常識は通用しないー

”恭太の身体で女装して外を歩くなら、
 俺はあんたの身体でメイド服を着て外を歩くぞ!”

と言う言葉はー、
変態お姉さんにブレーキをかけるどころか、
完全に逆効果だったー。
”一緒に歩く約束”までさせられてしまったことに危機感を覚えるー

”おいおい、女装したまま外を歩かれたら
 恭太だって困るだろうしー、
 しかもー、俺もこの人の身体でメイド服を着て
 外を歩くとか恥ずかしすぎて死ぬー”

そんなことを内心で思いながら
「いや、やっぱ、やっぱ今のは、なし!」
と、陽華の身体で叫ぶー。

がーー

「ーーー!!」
陽華は驚いて女装した恭太のほうを見つめるー。

明らかに”怒っている”と分かるような
そんな表情でこちらを見ている恭太ー

弟は、良くも悪くも冷めた性格で、普段は
あまり怒ることもないー。
その恭太が、女装した状態で起こっているー。

なかなかに恐怖な光景だったー。

「ーー約束破ったら、僕、怒るよ」
ぷくっ、と頬を膨らませる恭太ー。

そんな恭太が”可愛い”と思えてしまって
頭がおかしくなりそうになるー。

しかも、恭太に憑依している陽華が
恭太の口調を真似て喋るからか、
余計に頭がおかしくなりそうだー。

「ーわ、分かった!分かったから!
 で、でも1回だけ!何回も一緒にお出かけするとは
 俺は一度も言ってないからな!
 1回だけだぞ!1回!」

陽華が顔を真っ赤にしながらそう言うと、
恭太は「ーー分かったー」と、少し不貞腐れた様子で頷いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーなんだよ?」

数日後ー
兄・真治の視線を感じた恭太が
気味悪そうに真治のほうを見るー。

「ーーーあ、い、いや、別にー」

今は”憑依”されていないー。
憑依されていない時の恭太は、絶対に女装などしないー。

まさか、自分が”近所の変態お姉さんに憑依されて女装させられている”と
知ったら、どう思うのだろうかー。

少し前に、一度だけ”それとなく”憑依されている間の記憶が
あるのか、ないのか、違和感を感じたりしていないのか、
遠回しに確認してみたー。

だがー
”憑依されている間”の記憶は
どうやら”都合よく改変”されているようで、
恭太は記憶が飛んでいる、という認識もなく
本人の中では”普通に生活している”という認識の様子だったー。

”ーーあぁ、くそっ…恭太にあんなことさせたくないしー
 俺もあの女の身体でメイド服とか着たくねぇ”

そんなことを思いながら、
自分の部屋に戻ろうとしているとー、
「ーそういや兄さんー。最近、あの変なお姉さんに絡まれなくなったよー
 兄さんが何か言ってくれたんだろ?ありがとなー」
と、恭太は少しだけ笑いながら言葉を口にしたー

違うんだー
恭太ー

罪悪感に支配されながらも、
陽華に逆らったら、それこそ憑依で滅茶苦茶にされるかもしれない、という
恐怖から、真治には何もすることができなかったー。

違うんだー…
俺は、女装したお前と一緒に、女としてー…

そんな光景を思い浮かべて、
”俺は引き返せないところまでやってきてしまったー”
と、そう心の中で呟くー。

がー
だからと言って、陽華に逆らうという選択肢はなかったー。

陽華に逆らえば、”恭太が何をされるか”も、分からないー。
今はまだ、従うしかないー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

心臓をバクバクさせながら、メイド服姿の陽華が
顔を赤らめるー

「ーほ、ほ、ほ、本当にこんな格好で外を歩いていいんだなー?」
陽華に憑依している真治がそう言うと、
”女装した”恭太が「もちろん!お姉ちゃん!似合ってるよ」と、
可愛らしく微笑んだー

まさかー、弟の恭太に
”女装したまま外出”させることになってしまうなんてー…と、
とても強い罪悪感を感じながらも、
もはやどうすることもできずに、共に出かけていくー。

「ーでも、憑依薬で遊んでたって言う割には
 そんなに恥ずかしがっちゃってー」
陽華に憑依されている恭太が、笑いながら言うー。

ゴスロリのような格好で、弟の恭太が外に出てしまったー

”あぁ、俺はなんてことをー”と、思わずにはいられないー。

「あ、遊んでたって言っても、
 お、俺はー…家の中にいる子に短時間憑依してー
 ほんの少し遊んでただけだしー…」

陽華の声で顔を真っ赤にしながらそう呟く真治ー。

そうー。
”真治”は、家の中にいる子限定ー、
かつ5分~10分以内と自分の中で厳しいルールを設定して、
本当に”密かに遊ぶ”程度のことしかしていなかったー。

だから、”メイド服”を着るのは初めてだしー、
そもそも外に出たのも初めてだー。

顔を真っ赤にしながら、視線を感じる陽華ー

「ーうふふふふ…僕たち、見られちゃってるー!
 ゾクゾクする♡」

興奮した様子の女体化した恭太を横目に
陽華はそれどころではない、という様子で
タラタラと汗を流し始めるー。

「ーーー…は…ははははー」
”陽華”として外を歩くだけでも、
正直、真治からしてみればかなり緊張するー。

今までは”家の中にいる子”にしか憑依したことがなく、
外に出る、などと言うことはしたことがなかったし、
これからもするつもりはなかったー。

こんな形で”女”として、
しかも”メイド服”を着て歩くことになるなんてー。

メイド服の女と、
ゴスロリ風の男の娘。

まぁ、女装した恭太が、
”男”だと気付かれているかどうかは分からないが、
とにかく目を引く光景であることは事実だったー。

「ーーーあ~~~興奮しちゃうぅ~」
嬉しそうに顔を真っ赤にしている恭太ー。

”あぁ、こんな恭太見たくないー
 っていうか、バレたら確実に恭太に殺されるー”

そんなことを思いながらも、
女装した恭太を横目で見ながら
”やばいなー…本当に可愛すぎるなー…”と、
心の中で呟くー。

悔しいが、このお姉さんの見立てはある意味合っていたのかもしれないー。

「ーーーお嬢ちゃん、可愛いねぇ」

「ーー!?」

ふと、そんな声が聞こえて陽華が振り返ると、
女装”させられた”弟の恭太が、柄の悪い男に話しかけられていたー

「え~?ホントですか~?僕、可愛いですかぁ~?」
嬉しそうにしている恭太ー

「バ…バカッ!」
これ以上調子に乗ったことをされたら困るー
弟の恭太の人生にも影響が出かねないー。

そう思った陽華に憑依している真治は、
慌てた様子で、恭太の方に向かって歩き始めたー…

<後編>へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

”ねぇねぇ女装してみない?”の後日談デス~!

見たい!というお声を頂いたので、
読み返してみたら書けそうな感じがしたので
書いて見ました~~~!
(※必ず実現するわけじゃないので、希望が実現しなかった場合も許してくださいネ~!)

続きはまた次回デス~!
(土曜日だけ予約投稿な都合上、続きはまた来週になります~!)

コメント