憑依薬を入手した男子大学生ー。
その”テスト”も兼ねて、実家にいる妹に憑依して
散々、欲望の限りを尽くしていたものの、
その最中に突然”母親”が帰宅してしまいー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ゲッ…!?!? えっ…!? えっ…!?」
頭の中が真っ白になりかけた状態で、
玄関の方を見つめる和美ー。
濡れー、乱れた和美ー。
周囲は汚れー、床にはバナナ。
しかも、和美の部屋もまだ片付けていない状態でー、
和美自身も荒い息がまだ止まらないー。
母親がこの部屋にたどり着くまで、
距離的に考えて10秒もないー。
いやー、こっちに顔を出す前に手洗いとうがいをしてくれれば、1分はあるかもしれないー。
しかし、その1分でこの状況をどうにかするのはーー
「ーーーーあ」
「ーーーえっ!?!?!?」
そんな考えを終える前に、
母は、娘の痴態を目撃してしまったー。
服を脱ぎ捨てて、
まさに今、イったばかりの和美を見て、呆然とする母親ー
「ーーー~~~~…」
色々な意味で顔を真っ赤にしながら、
和美は「あ… ぁ… ぅ…」と、呻くような声を上げるー。
もはやー
”なんて言っていいのかも”分からなかったー。
女子高生がこんな場面を親に目撃されたら、
何て言うのだろうかー。
どんな、リアクションをするのだろうかー。
そんな考えが頭の中でグルグルグルグルと、
駆け巡るー。
だがー
和美に憑依した慶介は咄嗟に言葉を
振り絞るように口にしたー
「ーお、お、お、お、お、おか、おか、お母さんー
だ、だ、だ、誰にも言わないで!お願い!」
と、乱れ切った格好のまま母親に近付いて言葉を口にするー
「ーえ…?え…え、、わ、わざわざ、言わないけどー
ほ…ほ、ほらー…は、早く片付けなさいー」
母は、激しく混乱した様子で、目を逸らしながら
そう言葉を口にすると、そのまま逃げるようにして
洗面台の方に向かったー
「ーー…どどどどどど…どうしようー」
お互いに、滅茶苦茶気まずいー。
父親に見られるよりかは、”今は”女同士だし、
気まずさはある程度マシかもしれないー。
しかしー…
今はどっちにせよ、まずいー。
”このことが和美に知られてはいけない”のだー。
だからこそ、両親の帰りが遅いであろう”今日”を
選んだのだし、
和美が”寝落ちしてたんだ”と、思い込むようなタイミングを
見計らって憑依したー。
憑依を堪能したあとにはそれとなく”後片付け”をして、
そのまま”寝落ちしてたっぽい位置”で和美を解放するつもりだったのにー
それなのにー
「ーーー…ーーー」
顔を真っ赤にしながら、汚れた部屋を見つめるー。
”娘”が”母親”に、こういう場面を見られた時はー
やっぱりこんな風に気まずくなるのだろうかー。
いやー、そもそも和美は普段、隠れてこんなに気持ちイイことをしていたり
するのだろうかー。
母に言われた通り、震える手で、とりあえず汚したところを
片付けて、バナナも片付けるー。
身体を汚してしまったことも忘れて、咄嗟に服を着た和美は、
戸惑いながら「ーーお、お母さん、ど、どうして今日はこんなに早いの?」と、
和美の普段の口調を真似て言葉を口にしたー
「え…あ~、来週ね、急にパートに来れない人が出ちゃって、
その人から「今日、このあと代わりに最後までシフト入るので、
来週、代わりにお願いできませんか?」って言われちゃったからー」
母は、そんな風に答えるー。
”よりによって”今日、そんなイレギュラーな事態が起きるなんてー、と
心の中で毒づきながら表情を歪める和美ー
「ー……あ、そうそう、今日は和美の好きなプリンも買ってきたからー
あとで、食べてねー」
必死にー”さっき見た光景”から話を逸らす母親ー。
お互いに、滅茶苦茶気まずい状態が続くー。
「ーあぁ、くそっー…どうすりゃいいんだー
これで”寝落ちしてた”って風にするのは無理があるしー」
一旦部屋に戻り、散らかした和美の衣服を、
スマホに保存した写真を見ながら、
慌てて片付けていくー。
そして、このまま”寝落ち”を装いー、
机に突っ伏した状態で、和美を解放すればーーー
「ーーー…」
「ーーーーー」
「ーーーーーーー」
「ーーダメだぁ!!!!」
和美の身体から抜け出そうとしていた慶介は
和美から抜け出すのをやめて、そう叫ぶー。
母親のあの戸惑った顔ー。
母が、和美に対して
”さっきのこと”を口にしてしまったら大変なことになるー。
そう思った和美は慌てて引き返すー。
しかもー
そういえば身体を汚しているから、お風呂も入らないとまずいー。
「ーーお、お、お母さん!」
和美がそう叫ぶと、母親が戸惑った様子で振り返るー。
「さ、さ、さっきのことー
絶対、誰にも言わないでね!
わ、わたしも含めて!」
和美がそう言うと、
母親は「え?」と首を傾げるー。
「ど、どういうことー?」
母のそんな言葉に、和美はなおも続けるー
「わ、わ、わたしも、自分の黒歴史、忘れたいから!
だから、今日、この瞬間を最後に、
さっきのことは、もう2度と話題にしないで!
わたしももう、2度と話題にしないから!
ね!」
和美は冷や汗をかきながら、早口でそう叫ぶと、
母は「え…う、うんー…わ、わかったわー」と、頷くー
「よ、よかったー
絶対だからね!
お父さんにも、おrーーーじゃない、お兄ちゃんにも、
わたしにも、2度とさっきのことは言わないでね!」
和美がいつもとは違う強引な雰囲気で
そんな言葉を口にすると、
母親は戸惑った様子のまま頷くー。
「ーよし!」
和美は一人、安心したような様子でそう叫ぶと、
そのままお風呂の方に向かうー。
和美の身体を汚したまま解放すれば
和美が異変に気付く可能性もあるー
…と、言って
急に”お風呂に入ってサッパリ”という状態にしてしまうと、
それはそれで逆に怪しまれるー。
和美からすれば”高校から帰宅して少ししたら意識が飛んでいる状態”だー。
それなのにお風呂上りモードになっていては、流石におかしいと感じるだろう。
「ーーーー!!」
ふと、和美の身体でお風呂に入るのかー、と、
思うと無性にドキドキしてしまう慶介ー。
”いや、落ち着け俺ー。流石にこれ以上遊んでたら大変なことになるし
和美にバレるかもしれないー
憑依薬がこんな風にしっかり使えるって気付けたんだし、
今日はもう、ここまでにするんだー”
そんなことを、自分に対して必死に言い聞かせながら
服を脱いで、無駄に激しく深呼吸をしながら、
軽く身体を洗うー。
洗うのは、汚した部分だけだー。
和美が目を覚ました時に”ピカピカの和美”になっていれば
明らかにおかしいし、和美も疑問に思うー。
そんなミスを犯すわけにはいかないー。
「このぐらいでいいかー」
そんな風に思いながら
”胸”に手を触れてしまい、ドキッとするー。
この場で再び欲望に支配されて、
狂ってしまいそうになるも、
和美はなんとかそれを抑え込むー
「もう、これ以上はまずいってー…」
そう言い聞かせながら、なんとかお風呂から出ると、
”俺がこんなにエロイのか”
それとも、”和美の身体がエロイのか”分からなくなりながら、
お風呂から出て、身体を拭くー。
「ーーふぅー…なんとか…なんとかこれでー…」
和美はそう言いながら、服を着て、身なりを整えるー。
「ーーちょっと綺麗になりすぎかなー…?
適度に汗ばむような感じにしてから解放するかー」
そう思いながら、再びリビングの方に向かうと、
母親に対してもう一度、
「絶対に!絶対にさっきのことは誰にも言っちゃだめ!
わたしにも、ね!
わたしも黒歴史は忘れたいから!」と、早口で伝えて、
母親が「わ、わかったわー」と、返事をするのを確認すると、
そのまま2階へと駆け上がったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自分のー…
いいや、和美の部屋に駆け込むと、
何か見落としがないかどうかを再確認するー
もしも、和美に違和感を感じられてしまったらまずいー。
見ず知らずの人間相手なら、
”憑依されていた”なんてことに気付かれない限りは
どうでもいいと言えばどうでもいいのだがー、
和美とは別に険悪な仲ではないー。
和美が自分の意識が飛んでいたことに不安を覚えたり、
慶介自身が、何か疑われるような事態だけは、
絶対に避けねばならないー。
そう思いつつ、最後の確認を終えると
和美は「よし!」と、笑みを浮かべたー。
「ーーそれにしてもー」
和美は少し目を細めながら、
部屋の出口のほうを見つめて、ため息をつくー
「まさか、母さんが急に帰ってくるなんてー
予想外だったなー」
和美は思わず舌打ちするー。
別に、両親とも仲は悪くないしー、
急に仕事が早く終わるー…などということも
確かに、場合によってはあるだろうー。
しかしー、
”よりによってそれが今日”だということにー、
自分の運の悪さを、思わず呪うしかなかったー。
「ーーー…さて、後は”寝落ち”を装ってー」
和美は、そう言うと
いかにも”寝落ちしてました”と、言わんばかりの
態勢を取るー。
”これでよし、とー…”
和美に憑依していた慶介は、和美の身体から
抜け出す前に、今一度頭の中で
”何かやり忘れたことはないかどうか”を
再確認するー。
そして”絶対に大丈夫”であることを確信すると、
”よし”と、小さく呟いて、そのまま和美の身体から
抜け出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーふ~~~…」
和美から抜け出した慶介は、無事に自分の身体へと
戻ってきていたー。
少し疲れた様子でため息をつくと、
「ーとりあえず、憑依薬は本物だったな」と、
笑みを浮かべるー。
最初は自分自身も色々慣れてない部分があるし、
そもそも”憑依薬”が本物かどうかも分からないからー、
ひとまず、妹の和美で”練習”したが、
もう大丈夫だろうー。
「さ~て…次は誰に憑依しようかなー」
慶介は、そんな言葉を一人呟くと、
嬉しそうに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーぁ…」
慶介に憑依されていた和美が目を覚ますー。
「ーーえっ!?」
急に意識を取り戻した和美は
驚いた様子で時計を見るとー、
さらに驚きの表情を浮かべたー。
何時間も経過しているー。
「ど、どうして…?」
和美はそんな風に呟くも、
自分のいる場所、自分の状況を見て、
「ーーーあ…帰ってきて着替えてー…そのまま寝ちゃったのかな」と、
兄・慶介の目論見通り
和美は自分の状況を”寝落ち”だと判断して、
そのまま起き上がるー。
そして、部屋から出ると、すぐに
”母親”が既に帰宅していることに気付き、驚くー。
憑依されている間、意識のなかった和美からすれば
”母”が仕事上の都合で急に”いつもより早く”帰宅したことは知らないー。
和美が”急に帰宅していた”母親に声をかけようとすると、
母親は和美が口を開くよりも先に、口を開いたー。
「ーねぇ、和美ー
さっきのことだけどー、
わたし、別に怒ってないからー。
ただ、驚いただけだからー
気にしないで、ねー」
母親が戸惑いながらそう言い放つー
”絶対に!絶対にさっきのことは誰にも言っちゃだめ!
わたしにも、ね!
わたしも黒歴史は忘れたいから!”
和美にそう言われていた母ー。
しかし、事情など知るはずもない母は、
あっけなく、そんな言葉を口にしてしまったー
「え?な、何のことー?」
和美が戸惑いながら母親に聞き返すとー、
母親もまた、戸惑った表情で口を開きー、
”全部”
話してしまったー
「ーーーーー…え?」
呆然とする和美ー。
「ーわたし、学校から帰ってきて寝落ちしてたんじゃー?」
和美がそう言うと、
母は混乱しながら、静かに首を横に振るのだったー…。
ーーー”口止めしておけば大丈夫ー”
そんな楽観的な兄・慶介の目論見は崩れたー。
妹の和美が、”慶介の仕業”だと、気付くかどうかは分からないー。
けれどー、慶介にとっては危機的な状況に陥りかけていることをー、
慶介はまだ知らずー、
のんきに”同じ大学に通う子のうち、誰に憑依しようかな”などと
考えているのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
”家族に見つからないように、ちょっぴりHなことを…”を
憑依モノにして作った作品でした~☆!
この後も…大変なことになりそうですネ~!笑
お読み下さりありがとうございました~!!
コメント