妹が”皮”にされたー。
乗っ取られた妹を前に困惑する兄ー。
しかしー…
妹を救出する”チャンス”がやってきたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「丸山(まるやま)!!!!!!!!!」
男子大学生の滝沢 和馬(たきざわ かずま)が叫ぶー。
「ーーく、くそっ…!そんなことをしてー…
妹の命はないぞ!」
”丸山”と呼ばれた男ーーー…
いいや、女は自分の首にナイフを突き立てながら笑みを浮かべるー
「ーーーくっ…」
和馬が立ち止まるー。
相手の女は、”丸山”などという名前ではないー。
自分に刃物を突き付けて笑っているその女はー、
和馬の妹ー、滝沢 瑠美(たきざわ るみ)ー。
しかしー、今、彼女は”乗っ取られて”いるー。
”丸山 義夫(まるやま よしお)”という男に
謎の注射器で皮にされて、着ぐるみのように着られー、
丸山義男が、瑠美の身体で好き放題していたのだー。
”丸山 義夫”とは、瑠美のバイト先の先輩でー、
瑠美に一方的な好意を抱いて告白ー、
振られたことに逆上しー、
”なら、俺が瑠美ちゃんになればいい!”と、
凶行に走ったのだったー。
がー、”瑠美の様子がおかしくなった”ことにすぐに気づいた
兄の和馬は、瑠美をこっそり尾行ー、
”瑠美が乗っ取られている”ことに気付きー、
今日、瑠美を問い詰めたところ、本性を現したのだー。
「ーークククーそうだ!動くなよー
”わたし”死んじゃうからね?」
脅すような口調で瑠美が邪悪な笑みを浮かべながら言うと、
和馬は立ち止まりながら瑠美を見つめるー。
少しずつ後ずさっていく瑠美ー。
「ーー余計なことに気付かなきゃよかったものをー」
そう言いながら、瑠美は心の中で思うー。
”しかし、家族にバレちまったとなればー…
行方を晦ますしかねぇなー
まぁ、女は髪型とかいろいろ変えちまえばー
男以上に分かりにくいしなー
瑠美ちゃんを俺好みにカスタマイズだー”
そう思いながら、
”妹”に”妹”を人質にされたかのような貴重な状況に
立ち止まっている和馬を見つめつつー、
少しずつ、後退していくー。
「ーーーー」
ぎゅっ、と拳を握りしめる和馬ー。
「ーそういうことするやつだと、思ってたよー」
和馬がそう言うと、瑠美は表情を歪めるー
その直後ーー
「ーーーおらぁっ!」
瑠美の背後から、別の男が瑠美に襲い掛かりー、
瑠美を取り押さえたー。
「ーーーーぎゃっ!?」
瑠美の持っていた刃物が吹き飛びー、
瑠美が地面に叩きつけられて取り押さえられるー。
「ーーー深田(ふかだ)ー助かったよ」
和馬がそう言いながら近づいてくると、
和馬と同じ大学に通う親友、深田 博一(ふかだ ひろかず)は、
「いいっていいってー」と、笑みを浮かべながら
和馬のほうを見つめ返したー。
”瑠美を乗っ取った男”が、
瑠美の身体を人質にしたり、逃亡したりすることを
事前に想定して、
大学の親友に相談、協力して貰っていたのだー
「ーに、してもー…」
博一はそう言うと、「お前の妹、本当にー…その、”乗っ取られて”いるのか?」と、
心配そうに言葉を口にしたー。
もがく瑠美を見つめながら
和馬は頷くとー、瑠美の後頭部を掴みーーー
そして、髪の中に隠れていた”チャック”のようなものを見つけてー
それをひと思いに引っ張ったー
「う、うわっ!?」
博一は思わず叫ぶー。
まるで、瑠美が”真っ二つ”になったかのように”脱げて”
その中から男が出て来たー
瑠美の中にいたのはやせ型の特徴的な顔立ちの男だったー。
モテそうな感じには見えないー。
「ーーく、く…くそっ…!お、俺はー…!俺は」
瑠美を乗っ取っていた丸山義夫は悔しそうにそう呟くと、
和馬は「元に戻す方法を教えろ」と、義夫を睨みつけたー。
義夫はしばらく抵抗する素振りを見せていたものの、
和馬と、体格のいい博一に睨みつけられたことで
ようやく観念したのか、「わかったよー…言うよ」と、
涙目で言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
丸山 義夫が使っていたのは
”人を皮にする”力を持った注射器ー。
その注射器を、もう一度皮にした状態の人間に
打ち込むことで、その人間を元に戻すことができるー。
そう聞かされた和馬は、
「嘘じゃないだろうな?」と、再三確認して、
”脱がれた”状態の瑠美に、その注射器を打ち込んだー。
すると、”着ぐるみ”のようにペラペラになっていた
瑠美の身体に変化が表れ始めてー、
やがて、瑠美は”普通の人間”の姿へと
戻っていくー
「ーー瑠美…! 瑠美!」
和馬が心配そうに瑠美の名前を呼ぶー。
親友の博一が、そんな様子をじっと見つめる中ー、
瑠美はようやく、目を覚ましたー
「ーーーー……ぁ……」
まるで、寝起きのように眠そうな表情を向ける瑠美ー。
「ーーーーわ……わたし…は?」
瑠美がそんな言葉を口にすると、
和馬は「ーー本当に良かったー」と、瑠美を抱きしめてから、
瑠美に今の状況を説明し始めたー。
「ー俺は、警察を呼んでおくー」
博一のそんな言葉に頷くと、和馬は丁寧に
今までのことを、瑠美に対して語っていくー。
瑠美は、怯えた様子を浮かべながらもー、
取り乱すことはなく、兄の話を最後まで、しっかりと聞きー、
状況を理解した様子だったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
人を皮にする注射器と丸山義夫を警察に突き出したー
”人を皮にする注射器”などというものが、法律上、
どういう扱いになるのかは分からなかったし、丸山義夫が
裁かれるかどうかは分からなかったが
少なくとも、今、和馬に出来ることはこれだけだったー。
警察とも相談の上、瑠美は病院で診察を受けることになり、
病院に足を運んだもののー、
ひとまず、瑠美の身体に健康的な被害はないことが分かり、
和馬は安堵するー。
こうしてー
”人に皮にされてしまった”妹の瑠美は、無事に救出されたー
しかしー…
それは”始まり”に過ぎなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー」
鏡を見つめる瑠美ー。
瑠美は一人、ニヤッと笑みを浮かべるとー
「ーー気持ちよかったー…♡」と、囁くようにして呟くー。
自分の胸を見てドキッとするー
自分の甘い息を感じて、ドキッとするー。
「ーーーー…なんだかー変な気分ー」
瑠美は、そう呟きながら、ご飯の時間になったことに気付き、
自分の部屋から外に出てー家族の元に向かうー。
あのあと、兄の和馬に聞かされた話によれば
両親も、事情を理解しており、
色々駆け回ってくれていたようだー。
「ーーお父さんー、お母さんー、それにお兄ちゃんー
色々、迷惑かけてごめんねー」
瑠美がそんな言葉を口にしながら微笑むー。
両親も、兄の和馬も”迷惑なんてことはないよ”と
優しい言葉をかけてくれたー。
「ーー学校へは、来週から復帰、ってことになってるけどー
大丈夫そうか?」
「ーうん」
瑠美は少しだけ不安そうに頷くー。
瑠美は”半月近く”乗っ取られていたー。
その間、瑠美は”体調が悪い”を繰り返し、不登校のような状況になっていてー、
それがきっかけで、兄の和馬は瑠美の異変に気付きー、今に至っているー
「何か具合の悪いところがあったりー、自分で変だと思うことがあったら
すぐに言ってくれれば、俺もできる限り力になるから」
和馬がそんな言葉を口にすると、瑠美は少しだけ微笑みながら
「ありがとう、お兄ちゃんー」と、静かに言葉を口にしたー。
家族での食事を終えて、
自分の部屋に戻った瑠美は、ため息をつくー。
「ーーーー」
そしてー、自分が”着られる”感覚を思い出すー。
”丸山義夫”に着られていた間の記憶はないー。
しかしー、なんだか無意識のうちに感じた感触を覚えているー
「ーーー…ーーーー」
支配されていた時のことを思い出しながら、ゾクッとする瑠美ー。
「ーーーーーー…また…興奮してきちゃったー」
瑠美は顔を赤らめながらそう言うと、歪んだ笑みを浮かべながら、
一人でこっそりと、自分の身体でお楽しみを始めるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おはよ~~~!」
学校への復帰を果たした瑠美ー。
”表向き”は、体調不良が続いていた、ということになっているため、
友達も心配そうに、瑠美に”大丈夫だった?”と、言葉を投げかけるー。
「うん!何とかー!心配かけてごめんね」
いつも通り、明るく振る舞う瑠美ー。
しかしー
授業が始まってからも、瑠美の頭の中はー
あることでいっぱいだったー
それはーー
”皮にされて着られていた”ということー。
あの内側に何かが入り込んでいく
あの感触ー
忘れられないーーー
「ーーーー…」
授業中なのに”皮にされていた”時のことを思い出しながら
一人でゾクゾクしてきてしまった瑠美は、
顔を赤らめるー。
”着られるわたしー”
”着られて好き放題されちゃうわたしー”
”着られている時の、あの虚無の快感ー”
「ーーーぁ♡」
思わず変な声を漏らしかけた瑠美は、
顔を赤らめながら
「す、すみませんーお手洗いにー」と、
立ち上がると、そのままトイレに駆け込んで
一人、自分の身体のあふれ出しそうな欲望を満たすー。
「はぁ…はぁ… わたし…………変になっちゃったー」
瑠美は、そう”自覚”しながらも
どうすることもできず、授業中にも関わらず
長い間、トイレでお楽しみを繰り返したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「妹の様子がおかしい?」
親友の博一が首を傾げるー。
「ーあぁ…なんかー、そのー」
言いにくそうに和馬が言うと、博一は「何だよ?ハッキリ言っていいぞ?」と、
苦笑いしたー
「ーいや…そのー、妹の部屋からなんかー変な声が聞こえて来てー」
「ー変な声?」
「ーーー…喘ぐような声がー」
和馬がそう言いながら
「なんか、常に欲情してるような感じっていうかー…」
と、言葉を口にするー
「…そ、それはー まだ着られてる…ってことか?」
博一が戸惑いながら確認するー
「いやー……なんつーか…瑠美は瑠美なんだけど、
何か…おかしい感じがするっていうかー」
和馬の言葉に、博一は戸惑うー。
そしてー
その翌日、丸山義夫が釈放されたという話を聞かされた和馬は
愕然としたー
ストーカー行為などで厳重注意は受けたもののー、
やはり”人を皮にする注射器”では、罪に問えなかったということだろうかー。
いずれにせよ、丸山義夫は逮捕されなかったのだー。
すぐに、和馬と博一は、その丸山義夫の自宅と思われる場所を調べー、
訪れたー。
「ーーーき、き、急に何だよー」
怯えた様子の丸山義夫ー。
どうやら、小心者のようで、瑠美を乗っ取っていた時の威勢の良さはないー。
「ーーー妹の様子が、ヘンなんだが、お前、何か知ってるか?」
和馬がそう言い放つー
「え、えぇっ!?し、し、知るかよ」
丸山義夫は戸惑いの表情を浮かべたー。
てっきり、丸山義夫が”瑠美”にまだ何かを仕掛けているのかと
そう思ったがこの様子だと本当に何も知らなそうだー
和馬は、瑠美が毎晩部屋でお楽しみをしていたりー、
日頃の言動でも、急に興奮するような感じになったり、
”今までの瑠美と違って変”であることを丸山義夫に伝えると、
「ー瑠美にまだ、何かしてるんだろ!?」と、叫ぶー。
しかし、丸山義夫は首を振ると、ハッとした様子で
家の中に駆け込みー、何か小さな紙を読み始めたー
「ーー!!!!
こ、こ、これだー」
丸山義夫は呆然としながら一人でそう叫ぶと、
玄関先の和馬と博一の元に走って戻ってきて、
何やら紙を見せて来たー。
「こ、これ、人を皮にする注射器の説明書なんだけどー」
そう言いながら、指を指す丸山義夫ー。
そこにはーー
”着用者の性格や思考が、”皮”に影響を与える可能性があります。
細心の注意を払い、使用してください”
そう、書かれていたー
「ーー…お、お前の妹ー、
た、多分、俺が着てたからー
そ、そのー……」
丸山義夫は不安そうに、和馬のほうを見つめたー
「ーーへ、変態になっちゃったのかも」
とー。
「なーー…」
呆然とする和馬ー
つまり”瑠美”は、丸山義夫に着られていたせいで、
丸山義夫の”変態”な部分に汚染されたような
そんな状況なのだというー。
「ーど、どうするんだよ!元に戻せ!」
和馬が丸山義夫の胸倉をつかむと、
「ひぃっ!?」と、悲鳴を上げる丸山義夫ー。
博一は、説明書を見つめながら
「た、滝沢、でも、これってー」と、
和馬の名前を呼ぶとー、
「ーまともな奴が、お前の妹を着れば、
…元に戻ったりするんじゃないか?」と、言葉を口にしたー。
丸山義夫に着られてしまったことで、瑠美が変態になってしまったのであればー、
ちゃんとした人間が瑠美を着れば、また元に戻るかもしれないー。
そう、博一は提案したー
「そ、それだ!」
和馬が叫ぶー。
「ーお、おい!例の注射器、どうやって手に入れた!」
和馬が、丸山義夫に向かってそう叫ぶとー、
丸山義夫は「じ、実はー」と、もう1本隠し持っていることを白状し、
それを和馬に手渡したー
「ーーーー…」
”こんなモン、欲しくないけど”と、思いつつ、
妹の瑠美を元に戻すため、
和馬はそれを丸山義夫から受け取り、決意するー。
丸山義夫に”汚染”されて変態になってしまった瑠美を元に戻すためー
自分が瑠美を”着る”ー
そんな、決意を、和馬は固めたのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
”皮にされたあと”に、着ていた人間の影響を受けてしまった妹を
元に戻す物語デス~!
果たして、妹をちゃんと救うことはできるのでしょうか~?
続きはまた明日、見届けて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!
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