<憑依>憑依された妹VS憑依された母親③~決着~(完)

命を狙われている男が妹に憑依したー…!

そして、命を狙う男が母親に憑依したー。

憑依された妹と、憑依された母親の対決ー。
最悪の事態は、まだ続いているー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「おい!脱ぐな!おい!こらっ!」
兄の慎吾が叫ぶー。

しかし、既に下着姿になってしまった
母・琴恵と、妹・愛梨の姿を見て、
慎吾は顔を赤らめながら目を逸らしたー

「ーおいおいおいおい、お前が脱げって言ったんだぜ?」
愛梨が顔を赤らめながら、ニヤニヤとそう言葉を口にすると、
「ーー脱げなんて言ってねぇ!」と、慎吾は声を荒げたー

「俺は女の子らしく勝負をしろと言っただけだ!」
慎吾の言葉に、
愛梨は「ーへへへー、だからお前の言う通りにしたんだー」
と、笑みを浮かべながら琴恵のほうを見つめるー。

「ーババアの癖になかなかいい身体してんじゃねぇか」
愛梨が、母親の身体に興奮したような声でそう言うと、
「40代はババアではない」と、母・琴恵が答えたー

「ーあん?まさかお前、熟した女が好きなのか?」
愛梨の言葉に、慎吾は「い、言い方!なんかいやらしく聞こえる!」と
声を荒げるー

だが、慎吾のそんな言葉に、愛梨が反応する前に、
母・琴恵は自分を抱きしめるようにしながら言ったー

「熟女はいいー。熟した果実からしか摂取できない栄養があるー」
とー。

「やめろ~!そんな母さんの姿見たくねぇ!」
慎吾はそう叫びながら、”くそっ!どうすればいい?”と
頭の中で考え始めるー。

”あぁ、なんて災難なんだー
 こういう日に限って、サークルの活動も何もないしー
 せめて、父さんが帰って来ていればー”

しかし、泣言を言っても始まらないー。
慎吾は、憑依された二人のほうを見つめてー、
また恥ずかしくなって目を逸らすー

「ーはははは…長谷川ー…まさかお前がババア好きだとはなぁ」
愛梨が笑いながら言うー。

「ーーー」
しかし、母・琴恵が露骨に不機嫌そうな態度を示しー、
殺気を放つと、低い声で言い放ったー

「訂正しろ」
とー。

「あ?」
愛梨が首を傾げるー。

「今の言葉を、訂正しろ」
琴恵の言葉に、愛梨は「おいおい、何ムキになってんだよ」と、笑うー。

「ー40代はババアではない。熟女だ!」
琴恵がそう言いながら、愛梨に迫ると、
「面倒くせぇやつだなおい」と、愛梨は笑いながら首を横に振ったー

「ーー…っていうか、さっきから聞いてりゃ
 あんた!ホントに命狙われてるのかよ!」

慎吾が愛梨に向かってそう叫ぶー。

愛梨に憑依したー
そう、銀なんとかかんとか、とかいう組織に所属する男は
命を狙われているとか、そう言ってたー。
そんな状況から逃れるために、愛梨に憑依したのだと。

しかしー…
全然危機感がないというか、緊張感のようなものを感じないー。

「ーーへへへー、まぁ、そう思うのも無理はないかー
 お前の気持ちは分かるー。

 でも、コイツに命を狙われているのはマジだし、
 今も大ピンチなのもマジだー」

愛梨に憑依している”後藤”という男はそう言うと
「でもさぁ、俺、死にそうになっても笑ってるような
 性格だからさー」
と、愛梨の身体のまま、下品な笑みを浮かべ始めたー

「くそっ!頭のネジ吹っ飛んでやがる!」
慎吾が呆れ顔でそう言うと、
愛梨はゲラゲラ笑いながら「はははは!まぁ、頭のネジ吹っ飛んでなきゃ
この世界では生きていけないぜ!」と、
胸を揉みながら笑ったー

「揉むな!」
慎吾がそう叫ぶと、慎吾を無視して、
愛梨はニヤニヤしながら琴恵のほうを見つめるー

「ババアー…あ、いや、もう面倒くせぇから熟女でいいやー。
 
 そろそろ始めようぜー
 女同士の戦いってやつを」

愛梨が言うと、琴恵は「うむ」と頷いたー。

「ーー…こいつら、何をするつもりだー…
 お互い、何をするのか言わずとも分かってるようだけどー」

慎吾は戸惑いながらそう呟くと、
愛梨は「決まってんだろ?先に相手を喘がせてイカせた方の勝ちだ」
とー。

「はぁ!?!?!?」
慎吾は、顔を真っ赤にして、
母・琴恵と妹の愛梨が乱れる姿を頭の中に浮かべてしまうー。

「おいおいおいおいー」
愛梨が苦笑いしながら、下着姿のまま近付いてくるとー、
突然、慎吾のズボンのあたりを触ったー

「ぐおっ!?」
慎吾が変な声を出すと、愛梨が笑うー。

「妹と”ママ”のそういう姿を想像して、興奮してんのかぁ?」
愛梨の言葉に、慎吾は「し、し、し、してないし!」と
顔を真っ赤にしながら言うー。

「ーふふふ
 でも、お兄ちゃんのこれ、大きくなってる」
笑いながら、ズボンの上から勃起した慎吾のソレを触る愛梨ー。

「あ、あ、あ、愛梨に、そんなもん触らせるなーおいっ!」
慎吾が必死にそう言うと、
愛梨はニヤニヤしながら「まぁでも、気持ちは分かるぜ」と、
笑いながら頷いたー。

さっきから、愛梨に憑依した男は
”比較的話の分かるやつ”みたいな雰囲気を
出してはいるけれど、実はあまり”話の分からないやつ”かもしれないー。

そんな風に思い始めるー。
フレンドリーなだけのサイコパスなのではないか、とー。

「とにかく!母さんと愛梨の身体でそんなことするのはダメだ! 
 絶対に!絶対にダメだ!」

慎吾がそれだけ言うと、
母・琴恵はうんざりした様子で「やはり殺し合いだ」と、声を上げるー

愛梨は「くそっ…俺はここで死ぬわけにはいかねぇんだ」と、
表情を歪めながら迎え撃つ準備をするー。

「だ~か~ら~!やめろって!」
慎吾がそう言うと、愛梨は「へへーそうかそうか。そういうことか」と
笑みを浮かべながら笑うー。

「ーな、な、何だよ急にー」
慎吾が表情を歪めながら愛梨のほうを見つめるー。

どうせまた”どうしようもないこと”を思いついたに違いないー。
そう、思いながらー。

そして、案の定、その”嫌な予感”は当たっていたー。

「ーーなるほどなぁ、お前、自分が気持ちよくなりたいんだろ?
 へへへー
 まぁ、同じ男だもんなー
 俺もお前の立場だったら
 目の前にいる二人が気持ちよくなるところじゃなくて
 自分が気持ちよくなりてぇって思うもんな」

愛梨がゲラゲラ笑いながら言うー。

さっきから、”下品な愛梨”をずっと見ているとー、
これが普通の愛梨なのではないかと、
頭が誤認しておかしくなりそうになるー。

「ーーち、ち、ちがっ!俺は、妹で気持ちよくなったりしないし!
 っていうか、お前みたいな変態野郎と一緒にすんな!」

慎吾の叫びにー、
愛梨は「ーへへへー”銀狼”の一員に向かってそんな口を利くなんてー
そういう怖いモノ知らずなところ、好きだぜ?」と笑うー。

「うるせー!何が銀狼だ!銀態野郎!」
慎吾が叫ぶと、琴恵が少しだけ「プッ」という様子で笑うー。

銀狼と犯罪組織アビスだか何だか知らないが、
とにかく一般人を巻き込まないでほしいー。

「ーまぁいいー。
 おい、長谷川ー。
 こいつの言う通り、やはり”女”として決着をつけるとしよう。
 俺が負けたら、潔くこの命はくれてやる」

愛梨が言うー。

「ーーよかろう」
母・琴恵は頷くと、慎吾のほうを見つめたー。

「よかろうじゃねぇ!」
慎吾が悲鳴に似た叫び声を上げるー。

すると、愛梨が言葉を口にしたー

「先に”お兄ちゃん”を気持ちよくして、イカせた方の勝ちだ」
とー。

「ー承知した」

愛梨と琴恵がそんな会話を繰り広げるー。

無理矢理慎吾の服を脱がせ始める二人ー。

「おい!バカ野郎ー!何なんだお前ら!」
慎吾がじたばたするもー、
ついには琴恵と愛梨に身体を密着させられて、
地獄のような時間が始まってしまったー

しかもーーー

「ーーーーー…え?」

”予定より早く残業が終わった”
父・隆俊(たかとし)が帰宅してしまったー。

息子と娘と妻の痴態ー。

それを見た父・隆俊は口を半開きにしたまま
その場に鞄を落としたー

「と、と、と、父さん!ちがっ!こ、これはー!?」
慎吾が愛梨と琴恵を振り払ってそう叫ぶー。

しかし、アソコは勃起したままで、
父・隆俊は呆然としたまま
「お前ー…いったい、何をしていた?」と、慎吾に問いただし始めるー。

そしてーー
さらに、玄関の方から足音が聞こえて来て、警察官が
駆け付けて来たー。

どうたら、愛梨と琴恵が殺し合いをして、
慎吾が騒いでいたために近所の住人が通報したようだー。

「近所の方から通報がありましたが、いったいーーこれは…?」
入って来た男性警察官が戸惑いの表情を浮かべたまま、
慎吾と、愛梨、琴恵のほうを見つめるー。

下着姿の愛梨と琴恵が慎吾に抱き着いている
危険な光景ー

「ーお…お、おいー慎吾?愛梨…琴恵ー?
 これはいったいー…?」

父・隆俊の困惑ー。

いやー
それ以上に、慎吾は冷や汗をかきながら、
”俺、やばくね…?”と、表情を歪めたー

「ーーーーむ、む、息子が急にわたしたちを!」
母・琴恵が突然叫ぶー

琴恵に憑依している長谷川という男の言葉に、
慎吾は「えっ!?えぇっ!?」と、顔を真っ赤にして叫んだー。

琴恵に憑依している長谷川は、慎吾に全てを
なすりつけるつもりのようだー

「ーき、君がー?
 い、いったいどういうことなんだ!?」
警察官が戸惑うー。

「ーし、慎吾?」
父親の隆俊は呆然としているー

慎吾は、口がカラカラに乾くのを感じながら
どうにかしてこの状況を打開しようと、
言葉を口にしようとしたーー

がー、
その時だったー

「ーーな~に、言ってんだよ、長谷川」
妹・愛梨に憑依した後藤とかいう男の方が声を上げたー。

「ー刑事さんー
 この”お兄ちゃん”は、何にも悪くねぇ。
 ただ単に、俺たちの殺し合いに巻き込まれただけのー
 そう、言うならば被害者だー」

愛梨がそう言うと、
とても見た目とは別人のような振る舞いに、刑事は戸惑うー

「ー俺は、いいや”俺たち”はこの女たちに憑依して
 好き放題やってたのさ」
愛梨の言葉に、警察官は当然、”憑依”など信じず、
言葉を口にしようとするー。

がー、警察官の反論を前に、愛梨が「うっ…」とうめくとー、
突然、霊体のようなものが愛梨の身体から飛び出しー、
その場で男ーー…”後藤”は、あえて”実体”となったー。

霊体のまま逃げることもできたのだがー
警察と隆俊の前で”愛梨から飛び出して実体化してみせた”のだー

警察と隆俊ー、
いや、慎吾も驚くー

「ーーな?この女は憑依されていただけー
 このお兄ちゃんは、俺たちを前にあたふたしていた
 ただの間抜けだー」

後藤、という男は意外と軽そうな雰囲気の20代~30代ぐらいの男だったー

「ーおい、長谷川、お前も出て来いよ」
後藤が笑うー。

「ーー…くっー…」
母・琴恵に憑依していた長谷川は、
後藤が”警察の前で憑依を明かしてしまった”ことで観念したもののー、
後藤とは違い、琴恵の身体から抜け出してー、
そのまま霊体の状態で逃亡したー。

「母さん!愛梨!」
慎吾が叫ぶー。

すると、後藤はニヤニヤしながら言ったー。

「意識を取り戻すまでには少し時間があるぜー?
 ほら、その二人が意識を取り戻す前に、
 服を着せてやれよー?
 そうしないとー大変なことになるぜ?」

笑いながら後藤が言うと、
慎吾は後藤のほうを一瞬見ながら、「父さん!」と慌てて
二人に服を着せようとするー。

ちょっと怪我もしているがー、
どう説明すればいいのかー。
そんなことを思いながらー

「ーーーーー(な、何の容疑で逮捕すればいいんだー?)」
男性警察官は、”憑依”は理解したものの、
後藤をどう逮捕していいのか分からず困惑するー

「不法侵入でもなんでもいいだろ?
 それでも無理だってんなら俺があんたを殴ってやるー
 そしたら公務執行妨害でもなんでも、逮捕できるだろ?」

後藤がそう言うと、
警察官は殴られるのは嫌だったのか、
「と、とにかく逮捕だ」と、後藤に手錠をかけたー。

「俺は銀狼の後藤ー、で、逃げたやつは
 アビスの長谷川って野郎だー」

後藤が警察官にそう告げるー。

そしてー
連行されていく最中ー、
愛梨と琴恵に服を着せた慎吾は、後藤に近付いて叫んだー

「どうしてだ!?」
とー。

「あ?」
後藤がニヤニヤしながら振り返るー

「ーどうして、俺を助けるような真似をした?」
慎吾が聞くー。

あのまま二人がとぼけ続ければー、
”母親と妹に酷い仕打ちをした兄”のレッテルを貼られ、
大変なことになっていたかもしれないのにー。

何故、自ら正体を明かすような真似をしたのかー

「ーへへ」
後藤が笑うー。

「ーお前の反応、面白かったからよー
 ちょ~っと、庇ってやりたくなっただけさー。

 ーー邪魔して悪かったなー
 妹を大事にしろよ

 じゃ」

後藤はそれだけ言うと、警察に連れられて外へと歩いて行ったー

「ーーーー…あいつ」
慎吾はそう呟きながら、父・隆俊が「愛梨が意識を取り戻したぞ!」と、
声を上げたのを聞きー、
「愛梨!」と、意識を取り戻した愛梨の方に向かって歩いて行ったー。

とりあえずー…
愛梨が怖がらない程度に、上手く話をしようー。

服は着せたし、怪我のことは何とか誤魔化せばー…

慎吾はそう思いながら、「わたし…?」と、戸惑う愛梨に
”上手く”誤魔化しつつ、話を始めるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーへへー
 なんてなー」

パトカーに乗せられた後藤は笑うー。

「ー単に、逮捕されれば、
 とりあえず長谷川に狙われなくて済むと思っただけさー」

後藤はそう言うと、慎吾の家のほうをパトカーの中から
見つめながら笑みを浮かべたー

「ーーーまぁでもー、
 面白れぇ兄貴じゃねぇかー。

 妹を大事にしろよー
 もちろん、母親もなー」

”家族”ー
彼には、それがいないー。

後藤は少しだけ、”顔も見たこともない家族”を想いながら、
走り出すパトカーに身を委ねて、穏やかな表情を浮かべたー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

バッドエンドかハッピーエンドか、昨日まで
なかなか想像がつかない感じ(?)だったと思いますが、
今回は無事に救出できました~!☆

憑依した男が、慎吾くんを助けたのかどうかは別として、
こういうタイプの人でラッキーでしたネ~!

お読み下さりありがとうございました~~!☆

コメント

  1. TSマニア より:

    後藤さんの真意は後藤さんし分かりませんが悪い人ではないですよネ★

    慎吾の頑張りも報われて良かった( ;∀;)

    さすが無名ワールドですネ!笑

    銀狼とアビスの抗争なのに

    まさかのまさかの展開でした笑笑

    • 無名 より:

      ありがとうございます~!☆

      後藤さんは…性格自体は悪人じゃなさそうですネ~!

      もう一人の長谷川さんもきっと逃げられないのデス…