妹が憑依されてしまったー…!
そして、妹に憑依した男の命を狙う男によって
母親も憑依されてしまったー…!
最悪の事態を前に、彼はー!?
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「まさか、長谷川ー…!?」
愛梨がそう叫ぶと、長谷川と呼ばれた母・琴恵は
笑みを浮かべたー
「ー後藤よー。
そんな小娘の身体に憑依するとはー
そういう娘が好きなのか?」
笑みを浮かべながら、母・琴恵が部屋へと入って来るー
「え…?え?母さん?何をー?」
困惑しながら愛梨の兄・慎吾がそう言うと、
「どけ」と、母・琴恵に乱暴に突き飛ばされて、
慎吾は壁に激突するー。
「ちょ!?えっ…!?」
慎吾が戸惑っていると、突然、母・琴恵が
慎吾の妹・愛梨の腕を掴むー。
愛梨がそれを振りほどいて、母・琴恵の顔にビンタを食らわせると、
「俺はまだ死ぬわけにはいかねぇ!」と、
部屋から飛び出すー。
「ー待ちやがれ!」
母・琴恵の恐ろしい口調を前に、慎吾は「ひぇっ!?」と、悲鳴を上げるー。
部屋から二人が飛び出していきー、
一人残された慎吾は、しばらく呆然としていたー。
しかしー、
すぐに母の琴恵も”誰か”に憑依されたことを悟って、
慌てて立ち上がったー
「や…やっべぇ…!
ってか、勝手に母さんと愛梨の身体で殺し合いみたいなこと
すんなっての!」
慎吾はそう言いながら、慌てて1階の方に向かうー。
するとー、
1階では、母の琴恵が、愛梨の首を絞めながら笑みを浮かべていたー。
”本気で娘を殺そうとしている母親”にしか見えないー
「ーおいおいおいおいおい!やめろよ!」
慎吾がそう叫ぶと、琴恵が慎吾のほうを見つめたー
その目は、明らかにいつもの”母さん”の目ではないー。
正気を失いー、冷徹な殺人鬼となっているようなー
そんな、目だー。
「ー邪魔をするなー。それともお前も死にたいのか?」
母親から”お前”と言われることもそうだったが、
それ以上に”言われている内容”の恐ろしさに慎吾が震えるー
だがーー
首を絞められていた愛梨が、慎吾の登場で隙の出た母・琴恵の
顔面に強烈な蹴りを加えたー。
台所の方に叩きつけられる琴恵ー。
「ーー大人しくしてりゃ調子に乗りやがって!
長谷川ー…!」
愛梨が苦しそうにしながらそう叫ぶと、
琴恵の頭を掴んで、そのまま台所に叩きつけたー
「ぐふっ!」
琴恵が苦しそうな声を出すー。
「ーおい!!!やめろ!ふざけんな!おいっ!」
慎吾がそう叫びながら乱入すると、
妹の愛梨はニヤニヤと笑ったー
「ーーいやぁー…お前、ホント災難だなー
妹だけじゃなくて、母親まで憑依されちまうなんてー」
愛梨が、琴恵の髪を乱暴に掴みながら言うー。
「ーけど、こいつは俺と違って狂暴なやつだー
お前の母親を気絶させてでも、行動不能にしないと
大変なことになる」
愛梨がそう言いながら笑うー。
愛梨に憑依した男ー
恐らく”後藤”という男が言うには、
慎吾の母・琴恵に憑依したのは
敵対組織である”犯罪組織アビス”の幹部の男である”長谷川”という男ー
とても冷徹で狂暴な男らしいー。
「ーーいやいやいや、妹と母親が殺し合いしてる場面なんて
見たくないんだけど!?」
慎吾がそう叫ぶと、愛梨は「まぁ~…その気持ちは分かるぜ」と、
理解を示すような言葉を口にしたー
がーー
その直後だったー
母・琴恵が、愛梨の腕を乱暴に引っ張りー、
愛梨を床に転倒させると、
そのまま愛梨の顔面を何度も何度も殴り始めたー
「いやいやいや、人の身体で何てことしてんだ!おい!」
慎吾が叫ぶー。
”母さんが愛梨を殴っているー”
慎吾からすればそんな光景で、最悪としか言いようのない状態だー。
なんとか止めようと、必死に叫ぶも、
母・琴恵の方に憑依している長谷川という男は、
妹・愛梨に憑依している”後藤”と比べて話の通じない男のようで、こっちの話を
まるで聞いていないー。
「ーーーやめろって!」
慎吾が仕方がなく琴恵を突き飛ばすー
すぐにー、
「愛梨!大丈夫かー!?」と、愛梨に駆け寄るも、
愛梨は鼻血を流しながら、唇からも少し血を流していたー
「へへへー…悪いなー
年頃の女の子の顔をこんな怪我させちまってー」
愛梨が少しだけ申し訳なさそうに言うと、
慎吾は「お、俺じゃなくて愛梨本人に謝れし!」と、叫び返すー。
愛梨はニヤッと笑うと
「でもまぁ、まずアイツをどうにかしないと」と、慎吾にどくように言うー。
「ダメだ!母さんの身体もキズつけられちゃ困る!」
慎吾がそう叫ぶも、愛梨は「”長谷川”は、そう甘いやつじゃないんだよ」と、
面倒臭そうに言葉を口にするー
「いやいや、俺は長谷川とか知らないし、
とにかく他所でやってくれよ!
いい迷惑なんだよ!」
慎吾がそう叫ぶー。
がー、
背後から母・琴恵に腕を掴まれると、
今度は慎吾に対しても、容赦ない暴力の嵐が始まったー
”母親に殴る・蹴るの暴力を受けるー”
まさか、こんな経験をすることになるなんて思わなかったー。
争いで家の中が滅茶苦茶になっていくー。
愛梨と、琴恵を救い出すことができたとしてー、
そのあと、どう状況を説明すればいいのかー。
そんな風に思いながら、慎吾は
”なんとか、この状況をー…”と、
あることを思いつくー
「と、とにかくタイム!!タイム!!
二人とも、頼むからやめてくれ!」
慎吾が大声でそう叫ぶと、
慎吾に暴力を振るっていた母・琴恵と、
それを見ていた妹・愛梨が一旦手を止めるー。
琴恵に睨まれながら、
慎吾は「…あ、あんたらが誰だか知らないしー、
争いたいなら、好きにしてもらってもいいけど、
ここ、闘技場じゃないんだけど!」
と、声を振り絞るー
「はははー!確かに」
愛梨が笑いながらそう言うと、
「まぁ、どう見ても闘技場じゃねぇよなぁ」と、言葉を口にするー。
「そ、それに!
母さんと妹の身体は、そのー、立ち入り禁止!レンタル不可!
分かる!?
勝手に憑依しちゃ、ダメ!」
慎吾が、必死に”琴恵と愛梨に憑依した男”に対して語り掛けるー。
「レンタル禁止かぁ~…」
愛梨が困り果てた様子で笑うー。
唇からは血が流れていて、それが少し垂れて、制服を汚しているー。
「ーーーー」
母・琴恵は、なおも無言ー。
慎吾は困惑しながらー、
”どうにかこの状況を打開しよう”と、
頭をさらに回転させるー
「ほ、ほら、俺の母さん、良く体調崩す人だし、
愛梨ー…妹は運動とか苦手だし、
動きにくいだろ?
あんたたちみたいな人には向いてない!」
慎吾の言葉に、琴恵は自分の手を見つめながら
「ーそれは一理ある」と、だけ呟くー
「だから、ほらー…
他の強そうなやつの身体でも探して、憑依すればー…」
慎吾はそこまで言いかけて
”でも、それじゃ、他人に被害を押し付けるのと同じかー”と、
思いとどまると、
「あ、あんたら、自分の身体で決着つければいいじゃんか!」と、
愛梨・琴恵の二人に向かって叫んだー。
「ーー俺の身体なぁ…足をやられて、動けないんだよなー」
愛梨が困った様子で言うー。
「ーふんー顔を見られるわけにはいかないのでな」
琴恵がそれだけ言うと、再び、琴恵からすれば実の娘の愛梨のほうを見つめたー。
乱闘がまた始まるー。
揉み合いになったり、愛梨が壁に叩きつけられては、
琴恵がグーで殴られたりー、
”母と妹”の最悪の殺し合いが続くー。
慎吾は「くそっ!くそっ!」と何度も何度も叫びながら
二人を止めようとするー。
「警察を呼ぶわけにもいかないしー…
この状況…マジでどうすりゃいいんだー」
どうすることもできない恐ろしい状況ー。
普段は穏やかな母・琴恵が乱暴な口調で声を荒げているー。
妹・愛梨も男口調で攻撃的な発言を繰り返しているー。
「あ~~あ~~あ…もうこんな光景見たくねぇ」
慎吾はそう言いながらも、二人を止めようと動き出すー。
銀狼だか、犯罪組織アビスだか知らないが
”そういう組織同士”の争いに一般人を巻き込まないでほしいー
「ーーーそうだ…!」
慎吾は咄嗟にあることを思いつき、叫ぶー。
「ーーちょっとタイム!!!話を…聞いてくれ!」
慎吾がそう言いながら、スマホから大音量でアラーム音のようなものを流すと、
「っ!うるせぇ!その音を止めろ!」と、愛梨が慎吾のほうを向くー。
母・琴恵も苛立った様子で慎吾のほうを向くと、
「ーータイム!平和的に解決する方法を思いついた!暴力反対!」と
早口でそう叫んだー。
「ーーあん?平和的にー?」
母・琴恵の不満そうな表情ー。
一方の愛梨は「へへー、やっぱお前は面白れぇやつだなー」と、
笑いながら話を聞くポーズを見せるー。
「ーお、俺は、母さんと妹が殺し合う場面なんて見たくないー」
「母さんと愛梨にとっても、正気に戻ったら大けがしてました、なんて困るー」
慎吾がそう言うと、
愛梨は「まぁ、もう怪我してるけどなー」と笑うー。
「ーー笑ってる場合じゃない!ってか鼻血を拭け!」
慎吾がそう言いながらティッシュを放り投げると、
愛梨は「女の子の身体で鼻血を出すなんて…そういえば、興奮するぜー」と、
興奮してさらに鼻血を噴き出すー
「おぉい!バカ!勝手に愛梨の身体で興奮すんな!」
慎吾がそう言うと、母・琴恵は「で、平和的に解決する方法は?」と、
うんざりした様子で聞いてくるー。
「ーーそ、そ、それはー…え、え~っと…」
とにかく二人の”殺し合い”を止めようとして、
実際には”平和的に解決する方法”なんて考えていなかった慎吾は、
必死に頭の中で考えを巡らせるー。
”ジャンケンかー?
あっち向いてホイ?
鬼ごっこー?
いや、こいつらがそんなことで納得するわけがないー…”
慎吾は、そんなことを考えながら二人を見つめるー。
”くそっー、
そもそも後藤とかいうやつの方が、愛梨に憑依したから
母さんまで憑依されてー
あぁ、もう最悪だー。
俺はどうすればいいー?
いや、そんなことよりも早くー…
早くこいつらを納得させるような方法をー”
「ーお、お、お、女の人はー
な、な、殴り合いとかそういうことはあまりしないし!」
慎吾が咄嗟にそう叫ぶと、
愛梨は「あ~~~~…まぁ、それもそうかもなぁ」と、
少し考えるような仕草をしながら呟くー。
「ー俺の身の周りには殺し合う女なんて、ゴロゴロいるぞ」
母・琴恵に憑依した方の男ー、長谷川がそう呟くー
”いや、どんなヤベェ世界で生きてるんだよ”
そう思いながらも
「と、と、とにかく!人の身体を勝手に奪ったんだから、
手荒な真似はするなって!
そうやって殺し合いしたいなら、男に憑依しろよ!
男の方が、ほらーー…
なんつーか、腕力的なもの強いだろ?
母さんも、愛梨も、華奢な方だし、なんでわざわざそんな身体に憑依するんだよ?」
と、早口でまくし立てる慎吾ー。
「ーーーん~…言われてみれば男に憑依した方が、
まぁ、動きやすいってのは確かになぁ~
へへへー
でもさー」
愛梨はそれだけ言うと、
ニヤニヤしながら、慎吾に顔を近づけて来たー
「どうせ憑依するなら、可愛い女のほうがいいじゃんー」
愛梨のそんな言葉に、ドキッとしてしまう慎吾ー。
「ーーーーーー変態が」
母・琴恵に憑依した男の方は、特にそういう理由ではないのか
不快そうに表情を歪めるー。
「ーーーと、とにかく!」
慎吾は、そんな二人に対して言い放つー。
「ーあ、あんたらは、女の人に憑依したんだからー
そのー、お、女の子らしいっていうかー
料理とか、ファッションとか、そういうことで勝負しろよ!」
慎吾はそう叫びながらも
”やべぇー、俺の言ってること、滅茶苦茶すぎるー”と、
表情を歪めるー。
がーーー
愛梨は「ーへへー、それもそうだなー。わかったー」と、
笑みを浮かべながら母・琴恵のほうを見つめたー。
「ーおい、長谷川ー」
愛梨がそう言うと、
琴恵は不愉快そうに表情を歪めるー。
「ーこの”お兄様”の言う通り、女らしい戦いをしようじゃねぇか」
愛梨が言うと、琴恵は「と、言うと?」と、聞き返したー。
「ーーへへへ 女の身体だからこそできる戦いをしようぜー
脱げよ」
愛梨の言葉に、琴恵も、慎吾も表情を歪めたー。
「ーーーって…おい!何をする気だ!?」
慎吾がそう叫ぶとー、
愛梨が答える前に、琴恵が「よかろう」と言葉を口にして脱ぎ始めたー
「おいっ!応じるな!脱ぐな!バカ野郎!!!」
慎吾は悲痛な叫びが、部屋の中に響き渡ったー。
③へ続く
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コメント
母娘の殺し合いを阻止(?)したものの、
また恐ろしい方向に…!
次回が最終回デス~!
今日もありがとうございました~~!
コメント
別な意味で恐ろしい方向に…笑
長谷川と後藤も素直なのか?…天然なのか…?笑
慎吾がんばれぇ~~~っ!
明日の最終回で、
慎吾くんの運命が明らかに…☆!笑