★憑依空間700万アクセス達成★!
いつも本当にありがとうございます~!
最初は月に50アクセスちょっとだった憑依空間も
今では月に10万を超えることもあるぐらいに成長することができました~!
ご訪問して下さる皆様全てに感謝の気持ちでいっぱいデス~!
もちろん、アクセス数だけに囚われずに、
これからも楽しく、頑張っていきます~~!
次は800万…?それとも777万…!?笑
今回も700万記念ということで、
記念小説をご用意しました~!
入れ替わりモノのお話デス!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”余命宣告”
男の命は、残りあとわずかだったー。
”死”ー
それを身近に意識したことは、まだなかったー。
それもそのはずー
彼はまだ20代後半で、本来であれば
”死”とは程遠い年齢のはずだったー。
しかしー…
そんな彼を、突然の病が襲ったー。
宮島 大志(みやじま たいし)ー。
彼は、病室の窓から外を見つめながら、
深々とため息をつくー。
そんな大志の元に、妹の真凛(まりん)がやってくると、
真凛はいつものように明るく振る舞いながら、
大志を元気づけようとしたー。
「そういえば、お兄ちゃんー…
詩織(しおり)さんはー?」
真凛がそう言うと、大志は苦笑いしながら答えたー。
「ー詩織はー、もう来ないよー。
俺から、別れを告げたしー」
大志のそんな言葉に、
真凛は「本当に”そんな別れ”で後悔しないの?」と
悲しそうに呟くー
「ーーーーーーーーー」
大志は、窓の外の景色を見つめたままー。
”詩織”とは、余命宣告を受けた大志の彼女だー。
”いずれは結婚も”と、二人で話をしていたものの、大志が余命宣告を受け、
”彼女を傷つけたくない”という思いから、
病気のことを告げずに、一方的に別れを告げたー。
”俺には、結婚とかそういうのは考えられないー
別のやつと幸せになってくれー”
とー。
「ーーまた来るねー」
色々話をし終えると、妹の真凛が立ち去っていくー
自分自身も、余命宣告を受けて動揺していたー。
だから、”あんなこと”を言ってしまったのかもしれないー。
いくら、弱いところを見せたくないからと言ってもー、
いくら、病気だと伝えたら、詩織が悲しむかもしれないからと言ってもー、
その判断は間違っていた、と今は自分で思うー。
けど、もうどうすることもできないー。
既に、ほとんど歩けない状態になっているし、
正直、かなり体調も悪いー。
余命宣告を受けた時には
”いやいや、本当に死ぬのかよ?”などと思ってしまうぐらいに
身体は元気だったが、
日に日に”死”が現実味を増してきていることを、
ここ最近は特に、実感として持っていたー。
「ーーー”生きたい”か?」
突然、そんな声がしたー。
ビクッとして大志が声のした方向を見つめると、
そこには謎の覆面の男がいたー。
「ーーーな、な、なんだお前はー!?」
大志が驚いて声を上げるとー、
覆面の男は、静かに指を立てて「しーーーーー」と、囁いたー。
そしてーー
「お前が望むのなら、”力”をやろうー」
と、覆面の男は静かに言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
大志は”覆面の男”から力を授かったー。
その力は、決して”あり得ない”ハズの禁断の力ー。
だが、力を貰ったからだろうかー。
それとも、元々こういう運命だったのだろうかー。
ここ数日は、さらに身体の調子が悪くなってきたのを感じるー。
いいやー…おそらくは力の副作用などではないー。
力を受け取ろうが、受け取るまいが、きっとこうして
自分が衰弱したのを感じることになっていたのだろうー。
今日はー
妹の真凛がお見舞いに来るー。
真凛とも”あと何回”会えるのだろうかー。
いつも、そんな風に思うー。
”もしかしたらこれが最後かもしれない”
とー。
しかしー…
この力があればー。
”ーーー…お前に、力をやろうー。
この力があれば、お前は”死の運命”から逃れることができるー”
覆面の男はそう言ったー。
正直、最初は何を言っているのか分からなかったー。
そもそも、目の前にこんな怪しい男が実際にいるのかー、と。
ついに、弱りに弱った自分は”幻覚”を見始めたのではないか、とー。
けれどー
そうではなかったー
それどころかー、覆面の男は”信じられない言葉”を口にしたー。
”この力は、他人と身体を入れ替えることのできる力ー。
この力を使えばーお前はまだ、”生きる”ことができるー”
とー。
”そ、それはどういうー…?”
大志は困惑しながらそんな言葉を吐き出すー。
”ーー決まっているだろうー?
その死にかけの身体と、健康な身体を入れ替えればー…
ーーーこの先は、言わなくても分かるだろう?”
ーーそんな言葉を思い出しながら
大志は妹の真凛がやってくるのを待ったー。
入れ替わりの力はー、
もちろん真凛以外に使うこともできるー。
だがー
プライベートのことをほとんど知らない相手と
入れ替わっても、そのあと、色々と苦労するだろうしー、
それにー…”見ず知らずの他人の身体”を勝手に使うのは申し訳ないー。
それにーーーーー
そんなことを考えていると
「お兄ちゃんー」と、真凛が心配そうに病室にやってきたー。
「ーー真凛ー」
大志がそう呟くと、
真凛は大志のほうを見つめながら、
悲しそうな表情を浮かべたー。
「ーーー…顔色ー…よくないね」
入って来ると同時に、
”顔色が悪い”ということが分かってしまうー。
そんな、状態ー。
”お兄ちゃん”の死期が確実に近づいているー。
イヤでも、そう感じずにはいられなかったー。
けれどー…
今の大志には”力”があるー。
あの覆面の男から授かった
”他人と身体を入れ替える”力がー。
「ーーーー…真凛ー…手をー」
大志が弱弱しくそう呟くー。
”ーーまだ、大丈夫だろうかー。
いいやー、大丈夫ー。
自分の身体のことは、自分が良く分かるー。
まだー、持つー。”
大志は、力を振り絞りながら、
「真凛…手を…握らせてほしいー」と、
弱弱しく言葉を口にするー。
元気な兄からいきなりそんなことを言われたら
もちろん真凛だって困惑するだろうー。
しかし、今の”兄”は、命の灯が消えかけている状態ー。
真凛は、兄・大志の言葉に何の疑いも抱くことなくー
その手を握りしめたー。
”ーー相手の手を握りー、強く念じろー”
覆面の男は言ったー。
”ーさすれば、お前と、その相手の身体が入れ替わりー
お前は、生き永らえることができるー。”
その言葉を思い出しながらー
言われた通りに念じる慶介ー。
そしてーーー
手が謎の光を発し始めるとー、
やがてー…
「ーーえ…こ、これーなに…!?」
真凛がその光に気付き、驚くー。
大志が緊張した様子で自分の手の光を見つめると同時にー、
二人に激しい衝撃が走りーーー
意識が一瞬飛んだかのようなー
そんな感覚に襲われたー。
ーーーー
ーーーーーー
「ーーー…お、俺…」
大志がそう声を出すー。
だがー、その声は”自分”の声ではなかったー
しかもーーー
”嘘のように”身体が軽いー。
”まるで大量の重りを縛り付けられているかのような”
そんな自分の身体とは大違いにー、
軽いーーー
その感覚だけでー、”自分”の身体ではなくなったことを
一瞬にして、実感できるー。
”少しずつ”ジワジワと弱っていたからー、
元々自分がどのぐらい動けたのかー
人間とは、どのぐらい動けるものなのかを、正直、忘れていたー。
こんなにー、
こんなにスッキリと身体が動くなんてー。
そう思いながら、”自分の身体”のほうを見るー。
大志と入れ替わり、慶介になった真凛は、
まだ意識を失ったままだったー。
「ーーーー」
大丈夫だろうかー。
そんな風に思いながらも、
大志(真凛)が、呼吸をしていることを確認するとー、
「ごめんな」と、だけ呟いて真凛(大志)は立ち上がるー。
迷わず、病室から外に出る真凛(大志)ー
真凛のスカートがふわりと揺れてー、
ズボンでは感じることのできないような
空気を、真凛の足で感じるー。
「ーーー」
ドキッとしながらも、真凛(大志)は
少しだけ微笑みながら、その場を後にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー”人間”は愚かだー。
欲望に染まり、滅びゆく姿は美しいー。
だがー」
覆面の男…
謎の組織”闇.net”に所属する”ビショップ”は、
妹の真凛の身体を奪って動き出した慶介を見て、
笑みを浮かべるー。
「ーーご覧ください”キング”ー
これが、”人間”ですー。
人間など、救済に値せずーー
”消滅”こそ、選択すべき運命かとー」
覆面越しに笑みを浮かべながら”ビショップ”が言うとー、
その奥に座っている”キング”と呼ばれた人影が、
少しだけ動きを見せたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー」
♪~~~
休みの日のひと時を過ごしていた”詩織”が、
インターホンが鳴ったことに気付き、家事の途中だった手を止めて、
誰が来たのかを確認するために歩いていくー。
”詩織”は、余命あと僅かの”大志”の彼女だった人物ー。
大志が”悲しませたくない”という理由で、
”俺には、結婚とかそういうのは考えられないー
別のやつと幸せになってくれー”
と、別れを告げてしまった相手だー。
正直、間違っていた、と
大志はずっとずっと思っていたー。
”ーーーーし、詩織ー、ご、ごめんー…お、俺ー”
詩織が来客を確認すると、
突然、荒い息をした女が目に入り、
表情を歪めたー
「え…ど、どちら様ですかー?」
詩織がそう応答すると、
荒い息をしていた女が顔を上げたー
「ーーえ…あーーー…ま、真凛ちゃんー…?」
詩織が驚くー。
彼氏だった大志の妹・真凛とは面識があるー。
詩織が驚いた表情を浮かべながら話を続けるー。
大志が”一方的に”詩織と別れてから、
詩織は大志の妹である真凛とも連絡を取り合うことは
していなかったー。
その真凛が、突然訪ねてきたため、驚いたのだー。
”ーーそ、そうー…か、身体は真凛なんだけどー…
お、俺なんだー…大志なんだ!”
何かに焦っているかのように、真凛(大志)がそう叫ぶー。
そんな様子に困惑しながらも、
真凛が玄関の扉を開くと、
髪も服も乱れた様子の真凛(大志)が、
ぜぇぜぇ言いながら「お邪魔しますー」と、家の中に入り込んで来たー。
「ーま…真凛ちゃんー…だ、だよねー?」
詩織が混乱しながらそう言うと、
「ーーー本当に、ごめんーーー俺が間違ってたー」
と、真凛(大志)は、謝罪の言葉をまず最初に口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー…そう、だったのー…」
詩織の表情は、暗いー。
真凛(大志)は、手短に
”別れを告げた理由は余命宣告を受けたからー”と言うことを伝えたー。
入れ替わりを信じて貰えているかどうかー、
それは分からなかったが
とにかく、伝えたいことを伝えるのが、何よりも先決だと思い、
本当の想いを吐き出したー
「俺ー、ずっとずっと、詩織との結婚も真剣に考えてたー。
でもー
でもさー…余命宣告を受けて、それが出来ないと知ったら
頭の中が真っ白になっちゃってー」
真凛(大志)は、無意識のうちに、目から涙をこぼしていたー。
真凛の身体の涙腺が脆いのかー、
それとも、仮に自分の身体でここに来ていたとしても、
同じように涙を流したのかー、それは分からないー。
けれどー、
真凛(大志)は涙を隠すこともなく、
「ー本当に、ごめんー…俺がバカだったー。
ちゃんと、本当のこと、言えばよかったー
それがー…ずっと、心残りだったー」
と、言葉を口にしたー
「ーーーーー」
詩織は少し沈黙したあとに、悲しそうな笑みを浮かべながら
”なんだー…わたしてっきり、嫌われちゃったのかとばっかりー”と、
言葉を口にするー。
そしてー…
真凛(大志)のほうを見ると、
「ーー信じられないけど、本当に”大志”なんだよね?」
と、詩織は確認の言葉を口にするー。
「ーーーーあぁ」
真凛(大志)のそんな言葉にー、
詩織は悲しそうにしながら、”なんて言っていいか分からない”というような
複雑な表情を浮かべるー。
「ーーー…」
時計をチラッとみる真凛(大志)ー
「そろそろ、行かなくちゃー」
真凛(大志)の言葉に、詩織は悲しそうにしながら
「ーー…もう…消えちゃうの?」と、言葉を口にするー。
「ーーー……ごめんー…
俺が変に強がったりしたからー
罰が当たったんだよなーきっと。
本当ならー…死ぬまでにーーー
今日までに時間がたくさんあったのにー
その間に、詩織と思い出をもっと作れたのかもしれないのにー」
真凛(大志)が悔しそうに言うと、
詩織は悲しそうに「ーーーでも、今日、こうして会えたー」と、呟くー。
「ーーこうして、本当の気持ちを伝えに来てくれたー」
詩織のそんな言葉に、真凛(大志)は少しだけ安堵の表情を浮かべながら、
詩織のほうを見つめるー。
「ーそれだけでも、わたしは十分嬉しいー」
そんな言葉に、真凛(大志)も、ほんの少しだけ微笑んだー
「ーーねぇ…そんなに急がないでー
最後に、”ご飯”ぐらい食べていけないのー?」
詩織が、そんな言葉を口にすると、
真凛(大志)は「ごめんー。早く戻らないとー」と、言葉を口にするー。
「ーー戻る?」
詩織が言うと、真凛(大志)は頷いたー。
「ーー病院に、戻らないとー
真凛が、”俺の身体”で待ってるからー」
真凛(大志)がそう言うと、詩織は驚いた表情を浮かべるー。
てっきり”大志の幽霊”か何かが真凛に取りついていると、
そう解釈していた詩織ー。
しかしー、真凛と大志は”入れ替わっている”のだー。
身体を返しに行かないといけないー。
そのことを説明すると、詩織は驚きの表情を浮かべるー
「ーーい、入れ替わり…!?」
詩織の言葉に、真凛(大志)は苦笑いするとー、
「ーー変な覆面の怪しいやつが俺の前に現れてさー」と、
言葉を口にするー
「ーあれは…”死神”だったのかもなー」
真凛(大志)がそう言うと、詩織は混乱しながらも
「ーじゃあ、車の準備をするから、乗ってー」と、
外出する準備をし始めるー。
「ーーえ…悪いし、いいよー」
申し訳なさそうにそんな言葉を口にする真凛(大志)ー。
「よくないでしょ!真凛ちゃんが、大志の身体で死んじゃったらどうするの!?」
詩織のそんな言葉に、真凛(大志)は、
「そ、それは確かにー…」と、言いながらもー、
詩織のほうを見つめたー
「ーーー…久しぶりに、詩織に怒られたー」
とー、懐かしそうにしながらー。
「もう!」
詩織は悲しそうにそう言うと、車を走らせる準備をし始めるー。
そんな様子を見つめながら真凛の身体を使っている大志は思ったー
実はーーー
”心のどこかで”
ほんのー、5%ぐらいだけー
”間に合わなかったらー、仕方がない”なんてー
邪悪な気持ちを抱いてしまっていたー。
もちろん、”戻らずに真凛の身体を奪い、真凛を見殺しにする”と、
いう選択肢はなかったー。
そんなことをすれば一生後悔するー。
けれどー
”一生懸命戻ろうとして間に合わなかったらー”
それは、仕方のないことだとー、
心のどこかで、そんな”邪なこと”を考えてしまっていたのは事実だったー。
誰だって、死ぬのは怖いー。
一度は死を覚悟した大志にとっても、それは同じことー。
でもー、
詩織のおかげで吹っ切れたー。
”間に合わなければ仕方がない”なんてことはないー。
”間に合わせるのだ”と、改めて思うことができたー。
”ありがとう、詩織ー”
真凛(大志)はそう心の中で呟くと、
詩織が用意してくれた車に、足早に乗り込んだー。
”真凛”に身体を返すためにー。
妹の真凛は”免許”を持っていないー。
そのため、詩織が車を運転して、
病院を目指すー。
「ーーははは…意外と詩織、運転荒いなぁ」
真凛(大志)がそう言うと、
詩織は少し恥ずかしそうに、「そんなことないってば~…」と笑うー。
病院に到着するまでの間、
詩織は近況報告から何まで、
色々な”雑談”をしてくれたー。
これから”死ぬ”ー
そんな大好きな相手を前に、
詩織は”死”について、何も聞かなかったー。
あくまでも、”いつも通り”
また、明日も会うことができるかのような、
そんなやり取りが続きー、
ついに、病院へと到着したー。
詩織は「ついた!」と、叫ぶと、
”車はわたしが停めておくから、早く!”と、
病室に駆け込むように言い放つー。
”今日”死ぬとは限らないー。
だが、”今日”死ぬかもしれないー。
大志の身体は既に”いつ”死んでもおかしくないのだー。
真凛(大志)は「ありがとう!」と、叫ぶと病院に向かって、
慣れない妹の身体で走っていくー。
もしかしたら、これが今生の別れになってしまうかもしれないー。
そんなことは、お互いに理解しつつもー、
互いに泣き言は一切言わなかったー。
「ーーーーー」
病院に駆け込んでいく真凛(大志)の姿を見ながら、
目に涙を浮かべる詩織ー。
けれど、車をそのまま放り出して一緒についていくわけにはいかないー。
気を取り直した詩織は、息を大きく吐き出して、
”一番つらいのは、大志だもんねー”と、静かに呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーそんなことー」
大志に入れ替えられてしまった真凛は、
絶望の表情を浮かべていたー。
覆面の男ー”ビショップ”が笑みを浮かべるー。
「ーーお前の兄は、
死から逃れるために、その身体をお前に押し付けー、
そして、逃げた」
ビショップのそんな言葉に、
大志(真凛)は目に涙を浮かべながら言うー。
「ーお兄ちゃんはー……そんな人じゃないもん!」
とー。
「ーほぅ」
ビショップはあざ笑うように、大志(真凛)を見下すー。
「ーーでは、この状況は何だと言うのだ?
お前の兄は、お前の身体を奪い、逃げたー
死を、お前に押し付けてー」
ビショップがそんな言葉を口にするー。
けれどー…
それでも、大志(真凛)は、苦しい身体を奮い立たせながらー、
ビショップを睨みつけたー。
「ーお兄ちゃんは、そんな人じゃないのーー!!!!」
とー。
「ーいいや、”そんな人”だー。
人間とは愚かな生き物ー
誰もが己が欲望のために生きるのだー。
断言しようー
お前の兄は戻ってこないー
お前はここで兄の身体で、死ぬのだー」
そう言い切るビショップー。
だがーー
病室の扉が開きーーー、
大志(真凛)は、目に涙を浮かべながら、
真凛(大志)を見つめるー。
「ーーー!!!!!」
ビショップは、目を見開いて驚きの表情を浮かべるー。
「ーーお前ーーーー」
ビショップがそう言うのを無視して、
真凛(大志)は、大志(真凛)の手を握るー。
「ごめんな真凛ー
相談もせずにこんなことしてー。
でも、”やり残したこと”終わらせてきたー。
もう、未練はないー」
真凛(大志)はそれだけ言うと、大志(真凛)のほうをまっすぐ見つめるー。
既に、死を覚悟しー、
何の未練もないー。
そんな、真っすぐな視線だったー。
「ーーお兄ちゃんー…
詩織さんに、ちゃんと、伝えたんだねー」
大志(真凛)が言うと、
真凛(大志)は静かに頷いたー。
「ーーーー」
”元に戻ったらお兄ちゃん、このまま死んじゃうんだよー?”と、いう
セリフが浮かんだー。
けれどー…
大志(真凛)はそれは口にしなかったー。
お兄ちゃんに死んでほしくはないー。
けれど、ここで”それ”を言えば、
余計にお兄ちゃんを困らせてしまうしー、
そう言っても、最後には”真凛を死なせることはできない”と、
絶対に、”お兄ちゃん”は身体を元に戻して、自分が死ぬ道を選ぶー。
そんなお兄ちゃんを、困らせるようなことを言ってはいけないー。
そう思いながら、大志(真凛)は口を閉ざしたまま、
静かに頷いたー。
「ーーーーーー…バカなー」
ビショップは、覆面越しに表情を歪めるー。
真凛(大志)は、ビショップの存在にようやく気付いたのか、
振り返ると、
「ーーあんたのおかげで、やり残したことを果たすことができたー。
ありがとうー」
と、何の敵意もなく、言葉を口にしたー
「ーーーーー…」
ビショップは小さく舌打ちすると、
そのまま何も語ることなく、霧のようになって姿を消したー。
真凛(大志)は
”死神か何かだったのかなー”と、少し笑いながら、
大志(真凛)に今一度顔を向けるー。
「ー身体を貸してくれてありがとうー。
貸したものは、ちゃんと返さないと、なー」
真凛(大志)は、少しだけ寂しそうにそんな言葉を口にすると、
大志(真凛)は静かに頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー人間は”絶望”ばかりではありませんよー?」
妖艶な”女王”のような姿の女”クィーン”がそう呟くー。
”闇.net”の本拠地ー、
電脳空間のような場所に戻って来た覆面の男・ビショップは舌打ちをするー。
「ーー人間は、いずれ破滅の未来を辿るー」
ビショップは、そう呟くー。
「ーそれが、人類の運命ー」
ビショップの言葉に、
巨体な無邪気そうな雰囲気の男”ルーク”と、
好青年風の男”ナイト”が、表情を歪めるー。
「ーーーだがー”破滅の未来”を知る
我らが、過去を変えればー、それを回避することができるー」
ビショップはそこまで言うと、
「だがー」
と、言葉を続けるー。
「人間に救う価値など、あるのかどうかー。
そのまま”破滅の未来”を迎えるべきではないかー」
ビショップの言葉にー、
電脳空間のような場所の”奥”に不気味な光が照らされたー。
「ーそれを見極めるために、我々”闇.net”は存在するー」
不気味な光に照らされたその先にはーーー
”キング”の姿があったー。
一見すると、穏やかそうなー
けれども、その目に”光”は宿っていないー。
そんな、青年の姿がー。
「ーー我らは破滅の未来からやってきた”最後の人類”ー。
この世界はこのまま滅ぶべきか、それとも救済すべきかー
それを見定めるのが、”闇.net”の使命ー」
”キング”がそう呟くと、
他のメンバーたちが”キング”のほうを見つめるー
”闇.net”ー
その正体は、遠い遠い未来、人類が”滅亡”を迎えるその時に
生き残っていた”最後の人類”たちー。
過去に戻る技術を用い、あらゆる時代に出没しているー。
目的はー、
”人類は救うに値するかどうか”見極めることー。
過去を変えるー…
そんな行為は、場合によっては宇宙そのものの消滅を招く可能性があるー。
そこまでのリスクを冒し、人類を救うべきかー。
それとも、このまま滅ぶべきかー。
それを、色々な時代の人間に”力”を与えることで見定めているー。
”キング”以下ー、
幹部の”クィーン” ”ビショップ” ”ルーク” ”ナイト”の4人が
各地で目を付けた人間に”力”を与えー、
その人間が欲望に染まるか否かを、見定めるー。
4人の幹部の配下には、それぞれ”ポーン”と呼ばれる
一般構成員らも所属しており、組織自体の全容は、計り知れないー。
そしてー、
幹部たちに力を与えられた人間の末路を見てー
最後に”キング”が決裁を下すー。
人類は滅ぶべきかー、
それとも、救うべき存在なのかー。
それを、最終的に見定め、決断を下すのが”キング”の役目ー。
「ーー人間は確かに愚かですー。
ですが、同時に今回のような”希望”もあるー」
好青年風のナイトがそう言うと、
覆面のビショップは「チッー」と、舌打ちをするー。
”闇.net”内でも
どちらかと言うと”滅ぶべき”派と、”救うべき”派が存在しているー。
ビショップと、ルークは”人類滅亡”派ー、
ナイトは”中立”ー
クィーンは”人類を救いたい”と思っているー。
そしてー、キングはー…
「ーー”決断”は、まだ先だー。
引き続き”人間”の本質を見定めるのだー」
”キング”がそう言い放つと、
4人の幹部が、頭を下げるー。
人類の歴史の裏で暗躍する”闇.net”ー
彼らがいる限りー、
どこかで、憑依や入れ替わりー、
その”欲望”の悲劇がまた、生まれるのかもしれないー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーありがとうー」
数日後ー。
大志は、最期の時を迎えようとしていたー。
だが、その気持ちはとても穏やかだったー。
妹の真凛ー、
そして彼女の詩織に看取られながら、
大志は穏やかに微笑むー。
あの男が現れなければ、
大志は詩織に酷いことを言ったまま、この世とお別れをすることになるはずだったー。
でもー、こうしてー…
また”恋人同士”になることができたー。
元に戻ったあと、詩織が大志に”改めて”告白してくれてー
最後の瞬間までー側にいてくれたー。
最後に”ありがとう”と、言ったー。
もう、口も動かないー。
けれどー…
”ーーーわたしのこそ、ありがとうー”
そんな詩織の声は、最後にハッキリと聞こえたー。
詩織も、真凛も、自分に関わった全ての人々が
幸せに、そして楽しく過ごせるように祈りつつー、
大志は穏やかにこの世に別れを告げたのだったー。
「ーーーー」
大志の最後を看取った二人は、
少し寂しそうにしながらも、
”大好きなお兄ちゃん”
”大切な大志”のために、
それぞれ、”大志が向こうで心配してしまわないように”
一生懸命生きていくことを、誓うのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
700万アクセス達成、
改めて全ての皆様に感謝デス~!
まさか、こんなところまでたどり着いちゃうなんて
私自身もとってもびっくりですが、
これからも、私も楽しみつつ、
少しでも皆様に楽しんでもらえるように、
頑張ります~!★
今回の物語は、時々、憑依空間のお話に登場している
”闇.net”とは何かを、明らかにする入れ替わりモノにしてみました~!
(憑依空間内の検索で「闇.net」と検索すると登場作品を見つけられます~!)
もちろん、他の作品を知らなくても分かるように
気を付けて書いたつもりなので、少しでも楽しんでいただけていれば、
嬉しいデス~!
それでは次は、800万か、777万を目指して
また頑張ります~笑
ありがとうございました~!
コメント