悪の組織の妖艶な女幹部に憑依した
男子大学生…!
後先考えずに、悪女となった彼の運命は…!?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー!!!」
ワープホールのようなものを潜り抜けると、
そこは”楽園”と称するにふさわしい花園のような場所だったー。
「ーーーーーここが、悪の組織の本拠地ー…?」
ルナに憑依した男子大学生の照明は、呆然としながらそう呟くー
いつも、自信に満ち溢れた妖艶な笑みを浮かべているルナが、
きょとんとした表情を浮かべながら周囲を見渡すー
「ーー…」
背後を振り返ると、そこにはさっきと同じワープホールが存在しているー。
別次元から次元を引き裂いて出現した
悪の組織”ドッペル・ダーク”は、ここから人間界と行き来をしているのだー。
「ーーー…にしてもー」
ルナはチラッと自分の胸元を見つめるー。
露出された肌に、
大胆に晒された胸元や太ももー。
それを見つめてルナは「ぐへへへへ…」と、
絶対に本人が浮かべなさそうな下品な笑みを浮かべるー
「っていうか、悪の組織の女幹部って
なんでこんな露出するんだろうなー
えへへーーー…
戦いに赴くなら、もっと防御力上げたほうがいいんじゃね?」
ルナはそう呟きながらも嬉しそうに
露出した肌を見つめ、そして触るー。
「ーーえへへへ…このあたりについてる変な模様もー、
エロいなぁ…」
ルナが、妖艶な声でそう呟いているとー、
「ーおいおい、何やってんだー?」
と、軽そうな口調の、いかにも悪魔っぽい風貌の怪人が姿を現したー。
「ーーー…………ーーーー」
ルナは、その怪人の名前を口にしようとしたものの、
当然名前が分からず、言葉が浮かんでこなかったー
「ーおいおいおいおいおい 何だそのツラはー
”誰アンタ”みたいな顔すんなよー
で、リリの奴はどうした?」
怪人の言葉に、ルナは
「ーえっと、あの子はー…人間の身体を乗っ取ってー
ちょっと遊んでから帰るって言ってたー…… わ」
と、ぎこちない口調で言葉を口にするー。
この身体ー
”ルナ”が普段どんな風に他の仲間と話しているのかは
分からないー。
知っているのは”さっき”リリと会話していた会話内容だけー。
手探りで会話をしていくしかないー
「ーーーー…」
ルナは、その怪人の姿を見ながら思うー
”このエロイ女幹部と、さっきの美彩に憑依した子は
人間みたいな姿だけどー、
こいつはただのバケモンだなー”
そんなことを思っていると、
ワープホールから、美彩がワープして姿を現したー
さっきー、”憑依される現場”を見ている故に、
中身が”リリ”とかいう悪の組織の幹部であることは
分かっているけれどー
”元カノ”である美彩が急に現れるとびっくりするー。
「ーただいま~」
美彩が無邪気に笑うー。
「おう、戻ったか」
怪人がそう返事をするー。
「ーーえへへっ♡
3人”食べて”来ちゃった」
美彩が嬉しそうにそう言うと、
怪人は「ククー、人間は愚かだからなー」と、笑うー。
「ー食べた?」
ルナが思わずそう反応すると、
美彩は「うふふ♡」と笑いながら、
「あたしが誘惑すれば、人間の男なんて簡単に落ちるもん!」と、
得意気に微笑むー。
その言葉に、ルナはドキッとしてしまうー
”誘惑したってことはー
美彩がそういうことしたってことかー?”
とー。
「ーー俺も誘惑されてぇなぁ」
怪人がそう言うと、美彩は嬉しそうに
「あ、じゃあ、リリの新しい身体と遊ぶ?」と、ぴょんぴょん飛び跳ねながら笑うー。
”あぁー…別人みたいな美彩もイイー”
ゾクゾクしながらルナが顔を赤らめていると、
「でも、あたしはまず最初にルナお姉さまと遊びたいなぁ~」と、
美彩がルナのほうを見つめて来るー
「えっ!?えっ!?」
ルナは思わずドキッとしてしまうー。
「ーねぇ、お姉さま~
あたしと遊ぼうよ~」
美彩が身体を密着させてくることにドキドキバクバクしながら、
ルナが真っ赤になっていると、
「へへー、何だよルナ。今日は妙にソワソワしてんな」と、怪人が言葉を口にしたー
”いや、さっきからお前は誰だよー”
と、心の中でツッコミを入れるルナ。
”この子も、早くあの怪人の名前呼んでくれねぇかなぁ…”
美彩を乗っ取ったリリという子が、
あの怪人の名前を会話の中で呼んでくれれば、
それで名前が分かるのだが、
不幸なことに、リリはこの怪人の名前を
口にはしてくれなかったー。
「ーーーー」
ルナは、遊びたそうにしている美彩のほうをふと見つめるー
”あぁ、美彩ー
そんな顔で俺を見るなー
興奮しちまうー”
そんなことを思いながらも、
”ルナ”として「ふふ…じゃあ、遊びましょう?」と、囁いたー
”あ~~~今の俺、悪女っぽい!”
自分の振る舞いに心の中でガッツポーズしながら、
”何で遊ぶのか知らねぇけど”
と、心の中で呟いたー。
”じゃあ、またあとでね!お姉さま!”
うふっ、と言いながら美彩が立ち去っていくー。
”いやぁ、憑依ってすごいなぁ…
普段の美彩が今の自分を見たら失神するだろうなー”
そう思いつつ、
怪人のほうを見るー。
ニヤニヤしながらルナのほうを見ている怪人ー。
”こいつの名前、結局分かんねぇな”
美彩も立ち去ってしまったし、
結局、この怪人の名前は分からないままだー。
女幹部に馴れ馴れしく話しかけて来ることから
恐らくこいつも幹部なのかもしれないー。
だが、名前が分からないし、
流石に”お前誰だっけ?”とも聞けないー。
”仕方ない。名前が分かるまでお前はアンノウンだ”
心の中で、照明は勝手に怪人をアンノウンと名付けると
そのまま歩き出したー。
「ーーーーーー」
一面に広がる”花畑”のような空間ー
所々に、”棘”のようなもので包まれた
建物のようなものが点在しているー。
これが、怪人の家だろうかー
”あ~~…この格好で歩くとスースーする”
これが、悪の女幹部の歩き心地かー、
と、思いながら
”ってか、俺がこの人になっちゃったら
痛めつけてもらえないじゃないか”と、
少しだけ後悔するー。
照明は、”罵倒されること”に興奮するタイプだー。
だが、自分自身が悪の女幹部になってしまったらー、
悪女に踏まれたりすることはできないー
「あぁ…リリちゃんが憑依した美彩に踏んで貰えねぇかな」
”元カノ”に”悪の女幹部の身体で踏まれる”
そんな妄想をしながら、思わず鼻血を噴き出しそうになったルナは
「いけないいけない…」と、
静かに呟くー。
中央に存在する”薔薇の塔”とも言えるような
建物が本拠地だろうかー。
そんなことを思いながら見つめていると、
狡猾な老人のようなー
悪の組織によくいそうなマッドサイエンティストみたいな
老人が前からやってきたー
「おや、ルナ。戻ったのか」
マッドサイエンティストがそう呟くー。
「ーーあらーーーー」
当然、名前が分からないー。
適当に挨拶をすると、
「ーわしの”憑依薬”はどうかね?」
と、マッドサイエンティストが言葉を口にしたー
”あぁ、こいつが”ドクター”かー”
ルナは心の中でそんなことを思うー。
美彩に憑依したリリが
”ドクターの憑依薬”とか何とか言ってたー。
と、いうことはこいつがそのドクターで間違いないだろうー。
そう思った瞬間ー
ルナは咄嗟にドクターの手を握っていたー
「ーありがとう。ドクター!」
とー。
マッドサイエンティスト、いや、ドクターが
驚いた表情を浮かべるー。
「ーありがとうー ありがとうっっ!!!」
ルナは何度も何度も嬉しそうに感謝の気持ちを口にするー
さらに困惑するドクター。
照明が今、”悪の女幹部”になることができているのは
憑依薬のおかげだー。
それはつまり”ドクター”のおかげでもあるー。
そう思った瞬間に、圧倒的な感謝の気持ちを述べずには
いられなかったー。
「ーーな、な、なんじゃいきなりー
お主がわしに感謝するなんてーー
何かの前触れか!?」
ドクターがそう叫ぶー。
「ーーあ、あ、あら、そ、そんなこと、ないわよー」
ぎこちない口調でそう答えるルナ。
あまり”妖艶な雰囲気”が壊れるような言動を
していると、”悪の組織の女幹部”に憑依したことに
気付かれてしまうかもしれない。
特にこの”ドクター”とやらは、憑依薬の開発者。
さっきのアンノウンより、悟られる可能性は高いー。
「ーそうかそうかー。まぁ良い」
ドクターがそう言いながら頷くー
”ーーーーーーー”
ルナは、そんなドクターを見つめながら
”あること”に気付くー
”このじいさん、さっきから俺の胸ばっかり見てるな!”
ルナに憑依している照明はそんなことを思いながら、
”まぁ…確かに見せつけるような格好してるのがいけないんだけどー”と、
自分の胸を見下ろしながら一瞬、笑みをこぼしそうになってしまうー
”いけないいけないー。自分の胸を見てニヤニヤしてたら
さすがにバレそうだしー我慢我慢”
そんなことを思いつつ、ドクターと適当に雑談をして別れると、
悪の組織の者たちの居住区らしき場所にたどり着いたー。
「ーーーーー(まぁ、悪の組織にもプライベートはあるよな)」
ルナはそう思いながら周囲を見渡すー。
ヒーロー番組などで見る”悪の組織”は、
常に悪の組織の本部らしき場所にいたり、
悪事を働いたりしていることが多いもののー、
悪の組織の怪人たちも生き物ー。
当然、プライベートはあるはずなのだー
「えへへ…テレビに映らない裏側を見てるみたいで、
最高だなー」
そう呟くと、ルナは
その辺にいたいかにも下っ端らしき怪人に、
”ルナの家”に当たる場所はどこか、遠回しに確認したー。
そして、ようやくルナの居住スペースにたどり着くー。
見たこともない不気味な植物が飾られていたりー、
拷問道具のようなものが置かれていたりー、
そんな光景を目の当たりにして、
ルナは思わず笑みを浮かべるー
「あぁ~~~~この鞭で叩かれたい!」
思わず、興奮を隠しきれずに、女幹部の妖艶な雰囲気を
台無しにして、一人はしゃぐルナ。
「ーお、なんだこれー」
部屋の中には”黒い鎧”を全身に身に纏う騎士のような者との
ツーショット写真が飾られているー。
「まさか、夫とか言わないよなー」
ルナがそう呟いていると、
背後から声がしたー。
「お姉さま~!」
元カノの”美彩”の声ー。
あの美彩に”お姉さま”と呼ばれるなんて
それだけで興奮してはち切れてしまいそうだ、と思いつつ
振り返るー
「ーぶっ!?」
振り返ったルナは、小悪魔のようなコスチュームに身を包んだ
美彩を見て、思わず変な声を出してしまうー
「ど、ど、どうしたの?その格好ー」
咄嗟に”ルナ”っぽく言うと、
「どうしたって~?えへへ、あたしの身体であたしが何を着ようと
自由だし~!」
と、美彩が笑いながらそう言い放つー。
そういえばー、
美彩に憑依する前のリリも、何か小悪魔みたいな格好をしていたし、
そういう子なのだろうー。
「ーーそ、そ、そうねー」
ルナがドキドキしながらそう呟くー。
あの美彩がこんな格好をー
あの美彩がこんな振る舞いをー
あの美彩がこんな喋り方をー
ルナはドキドキゾクゾクしながら、
美彩に憑依したリリの話を聞くー
「明日からあたしは人間界に行って、
お仕事だからー
今日のうちにお姉さまといっぱい遊びたいなぁ~」
美彩が笑うー。
「ーお仕事?」
ルナがうっかり確認してしまうと、
美彩は「ーえ~?ほら、この子の大学の教授を仲間に引き入れるやつ!」
と、計画の説明をしたー。
美彩の身体を奪い、照明や美彩が通う大学の教授…
とある分野の第1人者を仲間に引き入れるのが
”ドッペル・ダーク”の計画であり、リリが美彩に憑依した理由だー。
リリは、美彩の身体を使って教授を誘惑ー、
仲間に引き入れようと考えていたー
”あの教授ー、やたらとわたしに親切だけどー
なんか下心がありそうで苦手かなー”
美彩が、かつてそんなことを言っていたことを思い出すー。
「(あ~ぁ…苦手な教授を自分の身体で誘惑するとかー
災難だな、美彩ー)」
そんなことを思いつつも、ルナは”あ~、この美彩に踏まれたい”と、
思っているとー、
美彩が言葉を口にしたー
「じゃあ、明日からの任務前に、今日はお姉さまと
たっぷり遊んじゃおっと!」
ルナはそんな美彩の言葉にドキッとするー。
元々、さっき”あとで遊ぶ”と約束したからー、
その心の準備はできていたー
”えへー…まさか、美彩と遊べるなんてー”
そんな風に思っていると、
美彩はぴょんぴょん飛び跳ねながら
「じゃあ、まずは鬼ごっこ~!」と、嬉しそうに笑ったー
「は?」
ルナが変な声を出すー。
「ーえ?鬼ごっこ!お姉さまが鬼ね!」
美彩はそれだけ言うと、はしゃぎながら走り去っていくー
「ーーえ???」
一人残されたルナは唖然とするー
「ーーあ、遊ぶって…そっちかよ!」
ルナは思わずそうツッコミを入れるとー
「ま、ま、まぁ、いいかー」と、
”別の遊び”を想像していたせいで、拍子抜けしながら
美彩の後を追って走り出したー。
③へ続く
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コメント
悪の組織の女幹部ライフを送り始めた照明くん…!
今のところは平和(?)な感じですネ~!
最終回はどんな展開が待っているのか、
ぜひ楽しみにしていて下さいネ~!
お読み下さりありがとうございました~~!
コメント
スゴい展開になってきましたネ笑
さすが無名さんデスっ!
照明の夢は叶うのか…
良い娘(コ)にして待ってます( *´艸`)笑
今日もありがとうございます~!☆☆
明日の最終回、どうなってしまうのか
ドキドキですネ~!☆