とにかく定年退職したい!
そんなOLと部長の入れ替わり…
騒動の後の
二人の新生活の行方は…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
入社2年目のOL・由香里の身体になった笹岡部長と、
平間部長の身体になったOLー。
二人の入れ替わり生活は、続いていたー。
お互いにもう、元に戻るつもりもなく、
笹岡部長の手持ちの入れ替わり薬も使い尽くしてしまったために、
もう入れ替わる手段も二人にはないー。
「そういえば部長ー」
ふと、平間部長(由香里)が言葉を口にする。
「ん?」
会社から少し離れた場所のファミレスで由香里(笹岡部長)が
パフェを口にしながら反応すると、
平間部長(由香里)は思わず、
「部長、甘いモノなんて食べなかったのにー」と、笑うー。
「ーはははー…
宮森の身体になってから、こういうものが美味しくてさー」
由香里(笹岡部長)の言葉に、
平間部長(由香里)は「確かに、わたしは甘いモノ大好きでしたからねー」と、頷くー。
由香里自身、平間部長の身体になってから
以前ほどスイーツの類が美味しく感じなくなって
自然とあまり食べる機会も無くなって行ったー。
「ーあ、それで本題なんですけどー
最近ー、というか最初からかもしれないんですけど、
最近、そのー…
可愛い子を見るとドキドキしてしまってー…
あのーー…
え~っと、そのー」
平間部長(由香里)が恥ずかしそうにしながら
言葉を詰まらせるのを見て、
由香里(笹岡部長)は「どうしたー…?別に今更遠慮することじゃない」と
言葉を口にすると、
平間部長(由香里)は、ズボンのほうを指さしながらー
「こ、これが大きくなっちゃってー隠すのが大変なんです!」と、
小声で言葉を口にしたー
「えぇっ」
由香里(笹岡部長)は、そう反応しながら
顔を赤らめるー。
何で自分が顔を赤らめているのかよく分からなかったがー
女子の身体だからだろうかー。
そう思いつつも「平間のやつー、下心まみれの奴だったからな」と
困惑の表情を浮かべるー
「これって、何かーこうーー…抑える方法ないんですか?」
平間部長(由香里)の言葉に、
「お、抑えるって言われてもー」
と、由香里(笹岡部長)は困惑するー。
「ー平間部長の身体になってから妙に
可愛い子を見るとドキドキするんですよねー。
わたしにそんな趣味、なかったはずなのに」
平間部長(由香里)が戸惑いながら言葉を続けるー。
「ーまぁ、やっぱ身体の影響っていうのが
少しはあるのかもしれないなぁ…
俺も色々考え方とか感じ方変わったしー、
イケメンの先輩に優しくされると、
心がドキッとすることもあるしー」
由香里(笹岡部長)がそう言うと、
平間部長(由香里)は「え~?誰にドキッとしてるんですか~?」と、
揶揄うような言葉を口にするー。
「ーーーーえ、え~っと」
何だか、そんなことを聞かれて急に恥ずかしくなった
由香里(笹岡部長)は、
「ぶ、部長!そういうこと女の子に聞くのはセクハラですよ!」と、
少しふざけた口調で誤魔化したー
「あ、都合のいいときだけ、入社2年目の女の子になっちゃだめです~!」
平間部長(由香里)はそんな言葉を口にすると、
笑いながら”元自分”の肩を叩いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やがてー、
入れ替わってから”1年”が経過したー。
もう、二人はすっかりとそれぞれの身体にも、生活にも慣れてー、
笹岡部長は、由香里として
由香里は、平間部長としての生活を続けているー。
「ー髭剃り面倒臭いって言ってたけどー、
全然、あの頃の方が楽だったって思い知らされたよー」
休日ー。
久しぶりにプライベートで会った
由香里(笹岡部長)と、平間部長(由香里)は、雑談をしながら
街を歩くー。
「ーあはは…確かにこの身体になってから、朝起きる時間は
遅くなりましたね~
すごく便利です」
平間部長(由香里)がそう言うと、
「ーでも、そう言いながら部長ー」と、
笑いながら、由香里(笹岡部長)の今の姿を見つめるー。
髪は、由香里が由香里だった頃よりも長くなりー、
とてもおしゃれな雰囲気になっているー。
由香里もそれなりにおしゃれだったものの、
今の”由香里”は、もっとおしゃれというかー、
女であることを存分に楽しんでいるような、
そんな印象を受けるー。
「え…あ、いや、こ、これはー」
由香里(笹岡部長)が、顔を赤らめながら
自分の姿を見つめると、
「あぁ、いえ、別に責めたりしてるわけじゃなくてー」と、
平間部長(由香里)が笑うー。
「ーー確かに、”女”じゃなきゃ楽しめないこともあるんだなって、
この身体になって分かりましたしー、
自分の”かわいい”を見つけるのって楽しいですからね」
平間部長(由香里)がそう言うと、
由香里(笹岡部長)は「はははー…まぁ…この身体になってから、
おしゃれとかそういうのに目覚めた感じはあるなー」と、
自分の姿を見つめながら笑ったー。
最初は”下心”の方が割合的には強かったかもしれないー。
けれど、今はだんだんと”下心的な意味ではない”感情の方が
強くなっているー。
「ーーーまぁでも、わたしはとにかく1年でも早く定年退職!
それが夢ですから」
平間部長(由香里)がそう言うと、
由香里(笹岡部長)は思わず笑いながら、
「変わらないなー宮森はー」と、
言葉を口にするー。
「あははー…まぁ、変わった部分も色々ありますけどねー
部長だって、変わった部分があるようにー」
おしゃれになった由香里(笹岡部長)を見つめながら
平間部長(由香里)がそう言うと、
「はは、確かにそれもそうだなー」と、
由香里(笹岡部長)は静かに頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから、少し経過したタイミングのことだったー。
「ー来月から、ですか?」
平間部長(由香里)が戸惑いながら言うー。
「あぁ、急ですまないねー。
ただ、九州支社の部長の横領が発覚してねー
このまま会社に置いておくことはできなくなって、
急遽、君を、ということになったー」
会社の本部長がそう言葉を口にするー
”異動”の打診ー。
この1年間、平間部長となった由香里は
嘘のように”平間部長”の評判は
地の底から押し上げて、今では平間部長は
すっかり”評判の良い”部長だー。
由香里自身”さっさと定年退職したい”と嘆いているだけで、
元々仕事自体はそれなりに一生懸命ー、
かつ、新入社員からいきなり”部長”になったせいか、
本来新入社員がやるような仕事も率先してこなし、
そういう姿勢は会社からも評価されていたー。
そこで、”横領問題で揺らぐ九州支社”をまとめてほしい、
という打診を受けることになったのだー。
”新人にも寄り添える平間部長がふさわしい”と、
そういうことになったようだー。
その日の夕方ー、
その話を由香里(笹岡部長)にしながら、
「ーわたし、まだ実質入社3年目ですしー?
部長なんて、とてもー」
と、苦笑いする平間部長(由香里)ー
しかし、由香里(笹岡部長)は笑いながら
「もう、宮森は十分、正真正銘の部長だよー。
俺がいなくても、やっていける」と、言葉を口にしたー。
「ーーー部長ー」
少し驚く平間部長(由香里)ー
確かにー、
”平間部長”の評判は、平間部長が平間部長出会った頃よりも
大幅によくなったし、正直、業績も上がっているー。
中身は入社3年目の由香里であることは事実だが、
既に”平間部長”など、とっくに超えているー。
経験不足はあれど、それはカバーしていけばいいー。
「ーーもちろん、断るのも引き受けるのも、宮森ー。
お前の自由だー。
けど、俺はお前はもう、十分”部長”してると思うしー、
俺は、お前がどっちを選んでも、応援するー」
由香里(笹岡部長)がそんな言葉を口にするとー、
平間部長(由香里)は、
「部長も、変わらないですねー」と、
この前言われた言葉を返したー。
「身体は変わってもー
立場が部長じゃなくなっても、
やっぱり部長は、わたしにとってずっと部長ですー」
そんな風に、平間部長(由香里)が微笑むと、
少し照れくさそうに由香里(笹岡部長)は
「ーいやいややめてくれー。
宮森の身体を奪って生きようとしたような人間なんだから、俺はー」と、
言葉を口にしたー。
「ー死にたくない気持ちは分かりますよー。
わたしだって、笹岡部長の身体になって、イヤというほど
その気持ちを味わいましたからー」
平間部長(由香里)は、
心底、笹岡部長のことを恨んでいない様子だったー。
それは、ありがたいとは思うー。
けれど、どんな”クズ”のような男だったとはいえ、
他人を身代わりにしたのは事実ー。
由香里(笹岡部長)はそのことは永遠に罪として背負っていくことを
改めて心の中で決意するのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月末ー。
平間部長(由香里)は、
転勤を受け入れることにしたー。
飛ばされるわけではなく、
自分の力を必要とされての転勤ー。
別に、仕事人間になるつもりはないし、
出世を目指しているわけでもないー。
”早く定年退職したい”気持ちは変わらないー。
けれど、やる気なく働いていても、
一生懸命働いていても、定年退職までの時間は
変わらないのだからー、と、入社1年目の頃から
仕事自体は一生懸命やってきたー。
「ーーわたし、知らない場所に行くの、結構好きなので!」
最終日ー。
平間部長(由香里)が、由香里(笹岡部長)に
そう言い放つー。
「ーーはははー、それはよかったー」
由香里(笹岡部長)がそう言うと、
平間部長(由香里)は満足そうに微笑みながら歩くー。
「ーじゃあー、部長も頑張ってください。
わたしの身体でー」
平間部長(由香里)が言うと、
由香里(笹岡部長)は
「あぁ、絶対にー君の身体を雑に扱ったりはしないよー約束する」と、
力強く頷いたー。
「ーーー…Hなことは、ほどほどにして下さいね?」
平間部長(由香里)が少し悪戯っぽく笑いながら言うと、
「え、え、えっ!?い、いや、な、な、なにも!?」と、
由香里(笹岡部長)は露骨に慌てた様子で言うー。
特にー、由香里の人生が壊れるようなことはしていないし、
悪いこともしていないー
ただ、自分が男であった時と同じように、
時々、一人で済ませることは…正直、しているー。
「ーーーえ~?ほんとですか~?」
平間部長(由香里)がそう言うと、
「ーーえ……いや…その…少し一人ですることは…」
と、顔を真っ赤にしながら答えたー
「ーーあはは…冗談です冗談ー
わたしもこの身体で全くしないわけじゃないですし、
誰でもそういうことはありますから、気にしないでくださいー」
平間部長(由香里)はそれだけ言うと、帰りの電車が来るホームの方に
向かっていくー。
「ーーあ、そういえばこの前、
加齢臭に効くボディソープ見つけたんですよ~
試したらだいぶマシになりました!」
平間部長(由香里)が嬉しそうに言うー。
「ーーーーはは、それは良かったー」
由香里(笹岡部長)はそう返事をしながらもー
”ーーだんだん、分からなくなって来たんだなー”と、
心の中で呟くー。
正直、”平間部長”の加齢臭は消えてはいない。
不快な感じではないが、加齢臭は”する”のだー。
だが、”自分”からそのニオイが常にしていれば
人間、だんだん分からなくなるー。
平間部長(由香里)も、自然と自分の加齢臭になれてしまったのだろうー。
逆にー
”若い女”の身体になった由香里(笹岡部長)からすると、
それが前よりも妙に気になるようになったー。
「ーーー宮森ー、こうなったこと、本当に後悔していないか?」
ふと、そんな言葉を口にする由香里(笹岡部長)
「ー元はと言えば、全部俺のせいだー。
これから先も、何かできることがあれば、何でもするからー
いつでも言ってくれ」
由香里(笹岡部長)はそう言うと、
平間部長(由香里)は静かに笑ったー
「ー定年までの時間が約20年、縮んだんですからー
嬉しいに決まってるじゃないですかー
わたしは今すぐにでも、”定年退職”したいんですから」
平間部長(由香里)の言葉に、
少しだけ笑うとー、
「やっぱー、誰の身体になっても、宮森は宮森だなー」と、
笑いながら言葉を口にしたー
「あははーーー」
平間部長(由香里)はそう言うと、
「じゃあ、これからも分からないことがあったら色々聞くと思いますけど、
よろしくお願いします」と、頭を下げるー
「あぁー…俺も、身体のことで分からないことがあったりしたら
また、聞くよー」
その言葉に、平間部長(由香里)は笑うと、
そのまま電車の方に向かって歩き出したー。
「本当に、ありがとうなー」
自分が今、”この世界”にいることができるのはー
由香里のおかげだー。
命の恩人である彼女への感謝とー、
そして、悪人だったとは言え、結果的に笹岡部長の身体で
身代わりになって貰う形となった平間部長への謝罪ー。
その二つの気持ちを忘れずに、
これからも生き続けていくことを、
由香里(笹岡部長)は改めて決意するのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
「1年で定年退職します」の後日談でした~!☆
ツイッターの方で見たい!というお声を頂いたので
こうして書いて見ました~!
(※リクエストは受け付けていませんが、続編希望は
叶えられるものは叶えることもあります~☆!
…無理な場合はごめんなさい!)
その後の二人は…
平和的な感じに、
時が流れている状態ですネ~!
まだまだこの先も壁にぶつかることもあるかもしれませんが、
二人の穏やかな日常が続くことを祈るのデス…!
お読み下さりありがとうございました~☆!
コメント
続けがこんなに早く見れると思わなかったので続きが見れて良かったデス(*´・ω・`)b
笹岡部長と由香里のなんともいえない関係性や信頼性がいいですよネ☆
冗談もいい合えるし笑
由香里ちゃんみたいな娘と入れ替わりたいデス笑
自分ならOLしながらレースクイーンのオーディション受けてまずら週末レースクイーンになってOL辞めて本格的にレースクイーンになりますネ笑
もちろん自分磨きもしますしオシャレもしますしエ◯チなこともしますけどネ( *´艸`)笑
ありがとうございます~!☆
二人には不思議な信頼関係が…☆!
レースクィーン活動をスタート…☆!
きっと、由香里本人もびっくりしちゃうのデス~笑