”とにかく働きたくない!”
いつも、そう思いながら働いていた入社1年目のOLー。
そんな彼女に定年退職を迎えた部長が
”身体を入れ替えること”を提案ー、
お互いに同意の上で二人は身体を入れ替えて、
生活し始めるー。
そんな二人の”その先”の物語ー…
※「1年で定年退職します」の後日談デス!
先に本編のほうからお読み下さい~☆!
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入社1年目のOL・宮森 由香里(みやもり ゆかり)は
とにかく”働きたくない”と、そんな風に考えているOLだったー。
仕事はそれなりにこなすものの、
とにかく、毎日のように”働きたくない!”と、愚痴っているー。
そんな子だったー。
そんな彼女に対してー、
今年で定年退職を迎えることになっていた部長・
笹岡 和則(ささおか かずのり)が
彼女に”入れ替わり”の話を持ち掛けたー。
「ー今すぐ”定年退職”できる方法が、一つだけあるーー
と言ったら、宮森さんはどうする?」
とー。
20代の由香里が、一気に60代の身体になるー。
普通であれば、断るであろうその提案を、
”とにかく定年退職したかった”由香里は、
受け入れたー。
その結果、二人はお互いに同意の上で
笹岡部長が用意した入れ替わり薬で入れ替わったー。
笹岡部長になった由香里は、
定年退職後の自由な生活もー、
独身生活で蓄えていた貯金も、退職金もー
全てを手に入れー、
悠々自適と”定年退職後”の生活を送り始めたー。
もちろん、事前に笹岡部長から
”人生40年分ぐらい損をする”ことは説明を受けていて、
それも理解・覚悟した上での入れ替わりだったー。
がー…
笹岡部長が由香里と入れ替わろうとしたのは
それが本当の目的ではなかったー。
笹岡部長は定年退職を前に、”余命宣告”を受けており、
”死にたくない”という思いから、入れ替わり相手を探していたのだー。
そのことを知り、絶望する笹岡部長(由香里)ー。
しかし、由香里になった笹岡部長は、
元々真面目な性格で、部下からも慕われているようなそんな性格ー。
”自分の代わりに死ぬ”
由香里のことを見捨てることが出来ずー、
”ある行動”に出たー。
それは、笹岡部長の後任で、パワハラ上司の平間部長を巻き込んだ行動ー
平間部長に入れ替わり薬を飲ませて、
病院で今、まさに息を引き取ろうとしていた笹岡部長(由香里)にも
入れ替わり薬を飲ませることでー、
由香里を平間部長と入れ替えて、助けたのだー。
結果ー、
死んだのは、”笹岡部長の身体になったパワハラ部長の平間部長”だったー。
「ーあいつは、俺がいなくなったあとのみんなに
パワハラとかセクハラを繰り返してー
みんなを苦しめていたしー、
プライベートでも散々な奴だったー
もちろん、だからと言って許されるわけじゃないー。
でも、俺は人の身体を奪って生きようとした悪党だー。
どうせ悪党は悪党ならー、
平間部長のようなやつより、君を生かした方がいいと、
そう、判断したー
俺は悪党だー。
言い訳はしないー。
でもー、悪党は悪党でも、俺なりに良い方を選んだー」
そんな言葉と共に、全てを打ち明けて、
残っていた入れ替わり薬で由香里の身体を返そうとした笹岡部長。
しかしー…
由香里はそれを断ったー
”平間部長の身体なら、定年までの時間が20年ぐらい減りましたよね!!”
とー。
こうして、平間部長(由香里)と、由香里(笹岡部長)の
”入れ替わったままの新しい人生”が始まったー。
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「ーーおはようございますー」
由香里(笹岡部長)が、入社”2年目”の由香里として
周囲に挨拶をするー。
あれから少し時は流れー
入社1年目だった”由香里”も、入社2年目を迎えたー。
「ーおはようございます」
平間部長(由香里)が、由香里(笹岡部長)に気付くと
すぐにそう挨拶をするー。
「今日は、この書類をお願いできますか?」
平間部長(由香里)がそんな言葉を呟きながら
書類を手渡すと、由香里(笹岡部長)は「分かりましたー」と
返事をして、それを受け取り、デスクに向かうー。
「ーーーー宮森さん、部長に気に入られてますよね」
男性社員の石沢がそんな言葉を口にするー。
由香里(笹岡部長)は「えっ…えっ?そ、そうですか~?あはははは…」と、
誤魔化すような言葉を口にするー。
そう見られてしまうのも、当然と言えば当然かもしれない。
平間部長の中身は”由香里”ー
そして、由香里の中身は”笹岡部長”ー
今の平間部長からすれば、
”由香里”は「元・わたし」だー。
”二人だけが知る秘密”がある以上、
色々と話すこともあるし、関わることも多いー。
また、平間部長(由香里)からすれば、
やはり、由香里(笹岡部長)が一番話しかけやすいのか、
何かと仕事をお願いして来ることが多いー。
「ーーーーー(あぁ~…緊張する…)」
平間部長(由香里)は”部長”として振る舞いながら
そんな風に思うー。
デスクのパソコンで”次はどうすればいいですか?”と、
”由香里のパソコン”に、メールを送るー。
”次は、高沢(たかざわ)に、例の件をお願いしておいたほうがいいな”
由香里(笹岡部長)はそんな返事を出すー。
入れ替わってから数か月ー。
由香里もだいぶ”部長”として振る舞えるようになったもののー
まだまだ”由香里(笹岡部長)のサポートが必要な状態だ。
だが、二人とも
表向きは”入社2年目のOL”ー、
そして”部長”として働く必要があり、
こうして陰でやり取りをしているー。
「それにしても部長、本気で反省してるんじゃない?」
昼休みー。
1年先輩のOLが、由香里(笹岡部長)に対してそんな言葉を
口にするー
「ー確かに、最近はすっごくいい人になりましたよね~」
由香里(笹岡部長)は、”由香里として”そんな振る舞いをするー。
平間部長は元々は”酷い”と表現するのが最も
適しているような、そんな部長だった。
パワハラとセクハラを併せ持ち、プライベートでも問題を起こしていた、
そんな部長だー。
だが、あのあとー、
平間部長になった由香里は、部署の社員全員の前で
土下座して謝罪ー。
これからは心を入れ替えることを宣言しー、
今に至るー。
当然”中身”が変わったのだから、
平間部長が別人のように変わるのも当然なのだが、
”入れ替わり”のことを知らない周囲が、
そんな風に思うのは無理もなかったー。
(しかし、やっぱ、宮森は凄いよなー)
由香里(笹岡部長)は、仲間のOLとランチを食べながら
そんなことを思うー。
”とにかく定年退職したい”
彼女の願いは、それだけだー。
そして、その欲望に恐ろしいほどまでに忠実でー、
あの時、20代の自分の身体を、60代のおじさんである自分に差し出すという
決断を本当にした時も驚いたが、
そのあとも驚かされっぱなしだー。
”平間部長の身体になったから、定年までの時間を20年も得しましたし、
土下座することぐらい、何てことありませんよー”
と、ためらいもなく社員たちの前で土下座して、
”会社で孤立している平間部長”から、”何となく許してもらえた平間部長”へと
変身を遂げたー。
”このままの方が、ここに居づらいですしー
わたし、何も悪いことしてないですけど、平間部長の代わりに土下座しちゃいます”
などと笑ってたー。
(いやぁ、そうまでして定年退職したいとはすごいよなぁ)
由香里(笹岡部長)がそんなことを考えていると、
ふと、少し年上のOLが言葉を口にしたー
「由香里ちゃん、平間部長のこと好きだもんねー」
とー。
「ーぶっー…!?」
飲んでいたお茶を噴き出してしまう由香里(笹岡部長)ー
「えっ…!?えっ!?わ、わた、わたしがー!?」
由香里(笹岡部長)は色々な意味で顔を真っ赤にするー。
「どどどどどどど、どうしてそうなるんですか?!」
由香里(笹岡部長)は明らかに動揺した様子でそう叫ぶー。
別に”好き”という感情はないー。
そもそも、女の身体になったとは言え、
”まだ”今の時点では由香里(笹岡部長)の恋愛対象は女性だと思うー。
元々、独身であったために、女性に対する恋愛感情もそんなに強くは
ないものの、少なくとも今のところ、
自分が男を好きになる、ということは想像できないー。
それでも、激しく動揺したのは、
当然”平間部長の中身が、この身体の元持ち主ー”由香里であるからだー。
「え~?だって、ほら、由香里ちゃん
平間部長とよく話してるじゃない?」
年上のOLが笑いながらそう言うと、
一緒にいたもう一人のOLも
「うんうん!みんなそう思ってるよ」と、言葉を口にするー。
「えっ…ええ~~…」
戸惑う由香里(笹岡部長)
”女子ってこんなすぐに好き扱いされちゃうのかー?
いやー、確かに平間の中身は宮森だからよくしゃべるけど”
笹岡部長は心の中でそんなことを思いつつも、
とりあえず笑ってごまかすと、
深呼吸をしながら、
「そ、そんなことないですよ」と、
その場にいた他のOLたちに言い放ったー。
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”少し、お話いいですか?”
平間部長(由香里)から、そんな相談を受けて
仕事後に合流するー。
「ーーー待たせて悪かったなー
ちょっと”先輩”に捕まっちゃってー」
由香里(笹岡部長)がそんな言葉を口にしながら
疲れた様子で”男のような”座り方をするー
「人前では、女性っぽくしないといけないから
常に気を張ってて、疲れるよー」
苦笑いする由香里(笹岡部長)
平間部長(由香里)は、そんな”元自分”を見つめながら
「あははー」と、笑うとー、
「ーそれで、相談なんですけどー」と、口を開くー。
「ーーーそのー
なんていうかー…」
平間部長(由香里)が少しだけ躊躇う様子を見せながら、
ようやく、言葉を続けたー
「ー平間部長の身体のーー
”おじさん臭さ”どうにかなりませんか?」
とー、そんな悩みを口にするー。
「ーーあぁ、はははー…
確かにー、宮森みたいな若い子には、おじさんのニオイは
きついかもなぁ…」
由香里(笹岡部長)が、そう言うと、
「宮森と入れ替わってから、いいにおいになったって言うかー、
加齢臭みたいのは消えたしなー」
と、由香里(笹岡部長)は、つい自分の服のニオイを嗅ぐ仕草をするー。
「ーあっ、いや、すまんー別に変な意味じゃー」
由香里(笹岡部長)はすぐに顔を赤らめるー。
特に下心はなくて、”自分が臭くないかどうか”試す意味での
動作だったが、”元・本人”の前でそれをしたことに
咄嗟に謝罪の言葉を口にするー
「いえ、全然ー気にしないでくださいー
なんかこうー、おじさんのニオイを消す方法ってあるんですか?」
平間部長(由香里)の言葉に、
由香里(平間部長)は戸惑うー。
「ん~~~~…」
”加齢臭を消したい”と言われても、
正直、いきなりパッと消すような方法はないし、
笹岡部長自身、そこまで加齢臭が酷くなかったほう…と、
自分では思っているため、
シャンプーやボディソープ、加齢臭対策のグッズを使うことぐらいしか
試したことはなかったー。
もしかすると、自分で自分の”加齢臭”に
気付いていなかっただけの可能性も、
もちろんあるのだけれどもー。
「ーーー…ん~~…でも、確かにくさっ…」
由香里(笹岡部長)がそう呟くー
平間部長の身体が、笹岡部長の身体よりも臭いのかー、
それとも、自分が加齢臭のしない身体になったことで敏感になったのかー、
あるいは、由香里の身体の嗅覚の方が、敏感なのかー。
どの理由かは分からないー。
しかし、確かに平間部長(由香里)の加齢臭が気になることはあったー。
「ー加齢臭って思ったより厄介なんですねー」
平間部長(由香里)がそう言うと、
由香里(笹岡部長)は「すまんなー…」と、身体を入れ替えてしまったことを
今一度お詫びしたー。
「いえ」
だが、お詫びの言葉を聞いた平間部長(由香里)は微笑むー。
「わたし、入れ替わったこと自体は後悔してませんし、
前も言いましたけど、ホラ、平間部長の身体なら
20代から40代にショートカットできたじゃないですか?
定年までの時間が半分ぐらいに!」
平間部長(由香里)が嬉しそうに笑うー
「ーーはははは…ホント、宮森は前向きだなぁ」
笹岡部長は、由香里からすれば
身体をだまし取ろうとした相手のはずだー
それでも、こんな風に信頼してくれるなんてー、と、
思いつつ、
由香里(笹岡部長)は「とりあえず、加齢臭に効くやつ、色々探してみよう」と、
前向きな言葉を口にしたー。
<後編>へ続く
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コメント
「1年で定年退職します」のその後の物語デス~!
これまでの流れを説明するのに
少し時間をかかってしまいました~笑
(ちゃんと新しく書いてはいるので、手抜きではないのデス…☆笑)
加齢臭…☆
男女問わず出る人は出るみたいなので、
私も将来、悩まされるときが来ちゃうかもしれないですネ~…!
コメント
「1年で定年退職します」の続編決まった時点で楽しみに待ってました♪♪
若い男性や女性でも加齢臭する人いますよネ( ;∀;)
カラダの内面から体質改善すり方法がいいと思います☆
入れ替って月日経ってますけどサポートがまだ必要なんですネ!
自分も入れ替わったら無名さんにサポートしてもらいますけどネ笑
ありがとうございます~~!☆
まだまだどうしても、
相手のサポートがないと大変なことも
色々とあるようデス…!
リクエストはダメでも憑依空間内でのこの作品の続編書いてはありですか?
コメントありがとうございます~!☆
続編の希望は、実際に書くこともあるので
続編を書いてほしい作品があればお気軽にどうぞ~!☆
(※トラブル防止のため、内容の指定はできません~!続編の内容は私にお任せになります~!)
ただ、あとがきにも書いてある通り、必ず実現できるとは限らないので
(内容的に続きがもう書けない作品とかもあるので)
できなかった場合は許してくださいネ~!