<???>エイプリル・ダークネス

2023年、エイプリルフール。

嘘渦巻くその日に、
隠されたTSFな真実とはー…?

※TSF関係のお話ですが
作品の都合上、憑依なのか入れ替わりなのか皮なのか、女体化なのか、
それともその他なのかは事前にお知らせできないお話デス~!(ネタバレしちゃいます★)
何が起きるのかも含めて、楽しんでくださいネ~!

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2023年4月1日ー。

今日は、エイプリルフールー。

大学生の春休みは、長い。
もちろんその間ずっと寝て暮らすことは出来ないがー、
高校生までの春休みと大学生の春休みは、一味違うー。

そんな、春休みを十分に堪能して、
彼の通う大学は春休みの期間が3月末で終わりのため、
久しぶりに大学にやってきた男子大学生・倉嶋 洋輔(くらしま ようすけ)は、
少し眠そうにあくびをしていたー。

「お、洋輔!」
そんな眠気を打ち消す騒がしい声が聞こえて
やってきた男子のほうを見つめる洋輔ー

やってきたのは、同じ大学に通う友人・智樹(ともき)ー

「ーーおう、智樹ー
久しぶり」
洋輔がそれだけ言うと、智樹は少しだけ困惑したような表情を浮かべるー

「ん?どうしたんだ?何かあったのか?」
洋輔がそんな智樹に気付いて、言葉を投げかけると、
智樹は悲しそうに言葉を口にしたー。

「実は俺ー…瀬澤(せざわ)さんと喧嘩しちゃってさー」
智樹が悲しそうに言うー。

瀬澤さんとは、
智樹の彼女、瀬澤 美姫のことだー。

「えぇっ!?け、喧嘩!?あの瀬澤さんと!?」
洋輔がそんなリアクションをすると、
「そうなんだよー…瀬澤さん…浮気しててさー
問い詰めたら逆ギレされちゃってー」
と、智樹が言葉を口にしたー

「マ…マジかよー
あの優しさの塊みたいな瀬澤さんが浮気して逆ギレー!?」

大学内で見る美姫は、とても穏やかで優しそうな雰囲気の持ち主だ。
とても、浮気などするようなタイプには見えないー。
そんなギャップを想像しながら、少しドキドキしながら
「ーっていうか、それは喧嘩というより、どう考えても瀬澤さんが
悪いよなー」と、苦笑いしながら洋輔が言い放つー。

親身になって落ち込む智樹の相談に乗っていると、
やがて、智樹が急に笑い出したー

「ぷはははははっ…お前は本当に単純なやつだなぁ!」
とー。

「ーは?」
洋輔が首を傾げると、
智樹が言う。

「今日は何月何日だ?」

「え?4月1日ー」

「ー4月1日って何の日だ?」

「新年度ー」

洋輔がそう答えると、
智樹は「いやぁ、まぁそりゃそうだけど、ほら、エイプリルフールってやつあるだろ」と笑うー。

「瀬澤さんが浮気なんてするわけないだろ~?
お前のことだから、引っかかると思ったら、案の定だー」

洋輔はお人好しー…というより騙されやすいタイプで、
小さい頃からエイプリルフールネタによく騙されて、笑われているー。

「おまっ!ふ、ふざけるなよ!?マジで瀬澤さんが浮気したのかと
思っただろ!?」

洋輔はそこまで言うと、

「っていうか、彼女の浮気とか、悪質な嘘すぎるだろ!?
一歩間違えたら瀬澤さんがそう思われるかもしれないぞ!?」

洋輔はそんなこと言いながら智樹の腕をぐいぐいと掴むと、
「た、確かに、悪かったよ!」と、詫びの言葉を口にしたー

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大学内で、入学当初から優しく面倒を見てくれて
サークルなどでも世話になっている
1歳年上の先輩、間宮 直美(まみや なおみ)の元に
やってきた洋輔は春休み明けで久しぶり、
ということもあり、色々と会話を交わすー。

「ーじゃあ、こっちでやっておくのでー
間宮先輩はその件をお願いしますー」

サークル関係の打ち合わせを少ししながら、
洋輔は、”春休み中に旅行に行った”のだと言う直美から、
その時のおみやげを受け取るー

「うわっ!なんかこれ高そうですねー
ありがとうございますー」
洋輔がそんな言葉を口にすると、嬉しそうに直美のほうを見つめるー

”間宮先輩”は、とても親切なため、洋輔も慕ってはいるものの
”恋愛関係”ではないー。
と、いうのも洋輔には高校時代からの彼女が既にいて、
その彼女との交際が現在も続いているため、
間宮先輩とは”友達”として親しくなることはあっても、
それ以上の関係に発展するつもりはないー。

高校時代からの彼女・麻由美(まゆみ)にも、
間宮先輩との間柄はちゃんと説明してあるし、
麻由美と間宮先輩の間にも面識が出来ていて、
後ろめたいことは何もないー。

純粋に先輩と後輩の間柄でー
仮に間宮先輩が男子であったとしても、洋輔は
同じように接しているだろうー。

「ーーふふ、倉嶋くんは”特別”だからー」
間宮先輩が微笑むー

「特別!?
いやいや、ダメですよー
俺には麻由美がいますしー
間宮先輩も知ってますよね?」

苦笑いしながら言うと、
間宮先輩は「ううんーそういうのじゃなくてー」と、首を横に振るー

「ー小さい頃、
わたしはが倉嶋くんで、倉嶋くんがわたしだったんだからー」
と、ニコニコしながら間宮先輩が言い放ったー

「ーーはいっ!?」
洋輔が思わず困惑するー

「ーふふー倉嶋くんってば、覚えてないの?
小さい頃、公園で偶然出会ったわたしと倉嶋くんがー、
滑り台でぶつかってー、
”入れ替わっちゃった”のー

本当だったら、倉嶋くんが”間宮尚美”で、
わたしが”倉嶋くん”だったんだからー」

そんな言葉に、洋輔は
ドキッとして尚美のほうを見るー

尚美は、とても綺麗で、落ち着いた感じのー
そう、”美人”と言えるような、そんな容姿の持ち主だー

”お、俺が間宮先輩ー?!”
一瞬変な妄想をしてしまったものの、
「って、それ、エイプリルフールですよね!」と、
すかさず指摘をするー

2度連続で騙されるわけにはいかないー

「ーあれっ!?バレちゃったー」
尚美が悪戯っぽく笑うとー、
「ほらやっぱり!」と、洋輔が笑いながら
「2度連続で騙されたりしませんよ?
さっきここに来るまでの間、ちょうど友達にも
ひっかけられましたから!」
と、言葉を続けるー。

「ーふふ、じゃあ、その”友達”の子の
嘘には引っかかったってことね?」

尚美が笑いながら言うと、
洋輔は少し恥ずかしそうに「ま、まぁ…それはー…はいー」と、
目を逸らしながら、言葉を口にしたー

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大学での1日が終わり、
帰りに彼女の麻由美と合流するー

麻由美とは、通っている大学は異なっているものの、
高校卒業後も、その関係性が壊れることはなく、
今もこうしてよく会っているし、
連絡も取り合っているー。

麻由美がいつものようにやってきて、
洋輔に手を振るー。

お互いの大学帰りのちょうどいい場所にあるお店で
いつものようにご飯を済ませる二人ー。

麻由美は、笑いながら楽しそうに色々な話をしているー
洋輔も、そんな麻由美と楽しく雑談を続けながら、
改めて”俺にこんな彼女がいるなんて、本当に幸せだな”と、思うー。

高校に入って、2年生の時に麻由美と付き合い始めるまでは、
恋愛経験もなかったし、
正直、洋輔自身は”どこにでもいるようなタイプ”だー。

恋愛に対して積極的でもなかったし、
この年齢までずっと恋愛経験なしでもおかしくはなかったし、
何なら一生恋愛経験がなくても不思議ではなかったー。

だが、運が良かったのだろうかー。
こうして、麻由美と巡り合うことができて、
今もこうして、一緒にいるー。

しかしー
楽しそうに雑談をしていたその時だったー

突然、麻由美がピクッと震えるー。

「ーん?どうかした?」
洋輔が、不安そうに麻由美のほうを見つめると、
麻由美は突然ニヤッと笑みを浮かべたー

「ーー”この女”の身体、ゲット~…」
不気味な低い声ー

「えっ…!?」
洋輔は、麻由美の突然の豹変に驚くー。

ニヤニヤと笑みを浮かべた麻由美は、
そのまま「ーークククー”お前の彼女”は俺のものだー」と、
小声で言い始めるー

洋輔はそんな麻由美を前に
「えっ!?えっ!?エイプリルフール!?」と、首を傾げながら言うと、
麻由美は、ニヤニヤするのをやめて「バレるのはやっ!」と、
ツッコミを入れたー

麻由美は悪戯好きな一面もあり、高校時代は演劇部に所属していたー
それ故の”嘘”ー。

「ーーえっ!?って、バレるの早くないー!?」
麻由美がそんなことを思いながら少し不満そうにすると、
洋輔は「大学で散々、みんなに騙されそうになったからー」と、言いながら
”もう騙されないぞ!”と、笑うー。

「ーーえ~~~~~…」
麻由美は少しの間、どうしようか迷っている様子だったものの、
「ざんねんー…」と
ガッカリした様子で首を横に振ったー。

「ーーはははー、残念だったな~
と、いうかエイプリルフールって午後は嘘ついちゃいけないんじゃ
なかったっけ?」

笑いながら洋輔が言うと、
麻由美は「え~?それは一部で言われてることじゃなかったっけ?」と
首を傾げながら笑うー。

スマホでエイプリルフールについて調べながら麻由美が
「ほら~!所説あるみたいなこと書いてある~!」と言うと、
洋輔は笑いながら「うわっ!ホントだ~!」と、麻由美と
楽しそうな時間を過ごすー。

何故、エイプリルフールの嘘を”憑依”なんて
とんでもない嘘をついたのか試しに聞いてみると、
少し前に友達とホラー映画を見た影響、と言っていたー。

確かに、麻由美の友達にはホラー映画好きがいたような気がするー。

エイプリルフールの話から、他の話まで、
色々な話をしながら盛り上がる二人ー。

そしてーー
今年のエイプリルフールも、終わりを告げたのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”本当は、嘘じゃないんだけど…ねー”

少し笑みを浮かべるー。

「ー小さい頃、
わたしはが倉嶋くんで、倉嶋くんがわたしだったんだからー」

あの言葉はーー
”嘘”じゃないー

洋輔の先輩である、間宮尚美はー、
小さい頃は確かに、倉嶋洋輔だったー。

だがー
小さい頃、公園の滑り台で下にいた尚美に
洋輔がぶつかってしまい、
身体が入れ替わってしまったのだー。

しかしー、
二人ともまだ小さかったー。

辛うじて”尚美になった洋輔”の方はそのことを覚えているが、
”洋輔になった尚美”の方は、そのことを全く覚えていない様子だったー。

”入れ替わったこと”を覚えている尚美(洋輔)は、
”元自分だから”こそ、洋輔(尚美)に特別親切にしていたし、
親しみを感じていたー。

だが、”あっち”は、その素振りを全く見せず、
エイプリルフールの今日、
”それとなく”入れ替わりの話題を出してみたのだー

だが、洋輔(尚美)であるはずの今の洋輔は言ったー

”って、それ、エイプリルフールですよね!」

「2度連続で騙されたりしませんよ?
さっきここに来るまでの間、ちょうど友達にも
ひっかけられましたから!”

とー。

あの反応はー
”やっぱり”完全に覚えていない反応だー。

覚えていないなら、それでいいしー、
彼を混乱させるつもりも、ないー

「ーわたしだって、ずっとこの身体で生きて来たからー
今更男子になったって、ちゃんと適応できるか分からないしー
元に戻りたいわけでもないしー…」

尚美(洋輔)は呟くー。

洋輔(尚美)からしても、
幼少期に入れ替わったことをそもそも覚えていないのなら
”あなたは本当は尚美なの”と、言われても困惑するだけだろうー。

「ーーーー…覚えていないなら、覚えていないでー
その方が、いいものねー」

尚美(洋輔)はそう呟くと、
”本来は倉嶋洋輔として生きるはずだった人生”ー
もしも、そうなっていたらどうなっていたんだろうなぁ…と、思いつつ、
自分も、洋輔も今、不幸なわけじゃないし、これで良かったのかも、
と、

”遠い昔の入れ替わりの真実”を暗闇の中に葬り去る決意をして、
明日以降も、今まで通り過ごすことを決意するのだったー。

おわり

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コメント

今年の”嘘”の中に隠された真実は入れ替わりでした~☆

ジャンル「???」で、入れ替わりなのは
意外と珍しかったかもしれませんネ~!☆

”ダークネス”は「闇」の意味を持つ言葉なので、
”入れ替わりの真実をエイプリルフールの日に闇に葬り去る”
ことから、名付けたタイトルでした~☆

お読み下さりありがとうございました!!

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