<入れ替わり>1年で定年退職します①~働きたくない~

”とにかく働きたくない!”

そんなことを毎日考えていた入社1年目のOL…

しかし、そんな彼女に定年退職を迎えた部長が
とんでもない話を持ち掛けて来た…。

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「長い間、お疲れ様でした」

写真の何人かが、部長にそんな声をかけているー。

今日は、今年で定年退職となる
部長の笹岡 和則(ささおか かずのり)の
最後の出勤日だったー。

そのため、笹岡部長の元で働いていた社員が
朝から、笹岡部長にお礼の言葉を述べたり、ねぎらいの言葉を
述べたりしているー。

社会人1年目のOL、宮森 由香里(みやもり ゆかり)も、
笹岡部長のことは嫌いではなかったし、
笹岡部長が定年退職することによって、
明日からは新しい部長が配属されることになっており、
その方が、不安だったー。

笹岡部長は、穏やかな性格の部長で、
パワハラもなければ、セクハラもないー。
部下がミスをした時には、部下を叱責はしながらも、
最終的な責任は自らが背負い、
部下と一緒になって謝ってくれるー

そんな、人望のある部長だー。

けれど、笹岡部長の後任として着任する予定の
平間(ひらま)部長が、笹岡部長のように人望のある人間とは限らないー。

”上司”一人で、職場の雰囲気は大きく変わるー。
それなりに平和だった社会人1年目の今年の環境が壊れてしまうかもしれないことを
由香里は少し、不安に思っていたー

「ーーはぁ~~~~」
お昼を過ぎて、ため息をつく由香里ー。

「ーははは、相変わらず”定年退職”したいって顔だなー」
由香里のため息に気付いた笹岡部長が笑うー。

「ーーもちろんですよぉ~!
 今すぐにでも退職金を貰って定年退職したいですよ~!」
笑いながらそう言い返す由香里ー。

由香里は”とにかく働くのが大嫌い”な性格で、
仕事となれば、仕事はそつなくこなすため、
上司や会社からの評判は悪くないものの、
とにかく、”はたらきたくない!”と、いつも口にしているー。

入社した直後に”人生40年ぐらいショートカットして定年退職したいです”と
指導役の先輩に言い放ったことから
”由香里=一刻も早く定年退職したい子”として、よくネタにされていたー。

「ーーははははー
 定年退職ってのもいいことばかりじゃないぞー。
 定年する年齢になれば、人生の残り時間も少ないわけだし」

笹岡部長が自分の机の書類や荷物を整理しながら言うと、
「え~いいじゃないですか~!」と、由香里は言葉を口にするー。

「ーーいやいやいやー…この歳になると、色々若い頃のようにはいかないし、
 宮森さんは、まだまだ先が長いんだからー
 時間を大切にした方がいいよ」

笹岡部長がそう言うと、
由香里は「あ~すぐにでも65歳になりたいぃぃ~」と、独り言を
呟きながら、ため息をついたー。

「ーーーーー」
笹岡部長はそんな由香里のほうを見つめながら
少しだけ表情を曇らせるー

そしてーーーー
”引き出し”の中に密かに忍ばせていた
”入れ替わり薬”と呼ばれる謎の薬を手に、
少しだけ笑みを浮かべたー

「ーーーーーー…」
この薬は、何年か前に、
海外の小さな会社と取引をした際に、
その取引相手が会議室に”忘れて行った”謎の薬だー。

その取引相手は数日後に帰国してしまい、
以降、連絡を取ることも困難になってしまったために
”いつでも返却できるように”と、
こうして笹岡部長は、自分の机にずっと保管してきたー。

この”入れ替わり薬”なるものが何なのかは分からないー。

だがーーー
箱に同封されていた添付書類を解読したところー
”飲んだもの同士の身体を入れ替えることができる薬”であると
分かったのだー。

日本語や英語で書かれておらず、
笹岡部長にとってあまり親しみのない言語で記述されていたために
これが正確な内容かは分からなかったが、
どうやらこの薬は”他人と自分を入れ替えることのできる薬”で
間違いなさそうだったー。

「ーーーー」

もちろん、得体の知れない薬であることには間違いないし、
あの時の海外の商社が”返してほしい”と言ってくる可能性も0ではないー。

だから、今までこの薬を使おうと考えたことはなかったー。

けれどー…

”これを使えば、俺は、まだー”
笹岡部長は引き出しを開いたまま入れ替わり薬が入った容器を見つめるとー
”宮森ならーーもしかするとー”と、少しだけ笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日1日の仕事が終わりー、
笹岡部長の送別会がこのあと、開かれることになったー。

ただ、笹岡部長は”参加は自由だから”と、部下たちに言い放ち、
”気軽に欠席しやすい環境”を作り出すなど、
最後までしっかり周囲に配慮できる部長ぶりをアピールした。

当然、働きたくない由香里は不参加ー。

そんな由香里を、笹岡部長は「ーーー宮森さんー」と、
申し訳なさそうに呼び止めたー

「ーーえ?送別会なら、欠席しますけどー…」
由香里がそう言うと、
笹岡部長は「もちろんー。それは分かってるよ」と、頷くー。

”今まで、お世話になりました”
と、再度頭を下げる由香里ー。

しかし、笹岡部長は、まだオフィスに残っていた他の社員に
「先に会場に言っててくれ」と、言い放つと、
由香里と二人きりになってから、由香里のほうを見つめたー。

「ー今すぐ”定年退職”できる方法が、一つだけあるーー
 と言ったら、宮森さんはどうする?」

そう、言葉を口にしながらー。

「ーーえ…??? え????」
流石に戸惑う由香里ー。

だが、「え…退職金も、貰えますか?」
と、由香里はすぐに食いつくー。

「ーーあぁ、もちろんー。
 もう再就職する必要もないし、
 貯金と退職金、年金だけで十分にやっていける環境だー」

笹岡部長のそんな言葉に、
由香里は「えぇ!?します!します!定年退職したいです!」と、
嬉しそうに叫ぶー

笹岡部長は思わず、そんな由香里の姿に苦笑すると、
「ーーただ、その代わり、65歳になってしまうとしたら、どうする?」と、
言葉を続けたー

”今すぐ定年退職することができて、退職金も普通に貰うことができる。
 しかし、20代前半の由香里はその代わりに65歳になってしまうとしたらー”

由香里は、どんな反応をするだろうかー。

笹岡部長は、期待と不安を抱きながら、由香里のほうを見つめるー。

だが、由香里は笑っていたー
「そんなの全然いいですよ~!いつも言ってるじゃないですか~」

とー。

「ははー…そんなに若いのに40年分以上、人生を無駄してでも
 今すぐ定年退職したいのか」

笹岡部長が笑いながら言うと、由香里は「もちろんです!」と、
嬉しそうに言うー。

「ーーーーー」

もちろん、由香里はこんな話を本気にしているわけではないだろうー。
冗談だと思い、そう言っているだけかもしれないー。

だがーーー

”話を持ち掛けてみる価値”はあるー。

「ーー俺と、宮森さんが”入れ替わる”ことができるとしたら、どうする?」
とー。

「え?」
由香里は、表情から笑顔を消して、
笹岡部長のほうを見るー

「あぁ、いや、変な意味じゃないー。」
笹岡部長はそう言うと、言葉を続けたー

「もしも、宮森さんと俺の身体を入れ替えることができてー
 宮森さんは俺になって、今日、定年退職を迎えて、退職金も手にして、
 俺の貯金も全部、手に入れることができるとしたらー、どうする?」

その言葉に、由香里は「な…何を言ってるんですかー?」と、
戸惑いながらもー
「もしー…もし本当にそんなことができるなら、わたしは部長の身体でも
 何でもいいので、定年退職したいですー」と、回答したー

”この子は、冗談じゃなく、本気で今すぐ定年退職したいんだー”

笹岡部長はそう確信すると、
「ーその方法が”本当にある”と言ったらー?」と、
いつもの穏やかな表情とは少し違う表情で、入れ替わり薬を机の引き出しから
取り出したー。

笹岡部長にとっても、これは勝負だったー
”このまま終わるか”
もう一度”若い頃から人生をやり直すことができるか”

その、瀬戸際だったー。

入社1年目の由香里に対して”身体を入れ替えないか?”と言っているのだー。
もしも失敗して変態扱いされれば、笹岡部長の人生は終わるー

いいやー、変態扱いされなくてもー
笹岡部長はー…

「ーーどういうことですかー?」
由香里の表情には、”怯え”の色も見えるー。
それは当然と言えば当然の反応だー。

だが、ここで引くわけにはいかないー。

笹岡部長は意を決して、全てを説明したー。

「ーーー本当にそんなことがー」
話を聞き終えると、由香里は呆然とした表情を浮かべたー。

「ーー君は一気に20代から60代になるー。人生を40年ほど失うワケだー。
 代わりに君は、一気に定年退職を迎えることができて、
 退職金と俺の貯金を手にして、悠々自適と老後を楽しむことができるー。
 社会人生活を1年で終えた上で、なー。

 俺は独身だから、家に誰かいるってこともないしー
 自由に過ごすこともできるはずだー」

笹岡部長が改めてメリットとデメリットを説明するとー、
由香里は笹岡部長のほうを見て「お願いします」と、頭を下げたー

由香里は”学生時代が終わったら人生終わったようなもの”と
そんな考えも抱いていたー。
友人はいるが、あまりそこに未練はないー。
どうせ、社会人になれば学生時代のようには遊べない、と、
そう思っていたからだー。

結婚にも、由香里自身は興味はない。

とにかくー、とにかく働きたくないのだ。

「一気に60歳になったとしても、10年で50年分遊べば
 全然いいじゃないですか~

 それより部長、本当にいいんですか?
 わたしと入れ替わったらまた、わたしの身体で40年以上、
 仕事することになるんですよ?」

由香里はそこまで言うと、
「あ、わかった!部長、わたしの身体で変なことするつもりですか~?」と、
少し意地悪な笑みを浮かべながら言い放ったー。

「ーえ、い、いやー、
 別に俺は相手が男の子でもよかったんだけどー
 こんな話、OKしてくれるの俺の知る中では
 君しかいないしー」

笹岡部長はそう言い放つー。

由香里は「確かにそうですね」と笑いながら頷くー。

全国探せばいるとは思うが、笹岡部長の周囲には確かにいない気がするー。

「ーあ、まぁ、入れ替わったらわたしにはもう関係ないですしー、
 好きにして下さいー」

由香里は割とあっさりした考えの持ち主のためー、
そんなことを口にするー。

笹岡部長の感じだと、”人生破滅するようなこと”はしないだろうー。
だったら、好きにすればいいと思うー

”わたしはわたしで、定年後の楽しい人生”を堪能するからー。

由香里はそう思いながら部長に改めて”お願いします”と言葉を
口にすると
笹岡部長は「俺も”自分の身体”で最後の1日を過ごすから
君もやり残したことがあったら、やっておくといいよ」と、
穏やかな笑みで言い放つと、明日会う約束をして
送別会の会場へと向かったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして翌日ー。

二人は朝早くオフィスにやってくるとー
そのまま”入れ替わり薬”を飲んで
身体を入れ替えたー

「ーーじゃあ、わたしの身体、宜しくお願いしますー
 お仕事頑張ってくださいー」

笹岡部長になった由香里がそう言うと、
由香里になった笹岡部長が髪を気にする様子を見せながら
「ーーじ、自分にそう言われると変な気分だなぁ」と、笑ったー。

そんな様子を見て、笹岡部長(由香里)は
少し苦笑いしながら、
「ーあ、髪、邪魔でしたらショートにするといいと思いますよ?」と、
言い放つと、由香里(笹岡部長)は「ー長い方が好みだったけど、
自分がそうなると、迷うなぁ」と、笑ったー。

「ふふー、長いと手入れは面倒かもですね」
笹岡部長(由香里)が笑うー。

「ーあ、そうそう男の身体で過ごす時だけどー」
由香里(笹岡部長)がそう言い始めると、
お互いに”相手が知らなそうな注意点”の情報などを交換してー
由香里(笹岡部長)はそのまま”由香里”として仕事をするためにオフィスに残りー、
昨日、最終出勤日を既に終えた笹岡部長になった由香里は、
そのまま”笹岡部長”として”笹岡部長”の家に帰宅していくー

こうして、由香里は
社会人生活を最初の1年のみで終えて
”1年で定年退職”を迎えたのだったー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

今回は入れ替わりまでが中心でした~☆!

入れ替わり後のお互いの生活と、”何か”は、
明日以降のお楽しみデス~!☆

コメント

  1. TSマニア より:

    由香里のカラダと入れ替わった部長うらやましいです笑

    自分も若さの方を選びます!

    由香里みたいな入社1年目のピチピチボディのOLと入れ替わりたいです笑

    どんな結末になるか楽しみです!

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      私も部長のような年齢になっていたら、
      相手が男女どちらでも入れ替わりたいですネ~笑

      • TSマニア より:

        私は由香里みたいな女の子と入れ替わりたいです笑

        髪長くて大変ですが服装に合わせてヘアアレンジしたりメイクしたりカラコン入れてみたいです笑

        もちろんミニスカやショーパン履いてオシャレに着こなして女の子のオシャレ楽しみながら女の子じゃないと行けないオシャレなカフェとか行ってみたいです笑

        • 無名 より:

          笑~☆
          私の場合は次にどっちを体験するか迷っちゃいます~☆

          髪で遊ぶ(?)のは楽しいですよ~☆!