女体化怪人による
人類女体化の計画を阻止することはできなかったー。
”女体化率100%”ー
ついに、悪の組織ブラックシップの計画は達成されてしまったー。
人類の運命は…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ご苦労だったな」
悪の組織・ブラックシップの指揮官、コマンド・ドリーが
そう言い放つと
「ーありがとうございます」と、女体化怪人ティエスが
笑みを浮かべながら答えたー。
母星にいる皇帝から派遣された、
皇帝直属の怪人であるティエスを前に、
コマンド・ドリー配下の三大幹部は表情を歪めるー
「へへへ…だから言っただろ?
前線の幹部殿は揃いも揃って無能ばかりだと」
ティエスの挑発に、
三大幹部、
ダーク・スリー、クィーン・ツー、デビル・ワンの三人は
不快そうな表情を浮かべるー。
しかし、そうは言っても、ティエスによる
女体化計画が完遂したのもまた事実。
「ーーこれで後は、人類が勝手に滅亡するのを待つだけさ」
ティエスが言うと、クィーン・ツーは不満そうに
「けど、100年近く待たされるのよね?」と、呟くー
「ー大したことないだろうがー
俺たちの寿命は長い。じっくり待てば100年なんて
あっという間さー。
結果ー、俺たちはこれ以上、一切の被害もなく
地球をわが物にすることができる」
ティエスがそこまで言うと、
「本当に、見落としはないのだろうな?」
と、慎重派の幹部・デビルワンが言葉を口にするー
その言葉に、幹部のダーク・スリーが自身のサーチ能力で、
今一度”男”が残っていないかどうかを確認するー
ダーク・スリーのサーチ能力は非常に強力で、
”惑星全体”を確実にサーチする能力を持つー
”0”
生存している”男”は既に地球上に存在しないー
そのことを再確認すると、ダーク・スリーは
「まぁ、間違いなくもう男は残っていない」と、デビル・ワンに報告したー
「ククククククー
皇帝陛下にも一度地球をご覧に入れることにしよう」
ティエスがそう言うと、前線指揮官のコマンド・ドリーは
静かに頷き、怪人たちは勝利の祝杯をあげ始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーなぁなぁ、俺たちみんな女になっちゃったってことはー、
もう、子供も生まれないってことだよなぁ?」
女体化した元男子が呟くー
「へへっ…♡ そうだなぁ…
でも…滅茶苦茶気持ちいいし、別にいいんじゃね へへへー」
話し相手の女子が笑いながら言うー。
口ぶりから、元男子なのだろうー。
どこを見ても、そこに”男”の姿はないー。
女体化したくなかったのか、”男装”している人間も
いるものの、それは男装でしかなく、
胸やー、アソコを確認すれば
すぐに”答え”は見えて来るー。
「ーーそういやさ、ヒーローのJって知ってる?」
ツインテールのゴスロリ風な服を身にまとった美少女が言うー。
彼女も元男だが、女体化計画が始まってすぐに
喜んで自ら女体化した男子高校生だー。
「J?あぁ、怪人と戦ってたって噂の?」
話相手の眼鏡をかけた女子が言うー。
彼…彼女は、元々はいじめられるぐらいに容姿に恵まれてなかった男子だったが、
女体化した後は”美少女”になったため、
今では周囲から、正反対の扱いを受けているー
”僕は、女に生まれるべきだったんだな”
それが、最近の口癖になっているようだー。
逆に、イケメンだった男子が、女体化したことで
微妙な見た目になってしまったという、そんなケースも
世の中では頻発していたー。
女体化を望んだ人間も、
そうではなかった人間も、すべてが女体化してしまった世界ー。
「ーーあいつ、女になった後、毎日エロイことばっかして
怠けてるらしいぜ?」
ツインテールのゴスロリ少女が呆れ顔で笑いながら言うー。
女体化怪人ティエスとの戦いの最中に
女体化してしまったヒーロー・Jは、あれ以降、女の快楽に
溺れて、堕落した生活を送り続けていることは、
一般市民の間でも噂になっていたー
「へ~ヒーロー失格じゃんー」
眼鏡の女子はそう言いながら、
「まぁ、僕は女になれて色々得したし、いいけどさ」と笑うー。
ヒーロー・Jの堕落ー。
100パーセントの人類が女になってしまった今ー、
もはや、人類にはどうすることもできないー。
”ブラック・シップ”の怪人たちも、
表立って行動することは無くなり、
その所在地も不明の状態ー。
後は、”人類がゆっくりと滅び去るのを見届けるだけ”の
状態になってしまったー。
全ては、ブラックシップの計画通りに進んでいたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1年後ー。
「ー全人類を女体化させてから今日で1年ー
まだ人類の滅亡には時間がかかるが、
勝利記念日ということで、今日は存分に祝おうではないか」
女体化怪人・ティエスが、
ブラックシップの地球侵略部隊本拠地で笑みを浮かべるー。
一度、母星に帰ることも幹部のダーク・スリーが提案したものの、
”人類を侮ってはならない”と、幹部のデビル・ワンが反対したため、
地球侵略部隊はそのまま地球に駐留しているー。
と、言っても全人類が女体化した今、
”今、生きている人間”が寿命を迎えれば
勝手に人類は滅亡するー。
そのため、ブラックシップの面々は毎日のように
地球の娯楽を各々の形で楽しんでいたー。
女体化怪人・ティエスは女体化させた凶悪犯罪者たちと
定期的に会い、お楽しみを繰り広げー、
幹部のダーク・スリーは、地球の映画や小説と言った作品をかたっぱしから楽しんでいるー。
クィーン・ツーは自身の変身能力で人間に変身して人間界を堪能し、
デビル・ワンは毎日日課の瞑想や修行を繰り返したー。
指揮官のコマンド・ドリーは、母星との連絡を頻繁に取り合いながら
情報交換を行っているー。
「今日はこのあと、皇帝陛下も”次元転送装置”でこちらに
一度顔を出されるー。
お迎えの準備をしておけ」
コマンド・ドリーがそう言うと、
幹部のデビル・ワンは「はっ」と、頭を下げて本拠地の入口の方に向かっていくー。
人類は、滅亡するー。
もう、その運命からは、逃れられないー。
・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー」
幹部の一人、デビル・ワンが、本拠地の入口付近で作業を
していると、そこに一人の女が現れたー。
華奢な体格の美少女ー。
ライダースーツのようなものを身に着けているー
(人間…?)
デビル・ワンは少し首を傾げながらも
「ー何奴だ!」と、叫ぶー。
だがー
その美少女が、一直線にデビル・ワンの方に向かってくるー。
迎撃態勢を取るデビル・ワンー。
そして、すぐにその女が誰なのか気付くー
「ーーーお前は…!」
相手は、”女体化した”正義のヒーロー・Jだったー。
「ーー今更ここに何を!?」
デビル・ワンがそう叫ぶと、
Jは叫び返したー
「俺は、お前たちが人類を全員女体化させて油断しきるこの時を
待っていた!」
とー。
「ーなんだと!」
デビル・ワンは驚きの表情を浮かべると、
「ー我らに勝てると思うなよー」と、笑みを浮かべるー。
「ー三大幹部の中でも最凶と言われた
我が能力を見せてやるー。
ドゥーm
その言葉は、最後まで発されることなくー、
デビル・ワンは、Jに真っ二つにされたー
「これから死ぬやつの能力になど、興味はないー
知るだけ無駄だ」
そう言い放つと、Jはそのまま奥に突き進むー。
「ーーお前はーー…!」
「ーーあなたは…!」
幹部のダーク・スリーと、クィーン・ツーが
驚きの表情を浮かべるー。
Jは「どけ!」と、可愛らしい声で叫ぶと、
ダーク・スリーはすぐに”サーチ能力”を発動したー
「俺のサーチ能力は、
”戦い”にも流用できるー
相手の動き、思考、そういったものを先に察知することでー
戦いを有利に運ぶことができるのだー」
がーーー
ダーク・スリーは、Jの回し蹴りを受けて壁に叩きつけられて爆散ー。
クィーン・ツーも半殺しの状態になって悲鳴を上げたー
「ーお、お、お父さんー…やめて!」
たまらずクィーン・ツーは、”死んだJの娘”に変身してそう叫ぶー。
だが、Jは冷たい目で”娘の姿をしたクィーン・ツー”を見つめたー
「偽物に興味はない」
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ー何事だ!?」
指令室ではコマンド・ドリーが声を上げていたー。
だが、返事をするものはいないー。
”まずいー…何かが起きているー
間もなく皇帝陛下がここに来てしまうー。
緊急事態を報告せねば”
コマンド・ドリーはすぐに立ち上がりー、
母星に緊急通信を入れて、皇帝にこちらに来ないよう
連絡しようとするー
がーーー
背後から強い衝撃を感じて、
コマンド・ドリーは表情を歪めたー
「ーペリーだか、ドリーだか知らないがー
人類をあまり、甘く見るなよー」
ヒーロー・Jが、指令室まで既にやってきていたー。
コマンド・ドリーが表情を歪めながら声を発しようとしたもののー、
Jは、そんなコマンド・ドリーにとどめの攻撃を加えたー
「死人の言葉は耳に入れる価値もない」
崩れ落ちるコマンド・ドリー。
直後、指令室にワームホールのようなものが出現しー、
”何も知らない”ブラックシップの母星からやってきた”皇帝陛下”が
姿を現したー
「ー貴様が、皇帝か?」
Jのその言葉に、皇帝は、状況を飲み込めず「へ?」と、首を傾げたー。
数秒後、皇帝はこの世から消されたー。
「ーーーーやるじゃないかー」
そこに拍手をしながら姿を現したのはー
女体化怪人のティエスー。
「ーー貴様たちの負けだ」
Jが言うと、ティエスは笑うー。
「俺は貴様に女体化させられたあと、
お前たちを油断させるために、女の快感に溺れて堕落した生活を
送っている”フリ”を続けたー
裏でお前たちの本拠地や、行動を調べつつ、
俺は、お前たちを圧倒するほどの実力を身に着けるため、
ー女体化したこの身体でも十分に戦えるようにするため、
死ぬほどの修行を裏で行いながらなー。
その結果が、これだー
お前たちは油断し、隙だらけになったー
俺はこの時をずっと待っていたー」
Jがそう言い終えると、
ティエスは両手を広げて笑うー
「可愛い顔して、怖いこと言うねぇ」
とー。
「けど!俺たちを倒したところで、お前たちは滅びるのさ!
女だけじゃ、人類は繁殖できないー
お前たちも、どのみち滅亡するんだ!」
ティエスの言葉に、Jは笑うー。
「ーーー本当に、そうかな?」
そう、言いながらー
「なんだと?」
ティエスが表情を歪めるー。
「ーー”男”はまだいる、と言ったらー?」
Jが可愛い顔に嫌味の満ちた笑みを浮かべる
「なんだと?ダーク・スリーのサーチで
貴様ら人類に男がいないことは、把握済みだー」
ティエスがそう言い放つと、Jは笑ったー
「ーーー”ダークスリー”とやらのサーチ能力は、
俺も突き止めていた。
お前らが油断している間になー。
だから、”そのサーチ能力”を回避する方法を見つけたー」
Jがそう言うと、ティエスは表情を歪めるー。
「ー”冷凍”」
「あ?」
ティエスは、思わず変な声を出すー。
「ーー強引な方法だったが、お前たちの目を欺くため、
それなりの人数の若い男を、気絶させて
秘密の地下施設に連れ込みー、
特殊な技術で”冷凍”してあるー。
つまり、コールドスリープのような状態だー。
冷凍された人間は、ダーク・スリーとやらの
”生きている男”を探すサーチには引っかからなかったようだなー」
Jは、この1年と少しの間、
若い男を連れ去り、冷凍していたー。
強引な手段であるとは分かっていたものの、全てはブラックシップを倒し、
人類を存続させるためー。
結果的に、数百人の人間が集まったー。
男は、それしか残っていないがー、
それだけいれば、きっと、何か方法は見つかるー
クラス全員が女体化してもなお、男でいることに拘っていた
男子高校生の悟も、その一人ー。
悟を連れ去ったのは、悪の組織ブラックシップではなく、
ヒーローのJだったー。
悟を含む数百人の男子は今、冷凍保存されていて、
ブラックシップを壊滅させた後にー、それを解凍するー。
もちろん、連れ去ったことに対する罪や、
冷凍された本人に対する償いは、Jはこのあとに受けるつもりだー。
「ーならば貴様を殺して、冷凍されている奴らを皆殺しにするまでだ!」
ティエスが叫ぶー。
だが、1年以上も修行を続けたJの力は、
もはやティエスを圧倒していたー。
あっという間に葬り去られたティエスー。
女体化怪人も、ブラックシップも、この日、壊滅したのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
半月後ー。
「ー俺は、罪を償いますー。
人類を守るためとは言え、何の罪もない少年を連れ去り、
冷凍したわけですからね」
ヒーロー・Jが、美少女姿のまま言う。
同じく美少女になってしまった常田総理が頷くと、
「ーーだが、ブラックシップを壊滅させることができたのは、
君のおかげだ。
私は君が、女体化して戦う気を失ったものと思ってたー。」
と、言葉を続けー、
握手を求めたー。
「ありがとう。世界は君のおかげで救われた」
その言葉に、Jは少し複雑そうに頷くと、
「とは言え、男はもう1000人も満たない数ー。
これから色々問題はあるでしょうー。
しかも、ブラックシップとやらの皇帝は倒せたとは言え、
本星からまた何かやってくるかもしれないー」
と、不安を口にしたー
「あぁ、そうだなー」
常田総理は頷くー。
けれど、きっとそれは乗り越えていけるー。
今回も、こうして乗り越えることができたのだからー。
課題は山積みー。
しかし、きっと、人類はそれを乗り越えて
また新たな歴史のページを刻んでいくことができるー。
常田総理とJは、そんな未来を信じながら、
静かに無事に解凍されて、事情の説明と健康診断を受けている
悟ら、男子たちの姿を見つめたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
滅亡回避エンドでした~!★
色々課題は山積みですが、なんとか復興できるかもしれませんネ~!
ちなみに、
敵怪人の「ティエス」は「TSF(憑依とか入れ替わりとか)」をベースにした名前、
コマンド・ドリーは敵組織が「ブラックシップ」=黒船なので、「ペリー」をもじった名前でした~☆
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
前の宇宙人の話とはかなり違う結末になりましたね。
一応、ハッピーエンドなんですかね?
人類滅亡は防げたワケですし。
ありがとうございます~!
それを意識して今回はこの結末にしました~!笑
滅亡は防げましたが、色々困難はありそうですネ~!