<憑依>このままじゃ破産する!②~疑念~

結婚してから突然豹変し、
ブランド品や高級アクセサリーを
買い漁るようになった妻・園香ー。

修司は知らないー。
園香が”憑依”されていることをー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

会社の先輩である大塚から、
”園香は浮気しているか、ホストにはまっているのではないか”と
言われた修司は不安を覚え、
園香の”浮気”関係を疑い始めたー。

園香のことを信じ切っていた修司は、
そのような方向で”急に浪費するようになったこと”を
考えたことはなかったー。

大塚先輩によれば”買い漁っているブランド品が減っている場合は怪しい”
と、言うのだー。

そしてーーー

修司はしばらくの間、注意深く、園香が買い漁っているものを
確認したところー
”一定数のブランド品やアクセサリーはそのまま”だが、
定期的に”モノが消えている”ことに気付いたー。

つまり、誰かにあげているか、お金に変えているかー
いずれにしても
”買ったもの”がずっと家の中にあるわけではないー…
そういう、状況だった。

ブランド物やアクセサリー類に全く無頓着な修司は
”ある程度の数のもの”が家の中に置かれていたため、
”園香が買ったもの”が、度々家の中から減っていることに
気付かなかったのだー。

そのことを、大塚先輩に報告するー。

「ーやっぱりなぁ。
 たぶん、お前なら”ある程度の数”を家に置いておけば
 買ったものが定期的に減っても気付かないって奥さんに
 思われてたんだろうさー」

大塚先輩は言う。

修司は困惑するー。

大塚先輩の言う通りなら、
園香は購入したブランド品を
”誰かに貢いでいる”あるいは”換金している”ということになるー。

家の中にブランド品をある程度置いた状態にしておけば、
修司は気付かないー、あるいは気付くのを遅らせることができると
園香は考えていたのだろうー。

問題は、そのブランド品が”どこ”に消えたのかー。
誰か男に渡しているのかー、
それとも換金しているのかー。

「いや、でもー…ブランド品を換金するぐらいならー
 最初からお金を使えばいいのではー?」

修司は首を傾げるー。

”お金でブランド品を買って、それを売ってお金にする”
そんな無意味なことをする必要はないはずだー。
それとも、買った金額よりも高く売れるとでも言うのだろうかー。

「ーそりゃ、あれじゃないか?
 直接お前のお金を使って浮気したり、貢いでりゃ、お前だって
 ”お金、何に使ってるんだ?”ってなるだろ?

 でも、ブランド品を買い漁ってりゃ、
 少なくともお前は”ブランド品を買うのにお金を浪費してる”って
 そう思うだろ?
 しかも、現にそう思ってるー

 そういう、カモフラージュ的な意味だと思うぞ?」

大塚先輩の言葉に、修司は困惑するー。

大塚先輩の話はあくまでも仮説だが、
状況的に園香は”ブランド品やアクセサリーそのものを、自分で使うために
購入している”わけではなさそうだー。

買ったものを誰かにプレゼントしているのか、
それともお金に変えているのかー。

お金に変えているのだとすれば
そのお金を”何”に使っているのかー、
どうしてそのようなまわりくどい方法を使っているのかー。

何らかの事情でお金が必要なら、
修司に相談すればいいー。
それをせずに、一度ブランド品を買ってから売却して、
お金にしているということをしている理由が修司には分からなかったー

やはり、何か悪いことにお金を使っているのだろうかー。

考えても考えても、答えは分からないー。

修司は、色々考え抜いた末に”ある作戦”を実行に移すことにしたー。

それはー

「ーごめん。明日急に仕事になっちゃって」
修司が、元々休みの予定だった明日ー、
休日出勤になってしまったことを、園香に告げるー。

「ーーふ~ん。わかった!」
園香はそれだけ言うと、笑みを浮かべながら
そのまま自分の部屋に入って行こうとするー。

「ーーー…」
今日も園香は、ブランド品をいくつかネットで取り寄せたようだったー。

正直、もう金銭的にも限界だー。
このペースで勝手にお金を使われてしまうと、
大学時代から貯金していたお金も底をついてしまい、
生活は完全に破綻するー。

「園香…」
修司は悲しそうにそう呟きながらー、
”明日”どんな光景を目の当たりにすることになるのかー、と
思いながら、深々とため息をついたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

”休日出勤”は嘘だー。
今日は仕事はないし、本当は休みだー。

だが、修司は嘘をついたー。

”園香”の浮気かーホストかー
それともー…

何にせよ”隠された秘密”を突き止めるためにー

「いってきます」
修司がそう言いながら、会社に行く時と同じ
姿で家を出るー。

園香は恐らく、修司が本当に会社に行ったと思うはずー。

そう思いながら、修司は少し進んでから、立ち止まると
家の方に向かって引き返したー。

そしてー、
庭先に忍び込むー。

今のところ、特に異変はないような気がするー。

「ーーーー(はぁ~…なんで俺がこんなこと)」
ため息をつく修司ー。
自分の家なのに、こんな風にコソコソとしなくてはいけない
状況を情けなく思いながらも、
園香の豹変の理由ー…
それが何なのか、どうしても突き止めたかったー

ただ浪費癖があるだけ、なら、
まだ…良くはないけど、良い…のかもしれないー。

しかし、買っているブランド品が定期的に姿を消しているとなると
”浮気”や、他の数々の理由も可能性に入れなくてはならないー。

そうこうしているうちに、園香が家の中から出て来るー。

少し派手な服装でー、
こういうところも”今までの園香”とは違う気がしてしまうし、
強い不安を感じるー。

ハイヒールの音を立てながら歩いていく園香ー。

”どこに行くんだー?”
浮気だろうかー?

そう思いながら園香の行動を監視していると、
園香は駅前の”買い取り専門店”に入って行ったー。

どうやら、持っている紙袋の中に
家の中にあったブランド品を入れていたようだー。

買い取り専門店に入り、しばらくして
園香が出てくると、その紙袋は消えていたー。

途中ー、園香が立ち止まって自動販売機で
缶コーヒーを買って飲み始めるー

「ーーー……」
修司は困惑するー。
園香がコーヒーを飲んでいるのは見たことがないし、
そもそも苦手だと言っていた気がするからだー。

「ーー…園香」
園香に気付かれないように、園香の尾行を続けるー

”これじゃ、俺、ストーカーみたいじゃないか”
自分の妻を尾行することになるなんて、と
自虐的にため息をつきながら、修司がさらに
園香を尾行を続けると、
園香は銀行に行き、お金を振り込みしたー。

「ーーーー…」
売却したブランド品で得たお金を銀行に振り込んでいるー。

一体どこに振り込んだのかー。
自分の口座か、それともー?

そう思いつつさらに尾行を続けると、
園香は、デパートに入っていき、
ブランド品をまた数点、家にあったお金で
購入した様子だったー。

そして、園香が帰宅するー。

再び、庭に潜み、家の中の様子をこっそりと確認するー。

だが、園香が帰宅して30分ほどが経過した
タイミングのことだったー

「ーーはぁ…♡ はぁ…♡ たまらない…♡」
突然、園香の甘い声が家の中から
かすかに聞こえ始めたー

「ー!?」
修司は今一度家の周囲を見渡すー。

やがて園香の喘ぎ声が激しくなっていきー、
庭にいるだけで聞こえるぐらいに、
園香が甘い声を出し続けているー。

「ーう、嘘だろー…?」
やはり、浮気ー?

家の中にいつの間にか園香以外に誰かが入っていてー
園香がその相手とエッチなことをしているー?

そんな風に思い、修司は強い不安を感じたー。

「ーーーーー」
修司は困惑しながらも玄関の方に向かうー。

もしも浮気なら、今、家の中に踏み込めばー
その”決定的証拠”を掴むことができるー。

”休日出勤だったから、予定より早く終わったとでも言えば”
理由付けも問題ないー。

だがー
玄関の扉を前に、躊躇してしまうー。

扉を開ければ、園香との関係が完全に壊れてしまうようなー
そんな気がしたー。

園香が自分にも見せたことのないような”女の顔”で
知らない男と気持ちよさそうにしているー
そんな地獄のような光景が、もしもこの中に広がっていたらー…?
自分は壊れずに、いられるだろうかー。

修司はそんな風に思うー。

玄関の扉のドアノブがこんなに冷たく感じたことは
今まで無かったー。

背中から変な汗が出て来るー。

しかし、修司は深呼吸をして、もう一度思い直したー。

”ここで、玄関の扉を開けずに何もせず立ち去って何になるのか”
とー。

園香との結婚生活を表面上は続けることは出来るかもしれないー。

だが、もしもこの中で行われていることが”浮気”ならばー
もう、とっくに夫婦の絆は壊れているのだー。

もし、この中で行われていることが浮気でないのだとすればー
修司はこの先も”無駄に不安を抱え続ける”ことになるー。

そして、どのみちこのままのペースで浪費”を続けられてしまったら、
もう生活は持たないー。
このまま破綻してしまうー。

”行くしかない”

修司は未だ止まぬ気持ちよさそうな園香の声に表情を歪めながら
そのまま扉を開いたー

”ひひひっ…たまんねぇなぁ…この身体ぁ♡”

園香のおかしなセリフが聞こえてくるー。

一瞬”女同士で楽しんでいるのか”だとか、
”女みたいな声の男がいるのか?”だとか、
そんな風にも思ったのだが、
どう考えても、その声は園香の声だったー

”この女…最高だぜ♡”

そんなセリフに更に違和感を感じるー

「(この女って…?)」
修司は”やはり、この奥に園香と、もう一人女がいるのか?”と
思いつつ、園香の部屋の方に進みー
その扉の前に立つー。

”ーーひひひひっ…
 まぁ…でも夫もそろそろ限界そうだしー
 用が済んだらそろそろおさらばするかー”

園香の声ー。

やはり、修司には園香の言っていることの意味が分からないー。

幸いなのはー
先程から”男の声”は少なくともしていないことだー

”まるで男のような口調で話す園香”の声しか聞こえてこないー

”浮気ではないのかー?”
修司がそんなことを思いながら、
ついに、園香の部屋の扉を開くとー
そこにはー、激しく乱れ切った園香の姿があったー。

「ーー!?!?!?!?!?!?!?」
髪を乱して、下着姿の園香が、表情を歪めるー

修司は驚いて咄嗟に目を逸らすー。

部屋には”男”はいなかったー。
園香、一人ー。

「ーーーな、な、なんだてめっ…あ、いやー
 は、は、早かったじゃないー?ふふふふ」

園香は顔を赤らめながらそう言うと、
咄嗟に「ーひ、ひ、一人で楽しんだっていいだr…いいでしょ!?」
と、動揺した様子を見せたー

「し、し、仕事が早く終わったからー」
修司はそんな”嘘”をついて、顔を背けると、
園香は、雑に放り投げてあった服を雑に身に着けてから、
何度か咳払いをして、修司のほうを見つめたー。

「ーーーーーー」
「ーーーーーー」
修司と園香の間に流れる沈黙ー

「ーーーーか、帰ってきたら変な声が聞こえたからー」
修司が戸惑いながら言うと、
園香は表情を曇らせるー。

そして、しばらく考えてから言葉を口にしたー

「聞いちゃった?」
とー。

「ーーえ」
修司は戸惑うー

「ーわたしが言ってた言葉ー聞こえちゃった?」
確認するかのように言ってくる園香に、
修司は「ーえ…”こ、この女最高”とかー…そういうやつのこと?」と、
躊躇いながらも、確認するかのように言葉を口にしたー。

するとー
園香は突然態度を豹変させたー

「んだよー、聞かれちまったかー
 まぁいいや」

髪をボサボサにしながら、
面倒臭そうにイスに座ると、
「聞かれちまったなら仕方ねぇ」と、
園香はニヤリと笑みを浮かべたー。

「ーそ、園香ー…?」
呆然とする修司ー。

そんな修司に対して、園香は
今まで見たこともないような
不気味な笑みを浮かべながら、言葉を口にしたー

「へへへー
 この女、イイ女だよなー」

と、自分を指さしながらー…。

③へ続く

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コメント

異常な浪費を繰り返す妻の異変の原因に
ついにたどり着きそうですネ~!

次回が最終回デス~!

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