<憑依>ダイナソーポゼッション

幼馴染が”恐竜”に憑依されてしまったー

学校内で追い回されることになってしまった
彼の運命はー…!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「くそっ!くそっ!くそっ!どうしてこんなことにー!」

高校の校内を疾走する男子高校生、永峯 隼人(ながみね はやと)ー

隼人は今、これまでの人生で一番、と言えるぐらいに
一生懸命走っていたー。

それもそのはずー。
”まだ”彼は死にたくないのだー。

「ーーお、おい!由夢(ゆめ)!正気を取り戻せって!」
そう叫ぶ隼人の背後にはー
四つ足の状態で、ものすごい速度で迫って来る女子高生の姿があったー

可愛らしい容姿の子とは思えないようなー
異様な光景ー

スカートの中身が見えようとー、
手が廊下の床で汚れようとお構いなしに、
一直線に隼人に迫っていくー

「ーーガアアア!!!」
雄たけびのような声をあげる由夢ー

とても、正気とは思えないー

いやー
事実、彼女は今、正気ではなかったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

何故、こんなことになってしまったのだろうかー。

始まりは20分ほど前に遡るー。

学校に登校してすぐにー、
隼人が幼馴染の由夢と雑談をしていると、
そこに隼人の友人の一人、長太郎(ちょうたろう)が
やってきたのだー

長太郎は無類の”恐竜オタク”ー。

隼人は別に恐竜には興味はなかったが、
他の部分で意気投合して、
クラスでは親しい友人の一人となっていたー。

そんな長太郎が「なぁなぁ、隼人ーこれ見てくれよー」と、
何かを見せて来るー。

隼人が「何だこの石ー?」と、呟くと、
長太郎は笑みを浮かべながら言うー

「へへへー
 聞いて驚くなよー

 これは、恐竜の化石だ!」

そう叫ぶ長太郎は興奮した様子だったー

長太郎によれば、この化石は
昨日ー、日曜日に化石探しの旅をしてきた際に見つけたもので
”ティラノサウルス”の化石なのだと言うー。

「ーーふ~~~~ん」
だが、恐竜に特に特別な興味のない隼人は
薄いリアクションをするー。

「なんだよ!リアクションうすいな~~」
隼人の反応に残念そうな表情を浮かべる長太郎ー

隼人は苦笑いしながら
「いや、ごめんー でも、正直どうリアクションしていいかー
 ほら、詳しくないとただの石にしか見えないしー」と、
申し訳なさそうに言うー。

「ま、まぁ、そっかー」
少ししょんぼりとした様子の長太郎ー。

そんな長太郎を見て、可哀想に思ったのか、
隼人の幼馴染の由夢が「そんなに珍しいものなら、見てみたいな」と、
それを受け取るー

だが、その時だったー

「え…なにー?」
由夢が表情を歪めるー

「?」
隼人は、由夢の言葉の意味が分からず、首を傾げるー。

そんな隼人の言葉に由夢は
「き、恐竜の声がー」と、周囲を見渡すー。

だが、隼人も、長太郎にも”恐竜の声”など聞こえないー。

「ど、どういうことだよ?」
隼人が困惑しながら由夢にもう一度確認すると、
由夢が「ひっ!?」と、突然ビクッと震えるー。

恐竜の化石が、謎の光を発しているー

”ただごとではない”
すぐにそう思った隼人は恐竜の化石を今すぐ手放すように
由夢に対して叫ぶー。

だが、その時にはもう手遅れだったー。
由夢が持っている化石から”魂”のようなものが飛び出して
それが由夢の口から、由夢の中に入り込んだのだー

「ーーゆ、由夢ー…?」
呆然とする隼人ー。

由夢の手から化石が零れ落ちて、音を立てて教室の床に転がるー

「うわっ!化石が!」
悲鳴に似た叫び声をあげる長太郎ー。

だがーーー

「うがぁあああああああああ!!」
由夢が突然奇声を上げて、大口を開いて
長太郎に噛みついたのだー

騒然とする教室ー

「ゆ、由夢!?おいっ!」
慌てて由夢を振り払う隼人ー

しかし、由夢はビクンとビクンと震えながら
顔を上げるー。

するとー
由夢の口の中に、牙のようなものが2本、
生えてきているのが見えたー

「ゆ…由夢…?」
呆然としながら由夢のほうを見る隼人ー

由夢は”獣のような目”で隼人を見つめると、
突然、教室で四つん這いの体勢になって、
雄たけびのような声をあげたー。

悲鳴の上がる教室ー

由夢が隼人に向かって襲い掛かるー。

「うわっ!?」
尻餅をつきながらも、飛び掛かって来た由夢を回避すると、
隼人は慌てて教室の外に走り出すー。

「がぁぁああああああ!!」
由夢は教室の机をなぎ倒しながら、
四つ足の状態で走り始めるー

「ひぃぃぃぃぃぃっ!?なんなんだよこれは!?」

それがー
始まりだったー。

教室から飛び出して10分ちょっとー
由夢は執拗に隼人を追いかけてきているー。

「ーぐがぁあああああああっ!」

「ーー!」
ふと、背後から苦しそうな由夢の声が聞こえたー。

慌てて振り返ると、
そこには身体を抱えながらガクガク震えー、
そして、綺麗な手の爪が、異様に伸びていくのが見えたー

”く、くそっ…な、何が起きてるんだー…!”
隼人は戸惑いの言葉を心の中で呟くー。

何が起きているのか、さっぱり理解できない。
いったい、由夢はどうしてしまったのかー。

先程の牙もそうー。
まるで由夢が恐竜の霊に取りつかれて、
恐竜そのものになりつつあるようなー

そんな不安を覚える隼人ー。

「ーーー」
隼人はぎゅっと拳を握りしめるー

このまま逃げていても仕方がないー。
いや、それどころか由夢がこのままどんどん
”人間から離れて行く”ー。

時間をかければかけるほどー
由夢の名誉は傷つくし、
由夢が”とりかえしのつかない状況”になってしまう可能性も高まるー

そう考えた隼人は
”いつまでも逃げていても仕方がない”と
考えながらも、とりあえず走り続けるー。

”由夢の牙と爪…ーーー”
そう思いながら自分のことを追いかけて来る”恐竜の魂に憑依された由夢”の
姿を何度か振り返って確認するー

牙と爪は鋭いー。

だがー
恐竜のような動きをしていてー
正気を失っているとは言え、
”由夢”自体は高校生の女の子だー。

噛みつかれただけで即死するほどの力を持っているとは思えないし
限界はあるはずだー

すぅっと、息を吸い込むと
隼人は”由夢ー、今、助けてやるからなー”と、小声で呟きながら
廊下の曲がり角を目指して走るー

”あの曲がり角がちょうどいいかー”

そんなことを考えながら曲がり角を曲がった隼人は、
死角になる部分でぴたっと止まると、すぐに振り返ってー
あとを追ってきた由夢に対して飛び掛かったー

「ぐがああああああああ!」
床に押し倒された由夢が奇声を上げるー。

暴れる由夢に対して、
隼人は「落ち着け!落ち着けって!」と、叫ぶー。

由夢は幼馴染ー。
小さい頃から一緒のかけがえのない存在ー

お互いに恋愛感情があるのか、ないのかは昔から
距離が近すぎるからか、逆に分からないけれどー、
それでも、由夢がこんな状態になってしまっている現状を
放っておくことはできないー

「ゆ…由夢ー…」

由夢の目を見て、隼人はゾッとするー

瞳が赤く輝きー
由夢本来の目ではなく、
まるで”爬虫類”のような感じの不自然な目に
変わっているー

「がぁああああああっ!」
大口を開けて涎を垂らす由夢ー。

由夢の口の中も変質していて、牙がさっきよりも増えてー
舌も長くなっている気がするー

「由夢!!しっかりしろ!由夢!」
隼人がそう叫びながらもがく由夢を取り押さえるー。

そんな騒ぎを聞きつけて、周囲に集まっている生徒を見て
隼人は「誰か!早く先生を呼んできてくれ!」と叫ぶー。

そして、続けざまに、近くにいた巨体の男子生徒に
「悪い!この子を押さえるのを手伝ってくれ!」と叫ぶー。

ちょうどこのあたりは1年生の教室があるあたりだー
恐らくは後輩だろうと、そう叫んだ隼人ー

「あ、は、はいー」
巨体の男子生徒が隼人の呼びかけに応じて、由夢を取り押さえようとした
その時だったー

「うっ…ぐ、ぐがああああああああああ!」
由夢が今まで以上に大きなおたけびを上げてーーー
突然、腕が肥大化したー。

「ー!?ゆ…由夢!?」
慌てる隼人ー

だが、続けざまに足も、肥大化してー
由夢は人間とは思えないような力を発揮ー、
隼人は蹴り飛ばされてしまうー

「ひぃっ!?ばけもの!」
協力してくれようとしていた巨体の男子生徒が
悲鳴を上げてそのまま逃げだし始めるー。

「あ…ま、待ってくれ!」
隼人はそう叫ぶもー
目の前にはーー
顔の部分はそのままーみるみる恐竜のような姿になっていく由夢の姿ー

「ーう…嘘だろー…!?」
隼人は呆然とするー

いったい、何が起きたのかー
長太郎の持ってきた”恐竜の化石”とやらに恐竜の霊でも宿っていて
それが由夢に憑依した結果、由夢が恐竜になってしまうー…と、でも
言うのだろうかー

元の由夢の身体よりも巨大化しー
顔以外の部分が、ほとんど、恐竜のようになった状態の由夢が笑うー

「えへ…えへへへへへへへー」

先程までの寄生とは違うー

”人間のような”喋り方をし始める由夢ー

「えへへへへへへー
 はやとぉ、

 気持ちいいよぉ♡」

由夢がうっとりしたような声で言うー。

隼人はたまらず「お、おい…ゆ、由夢なのか?!」と
確認するようにして叫ぶー。

由夢は「そうだよぉ♡ わたしだよぉ♡」と、
先程までとは違い、人間らしい受け答えはしているもののー
やはり”何かが”おかしいー

そんな状況ー

「由夢!い、今、自分の状況ー ちゃんと分かってるか!?」
隼人はそう確認するー。

由夢が正気かどうか、確認したかったのだー

「んぁっ♡ はぁぁ…わたし、気持ちイイ…ゾクゾクするぅ♡
 うふっ…うふふふふふふふふふっ」

由夢の顔が笑うー

そんな反応を見て、隼人は呆然とするー

今、会話をしている相手は
由夢本人”かも”しれないー。

でも、明らかに正気を失っていて
”普通の状況ではない”

それだけは、よく理解できたー。

「ーーーおぉぉぉぉ…す、すげぇー」

その時だったー
隼人の背後から声がして、
隼人が振り返ると、
そこには恐竜の化石を持ってきた長太郎の姿があったー

「まさか、まさか、由夢ちゃんが恐竜になっちゃうなんてー
 すげぇ…かっこいい!」

興奮した様子の長太郎ー

「おい、お前ー…!
 あの化石はいったーー」

隼人は怒りの形相で長太郎に”どういうことなのか”を
確認しようとしたー

がーーー

「ーーー!?!?!?!?!?」
次の瞬間ー

”長太郎の上半分が消えた”

「ーえ」
呆然とする隼人ー

すぐにー
何が起きたのかを理解すらできなかったー

が、大量の赤い液体が垂れて来て、
隼人は怯えた表情で上を見上げるー

すると、そこにはー
由夢が異様な大口を開きー、
”長太郎を食った”
そんな光景が広がっていたー

「う、うわあああああああああああああああああ!!!!」
悲鳴を上げる隼人ー

もはや、幼馴染の由夢を助けたいという気持ちすら忘れて
全力で逃げたー。

これまでの人生で一番走ったー

だがーーー

「隼人ぉ、ひとつに、なろっ♡」

そんな声がすぐ後ろで聞こえてー
隼人がビクッとして振り返った時にはー
由夢の歪んだ笑みを浮かべた顔がー
眼前に迫っていたー

由夢の口が怪物のように大きく開くー

「うっ…うわああああああああああああああ!!!」

由夢に”食われる”

そんなー
光景を見てー

「ーーー!!!!!!!!!!!」
隼人は飛び起きたー

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ… ゆ、夢だったのかー」

隼人は、自分の体温も感じないぐらいに冷や汗をかきながら
スマホを確認すると、由夢からの何気ない日常の
メッセージが届いていたー

すぐに学校に到着すると、由夢がいつものように笑うー

”よかったー”

隼人は、そう思いながら
光の中に包まれー

何も、分からなくなったー

「ーーーーーーあぁぁ~♡ おいしかった」
恐竜と化した由夢が笑うー。

たった今”走馬灯”に似た何かを見た隼人の亡骸が
廊下に横たわるー。

恐竜の霊に完全に乗っ取られて、正気を失った由夢は
ただ、快感を感じながら”まだ、お腹空いてるなぁ”と思いながら
次の獲物に向かって走り始めたー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

”恐竜に憑依されるお話”というネタが随分前から
浮かんでいたのですが”書くほどではないかな”と、ずっと封印していたお話ですネ~!

少し前に、ようやく”こんな感じなら1話完結で書けそう!”となったので
今日こうして皆様の元に届きました~!

まさかの夢オチ…と、思いきやただの死の間際の映像だったので
夢オチではありません~笑
(短い描写ながら、体温を感じないとか、一瞬で学校に到着してたりとか
 怪しい描写もありますネ~)

お読み下さりありがとうございました~!

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小説
憑依空間NEO

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