謎の男”ナイト”から、
変身能力を授かったモテない男子高校生は、
バレンタインデーを壊すため、
当日を迎えた学校で、次々と変身能力を駆使して
教室を大混乱に陥れていく…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教室では、ちょっとした騒ぎが起きているー
まだ、登校時間までは10分ほどあるため、
来ていない生徒もいるが、
バレンタインデーということもあり、
いつもより少し早めに到着している生徒もいて
教室の中にはそれなりの人数が揃っていたー。
そんな中ー
学級委員長の肇が、別のクラスに彼女がいるにも関わらず、
クラスメイトの”麻奈美”とキスをしたり抱き合ったりしている
”浮気動画”が流出して、肇と麻奈美は困惑していたー。
当然、その動画の”麻奈美”は本人ではなく、孝彦が麻奈美の姿に変身した
”偽物”だー。
そしてー
「もうお前なんか知らない!俺は死にそうになったんだぞ!」
孝彦の友人・重義が彼女の璃子に対してそう言い放つー
璃子は「え…ど、どういうこと…?」と、困惑しているもののー
重義は怒り心頭で「彼女なんか作らなきゃよかった!」と叫んでいるー。
”璃子に変身した”孝彦によって
”恐ろしい量のわさび”が盛られたチョコを食べ、
重義は死にかけたのだー。
当然、そんなこと知らない璃子は「わたし、そんなことしてないよ!」と
反論するー
しかし”他人が他人に変身できる”などとは夢にも思っていない重義は
”俺にわさび入りのチョコを渡しておいて、とぼけている”と、思い込み
「お前、ホント最低だな!ずっと今日のために付き合うフリしてたのか!?」と
声を荒げるー
「…ちょっと…何なの!何でそんなこと言うの!?」
璃子も感情的になって口論が始まるー。
その様子を見て、笑いをこらえながら孝彦は一旦教室の外に出るー
そしてー
先生たちが写っている学校行事の時の写真を手にすると
笑みを浮かべながらー
生徒指導部の菊池(きくち)先生に変身したー
菊池先生はとても厳しいことから
生徒たちからは嫌われているー。
そんな、先生だー。
その先生の姿になった孝彦は、もう一度教室に向かって歩いていきー、
教室に入ると同時に、叫んだー
「ーお前ら、今日はバレンタインデーだからって、
学校にチョコを持ってきたりしていないよな?」
”先生のフリ”をしながらそう言い放つ孝彦ー
クラスメイトたちの顔が青ざめるー
「ーチョコを持ってきてしまったやつは、
今すぐだしなさいー。
学校の授業と関係ないものは、持って来てはならない!」
菊池先生のフリをして、そう叫ぶ孝彦ー
不満そうにしながらも、”先生”の言葉に、
困惑しているクラスメイトたちを見て、
必死に笑いをこらえながら、
「ほら!早く出せ!隠してると、生徒指導の対象になるぞ!」と、脅したー
こんなことをしていると今の時代、ネット上にこういう動画が上がって
菊池先生が炎上するかもしれないがー、
そんなことは孝彦にとっては、知ったことではなかったー。
「さぁ、出せ。嘘をついてもバレるんだぞ。
このゴミ袋にチョコを入れろ」
菊池先生のフリをしながら教室を回るー。
怖気づいた生徒たちが、何人か、チョコを菊池先生に手渡すー。
”まぁ、どうせみんながみんな素直に応じるとは思えないけどー”
そう言いながらー
たくさんのチョコを回収していく菊池先生姿の孝彦ー
「ーせ、先生ー…こ、こんなの、おかしいです」
女子生徒の一人が、”菊池先生”に対して不満の言葉を言い放つー
「ーーー…なんだ?先生に口答えするのか?」
菊池先生の姿のまま孝彦が言うと、
”あ~!バレンタインでウキウキしてる女子とか、ホント、僕は大っ嫌いだ!”と
心の中で叫びながらー
「ー先生に逆らったな?お前は今すぐ停学だ!来週まで学校に来なくていい!」と、
叫んだー。
「ーーえ」
どよめく教室ー
だが、孝彦は勢いで「今すぐ教室から出ていきなさい!」と、その女子生徒を
どなりつけてー、
怒鳴られた女子生徒はびっくりして涙を浮かべながら
教室から飛び出したー
大量のチョコを回収すると、
菊池先生姿の孝彦は時計を見て”あと5分で担任が来る”ことを確認すると、
教室の前に立ち、言い放つー
「ーお前ら、学校は学びの場所だー。
この学校の辞書にバレンタインデーという文字はないー
今年だけではないー来年もだ!
分かったな!」
それだけ言うと、もう時間がないため、
慌てて教室の外に飛び出すー
がーー
少し廊下を歩いたところで、担任の先生とすれ違ってしまったー
「あら?菊池先生ー
さっき職員室にいらっしゃいませんでしたか?」
不思議そうな担任の先生
「い、いえ」
目を逸らしながら慌てて立ち去り、
空き教室のゴミ箱にチョコを処分すると、
慌てて元の姿に戻り、チャイムが鳴るギリギリで教室に駆け込んで
そのまま何食わぬ顔で、朝の学活を受け始めたー。
やがてー
朝の学活が終わると、
近くの普段はあまり使われていない、演劇部の部室に駆け込むとー
そこに隠していた”別のチョコ”を手に、孝彦は笑みを浮かべたー。
そしてーー
クラスメイトの一人、千代(ちよ)の姿に変身するー。
千代の姿になった孝彦は、
”下剤入りのチョコ”を手にすると笑みを浮かべたー
演劇部の部室はほぼ誰も使わないことを逆手にとって
今日はここで変身をしたり、ここに持ち込んだチョコを隠しているー。
千代の姿に変身した孝彦が手にしているのは
”下剤入りのチョコ”ー。
孝彦の狙いはーーー
クラスのおしゃれな女子グループのリーダー的存在・愛梨沙(ありさ)だったー。
「ーーいつもいつも”わたし可愛い!”みたいなオーラだしててむかつくんだよー」
千代の姿でそう呟くと、1時間目の授業が始まるまでの間に、
千代がトイレに行った隙をついて愛梨沙に声をかけてー
”下剤入りのチョコ”を渡したー
友達同士のチョコのやり取りは、普通に存在するー
それ故に、愛梨沙はさっきの菊池先生のことを思い出しながら
「隠してたんだ~?」と笑いながら
千代の姿をした孝彦からチョコを受け取ったー
「ーーできれば、今、食べてみてー」
と、言葉を添えてー。
そのまま部室で元の姿に戻り、
孝彦が何食わぬ顔で1時間目の国語の準備を始めるー。
”本物の千代”が戻ってきて
愛梨沙が「あ、さっきのチョコ、おしいかったよ」などと声をかけるー
だが、当然、本物の千代がそんなことを知る由もなく、
千代は「え?チョコ?」と首を傾げながら
そのまま二人の話はかみ合わないまま1時間目が始まったー
やがてーー
愛梨沙がソワソワとし始めるー
「ーーーきたきたきた」
孝彦が笑みを浮かべながら、前の方の座席の愛梨沙の様子を見つめるー
明らかに”腹痛”か”トイレに行きたい”か、
そんな状況になっているのが分かる動きー
だがー
愛梨沙のような子はー
なかなか授業中にトイレに行きたがらないー
愛梨沙はその中でも特にプライドが高いー
まずは、トイレを我慢しようとするのは明白だったー
「うっ…」
苦しそうにしている愛梨沙ー
「大丈夫?」
女子生徒の一人・麻奈美が愛梨沙に声をかけるも、
愛梨沙は「だ、大丈夫ー」と、苦しそうに答えたー
がー
やがてー
「ーーーえっ!?」
「うわっ!?」
愛梨沙が、強力な下剤に耐えられず、
ついにその場で漏らしてしまうー
顔を真っ赤にしながら目に涙を浮かべて
その場で汚物を放ってしまう愛梨沙ー
騒然とする周囲ー
国語の先生も困惑しながら「だ、大丈夫かー?」と、
声をあげるー
愛梨沙はその場で泣き出してしまいー、
周囲が慰めたり、笑ったり、汚ねぇ!と叫んだり、
色々な反応を示す中ー、
孝彦は、必死にー”笑い”をこらえていたー
バレンタインデーを滅茶苦茶にしてやるー!
そんな孝彦の欲望は、また一つ果たされたのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教室内は騒然としていたー。
授業中に大恥をかくことになってしまった愛梨沙が
保健室に連れていかれてー、
教室内には戸惑いが広がっているー。
既にー、
”学級委員長・肇の浮気の件”や
”孝彦の友人・重義と璃子の仲違い”
”菊池先生によるチョコの没収”
”下剤入りチョコによる愛梨沙のトラブル”ー
色々なことが短時間のうちに起きて
バレンタインデー当日は、大混乱に陥っていたー。
そしてーー
「ーーー」
次の狙いは、クラスメイトのおしゃべりな女子ー・美海(みみ)ー。
美海はさっき、同性の友達から
たくさんのチョコを貰っていたー
”菊池先生”に変身してチョコを没収しても、
それなりの人数の女子が、チョコを隠していたのだー
休み時間になり、美海が昇降口付近にある自動販売機に
ジュースを買いに行ったタイミングを見計らって
孝彦は早速行動を実行に移したー
まずは、自分も教室から出て、
使われていない演劇部の部室に入るー。
そこで、クラスの集合写真を見て、美海に変身するー。
美海の姿になった孝彦は、平然とした表情で教室に戻ると、
美海の机に堂々と座ったー
孝彦が美海の机に座っていれば
周囲から色々言われるだろうが、
美海の姿に変身した孝彦がここに座ってもー、
何かを言う人間はいないー。
”なんか…ドキドキするなー”
そんなことを思いながら”貰ったチョコ”のありかを確認するー。
「どうしたの?」
机を漁って何を探している様子の美海に、そんな言葉をかけるクラスメイトー
「え?あ、うん~さがしもの~あはは」
適当に美海のフリをしながら、ようやく鞄の中から
”友達から貰ったチョコの数々”を見つけると、
美海の姿をした孝彦は乱暴にそれを取り出しー、
複数のチョコを手にして教室の前に立ったー
そしてー
突然、チョークを掴むと、
黒板に向かって乱暴な字で
”バレンタインデーなんて壊れてしまえ”と書いたー。
あまりにも乱暴に書いたことで、
チョークが割れて、床に落ちるー。
突然の”美海”の奇行に教室にいた生徒たちは少し驚くー
さらにー
美海の姿のまま”美海が友達から貰った複数のチョコ”を
そのまま教室の床に叩きつけると、
それをーー乱暴に踏みつぶし始めたー
「えっ!?み、美海!?何してるの!?」
美海にチョコを渡した女子生徒の一人が叫ぶー
「ーバレンタインなんかで、浮かれてるんじゃねぇよ!」
美海の声が大声で叫ぶ孝彦ー
バレンタインデーを滅茶苦茶にしたい孝彦の本音が溢れー、
うっかり、美海の姿・声で男のような乱暴な言葉を
吐き捨ててしまったー
呆然とするクラスメイトたちー
美海の姿のまま、孝彦は美海が貰った全てのチョコを破壊すると、
そのまま「ーーバレンタインデーなんて壊れちゃえ!」と叫んで、
教室から走り去っていったー
部室に戻りー、慌てて元の姿に戻る孝彦ー。
部室から教室に戻るまでの間に、自販機でジュースを買って
戻ってきた”本物の美海”が、教室に入っていくのが見えたー。
孝彦は笑いをこらえながら後から教室に入るー。
すると、教室では
戻って来た美海に、他の女子生徒が「ねぇ…これ、どういうこと!?」と、
さっき”美海姿の孝彦”が、踏みつぶしたチョコを指さしながら、
美海を問い詰めていたー
「えっ…わ、わたしが貰ったやつー…
こ、これなに?」
ジュースを抱えながら言う美海ー
美海が思わず「だ、誰がこんなことを!?」と言うと、
周囲は「誰がって…自分でやったんでしょ」と、
呆れ顔で呟くー
美海はすぐに「や、やってないよ!」と反論するもー、
誰もそれを信じないー。
やがて美海は黒板の字が”わたしの筆跡じゃない”と主張したものの、
男子生徒の一人が「チョークで書く字なんて普段とは違うし、
いくらでも筆跡なんて変えられるだろ」と、突っ込んだために
誰からも信じてもらえずー…
やがて「ー美海にチョコあげて損した」と、他の女子生徒から
そんなことを言われてしまうー
落ち込んだ様子で座席に戻る美海ー。
孝彦は必死に笑いをこらえながら
”今年のバレンタインは最高じゃん!”と、心の中で叫んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー良いですねー
有意義な”データ”が取れそうですよ」
優男風の男”ナイト”のホログラム映像のようなものが、
学校の外に現れるー。
「ーーーそれにしてもー」
ナイトはボソッと呟くと、
静かに言葉を続けたー。
「力を手に入れた人間はー、愚かですねー」
とー。
③へ続く
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コメント
第2話でした~!☆
明日のバレンタインデー本番に、最終回デス~!
ちなみに、変身能力を孝彦くんに渡した人物は
前にも他の作品に出ていますネ~!
(※知らなくても大丈夫なように作っているので
知らなくても問題ナシデス~!)
(憑依空間内の検索で”闇.net”のワードで検索すると、見つかると思います~笑)
ちょっとした小ネタでした~!
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