<女体化>主演俳優女体化②~未来~(完)

突如として女体化してしまった主演俳優…

混沌とする状況の中、
プロデューサーは強引に脚本を変更したー

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第8話”急転”

元木は、裏切りものであった警察幹部の男であり、恩師である男
黄川田をついに追い詰めることに成功した。

そんな中、黄川田が取り出したのは、開発中の新兵器。
恩師を前に動揺する中、一瞬のスキを突かれた元木は、
その新兵器の攻撃を受けて、”女”になってしまう…

「ーーーこれ、マジですか?」
先輩刑事・田辺役の慎吾が、唖然としながら
撮影中の”第8話”の公式サイト向けのあらすじ文章を読んで
唖然としているー

「マジだ」
刈屋プロデューサーがそう言い放つと、
「い、いやいやいや、これは流石に無理がありすぎるのでは?」
と、慎吾は苦笑いしながら刈屋プロデューサーを問い詰めたー

「その気持ちも分かるー。
 だが、もう第7話まで撮影を終えて、第6話の放送が終わったー
 今更主人公を変えるわけにもいかないし、
 かと言って、あのまま男のフリをするのも不可能だろうー?」

刈屋プロデューサーが他のスタッフと話しながら
顔を赤らめている竜輝を見つめるー。

会話の内容は聞こえなかったが、どうやら女体化したことを
揶揄われているような、そんな感じに見えるー

「それは、そうですけどー 俺は反対ですね」
慎吾がそう言うー。

「このドラマってー、どちらかと言えば硬派な感じじゃないですか。
 もちろん、設定上、ドラマならではのところはありますけど
 魔法とか新兵器とか、そういうのはない世界じゃないですか。」

慎吾が、責めるような口調で淡々と言うと、
刈屋プロデューサーは、少し戸惑った様子を見せてから
口を開こうとしたー。

だが、その時だったー

裏切りの刑事・黄川田役の達平が、
「いいじゃないか。俺は面白いと思いますけどね」と、
口を挟んで来たー。

刈屋プロデューサーに救いの手を差し伸べるかのような達平。

達平はベテラン俳優で、慎吾もその達平が”いいじゃないか”と
発言したために、それ以上は何も言えなかったー。

達平自身も、もちろん”急に強引な展開になる”ことには
思う所はあったもののー、
”状況を合理的に判断すると”これが最善であると、
そう思い、助け舟を出したのだー

「ーーありがとう」
刈屋プロデューサーがそう言うと、「この方向で行こう!」と
ドラマの撮影を始めたー。

だがー
いざ、撮影が始まると問題が起きたー。

”自分の身体”にまだ慣れてない故に、ぎこちない動きをしてしまったりー、
”自然なこと”ではあるものの、テレビ的にちょっと問題のある動きをしてしまったりー
色々なトラブルが起きたー。

女体化した竜輝が、女の外見なのに男の動きをしてしまうことは
ある意味では必然と言えるし、普通のことだ。
女体化していきなり、女の仕草になったら、それはそれで不自然だ。

が、”テレビドラマ”である以上、限界はある。
”完全に男仕草”で動くと、見えてはいけない部分が見えてしまったり、
妙にアダルトな感じになってしまったりして、
通常の時間帯に放送されているドラマとしては
”苦しい”映像になってしまうー。

それ故に、”ある程度”男らしい仕草をセーブする必要があるのだー。

さらにー

「あっ…」
竜輝が顔を赤らめるー

胸に手が触れたり、
髪に手が触れたりー、
自分の声にドキッとしてしまったりしてー
撮影が失敗するような場面が目立ち始めたー

「おいおい…困るぞー」
先輩刑事役の慎吾が呆れ顔で呟くー

「すみませんー」
竜輝が申し訳なさそうに言うと、
「そんなんじゃー…これから主演のドラマも無くなりかねないぞ?」
と、慎吾が少し嫌味っぽく言うー。

「本当に、すみませんー」
竜輝は、悲しそうにそう呟くと、
その日の帰宅後から”ある特訓”を始めたー。

ついこの間まで”男”だった竜輝ー。

竜輝は特別下心丸出しな人間でもないし、
Hな趣味を持つような人間ではなかったがー、
それでもやっぱり髪に触れたり、胸に触れたりすると
ドキッとしてしまうし、
自分の”美人な姿”が何かに反射して見えたりー
そもそも自分の口から”こんなに可愛い声が出ている”となると
そこもドキドキしてしまうー。

が、ドラマを撮影する上でそれではダメだ。
”平常心”を何とか取り戻さなくてはならない。

そのための”特訓”を始めた竜輝ー。

あえて胸を揉み、
撮影中に胸に手が触れたり、
胸に何かが当たってもドキッとしない練習ー。

色々なセリフを口走り、
”自分の声を自分の声として受け入れる”練習ー。
自分の声が”女の声”になったという現実を早くしっかりと
自分の中に刻まないと、声を出すだけで違和感を感じたり
ドキッとしてしまうー。

自分の姿を鏡で見つめて
いちいちドキドキしないための練習ー

これは、とにかく”自分を見て”慣れていくしかないー。

自分大好き!みたいで、違和感がすごいけれど、
そんなことももはや言ってられないー。

そんな一人での”特訓”を繰り返しー
竜輝は”女になった自分”を克服したー。

それは一種の俳優としてのプロ意識ー
と、言えたのかもしれないー。

第8話の撮影が終わりー、
第9話の撮影も大詰めを迎える中、
第8話が放送されたー。

第8話で、竜輝が演じる主人公の元木が
いきなり女体化してしまうという
あまりにも衝撃的な展開に、
賛否両論となったものの、
結果的には何とかうまくいったー…と、いう状況になったー。

主人公の元木が女体化したことで、
元木を演じる”竜輝”は降板したのか、それともこの美人が竜輝なのかー、
と、色々な憶測がネット上で飛び交いー、
逆に第9話の視聴率は話題性から大幅に上昇したー。

そして、ついに撮影は”最終回”を迎えていたー

「ーー黄川田さん!」
恩師であり、裏切者でもあった刑事・黄川田のラストシーンの撮影ー。

黄川田を演じる達平が、自身のクランクアップとなる、
死亡シーンの撮影を終えると、笑いながら立ち上がり、
竜輝と握手を交わしたー

「ーお疲れー」
「お疲れ様でしたー」

そんな言葉を交わすと、達平は
「元に戻る方法は、まだ見つからないのか?」と
少し心配そうに呟くー

「はいー。でも、姿はどうあれ、俺は俳優ですからー
 頂いた役を全力で演じるだけですー」

女体化というとんでもない出来事を乗り越え、
俳優として、さらに強い精神力を身に着けた竜輝が
そう言うと、達平は安心した様子で、
「そうかー。がんばれよ」と、竜輝の肩を叩いたー。

刈屋プロデューサーも満足そうに
竜輝と達平にねぎらいの言葉をかけるー。

竜輝が女体化した時には
どうなることかと思ったもののー、
結果的には”逆に良い方向に”ドラマの撮影現場としても進んだー。

だがーーー
”それ”を面白くないと思う人物がいたー。

それが、先輩刑事・田辺を演じる慎吾だー。

竜輝が女体化したのはー
”慎吾の仕業”だー。

慎吾が舌打ちをするー。

慎吾は、竜輝が芸能界で頭角を現し始める前は、
主演を務めることが多かったー。

しかし、慎吾と竜輝は、良くも悪くも”同ジャンル”な俳優で、
似たような部類ー。

竜輝の人気が出るにつれて
”今までなら俺が主演だったのに”と、思うようなことが増えたー。

今回もそうだー。

そこで、慎吾はネットで手に入れた”女体化薬”を竜輝のコーヒーに混ぜてー
竜輝を女体化させて蹴落とそうとしていたー。

第7話終盤撮影の際に、慎吾が竜輝に渡したコーヒーに
その薬が入っていたのだー

しかしー
刈屋プロデューサーが”強引に脚本を変更する”と、いう
荒業を使ったことで、
慎吾の目論見は失敗ー、

逆に竜輝がさらに成長し、ドラマとしても成功するという
結果になってしまったー

「ーーくそっ…」
慎吾は、”そうなった原因”である刈屋プロデューサーを
睨みつけたー。

”あんたが、急にあんな強引に脚本を変更したせいで…!”

慎吾の”目論見”では、
ドラマの打ち切り、あるいは竜輝の降板、
そういったことが起きると計算していたー

”男の主演俳優がいきなり女になってしまった”なんて
状況になれば、通常であればそのまま撮影することなど
困難だと、そう考えたからだー。

しかし、刈屋プロデューサーの強引な脚本変更は
結果的に上手くいったー。

賛否両論を引き起こしながらも、話題性を集めて
寧ろ視聴率は上がっているし、
刈屋プロデューサーは”今後も竜輝を起用したい”とまで
言っているー。

強い不満を抱いた慎吾は
今日ー
再び”女体化薬”を持ってきていたー。

今回はー
”何かを目論んでいる”わけではないー

一度女体化させてしまった竜輝に対しては、
もうどうすることも出来ないー
これ以上何かをすれば、自分の仕業だとバレる可能性があるし、
リスクが高すぎるー。

今日、女体化薬を持ってきたのはー…

「ーお疲れ様です」
プロデューサーに対して、そう声を掛けると、慎吾は
カップに入れたコーヒーをプロデューサーの前と、
自分の前に置いたー。

「お、すまないなー」
刈屋プロデューサーがそう呟くと、
そのまま、話題は慎吾の最後のシーンのことに及ぶー。

今日、このあと、慎吾は自身のクランクアップとなる
最後のシーンの撮影を行うー。

慎吾は、いつも通り刈屋プロデューサーと会話をしながら、
笑みを浮かべるー

”あんたのコーヒーに女体化薬をたっぷり入れてやったー”

慎吾は心の中でそう呟くー

”刈屋プロデューサーへの復讐”

慎吾の計画を台無しにした、プロデューサーに対する怒りー
それを、慎吾は晴らそうとしていたー

残っていた女体化薬を全てコーヒーに入れ、
それをプロデューサーに渡したのだー

”せっかくアイツを女にすることに成功したのにー
 あんたのせいで、全部台無しだ”

慎吾がそう思いながら、刈屋プロデューサーと会話を続けるー。

お互いに、コーヒーを飲む二人ー。

慎吾は笑みを浮かべるー

”あんたも、明日から女になるんだー プロデューサー”

ご機嫌そうに、最後のシーンの撮影を終え、
先輩刑事・田辺役の慎吾も、クランクアップを迎えたー。

そして、その翌日ー

「ーーーえっ…!?!?!?えぇっ!?!?!?」
目を覚ました慎吾が驚きの表情を浮かべるー。

慎吾は、鏡を見つめながら震える…。

そこには、なんとー…
”女体化した自分”の姿があったー

「な、なんでー…!?
 って…こ、この姿はー…!?」

竜輝のように”美人”になったわけでもなくー
女体化した慎吾の容姿は、
”顔が歪み”、体型もアンバランスに、太っていたー

「ーな、なんで…
 なんだこれはぁああああああああああああ!!!!」

老婆のようなかすれた声で、叫ぶ慎吾ー。

慎吾はその後ー
人前に姿を現すことなく、世間的には”失踪”したー。

そしてー、
1か月後には、山奥で自ら命を絶ったと思われる
老婆のような顔の女性が発見されたー。

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あの日、プロデューサーに女体化薬を盛ろうとして
女体化薬を大量に入れたコーヒーを用意した慎吾。

しかし、自分のコーヒーと女体化薬を入れたコーヒーが、
”プロデューサーに入れる前”にすり替わってしまっていて、
慎吾は、自分自身が女体化薬入りのコーヒーを飲んでしまったのだー

そうなった原因は、些細なことー

「あ…これ、俺のじゃないやー」

慎吾が、コーヒーを注いだ後に、女体化薬を容器を
他の人間に見られないよう、自分の鞄にしまいに行った間ー…

間違えてコーヒーのカップを手にした共演者の達平が、
自分のコーヒーではないと気付き、すぐにその場に戻したー。

その時ー
”左側”に置いてあったカップを”右側”に戻したことによりー…
”女体化薬入り”のコーヒーが左側から右側に移動したー。

それに気づかないまま、戻って来た慎吾が、
自ら女体化入りのほうを飲み、自滅したー。

そんな、些細な真相ー。

だが、もう慎吾はそれに気づくことはないー。
女体化薬の摂取のしすぎによる副作用で、
ボロボロの容姿になり、絶望ー、命を絶ってしまったのだからー。

一方、”女体化した竜輝”は、
主演女優として、次のドラマの撮影を始めていたー。

”先輩刑事・田辺役の慎吾”が、女体化の原因だとは知らないままー
恐らくこの先もー真相を知ることはないだろうー。

けれども竜輝は、女体化した自分を受け入れ、克服ー。
公私ともに、なんとか生活をすることが出来ているー。

「ーーーよろしくお願いしますー」

今日も、新たな撮影現場に入りー、
竜輝は穏やかな笑みを浮かべるー

”まさか、俺が女優になるなんてなー”

そう思いながらも、竜輝は”性別は違っても、一生懸命役を演じるだけだー”
と、女優としての第1歩を歩み始めたのだったー

おわり

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今日は色々な場所で雪が降っているみたいなので、
皆様もお気を付けくださいネ~!

お読み下さりありがとうございました~!

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