<他者変身>いつの間にかわたしが婚約者!?②~真相~

いつの間にか、自分が知らないおじさんの
”婚約者”になっていたー。

それを仕組んだ犯人である人物を突き止めることに成功したものの、
彼の口から出て来た言葉はー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

デパートのフードコート…
多くの人が利用し、賑わいを見せているその場所の一角で、
円香は表情を歪めていたー。

「あぁーあの写真は、俺が作った写真だよー
 フェイスブックもー」
高校時代の元彼氏・田畑昌平が、そんな言葉を口にしたのだー

「え…?? え…???
 ど、どういうことー?」

円香が困惑して聞き返すー。

円香は、学生時代の親友・美姫から
”おめでとう”と言われたことで、
”知らない間に自分が知らないおじさんと婚約していることになっている”と、
言うことを知ったー

しかも、”自分の知らないフェイスブックアカウント”が勝手に作られていて
”自分の知らないツーショット写真”まで勝手に載せられていたー。

”婚約の話”の出どころである元カレ・昌平に確認したところ、
”偽の婚約写真”や”円香のフリをしたフェイスブック”も、昌平の仕業だと言うのだー。

「ーーどういうことって?
 全部、俺がやったんだよー」

昌平はそこまで言うと、
円香は「ど、どうしてそんなこと!?」と、声をあげるー。

「ーへへへへー…いやぁ、学生の時、円香に振られてさー
 まだ、たまに振られた日の夢のこと、見るんだよー

 もちろん、俺はバカじゃないからー
 元カノのところに行って殴ったりとか、バカどもみたいに
 元カノを殺したりとか、そういうことはしないー

 円香には指一本触れないって約束もできるー」

昌平はそこまで言うと、
「でもさー」と、笑みを浮かべるー

「ー手に入れちゃったんだよなぁー
 円香ー、俺を振ったお前に仕返しする方法をー

 犯罪に手を染めずに、お前に仕返しする方法をー!」

昌平はそう言いながら
笑みを浮かべると、”何か”を取り出したー。

「ーこれさー
 ”撮影した相手に変身することができるカメラ”でさー
 ネットで偶然見つけたんだよ…
 ヤベェカメラだろ?」

昌平はそう言いながら、ニヤニヤとカメラを見つめるー

「これで、お前を撮影して、お前に変身ー
 お前の姿で勝手に婚約写真した風を装ったり、
 フェイスブックを作ったりしたんだよー!

 はははー」

笑う昌平ー

「ーーー…う、嘘でしょ…?そんなことー できるわけがー」
円香は困惑するー。

”他人に変身する”など、できるはずがないー。
普通の人間なら、誰だってそう思うー。

”似ている他人”に変装することができても、それが限界ー

男である昌平が、女である円香そっくりになることなど、
できるはずもないー。

「ーーそれが、できるんだよー
 俺も驚いたけどなー

 だから、これまでずっと大人しくしてたけど、円香に
 仕返しすることにしたんだー」

昌平は、カメラを見つめながら言うー。

”円香が別れを告げることになった”直接的な原因ー
昌平の、どんな小さなことでもネチネチと恨み続ける
執念深い性格は今でも健在だったのだー。

しかし、昌平は同時に小心者でもあり、
”ルールは絶対に守る”タイプだー。

が、さらに小心者であり、卑怯者でもある昌平は
”ルールの隙間を潜り抜ける”ことに躊躇がないー。

そのためー
円香のことをずっと恨みつつも、”何もできずに”
学生時代は終わったものの、
半年ほど前に、”他人に変身できるカメラ”を手に入れた昌平は、
”ルールの隙間を潜り抜けて復讐する方法”を
見つけてしまったー。

そしてー、ついに動き出してしまったー。

「どうだった?いきなり身に覚えがないのに
 婚約者扱いされる気分はー!」

昌平が笑いながら言うと、円香は
「ちょっと!!ふざけないで!」と、机を叩いたー

「ーわたし、すごくびっくりしたし、
 友達から”婚約おめでとう”とか、言われて
 本当に戸惑ってるんだから!」

円香が怒りの声をあげると、
昌平は少し周囲の目を気にしながらー
「ご、ごめんごめんーそんなに怒らないで」と、
言葉を口にしたー。

「ー本当に変身なんてできるのかは知らないけどー
 とりあえず、今すぐ消して」

円香は
”円香の姿で勝手に作ったフェイスブック”と、
”円香の姿で勝手に撮影した婚約写真”を
全て削除するように、昌平に要求するー。

するとー
昌平は驚いたことにあっさりと
フェイスブックを目の前で削除、写真も全て削除したー。

「ーーーーこれで、いいか? 本当に悪かったなー」
昌平がそう言いながらスマホを見せるー

フェイスブックに関しては、
”復活”させられないようにと、
円香にパスワードまで教えて来て、
”その状態で、お前が登録情報を変えれば、もう俺は絶対にいじれないし、
 あとは消すなり好きにしてくれ”
と、付け加えた上で、削除したー。

「ーーーー」
あっさりと罪を認め、
あっさりと削除にも応じて、
あっさりと謝罪した昌平ー

「ーーー本当に、悪かったなー
 でも、振られた恨みは、これで晴らせたよー」

昌平はそう言うと、フードコートの椅子から立ち上がるー。

「ーーーーそのカメラー」
円香が不満そうに言葉を口にするー。

「ーーーーん?あぁー
 また俺がお前に変身するんじゃないかって?
 はははー、大丈夫さ。もう変身しない」

昌平がそう言い放つー。

だが、信用することは出来ないー。
そう思いながら昌平のほうを見つめていると、
昌平はため息をついてから、
そのままカメラを床に叩きつけたー

そしてー
その場でカメラを踏みつぶしてそれを破壊すると、
壊れたカメラを円香の方に投げ渡したー

「ーもう、二度と何もしないー。
 俺は十分に恨みを晴らせたー。

 約束するよー」

昌平のそんな言葉に、円香は
壊れたカメラを手にしながら、戸惑うー。

「ーーじゃあなーー
 俺ももう二度とお前の顔は見たくないー
 振られた時のことを思い出すからー。

 もう、俺は二度とお前に会いに来ないしー
 お前に何もしないー
 約束するー」

昌平は再度”約束”を口にすると、
去り際に、少しだけ笑みを浮かべたー

「”俺は”なー」

とー。

「え…?」
円香がその言葉の意味を理解するのはー
まだ”少し先”のことだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1週間後ー

昌平は宣言通り”何も”してくることはなくー、
平穏な日常を取り戻していたー。

友達にも事情を説明ー
”婚約は間違いだった”と、そう理解してもらったー

昌平は”自分にも”執念深いー。

”もう何もしない”と、約束した以上
恐らく昌平は何もしてこないー

高校時代、昌平と付き合っている際に、
昌平が”後輩とのとある約束を守れなかった時”に、
悔しそうに泣きながら、何度も何度も自分の頭を
壁に打ち付けてー、
”約束を守れなかった俺はクズだー!”だとか
”俺は俺を恨む!”だとか、そんなことを言っていたー

”執念深すぎる”
そんな昌平の性格を考えればー
円香に”何もしない”と言った以上、
何もしてこないはずだー

そういう性格も含めて、
円香は彼のことが好きじゃないし、
もう2度と付き合いたくないけれど、
いずれにせよ、彼はそういう性格でー
それは円香もよく知っているー

”嫌なやつ”だけど、”分かりやすい”ーとも言えた。

昌平はもう、何もしてこないー。

そう、”昌平は”
もうー、何もー。

その日も、会社での仕事を終えて
いつも通り、オフィスを出たその時だったー

「ーーー円香ーー」
突然、”知らないおじさん”から、声を掛けられたー。

髪の薄い眼鏡をかけた、小太りのおじさんー
30代か40代ぐらいだろうかー。

「ーーーえ?」
円香が首を傾げるー。

「あ、あの、どちら様ですかー…?」
円香がそう言うと、
”知らないおじさん”は、

「おいおいおいおいー…”もうすぐ結婚する”っていうのにー
 冷たいじゃないかー
 僕だよー。権田 恵三(ごんだ けいぞう)だよー」

と、言葉を口にしたー

”権田恵三”
そんな男は知らないー

がーーー

”もうすぐ結婚”

その言葉で、
円香は目の前の”知らないおじさん”が誰なのかを理解したー

”こ、この人ー、昌平が勝手にわたしの姿で婚約した相手ー!?”

円香が戸惑っていると、円香に変身した昌平が勝手に婚約してしまった相手ー、
恵三が目に涙を浮かべながら、
言葉を続けたー

「急に僕と連絡を絶つなんてー
 ひどいじゃないかー
 僕、何かしたかい?」

恵三がそんな言葉を口にするー

”円香に変身した昌平”が勝手に作った円香名義の
フェイスブックの写真で見たのと同じ男ー

小太りで眼鏡の、髪が薄くなったおじさんー。
それだけならともかく、
”清潔感”がまるでなく、最低限の身だしなみを
整えようとする努力も見られないー。

そんな感じのおじさんだー。

「ーーーい…いえ…あ、あのー」
円香が戸惑いながら返事をすると、
恵三は円香の手を突然、掴んできたー

思わず、反射的にそれを振り払ってしまう恵三ー

「な、なんでー?」
恵三が顔を赤らめながら戸惑うー。

赤らめているのは照れているからでも、
恥ずかしがっているからでもないー。

恵三は、怒りを感じていたー

「な、なんでだよ…!
 まさか、円香ー…
 う、浮気とかしてないよな?」

恵三の言葉に、円香は戸惑いの表情を浮かべるー。

「ーあ、あの…!あの…き、聞いて下さい!」
円香が敬語で叫ぶと、
恵三は「な、なんで敬語なんだ!?」と、
声を荒げたー

「き、急に連絡を絶ってー
 心配して会いに来てみたらー
 こ、この仕打ちか!?
 僕がー!僕が何をしたって言うんだ!?

 僕の両親にも挨拶を済ませて、
 僕の職場にも顔を出してー
 あんなに堂々と”結婚するんです!”と
 言ってくれたじゃないかー!

 なのに、なんでー!」

恵三はそう叫ぶー

「ち、ちがっ…そ、それは、間違いなんです!」
慌てた様子で円香が言うー。

”あなたが婚約したのは、わたしの姿をしてましたけど、
 わたしじゃなくてー”

そんな説明をしようとする円香ー
円香自身も、”まさか婚約者がやってくる”とは
思ってもおらず、パニック気味になっていたー。

「ーー僕を、騙してたのか!
 僕で、遊んでたのか!

 僕はー僕は、円香が初めての彼女だったんだぞ…!
 40で初めてできた彼女だったんだぞ…!

 僕は…僕は真剣なのに…!
 円香は僕で遊んでたのか!」

恵三がそう叫ぶー

「ち、違うんです!話を聞いて!」
円香が必死に叫びー、
ひと思いに”事実”を口にする。

恵三と婚約した”円香”はホンモノではなく、
偽物の円香であるとー。

「ーーーそんな子供だましな嘘で僕が騙されると思ってるのか…!
 僕をーー僕をどこまで馬鹿にすれば気が済むんだ!」

恵三が目に涙を浮かべながら叫ぶー。

”ククククク”ー

物陰から、そんな円香と恵三の様子を見つめていたのはー
円香の元カレ・昌平ー。

”もう二度と会いに来ないし”
”もう何もしない”

昌平は円香にそう約束したー。
約束は守るー

円香の前に姿を現すことも、
直接手を下すことも、もうしないー。

だがー

”あ~~~あ…
 あのおっさんからすれば、
 まぁ、そういう気持ちにもなるよなー

 さぁ…どうする円香?
 クククー”

昌平は”高校時代に振られたこと”を
まだ根に持っているー。

どんな小さなことでも根に持ち続けるー。

それが、昌平という人間だー。

円香の姿に変身してー
”あえて”恋愛経験も全くない、”面倒臭そうな性格の男”と
婚約したー

婚約者・恵三はグルではないー。
”円香に変身した昌平に騙された被害者”だー

だがーー

「ーーー僕を騙すなんてー…!許せない!」

叫ぶ恵三と、困惑する円香を見つめながら
昌平はニヤリと笑うー

「ーーーククククー
 円香、”婚約破棄”はよくないよなぁ?
 そのおっさんー
 あまりぞんざいに扱ってると、
 きっとモンスターと化すぜ?」

昌平は物陰から、小さく独り言をつぶやくと、
嬉しそうに笑みを浮かべたー

③へ続く

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コメント

いつの間にか婚約者になっていた真相が明らかになりました~!☆

でも、ここからがまだまだ大変そうですネ~!

続きはまた次回デス~!

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