<憑依>侵食される身体②~蝕~

彼氏からプレゼントされた指輪…

その中に宿っていた邪悪な魂に
彼女は徐々に支配されていくー。

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火曜日ー

指輪を貰ってから、今日で3日目ー。

昼休みに、隆司が少し心配そうに声をかけて来たー

「あー、あのさ、宮内さんー」
隆司の言葉に、希美がいつものように
「あ、隆司くんー」と、穏やに笑みを浮かべると、
隆司は「指輪ー…」と、希美の指のほうを指さすー。

「ーーふふー似合ってる?」
とても嬉しそうに笑う希美ー

「あ、う、うんーに、似合ってるよー
 で、でもさー そのー 無理して学校にまで
 つけなくても、僕、大丈夫だからー」

隆司がそう言うと、少しだけ希美は表情を曇らせるー。

「ーあ、いやー、その、もちろん、僕のプレゼントを
 大事にしてくれるのはすっごく嬉しいんだけどー
 宮内さんが、無理してるんじゃないかなって心配でー

 ほら、プレゼントした日ー、
 学校にはつけていかない方がいいかも、って自分で言ってたしー」

隆司のそんな言葉に、希美は少しだけ笑いながら
「心配してくれてありがとうー 
 でも、大丈夫ー」と、指を嬉しそうに見つめるー

「わたしが、こうしたいからこうしてるのー
 無理なんか、してないよー」

とー。

そう呟く希美の目の輝きが、
一瞬消えていたことに、
隆司も、希美本人も気づいていなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した希美は、自分の髪を触りながらー
ニヤニヤと笑みを浮かべるー

やがて、髪のニオイを嗅いだりー
髪の1本を口に咥えたりしながら
「へへへへへ…」と、笑みを浮かべるー

「ーー最高だぜー」
希美が低い声でそう呟くと、
直後、希美は驚いたような表情を浮かべながら
自分の喉のあたりを触るー

「えっ… ーーへへへ…
 ”喋れる”ようになったー…… へへっ」

希美が、そう呟くと嬉しそうに笑うー

”さっきまではー”
心の中で思うだけだったー

だがー
ついに、”希美の口で”喋ることができたー

「へへへへ…女の声で喋れるように…なった…
 くく…ひひひひひひ」

希美とは思えないような笑い方をするとー、
希美は「だんだん、この身体が”俺”のものになってきてるのを感じるー」と、
イヤらしい笑みを浮かべたー。

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翌日ー

希美は少しだけ不安そうな表情を浮かべていたー。
そんな希美を心配してか、親友の杏菜が声をかけるー。

「大丈夫?なんか今日、朝から疲れてるように見えるけどー」
杏菜のそんな言葉に、
希美は「あ、うんー…なんか昨日の夜の記憶が少し飛んでる気がしてー」と、
困惑したような笑みを浮かべながら、
”悩んでいる理由”を伝えるー

「ーー記憶が飛んでる?」
杏菜が不思議そうに言うと、
「うんー……夜、なんか気が付いたら1時間近く時間が飛んでたからー…
 少し気になってて」と、希美は言葉を口にしたー

「ーへ~…それって、寝落ちしてたとかじゃないの?
 わたしもよく、寝落ちして1時間ぐらい飛んでることはあるよ~?」

杏菜のその言葉に、
希美は「それならいいんだけどー」と、なおも不安そうに呟くと、
杏菜は「そうそう!それに何かに夢中になってたりしても1時間なんて
あっという間だし、気にする必要はないと思うよ!」と、
優しく笑いながら、希美にそんな言葉をかけたー。

しかしー
希美は、”また”異変を感じたー

「ーーーー…」
体育の授業の前ー
男子と女子が分かれて着替えるタイミングでー
希美は無意識のうちに、他の女子の着替えを見て、笑みを浮かべていたー。

身体がゾクゾクして興奮するのを感じるー

やがてー、自分の唇を舐めながら「最高だぜー」と、
希美は低い声で呟くー

だが、すぐに我に返った希美は
”わたし…今…?”と、とても不安そうな表情を
浮かべるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

木曜日ー

指輪を貰ってから5日が経過したー。

希美は今日も指輪を身に着けたままー
彼氏の隆司は、そんな希美を見ながら
”ホントに大事にしてくれてる…”と、嬉しい気持ちになりながらも、
”本当に僕に気を使って学校でもつけてるんじゃなきゃいいけど”と、
心の中で呟くー。

とは言えー
”最初は罰ゲームか何かで告白されたんじゃないか”とまで
思っていた隆司からしてみれば
ああして、指輪を大事にしてくれるのは、
悪い気分はしなかったー。

そんな中ー
3時間目の社会科の授業で事件は起きたー。

「ーー宮内ー、それは?」
社会科の先生が呟くー。

このクラスでは社会科の授業が
月曜日・木曜日・金曜日に存在しているー

月曜日はこの先生が出張であったため、
”希美が指輪をはめてから”初めての、この先生による授業だったー

社会科の先生は校則やルールに厳しく、
生徒たちからは恐れられているー
そんな、存在だー

「ーーはい?」
希美が、社会科の先生の問いかけに反応すると、
先生は「その指についているものは、なんだ?」と、
希美の指輪のことを指摘したー

校則には、高校生としてふさわしい身だしなみや、
派手な装飾などに関する記述はあったものの、
”指輪はしてはいけない”とは書かれていないことや、
希美自身が普段はとても真面目な優等生の部類に入ることから、
他の先生たちは、希美の指輪に気付いても、特に
何かを指摘するようなことはなかったー。

しかし、社会科の先生は違ったー。

「ーーそんなものは授業には必要ない。
 外しておきなさい」

淡々とそう言い放つ社会科の先生ー。

隆司は、”やっぱ僕のせいでー…ごめん”と、
心の中で”僕がプレゼントした指輪のせいで、宮内さんが
先生に注意されてしまった”と、ネガティブなことを
考え始めてしまうー。

だがー、希美の反応は
隆司の、いやー、この場に居合わせたほとんどの
クラスメイトたちの”予想”に反した反応だったー

「ごめんなさいーお断りします」
希美の言葉遣いは丁寧だったー

けれどー
言葉遣いや仕草は丁寧でもー
希美が先生に”反論”するなどと言うことは今までになく、
クラスメイトたちは驚きの表情を浮かべたー

「ー何だって?」
社会科の先生が露骨に不満を露わにしー、
教室の中に一気に緊迫した空気が流れるー。

「ーーーーー」
希美は涼しい顔で、それを無視しているのか、
黒板に書かれた内容をノートに写す作業の続きを始めるー。

だが、その態度が社会科の先生に火をつけたー。

教壇から降りて、希美の机の前にやってくると
「もう一度言う。その指輪を外しなさい」と、
希美に対して、さっきよりも強い口調で言い放ったー

「ーー先生、授業を続けて下さい」
先程とは違い、真顔でそう反論する希美ー

「ちょっと…希美?」
後ろの座席の女子生徒が不安そうにそう希美に声をかけるも、
希美は指輪を外そうとしなかったー

それを見かねた社会科の先生が、希美の腕を掴み、
「これは生徒指導部で預かっておく」と、指輪を無理やり取り上げようとしたー

がーーー

「ーーうるさい!!わたしに触るな!」
希美が声を荒げて、先生の腕を振り払ったのだー

「み、宮内ー?お前!な、何だその態度は!」
社会科の先生も驚いたのか、
少し声が裏返っているー

「ーーいいから、授業を続けて下さいー
 他のみんなも迷惑してます」

希美は刺々しさを隠そうともせずにそう言い放つと、
社会科の先生は「あとで生徒指導室に来なさい」とだけ言い放って
そのまま黒板の方に戻って行ったー。

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「ーーみ、宮内さんーさっきのはまずいよー」

昼休みに入ると、隆司は希美に声をかけたー

「ーご、ごめんー何かわたしもよく分からないまま
 カッとなっちゃってー」

そんな希美の言葉に、隆司は
「僕からのプレゼントだからって、そんなに重く考えないで、
 普通に外していいからーー」
と、困惑の表情を浮かべるー

「ーうんーそうだね…
 後で、先生に謝ってこないとー」

生徒指導室に呼び出されている希美は、
悲しそうに、そう呟いたー。

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金曜日ー

希美が指輪を身に着けてから6日ー

希美の姿が学校にないことを心配した隆司は
授業が始まる前に、希美にLINEを送って状況を確認しようとしたー

だがー、既読はついたものの、返事が来ないまま
朝のホームルームの時間が始まってしまうー

「ーー宮内さんー何かあったのかな…」
隆司が不安そうに小声でそう呟くと、
担任の先生が重々しく、口を開いたー

「ーー宮内さんはー…
 今日から来週の火曜日まで、”停学”ということになりましたー」

担任の先生が困惑の表情を浮かべながらそう説明しているー。

「ーーえ…そ、そんなー」
呆然とする隆司ー。

昨日の放課後、希美は社会科の先生に謝りに行く、と言っていたー。
生徒指導室に呼び出されたためだー。

その後、そのまま停学になってしまったのだろうかー。

昨日、夜に一度希美に連絡を取った時には
”色々迷惑をかけてごめんね”と、だけ言われたが
まさか停学になっていたとは思わなかったー

「榎木(えのき)先生ー」
担任の榎木先生に声を掛けるとー、
「ー宮内さんは、そのー」と、
心配そうに隆司が何があったのかを確認するー。

しかしー、榎木先生は困惑の表情を浮かべながらー
「それがー生徒指導室で、先生と口論になってー」
と、だけ事情を説明したー

「口論?そ、そんなー」
隆司は呆然とするー。
榎木先生は「話す機会があったら、話を聞いてあげてー」と、
それだけ言うと、そのまま立ち去っていくー。

「ーーー…なんでー…」
希美は、先生と口論をするようなタイプではないー
それなのに、何故ー?

隆司は不安そうな表情を浮かべながら
只々、希美のことを心配することしかできなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ククク…ふふふふ… あぁぁあぁ…最高だぜ」

輝く指輪をはめた指をペロペロと舐めまわす希美ー

「ーこの女が停学になってから、急激に
 ”俺”の支配が強まった気がするぜー」

希美は笑みを浮かべるー。
指輪の中に宿る意識が、希美に憑依しー、
次第にその支配を強めていたー。

昨日ー、
社会科の先生に謝罪をしようと、生徒指導室を訪れた希美ー。

希美は「本当に申し訳ありませんでした」と、反省の弁を
最初に述べていたものの、
社会科の先生が”希美に指輪を取るように”言ったため、
指輪の中に宿る意識が、身を守るために、希美を内側から操りー、
必死に抵抗したー

最後には、希美の身体を支配し、社会科の先生と口論ー
その結果、停学になってしまったのだー

そして帰宅後ー、
一時的に再び希美が身体を取り戻したものの
”停学になった”という現実を知り、ふさぎ込みー、
今日は朝からずっと、指輪の中に宿る意志が
希美を支配しているー

「ーーククククク…あぁぁぁ~~いいぞ~~~
 そのエロイ表情ー」

鏡に映る欲望に満ちた希美の表情を見て
狂気の笑みを浮かべるー

狂ったように両胸を揉み始めると、
家族に聞こえることもお構いなしに、
笑ったり、喘いだり、「たまんねぇ…♡」と、叫んだりー
欲望の時間を散々楽しんだー

そしてついにー
憑依された希美は、その状態のまま
激しく喘ぎながらイってしまうー

”これがーー女の快感ーーー”

遠い昔、女を弄ぶことも多々あったこの”邪悪な意志”は、
今日、初めて”自分自身が女”として絶頂を味わいー、
あまりの気持ちよさに、その意識がはじけ飛んだー

「ーーーーぁ……」
しばらくして、希美が意識を取り戻すー。

だがーーー
希美は悲鳴を上げるー。

何故ならー
”全く身に覚えがない”のにー、
部屋中が乱れていて、
自分の身体も、まるで”誰かに乱暴されたかのような”
そんな、状態になっていたのだからー

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土曜日ー
日曜日ー

希美との連絡が取れないことに
不安を感じた隆司は、希美の家を訪れたー

だがー、
顔を出した希美は
「ー心配かけてごめんねー。わたしは大丈夫ー」と、
”案外、普通に元気そう”だったためー
隆司は”安心”してしまうのだったー。

少し雑談をすると、隆司は「じゃあー元気そうでよかったー」と、
安堵の表情を浮かべながら立ち去っていくー

しかしー
そんな隆司の後ろ姿を見つめながら
希美は不気味な笑みを浮かべていたー

③へ続く

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コメント

進む指輪による支配…!
次回が最終回デス~!☆

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