<憑依>ウェスタンポゼッション①~決闘~

西部開拓時代ー。

そう呼ばれる時代にも”憑依”は存在したー。

西部劇X憑依の物語ー。

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「ーーーへへへへ…お前の身体は俺が頂くぜ」

笑みを浮かべながら、銃をぶら下げたガンマンが
相手の女にそう言い放つー。

「ーーーーー…」
怯えた表情で銃を握りしめる女ー。

周囲には人が集まり、大きな歓声を送っているー。

19世紀ー。
まだ未開拓であった地のとある地域では
”ガンマンたちによる戦い”が日夜行われていたー

銃を持った荒れくれ者たちが互いの名誉をかけて戦うのだー。

しかしー
その中でも”特殊な戦い”を繰り広げる者たちが、
未開の地の更に奥に存在したー
それがーーー

「ー敗者は勝者に身体を受け渡すー」

そんな”ルール”での戦いだー。

この地では
”実銃”のほかに”憑依銃”と呼ばれる
自分の魂を銃弾に込めて、相手に打ち込む武器が流通していたー

それを使いー、
相手の身体を奪うのだー。

「ーークククーお前みたいな綺麗な姉ちゃんの身体が手に入ったらー
 ぐへへー 人生、楽しそうだぜ」

飲んだくれのヒゲの男が笑みを浮かべるー。
その手に握りしめられているのは憑依銃ー。

「ーー……父の病気を治すため、絶対に負けません」
銃を握りしめる大人しそうな女性ー。

彼女が握りしめているのは実銃ー。

”相手の身体を奪いたい”者は憑依銃ー、
そうでないものは実銃を使い、戦うー

周囲の人間たちは、どっちが勝つか賭け事をしたりー、
当事者たちも勝つことによって賞金や名誉、
憑依銃を使えば相手の身体も手に入れることが出来るー

そんな戦いが、この荒野の中に存在するこの街では
繰り広げられていたー。

「ーーーー”へへへへへー”」

”カウガール”のような格好をした女の太ももを見つめながら
ニヤニヤする男ー

「ーおい、ベンジャミン!負けたら死ぬんだぞ!
 ニヤニヤしてねぇでちゃんとやれよ!」

憑依銃を握りしめた男ー
これから女と撃ち合いをするベンジャミンに向かって
そう叫ぶのは、ベンジャミンと親しい男ー

「へへへ分かってるってー
 俺様を誰だと思ってやがるー」

そう呟きながら、いよいよ戦いの時がやってきたー。

お互いに背を向けて”合図”と共に、
銃を放つー。

素早く撃ち込んだ方が、勝者となるー。

”ククククーその身体、俺様が頂くぜー”
女に背を向けながら”合図”を待つベンジャミンー

”ーーお父さんー”
一方の女性は、”病気の父”を治すお金を稼ぐため、
命を賭けて、この街にやってきていたー。

これまでに既に3人の男を葬っているー。
いずれもギャングのような男たちだー

そして、今日の対戦相手ー、ベンジャミンが4人目ー。

やがてーーーー
”合図”の音が響き渡りー
ベンジャミンと女は一斉に振り返ったー。

銃声が響き渡るー

倒れ込んだのはーー
ベンジャミンー。

しかしーーーー
勝者の女はニヤニヤし始めると、
突然、胸を揉み始めたー

「へへへへへ お前ら見たか!
 この女は俺様のものだ!」

高らかに宣言する女ー

「おぉぉぉ…ベンジャミンのやつ、やりやがった!」

嬉しそうに笑う相棒の男ー

そうー
勝者は”ベンジャミン”の方だったー

ベンジャミンが倒れ込んだのは
女の銃に撃たれたからではなくー
憑依銃を撃ちー、自分の身体が抜け殻になったからー。

女の身体を乗っ取ったベンジャミンは、
太ももを触りながら、
色っぽいポーズを取り始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」

ザッー。

その街に、メアリーと名乗る女性がやってきたー。

「お???」

「へへへ」

「ーーいい女がやってきたぜ」

荒れくれ者が集まる酒場にやってきたメアリーは
一人酒を注文すると、
その綺麗な太ももに荒れくれ者たちの視線が集まっていることも
気にせず、そのまま酒を飲み始めたー。

「ーーイヴ、どこにいるの?」
メアリーが酒場の店主に言うと、
「あん?」と、店主が首を傾げるー

”イヴ”とは、この街を支配している女ボスだー。

数多くの男たちとの決闘に勝利し、
あらゆる男たちを葬り、富と名誉を手に入れたー。

そんな、伝説の女ー。

「ーーあんた、”ボス”の知り合いかい?」
店主の言葉に、メアリーは「イヴに決闘を申し込みに来たの」と
愛想なく酒を飲みながら言い放ったー

どよめく酒場ー

そしてー
荒々しい風貌の男が机を叩いたー

「おい!小娘!調子に乗るんじゃねぇぞ!
 お前みたいな小娘がボスに勝てるものか!」

荒々しい男の叫びにも、華奢なメアリーは動じず、
冷たい視線を男に向けるー

「気に入らねぇ目だなー
 よぅし、表に出ろ!
 ボスに挑む資格があるかどうか、俺が試してやらぁ!」

そう叫ぶ男の手には”憑依銃”ー。

「ーーおいテメェら俺が勝ったら今日は祭りだ!
 全員のアレをしゃぶってやらぁ!」

下品な冗談を口にしてゲラゲラ笑う男ー

基本ー
”決闘”に参加する人間は男が多いー
故に憑依銃を使って勝利しても、男⇒男に憑依するだけのケースが多いー

だがー
稀にこういう女がやってくるー

するとー、男たちは意気揚々と憑依銃を手に勝負を挑むー

分かりやすい下心と言えば、そうかもしれないー

パァン!

荒野に銃声が響き渡るー

「うぐっ…」
血を流して倒れ込む荒々しい男ー。

「ーーー次は?」
勝負を挑んできた荒々しい男を簡単に葬り去ったメアリーが
冷たい視線を観衆たちに送るー

「ーーテメェ!俺様の兄貴をよくも!」
今度はやせ型の、髭の男がメアリーに勝負を挑んでくるー

「その身体を奪って、俺の玩具にしてやる!」
男がそう言いながらメアリーを睨みつけるも、
メアリーは「ふん」とだけ呟いて、一切怯える様子も見せずに
再び”決闘”の準備に入ったー

憑依銃を握りしめた男が笑みを浮かべるー

”6人を葬って来た俺様に小娘ごときが勝てるわけがねぇー。
 次で7勝、俺様はラッキーセブンだぜ”

笑みを浮かべながら憑依銃を握りしめー
合図と同時に振り返ってメアリーを撃ーーー

その前に、強い衝撃を身体に感じて、男は呆然として前を見るー

”かなり早く”
反応したはずー

それなのに、メアリーはもう振り返っていて
こちらに正確な銃弾を叩きつけていたー

「馬鹿なー」
倒れ込む男ー

「これで、二人ー」
メアリーはそう言い放つと、
「あなたたちのボスはー?」と、周囲に質問したー

「ーーーわ、わかったー案内するよー」
酒場の店主の男が、二人がいとも簡単にあっさり倒されたことにより、
怖気づいた様子でそう言うと、
「そうー。ありがとう」と、だけメアリーは言い放った。

”ガラン兄弟”ー
この街では実力者だった兄弟が、
メアリーに瞬殺されたー。

他のガンマンで、ガラン兄弟より強いやつは、この街には数名しかいないー。

この街が弱いのではなく、あっさり片づけられた兄弟は
元々”強い”部類だったのだー

そのガラン兄弟を瞬殺したところを見ると
”この女はヤバい”
と、誰もがそう思ったのだー。

しかしー
血の毛の多い禿げ頭の男が、怒りの形相で
「女!調子に乗るなよ!」と、酒瓶を破壊して、メアリーに勝負を挑んだー

酒場の店主が「やめとけ」と静止するも、男はその静止も聞かず、
メアリーに勝負を挑みー、
そして、倒れたー。

もはや、周囲は誰もメアリーに勝負を挑まずー、
メアリーはこの街を取り仕切るボス”イヴ”と面会することになったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーようこそー”わたしの街”へー」

イヴと呼ばれる女性が、束ねた髪を揺らしながら
笑みを浮かべるー。

とても”ガンマン”として強そうな風貌には見えないし、
争いが好きそうな顔には見えないー

いかにもカウガールという格好のメアリーが
案内されたイスに座ると、
イヴは「ーこの街には何のためにやってきたの?」と
笑みを浮かべたー。

すると、メアリーは即答するー。

「憑依から、解放するため」
とー。

「ーーー」
イヴは笑みを浮かべながら表情を歪めるー。

「ーー勝者は、敗者の全てを奪うことが出来るー
 それが、わたしたちの世界ー」

イヴがそう言いながら立ち上がると、
メアリーは険しい表情を浮かべながらイヴを睨みつけたー。

「ーその身体は、あんたのものじゃないはずー」
メアリーがそう言うと、
イヴは笑うー

「この女は”敗者”ー
 勝者であるわたしー

 いいやー」

イヴはそこまで言うと表情を変えて
口調も変えて、
言い放ったー

「勝者である”この俺”が、この身体を奪うのは当然の道理ー」

とー。

「命も、名誉も、身体もー
 俺たちの世界では強いやつが全てを手にするー
 それだけのことだー」

イヴがそう言いながら、自分の身体を触り、笑みを浮かべるー

「ーーーーー…」
メアリーは動じることなく、イヴを睨みつけているー。

「ー憑依なんて、間違ってるー。
 身体は、その生まれ持った本人のものー」

メアリーのその言葉に、イヴはクスクスと笑うとー
「文句があるならー”力”を示せー」と、
メアリーの顎を掴みながら
メアリーを睨みつけるー。

そしてーーー
挑発的にメアリーにキスをしたー。

女同士のキスが繰り広げられー
しばらくするとイヴは「小娘がわたしに勝てるとでもー?」と、
笑みを浮かべるー。

「ーーー……あんたに支配された、その身体を解放するー」

メアリーは挑発に乗る様子もなく、それだけ言うと
イヴはクスクスと笑みを浮かべたー。

「いいでしょうー。
 ただ、わたしはつまらない試合はしない主義なのー
 わたしが用意した”四天王”とまず戦ってもらうー。

 あなたが口先だけではないってことを見せて頂戴」

イヴはそれだけ言うとー
小声で言葉を続けたー

「ーククククー
 お前のその身体ー気に入ったー。
 四天王を倒せたら、俺が自らお前を倒しー
 その身体を奪ってやるよ」

イヴは表情を歪めながらそう言うと、
ポンポンとメアリーの肩を叩いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

イヴが用意した”四天王”が宿場前の広場に姿を現したー。

目をつぶりながらでも、遠距離のリンゴを正確に打ち抜く
盲目のガンマン・アンディ。

自身の家族にも”決闘”を挑み、両親と妹を射殺した
狂気の戦闘狂・カール。

これから死にゆく相手に想いを馳せてー、
決闘前に相手の死にざまを詩にする銃撃芸術家・チャーリー。

対戦相手と恋仲に陥ってから、その相手を決闘で射殺することに
快感を覚える女性ガンマン・キャロラインー。

4人が姿を現し、メアリーがその4人と対峙したー

「へへへへ…どんな奴かと思えば、小娘じゃないか」
カールが笑うと、
「ーーだが、確かに猛者の気配を感じるー油断はならぬ」
と、盲目のガンマン・アンディが言うー。

「ーふふふ…女同士…楽しく勝負しましょ?」
クスクスと笑うキャロラインー

「誰が最初に行く?」
笑みを浮かべながら銃撃芸術家を名乗るチャーリーが言うと、
戦闘狂のカールが前に出たー

「お前らの出番はねぇ」
と、そう言いながらー。

「ーお前らはそこで、あの女が屍になるところを見てな」

戦闘狂のカールはそう言い放つと
メアリーに「俺と出会ったことを地獄で後悔するんだな」と、言い放つー

「ーーーあなたこそ」
それでも動じないメアリーを見て、カールは笑うとー
「俺は親も妹も親友も恩師も、決闘でぶち殺したー」と、狂った笑みを浮かべるー

「ふんー」
メアリーはそれだけ言うと、
そのまま二人とも位置について、決闘の準備を始めたー

”合図”を待つ二人ー

笑みを浮かべるカール

そしてー
”合図”と同時にー、二人は振り返って銃を放ったー

「ーーーー!!!」

その場にいた誰もが驚くー。

”あの”カールが、”小娘”に後れを取りー、
身体を撃ち抜かれて、その場に倒れ込んだのだー

「ーーー!!」
「ーーやるねぇ」
「ーーあら」

残る三人の四天王がそれぞれの驚きの表情を浮かべるー

「さぁ、次は誰?」
銃を回転させながらしまうと、メアリーは残る三人の四天王を睨みつけたー

②へ続く

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コメント

西部劇X憑依モノデス~!

西部劇を題材とした憑依モノを書くのは、
(私は)今回が初めてですネ~!笑

色々不安な部分もありますが
少しでも皆様が楽しめれば、と思います~!★

今日もありがとうございました~!

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